名古屋高等裁判所 昭和48年(行コ)6号 判決 1974年9月04日
名古屋市東区鍋屋町三丁目五一番地
控訴人
林清隆
右訴訟代理人弁護士
尾関闘士雄
同
村松貞夫
名古屋市東区主税町三丁目一番地
被控訴人
名古屋東税務署長
新美猛
右指定代理人
伊藤好之
同
服部一磨
同
川島正之
同
酒井常雄
右当事者間の課税処分取消請求控訴事件について、当裁判所は、次のとおり判決する。
主文
本件控訴を棄却する。
控訴費用は控訴人の負担とする。
事実
一、控訴代理人は「原判決を取消す。控訴人の昭和三五年分所得税について、被控訴人のなした昭和四一年二月一〇日付決定中、同年五月一〇日異議決定による減額後の総所得金額を、七六万五、〇〇〇円とする決定処分および無申告加算税三万二、〇〇〇円の賦課決定処分を取消す。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴代理人は主文と同旨の判決を求めた。
二、当事者双方の事実上の主張および証拠の関係は、次に付加するほか、原判決事実摘示と同一であるから、これをここに引用する(ただし、原判決六枚目裏一〇行目の「借入金」の次に、「もしくは預り金」を加入する。)。
(一) 控訴人の主張
かりに被控訴人主張のごとき占有使用権の譲渡があつたとしても、右占有使用権なるものは、将来取得するであろう所有権を前提とし、かつ、所有権に吸収されるものであるから、それ自体法律上の利益を独立して有するものではない。従つて、右占有使用権の譲渡をとらえて、ただちに独立の課税対象たりうるとなした被控訴人の本件課税処分は違法である。
(二) 右主張に対する被控訴人の答弁
否認する。
(三) 証拠関係
控訴人は、当審における控訴人本人尋問の結果を援用した。
理由
一、当裁判所も、原審と同じく、控訴人の本訴請求は理由がないと判断するものであつて、その理由は、次の附加訂正するほか、原判決理由において説示するところと同一であるから、右記載をここに引用する。
(一) 原判決八枚目表一行目の「原告本人尋問の結果(一部)」とあるのを、「原審および当審における控訴人本人尋問の各結果(一部)」と訂正する。
(二) 同九枚目裏四行目から五行目および同九行目から一〇行目の各「原告本人尋問の結果」とあるのを、「原審および当審における控訴人本人尋問の結果」と各訂正する。
(三) 同一一枚目表一行目の「使用収益させる」を「譲渡する」と、同八行目の「所得税法上の資産の譲渡ということができる。」とあるのを、旧所得税法九条一項八号にいう「資産の譲渡」に該当し、右同日をもつて、譲渡による所得が発生したものということができる。」と各訂正する。
(四) 同裏二行目の「抗除した後の譲渡所得金額は七六万五、〇〇〇円となる。」とあるのを、「控除した後の金額の十分の五に相当する七六万五、〇〇〇円が、譲渡所得金額となる。」と訂正する。
二、よつて、本件控訴は理由がないからこれを棄却することとし、控訴費用の負担につき、民事訴訟法八九条、九五条を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 岡本元夫 裁判官 柏木賢吉 裁判官 菅本宣太郎)