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名古屋高等裁判所 昭和37年(ネ)23号 判決 1962年11月22日

控訴人(原告) 梶浦嵒

被控訴人(被告) 愛知県知事・国 外一名

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

控訴代理人は「原判決を取消す被控訴人愛知県知事が昭和二十二年十月二日控訴人所有の別紙目録記載の土地を自作農創設特別措置法第三条の規定に基き買収した処分が無効なることを確認する。被控訴人国が同日右土地を同法第十六条の規定により被控訴人寺尾広太郎に売渡した処分が無効なることを確認する。被控訴人寺尾広太郎は控訴人に対し、右土地につき名古屋法務局春日井出張所昭和二十五年二月十四日受付第三五二号をもつて経由した右被控被人国の売渡しを原因とする所有権取得登記の抹消登記手続をせよ。且つ同土地上の耕作物を収去して右土地を引き渡せ。訴訟費用は第一、二審共被控訴人等の負担とする。」との判決を求め、被控訴人等代理人等は主文同旨の判決を求めた。

当事者双方の事実上の陳述、証拠の提出、援用及び書証の認否は左記に附加する外、原判決摘示事実と同一であるから、ここにこれを引用する。

一、控訴代理人の主張

控訴人は守山市内に農地三反以上を所有し、当時の食糧難から自作していた。従つて阪下町に居住したのでは農作物の管理が不能であるし、娘三人のみでは百姓が出来ないばかりでなく、娘のみでは守山市において生活が出来ない。控訴人は古出来町(名古屋市)において町内会長をしていたところ建物強制疎開にて取毀ちになり急遽守山市に居を移して百姓をする傍ら家業たる椎茸栽培を阪下町において営んでいたものである。それ故守山市に移住したのは昭和二十年八月初めであつて、家族全部が同所に居住して百姓(自作農)をしており、阪下町は椎茸栽培関係で行つたのみである。

二、被控訴人寺尾代理人の主張

控訴人は不在地主である。そうでないにしても、控訴人自からもいうように坂下町にも居宅を有したのであつて、守山町農地委員会がたてた買収計画に基く本件土地買収が重大且つ明白な瑕疵ある当然無効の違法処分とするのは当らない。

三、証拠<省略>

理由

当裁判所が控訴人の請求を棄却する理由は、原判決の理由と同一であるからここにこれを引用する。甲第四号証、当審証人磯部一男、古田むめの各供述は原判決援用の証拠に照らして採用できない。

よつて原判決は相当で本件控訴は理由がないとして棄却し、民事訴訟法第三八四条、第九五条、第八九条を適用して主文の通り判決する。

(裁判官 県宏 越川純吉 奥村義雄)

(別紙目録省略)

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