名古屋高等裁判所 昭和30年(う)1044号 判決
本件控訴の趣意は弁護人提出の控訴趣意書記載の通りであるから茲に之を引用するが、その趣意は原審の量刑が不当であるというにある。然れども記録によれば被告人は先に二回に亘り懲役刑の執行猶予の言渡を受けた外、更に当裁判所において後記の如く再度の執行猶予に処せられていることは明らかであり、この事実と被告人の経歴素行家庭の事情等を併せ考えれば所論の事情を斟酌しても、原判決の量刑は相当であつて過重不当のものではなく、論旨は理由がない。
尚被告人は昭和三十年十月二十五日当裁判所において窃盗罪により第一乃至第五の事実につき懲役四月、その余の事実につき懲役六月但し五年間執行猶予に処せられ、該判決は同年十一月九日確定したから之と本件犯罪とは刑法第四十五条後段の併合罪の関係にあり、同法第五十条に則り処断すべきであるに拘らず、原判決が之を為さなかつたことは違法であるが、右違法は判決に影響を及ぼすことが明らかでないから原判決は破棄するに及ばない。
(裁判長判事 高城運七 判事 柳沢節夫 判事 中浜辰男)