大判例

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名古屋高等裁判所 昭和37年(う)538号 判決

判決理由〔抄録〕

一、およそ、自動車運転の業務に従事する者は、いかなる場合においても、他の自動車又は通行人との衝突を避けるにつき、そのなし得べき最善の措置を講ずべき業務上の注意義務があるものであって、たとえ、第三者の不注意の結果、右衝突の危険が発生した場合であっても、なお、自動車運転者にして、そのなし得べき最善の措置を怠ったがために、右衝突事故が発生したものと認め得るときは、右事故につき業務上の過失責任を免れるものではない。

二、およそ、自動車運転者が自動車を操縦するに当り、絶えず進路の前方を警戒注視し、その進路附近に歩行者殊に幼児がいることを認めた場合には、その動静に十分注意しその挙動如何によっては、これとの衝突を避けるため、適宜適切な措置を講じ、以って危険を防止するにつき周到な注意を払うべきことは、その最も基本的な義務に属するものというべきところ、前記認定の本件道路の見透しの状況及び被害者の行動等に照らせば、被告人は少くとも、数十米前方から、被害者を注視し得たにも拘らず、約一〇米に接近するまで、被害者が自車の進路斜右前方の道端に立っているのに気付かず、約一〇米に近接するに及んで、ようやく被害者である幼女の姿を発見したが、しかもなお同女の挙動に深い注意を払うことなく、同女の傍をそのまま安全に通過できるものと軽信してなんらの措置もとらないで、漫然進行を続けたのであるから、被告人に前示基本的注意義務の懈怠があったことは、疑いを容れないところである。

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