大判例

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名古屋高等裁判所 昭和29年(う)280号・昭29年(う)279号 判決

次に、原判決は、累犯加重の適用をなすについて、原判示第四の(一)及び(二)を除外して、刑法第五十六条第五十七条を適用しているのであるが、この点について考察するに、累犯の原因となる被告人の前科は、原判決掲記の通りであつて、その刑の執行状況を前科調書及び仮出獄者釈放通報書によつて検討すると、昭和二十三年十一月二十五日宣告、昭和二十四年二月二日確定の懲役一年以上三年以下(昭和二十七年四月二十八日政令第百十八号減刑令により懲役八月以上二年以下に減軽。これを第二刑と称す。)の刑について、昭和二十四年二月二日より執行を受け、同年七月一日その執行を一時中止し(第二刑の執行済刑期五月)、翌七月二日より昭和二十三年十月十四日宣告、同月二十一日確定の懲役一年六月(三年間刑執行猶予のところ、後に取消となる。これを第一刑と称す。)の刑の執行を始め、昭和二十六年一月一日第一刑の執行終了し、引き続いて、同月二日より第二刑の残刑の執行を始め、昭和二十六年七月十三日仮出獄によつて釈放され(第二刑の執行済刑期は、前記五月を通算して、十一月十一日となる。)たものであるから、少年法第五十九条の規定により、前記長期の経過より早い時期である仮出獄前の執行済刑期十一月十一日と同一の期間を経過した昭和二十七年六月二十三日を以て、刑の執行を受け終つたものとなることが明らかである。

そうであるから、原判示第三の昭和二十七年六月十三日犯した窃盗、同第四の(三)乃至(五)の同年五月九日頃乃至同月二十五日頃犯した各窃盗の犯行については、第二刑によつては累犯とならないが、昭和二十六年一月一日執行を終つた第一刑との関係においては累犯となるというべきである。従つて、原判決がこの趣旨において、判示第三及び第四の(三)乃至(五)の各犯行について、累犯の規定を適用したのは正当である。然し、原判示第四の(一)及び(二)の犯行日は、昭和二十六年十一月二十四日頃及び昭和二十七年一月二十五日頃であるから、第二刑との関係においては累犯とならないが、第一刑との関係においては累犯となることが明らかである。そうであるとすれば、原判決が判示第四の(一)及び(二)二について、累犯の規定の適用を除外したのは、法令の適用に誤がある。然し、原判決は、判示第一の詐欺罪及び第二の偽造私文書行使罪の刑に、それぞれ適法な累犯加重をなし、更に併合罪の加重をなすについて、判示第一の詐欺罪を最も重いとして、これに法定の加重をした刑期範囲内において重刑処断しているのであるから、右法令適用の誤は、判決に影響を及ぼさないことが明らかである。

(裁判長判事 河野重貞 判事 高橋嘉平 判事 山口正章)

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