大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

名古屋高等裁判所 昭和28年(う)616号・昭28年(う)615号 判決

訴訟記録について案ずるに、原判決が被告人韓相基に関する原判示事実を認定する証拠として、証人荒川操、同天館正の原審公廷における各供述を採用していること及び同証人等は検察官より、同人等の検察官に対する各供述調書について、被告人がこれを証拠とすることに同意しなかつたために、証人として尋問を請求し、原審がこれを採用して取り調べた際における供述であることは、弁護人所論の通りであり、同証人等の供述中には検察官より、同人等の検察官に対する各供述調書を援用して発問に対する供述が存することも、弁護人の指摘する通りであるが、証人が記憶を喪失した事柄についての記憶を喚起するため、或は記憶を誤つて前にした供述と異なる供述をした事柄についての記憶の訂正に資するためなどの目的で、前に検察官の取調に対してなした供述を援用して発問することは、たとえその検察官に対する供述調書が被告人の不同意のために証拠とすることができなかつた場合でも許さるべきであるということができる。そして前記証人等の各供述を証拠として採用するということは、検察官の発問が証人等の各供述が証拠となるということであるから、不同意の供述調書が証拠として採用されることにはならないのである。従つて前記証人の各供述は、証拠能力あるものというべく、原審の訴訟手続には法令の違背はなく論旨は理由がない。

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!