大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

名古屋高等裁判所 昭和27年(う)1497号 判決

同日判決の宣告が為された旨記載せられている原審第三回公判調書(記録第五十七丁以下)は昭和二十七年十一月十一日附であり、原判決書(記録第六十丁)は其れより以前の同月八日附のものであるが、此旨の記録編綴の順序右判決書に昭和二十七年十一月十一日宣告せられたものである旨の裁判所書記官補の附記あるところから見て同日の原審第三回公判期日に言渡されたのは同月八日附の右判決であることは明瞭で判決書は必ずしも宣告の日に作成することを要するものではなく其の作成の日が判決宣告の日と異るも、それだけでは格別違法というべきものではない(大審院大正十三年七月十四日言渡同院判例集第三巻第五八一頁参照)から右日附不一致の点から直に弁護人所論の如く原審が適式に判決の言渡を為したものではないということはできない。唯本件では原裁判所は所論にも見える通り其の第三回公判に於て被告人の前科調書の取調を為した後に審理を終結し直に判決を宣告したものであるから前記判決書は同日の審理を経ないで予め作成用意せられたものとなり右は審理に先立つ予断の結果であるに非ざるかの疑を懐かれる惧はあるが記録並に原判決書を調査すると原裁判所は昭和二十七年十月三十日の第一回公判期日に詳細適式に各般の取調を進め被告人の前科の点についても被告人自身の陳述を聴き、又其の前科調嘱託回答書の取調を了して審理を終結した上、同年十一月八日を判決宣告期日と指定告知し右言渡期日である原審第二回公判期日に於ては職権で同宣告期日を同月十一日に延期し同日の第三回公判期日に至つて検察官の請求により弁論を再開して前科調書を取調べた後適式に審理を終結し前記判決を宣告したものであり右前科調書の記載と原審第一回公判期日に於ける被告人の前科取調結果とを彼此対照するに其の間格別の相違はないから此等の状況からして原裁判所は其の第一回公判期日に基き原判決を作成して宣告の用意を調へ其の第三回公判に臨んだところ同日の取調の結果によつても格別右判決書の内容に訂正の必要を認めなかつた結果当初指定の宣告期日の十一月八日附となつている判決書の作成日附の訂正を失念して其の儘宣告するに至つたものであることを窺知し得られ、原判決は固より原審の審理の結果を考慮した上のもので所謂予断に基く判決でないことは明瞭であるから原判決は其の作成日附と右宣告期日との間に不一致あるに拘らず何等の違法あるものとも認められず論旨は遂に採用するに由ない。

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!