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名古屋高等裁判所 昭和34年(ラ)76号 決定 1959年6月04日

抗告人 相手方 島田信用金庫 代表者理事 石田銀次郎

訴訟代理人 江口三五

相手方 申立人 村瀬敬八郎

主文

本件抗告を棄却する。

抗告費用は抗告人の負担とする。

理由

抗告人は、「原決定中相手方の申立を却下した部分を除き、これを取消す。相手方の申立を却下する。訴訟費用は相手方の負担とする」との裁判を求める旨申立てたが、抗告の理由については、別段これを開示するところがない。

案ずるに、相手方提出の甲第一、二号証、第三号証の一、二、第四、五号証並びに原審における証人村瀬唯の証言及び相手方本人の供述によると、抗告人が相手方に対し、昭和三十三年二月七日岐阜地方裁判所同年(ヨ)第二六号有体動産仮差押決定正本に基き、原決定末尾添附の第一及び第三目録掲記の物件につき、同月十日同裁判所同年(ヨ)第二九号有体動産仮差押決定正本に基き、原決定末尾添附の第二目録掲記の物件につき、それぞれ有体動産仮差押の執行をなしたこと、しかし、右第一及び第二目録掲記の物件は、いずれも村瀬八重八の相続財産として、相手方外三名の共有に属するものであり、相手方は、右物件につき単に九分の二の共有持分を有するに過ぎないことを肯認しうること、そして、抗告人が相手方に対する仮差押決定に基き右物件につき仮差押の執行をするには、民事訴訟法第六百二十五条により、債権その他の財産権に対する執行として、相手方の右共有持分につき執行するを要すること、これらの点に関する当裁判所の判断は、原裁判所の説示と同様であるから、ここに原決定の理由の記載を引用する。

そうとすれば、抗告人が、右第一及び第二目録掲記の物件をいずれも相手方の単独所有なりとして、これにつきなした有体動産の仮差押執行は、その執行の方法を誤つたものといわねばならないから相手方の本件異議申立中、右物件に対する仮差押執行の不許を求める部分は、正当としてこれを認容すべきものとする。(なお、相手方の所有に属することを認めうべき前記第三目録掲記の物件に対する執行の不許を求める部分は、失当としてこれを却下すべきものとする。)

右と同趣旨の原決定は相当であり、その他、記録を精査するも、原決定には、これを違法とすべき点を見出しえない。

よつて、抗告人の本件抗告は、その理由がないというの外はないから、これを棄却することとし、抗告費用の負担につき民事訴訟法第九十五条、第八十九条を適用して、主文のように決定する。

(裁判長裁判官 浜田従六 裁判官 山口正夫 裁判官 吉田誠吾)

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