名古屋高等裁判所 昭和29年(う)1184号・昭29年(う)1186号・昭29年(う)1185号 判決
原判決挙示の証拠によれば、同判決が同被告人に対する追徴金を四十五万三千六百円と認定した計算の基礎は、原判示偽造ピース一個十六円二十銭として算定したものであることは所論の通りであるが、たばこ専売法第七十五条第二項にその価額を追徴するとあるたばこの価額とは、その原価または所論の如き真正ピースとの比較に於て鑑定の上決定せられた価額というが如きものではなく、本件の如き売買の実績あるときはそれが不当に廉価でない限りその実際の売買価格によるべきものと解するを相当とする。本件記録に顕われた証拠によれば、被告人朴は相被告人劉より本件私製紙巻たばこを一個(十本入)につき十六円二十銭替にて買受け被告人朴は之を一個二十二円位にて売捌いていたことが認められるから、原審が被告人の本件偽造たばこの譲り受け行為を処罰するに当り、前示法条によりその没収不可能となりたる物件の価額の追徴につき買受価額の実績によりその追徴金額を算定したのは相当であつて、原判決には所論の如く審理不尽による事実誤認の違法があると謂うことはできない。
(裁判長裁判官 小林登一 裁判官 栗田源蔵 裁判官 石田恵一)