大判例

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名古屋高等裁判所 昭和28(う)281 高裁判例

主 文

各控訴をいづれも棄却する。

国選弁護人に支給した訴訟費用は被告人の負担とする。

理 由

国選弁護人梨木作次郎並に検察官の論旨はそれぞれの提出する控訴趣意書に各記

載する通りであろからこれを引用する。

弁護人の論旨について。

<要旨>デモの隊員が合法的な条件の下に市中の繁華街を公然示威行進する情景を

新聞社写真班が記事の取材活動とし</要旨>て撮影することは社会の諸現象の知識及

びニュースを読者に正確公平に頒布すべき新聞の使命に鑑み当然社会的に許された

行為といわなければならないのであり所論肖像権の理念をもつて右活動を妨害する

ことは権利の濫用と評定しなければならない。

まして、右写真フィルムの奪取を目的として写真班員の所在する他人住家の二階

に家人の制止を無視して土足のまま駈け上り室内を捜索する権利は到底これを認客

することができない。原判決挙示の証拠によれば同判示事実は優にこれを認定する

に足り被告人の判示所為が住居侵入罪を構成することは論を待たない。論旨は採用

に値しない。

検察官の論旨について。

記録の示している本件犯行時の群集的心理状態及び被告人の行為の目的、内容及

びその結果の有する実害の程度などに鑑み被告人を懲役の実刑に処しなければなら

ない犯情のものとは認めることができない。従つて被告人に対する懲役刑に執行猶

予を付した原判決の量刑をもつて所論のように寛大に失するものとはいうことがで

きない。論旨は採用に値しない。

そこで各控訴とも理由がないので刑事訴訟法第三百九十六条第百八十一条により

主文の通り判決する。

(裁判長判事 吉村国作 判事 小山市次 判事 沢田哲夫)

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