名古屋高等裁判所 昭和27年(う)295号 判決
本件起訴状及び原審第一回公判調書によれば本件の第二の訴因は被告人は昭和二十三年九月頃窃盗犯人山岸茂の依頼により「てんぐ紙約十連時価一万円相当を同人が窃取して来たものであることの事情を知りながら其の頃岐阜市長森東中島小島ゑい方において同人に対し代金八百九十円で売却し以て賍物の牙保をしたものであると謂うにあるところ原審立会検察官事務取扱は原審第一回公判廷において右の「賍物の牙保をし」という点を「賍物の周旋をし」と訂正して起訴状を朗読したのであるが右訂正について特に裁判所の許可を求め又裁判所はその訂正を許可したことが認められないことはまさに所論の通りであるが右訴因の記載とその訂正とを対照して明かなようにその訂正は牙保なる法概念をそれに対応する事実概念の周旋に置き換えたに止まり毫もその訴因の記載内容に変更を来さないいわば誤字の訂正に準ずるものであつて公訴事実及び訴因に変更を来さぬことが明かであるから検察官としてかかる訂正は裁判所の許可を俟つ迄もなく独自になし得るものと解すべきである(尤も如何なる訂正にせよ起訴状が裁判所へ提出された後にそれが内密になされることは訴訟の明朗性を害するものとして排斥せねばならぬが、本件においては公判廷において相手方の面前でなされているのでその点は問題になり得ない)従つて本件起訴状は検察官事務取扱の訂正通り訂正されその朗読によつて起訴状通りの朗読があつたものというべくそれに基いて審理判決がなされた以上原審に所論の違法があるとするのは当らない。