大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

名古屋高等裁判所 昭和29年(う)400号 判決

先ず、職権を以て調査するに、原判決は、被告人には、昭和二十六年七月二十八日名古屋地方裁判所岡崎支部において、詐欺並びに同未遂罪により、懲役二年に処せられ、当時その刑の執行を終えた前科があるとして、刑法第五十六条第一項第五十七条を適用し、累犯加重をして処断していることが明らかであるが、原審において取り調べた前科調書及び当審において取り調べた富山刑務所よりの刑執行状況に関する電話回答によれば、被告人には、原判決掲記の右前科(これを第二犯と称し、その刑は、昭和二十七年四月二十八日政令第百十八号減刑令により、懲役一年六月に減軽)の外に、昭和二十三年六月七日名古屋地方裁判所岡崎支部において、詐欺罪により、懲役二年(昭和二十七年四月二十八日政令第百十八号減刑令により、懲役一年六月に減軽)(四年間刑執行猶予となつていたが、昭和二十六年十月二十二日取消決定があつた)に処せられた前科(これを第一犯と称する)があり、先ず、第二犯の刑が昭和二十六年八月十二日より執行されたが、昭和二十七年十一月十一日第一犯の刑執行のために、執行済刑期一年三月で執行を停止され、次いで、昭和二十七年十一月十二日より第一犯の刑が執行されたのであるが、昭和二十八年七月十日仮出獄により釈放され、第一犯の刑期は、昭和二十九年五月十一日満了となり、続いて、第二犯の残刑三月(法定通算十五日あり)の執行が起算され、同年七月二十七日満了となるものであることが認められる。そして、被告人の本件犯行は、昭和二十九年一月五日より同年三月二日までの間に犯されたものであるから、原判決掲記の前記第二犯との関係においても、又、前記第一犯との関係においても、いずれも、累犯とならないことが明らかである。そうであるから、原判決が累犯の規定を適用して処断したのは、法令の適用に誤があり、その誤は判決に影響を及ぼすことが明らかであるといわなければならない。

(裁判長裁判官 高橋嘉平 裁判官 石谷三郎 裁判官 山口正章)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!