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名古屋高等裁判所 昭和51年(ネ)400号 判決 1977年5月18日

控訴人

郡上繊維工業株式会社

右代表者

曾我庸三

控訴人

曾我隆司

右両名訴訟代理人

東浦菊夫

被控訴人

ダンデイ被服株式会社

右代表者

松野繁之

右訴訟代理人

伊藤義文

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実《省略》

理由

一当裁判所も、控訴人の本訴請求(請求異議)は、理由がないものとして棄却すべきものと判断するが、その理由は、つぎのとおりである。

請求異議の訴は、債務名義に表示された請求権について異議がある場合、異議を主張することを要する口頭弁論終結後に生じた異議の原因事実を主張してその執行力の排除を求めるものであるが、控訴人らが本訴において異議の対象とする請求権は、商品買掛金等支払のため控訴人らから被控訴人に対し引受保証された手形金債権であり、その理由は右原因債権が時効により消滅したというにあることは、控訴人らが主張するところから明らかである。そして、手形金債権とその原因債権とは、実体法上別個の請求権であるばかりか、通常は、前者は後者の支払手段としての機能を有する一方、その間には強固な無因性が存し、しかも、手形訴訟といつた原因関係と切り離された簡易迅速な訴求制度が定められていることに照らすと、手形金債権と原因債権とは、その当事者の同一の有無にかかわらず、訴訟法上別個独立の請求権として、それぞれ別異に取り扱う他はなく、したがつて、請求異議訴訟において、いわゆる、原因関係上の抗弁なるものは、手形金請求権の行使に対する権利濫用を基礎づける一つの事情としての意味をもつことはあつても、それ自体が直接手形金債権に関する請求異議の原因とはなり得ないものと解される。

そうだとすれば、前記のとおり、原因債権が時効により消滅したことを理由に、手形金請求権を表示する本件仮執行宣言付支払命令の執行力の排除を求める控訴人らの主張は、その余につき判断するまでもなく理由がない。

二よつて、控訴人らの右請求を理由がないものとして棄却した原判決は結局相当であつて、本件控訴は理由がないから、これを棄却し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(柏木賢吉 高橋爽一郎 福田晧一)

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