大判例

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名古屋高等裁判所 昭和29年(う)475号・昭29年(う)482号・昭29年(う)481号・昭29年(う)485号・昭29年(う)486号・昭29年(う)480号・昭29年(う)479号・昭29年(う)483号・昭29年(う)474号・昭29年(う)476号・昭29年(う)484号・昭29年(う)477号・昭29年(う)478号 判決

被告人玉置弥寿治の弁護人Aの控訴趣意一、訴訟手続における法令の違反(一)(小鳥岩吉、高部練兵に対する各供述調書)について。

原判決が被告人に対する判示事実(第二)認定の証拠として小鳥岩吉の検察官に対する第五回乃至第九回供述調書(検察官提出の証拠標目三九)及び高部練兵の司法警察員に対する第三回第四回供述調書、検察官に対する第一回第二回供述調書(同四一、四二)を挙示していること並びに原審第十八回(昭和二十八年十月二十二日附)公判において被告人の原審弁護人Bが先に不同意を表明した右供述調書を小鳥岩吉の司法警察員に対する供述調書(同三八)と共に証拠とすることに同意したので、検察官は順次之が証拠調を請求し、裁判所之を採用その請求の順序により取調べる旨決定したことは原判決及び右公判調書の記載により明らかである。論旨は記録上右証拠の取調をした形跡がないから、手続違反である旨主張するものであるが、前示の如くその請求の順序による取調決定をした事実並びに右供述調書が、本件記録に編綴されている事実を綜合すれば、原裁判所が証拠調の決定の定むる順序に従い右供述調書を適法に取調べたことを認むるに難くない。原審第十八回公判調書の此の点の記載は刑事訴訟規則第四十四条第二十二号「取調べた証拠の標目及びその取調の順序」の規定からみて聊か不備であることを免れないが、その趣旨は窺い得るので論旨は理由がない。

同(二)(被告人玉置弥寿治に対する供述調書)について。

原判決が証拠として挙示した被告人玉置弥寿治の司法警察員並びに検察官に対する各供述調書(証拠標目三六、三七)につき原審第六回(昭和二十八年六月一日附)公判の証拠調において弁護人Bが之が任意性を争うた結果、証拠調は留保となり、第十八回公判調書によれば同弁護人が証拠の証明力は争うが任意性は争わないから、検察官から任意性を立証して貰う必要はない旨陳述した侭、証拠決定も証拠調もした旨の記載なく、その他之が証拠調をした形跡が記録上存在しないことは所論の通りであるが、前示の如く右被告人の供述調書につき既に検察官において証拠調の請求をし、被告人側において任意性を争わず、その証拠の証明力のみを争つておるに過ぎず、而もその後被告人側において証拠調に対し異議を述べなかつた場合、それが記録に編綴されている以上、仮令公判調書に証拠調をした旨の記載を欠いていたとしても、それは証拠調をした旨の記載を遺脱したに止まり、証拠調は適式に施行されたものと認めるを相当とすべく、仮りに然らずとするも後に説明する如く被告人玉置の右供述調書がなくても、判示事実は優に之を認定できるから、この違法は判決に影響を及ぼさないことが明白であつて、結局論旨は理由がない。

(裁判長判事 高城運七 判事 柳沢節夫 判事 赤間鎮雄)

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