大判例

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名古屋高等裁判所 昭和29年(う)702号・昭29年(う)701号・昭29年(う)700号・昭29年(う)703号 判決

原判決挙示の証拠によれば、被告人伊藤墾田は、三田村善八から五千円の供与を受けたのでなく、三田村が被告人百代に五千円を供与しようと考え、同被告人方に右五千円を持参したが、同被告人が病気のため会うことができなかつたので、三田村は、被告人百代の近所に住む被告人伊藤墾田方に到り、被告人百代に五千円を渡してくれと依頼して、これを渡し、被告人伊藤墾田が被告人百代に五千円を渡したものであつて、その際、被告人伊藤墾田は、三田村の意図を十分に知り、これを引受け、被告人百代にもその趣旨を通じて、右五千円を渡したことが十分に認められる。この事実については、原判決挙示の証拠のみならず、原審並に当審で取り調べた証拠によつても明らかである。右の事実関係から見れば、被告人伊藤墾田は三田村から五千円の供与を受けたのでなく、同被告人は、三田村と共謀して被告人百代に金五千円を原判示の趣旨で供与したものと認むべきである。又かく認定しても起訴状の訴因を逸脱するものとは思われない。この点で、原判決は、判決に影響すること明らかな事実誤認があるので、原判決中第一の(三)の部分については、破棄を免れない。

(中略)

よつて被告人山本喜代志、同伊藤保吉、同百代卯一郎の本件控訴は、刑事訴訟法第三百九十六条によつて、棄却し、原判決中被告人伊藤墾田の関係部分である原判決第一の(三)の点は、同法第三百九十七条第三百八十二条によつて、破棄し、同法第四百条但書により、次の通り判決する。

(犯罪事実)

被告人伊藤墾田は、昭和二十八年五月三日施行された上野市長選挙に際し、立候補した伊室平四郎の選挙運動者であつたところ、右選挙運動者三田村善八と共謀の上、昭和二十八年四月二十九日頃、被告人百代卯一郎の肩書居宅において、前記候補者の当選を得しめる目的を以て、同候補者のため投票並に投票取纒等の選挙運動の趣旨で、右被告人百代に現金五千円を供与したものである。

(裁判長判事 高城運七 判事 柳沢節夫 判事 赤間鎮雄)

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