大判例

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名古屋高等裁判所 昭和27年(ネ)104号 判決

控訴人は「原判決を取消す、被控訴人岐阜県知事が昭和二十二年五月十六日した岐阜県本巣郡席田村外二ケ村組合立糸貫中学校設置承認並に同知事が同年十二月六日した同県本巣郡席田村外二ケ村の一部事務組合設置許可はいずれも無効なることを確認する。訴訟費用は第一、二審共被控訴人等の負担とする。」との判決を、被控訴人等各指定代理人は各本件控訴棄却の判決をそれぞれ求めた。

当事者双方の事実上の陳述は被控訴人岐阜県教育委員会指定代理人において「席田村外二ケ村は学校教育法によつて中学校設置の義務を負う者であり、かかる者が学校を設置しようとする場合には、法規上岐阜県教育委員会へ届出をすれば足りるのであり、認可を必要としない。」と附け加え、又被控訴人岐阜県知事指定代理人において「一般に地方自治法第二百四十三条の二第四項の規定による訴によつて控訴人が裁判所に対して裁判を求めうべき事項の範囲は請求人の属する地方公共団体の当該職員が、(1)公金の支出又は使用に関する行為 (2)財産の処分に関する行為 (3)債務その他の義務の負担に関する行為 (4)財産又は営造物の使用に関する行為 (5)契約の締結又は履行に関する行為のいずれかについて違法又は権限を超えるときに、それらの職員のその行為の制限若しくは禁止、又は取消若しくは無効若しくはこれに伴う当該地方公共団体の損害の補てんに限られるが、控訴人の本訴請求は明に右法定請求事項の範囲外であるから失当である。」と述べた外当事者双方の事実上の陳述は原判決事実摘示のとおりであるから、これを引用する(各証拠省略)。

三、理  由

当裁判所の審理の結果によるも、控訴人の請求は理由がないものと認める。そしてその理由は原判決理由に説明しているとおりであるから、これを引用する。(但し原判決八枚目裏十一行目に「原告は本訴請求についてその当事者適格を欠くものと言わざるを得ず」とある部分を「本訴は結局訴訟法上の要件を欠き不適法たるを免れない」と訂正し、原判決七枚目表七行目に行政処分の違反とあるのは、行政処分の違法と、同八枚目表七行目及び八行目に中学校組合会とあるのは中学校組合と各訂正する。)

なお控訴人の請求を理由なしとするゆえんを補足する。

まず本訴請求中岐阜県知事のした本件一部事務組合たる学校組合の設置許可の無効確認を求める部分について考えるに、控訴人はその無効を宣言されることによつて、該中学校設置の経費の負担を免れると主張するのであるが(控訴人はその多寡を問題としているものでない)学校教育法(昭和二十二年四月一日から施行第四十条、第二十九条、第三十条、教育委員会法第九十条等によると、町村は単独でもしそれが不可能又は不適当である場合には市町村一部事務組合(学校組合)を設けて少なくとも一の中学校を設置しなければならない義務を負わされているのであるから、たとい本件許可が無効となつても控訴人は席田村住民として中学校設営に要する費用はその負担を免れることはできない筋合である。従てこの意味において本件許可の無効確認を求める利益はないと解するを相当とする。

とすれば控訴人の本件許可の無効確認の請求は失当であるこというまでもない。

次に岐阜県知事が昭和二十二年五月十六日した本件糸貫中学校設置承認の無効確認を求める部分について考えるに、席田村外二ケ村は中学校設置の義務を負うものであることは、右にみたとおりであり、このように学校設置の義務を負うものが学校設置自体について認可をうけることを要するというのは矛盾であるから、認可は不要であると解すべきであり、学校教育法第四条はこの趣旨をも規定しているとみられるのである。

そして学校教育法施行規則(昭和二十二年五月二十三日文部省令第十一号)の改正規定たる昭和二十五年十月文部省令第二十八号の第七条によると学校設置の義務を負うものが、学校を設置しようとする場合には、都道府県教育委員会に届出でなければならない旨を明にしているのであるが、右文部省令第十一号の第七条によると「学校教育法によつて設置義務を負う者の設置する学校の校数及び位置を変更しようとするときはその設置者において地方長官に届出でなければならない。」と規定していたことからみて、学校設置の義務を負うものが学校を設置する際には届出を以て足りるとすることは、学校教育法施行の当初から変りはないと解すべきである。

とすれば岐阜県知事のした本件学校設置の承認はなんら法律上の効果を生ずるものでなく、全く不要無意味の行為であるというの外はない。換言すれば該承認なる行為は出訴の対象となるべき行政処分として観念せらるべきものでない。

従てそれが行政処分であることを前提とする控訴人の本訴請求は失当たるを免れない。

以上によつて控訴人の請求を排斥した原判決は洵に相当であつて本件控訴は理由がない。

よつて本件控訴を棄却すべきものとし、民事訴訟法第三百八十四条第九十五条第八十九条を適用し主文のとおり判決する。

(裁判官 中島奨 白木伸 県宏)

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