大判例

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名古屋高等裁判所 昭和29年(う)552号 判決

論旨は、原判決の追徴金額には、事実の誤認があるというにあるが、被告人が供与を受けた金員の趣旨について、原判決は選挙運動の報酬並びに他の選挙運動者及び選挙人に対し選挙運動又は投票の報酬の趣旨の下に供与する資金であると認定しているのであるから、被告人が他の選挙運動者及び選挙人に右趣旨の下に供与した以外の金員は、すべて被告人の選挙運動に対する報酬であつて、その全部が収受した不正利益であるというべきであるから、たとい被告人がその金員中より所論のような実費等を支弁したとしても、その実費等は、選挙運動者である被告人が自ら負担すべきものであつて、収受した不正利益の追徴に関しては、これを差し引くべきものではないと解するを相当とする。(大審院昭和十二年九月二十八日判決、同判例集第十六巻一、三一七頁参照)原判決が、被告人が他の選挙人及び選挙運動者に対し、右趣旨の下に供与した金員以外の分についても、原判決添付別紙の通りの金額を認定して、これを追徴金額より控除しているが、右説示に徴すれば、その措置は当を失するものであつて、その金額は、追徴金額算定については、差し引くべきものではない。従つて、更に追徴金額は多額となるべきであるが、本件は被告人のみの控訴にかかる事件であつて、追徴金額を増額することは、被告人の不利益に判決を変更するものと解されるので、この点に関して、原判決は破棄しない。論旨は、原判決認定以上に実費等の支弁があるから、追徴金額より差し引かるべきものであるという主張であるが、前説示に照らして、到底これを容認し得ない。又、原判示第一の(一)の金二万円の供与を受けた点については、論旨第一に説示した通り、事実の誤認はないので、追徴金額の算定について、これを加算したのは相当であり、何等の違法はない。論旨は理由がない。

(裁判長判事 高橋嘉平 判事 山口正章 判事 伊藤淳吉)

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