大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

名古屋高等裁判所金沢支部 事件番号不詳 判決

主文

被告人深松孫二を懲役四月及罰金壱万円に

被告人東ますを懲役四月及罰金貳万円に

処する。

但し、被告人両名に対し本裁判確定の日より何れも貳年間右各懲役刑の執行を猶予する。

被告人等が右罰金を完納しないときは何れも金五拾円を一日に換算した期間当該被告人を労役場に留置する。

理由

第一  被告人深松孫二は肩書地で料理屋業を営んで居つたが飲食営業緊急措置令の施行に因り昭和二十二年七月五日から休業し喫茶店業の許可を受け営業中のものであるが

(一)  法定の除外事由がないにかゝわらず昭和二十二年十二月九日午前一時頃から同日午前五時頃までの間に右店舗に於て飮食遊興に来た田中常吉外二名に対して営利の目的で清酒約五、六合及刺身、焼魚、海老、煮付、吸物等の飮食物を提供しその対価として芸妓花代等を含め金三千八百円を請求し以て飮食営業を為し

(二)  昭和二十三年一月十七日富山地方裁判所出町支部公判廷に田中常吉に対する詐欺、窃盗被告事件の証人として喚問を受けた際宣誓の上判事の訊問に対し昭和二十二年十二月九日前記のように田中常吉外二名に対し酒及料理を提供した事実があるに拘らず同人等に酒や料理を出しません」と虚偽の陳述をして偽証し

第二  被告人東ますは肩書地に於て被告人深松孫二と同様に料理屋業を休業して喫茶店業を営み居るものであるが

(一)  法定の除外事由がないに拘らず、昭和二十二年十二月九日午前十時頃より午後五時頃までの間に右店舗に於て、飮食遊興に来た田中常吉外二名に対して清酒五升、刺身、蟹酢の物、このわた、魚菜の煮付等の飮食物を提供し其の対価として芸妓の花代を含め金八千五百円を請求し以て飮食営業を為し

(二)  昭和二十三年三月一日前同様法定の除外事由なく右店舗に於て飮食遊興に来た永森厚外二名に対して其の持込酒の肴として、このわた、蟹酢のもの、かまぼこ、いかの刺身、茶碗むし、オムレツ等の料理を提供し其の対価として、芸妓花代を含め金貳千円を請求して支払を受け飮食営業を為し

(三)  前記田中常吉に対する詐欺、窃盗被告事件の証人として昭和二十三年一月十七日富山地方裁判所出町支部公判廷に召喚を受け宣誓の上判事の訊問に対し前記第二の(一)のように田中常吉外二名に酒、料理等を提供した事実があるに拘らず「同人等に酒や料理は出して居ません」と虚偽の陳述をして偽証し

たものである。

証拠関係は

判示第一の事実につき

一、被告人深松孫二の当公廷に於ける判示第一冒頭掲記と同旨及自分方で判示第一の(一)のように田中常吉外二名に判示の酒料理を提供したことは相違ない旨の供述

一、深松サキに対する検察事務官の聴取書(記録一〇三丁以下)中私方は主人孫二名義で料理屋業を営んで居たが、昭和二十二年七月五日から喫茶店を経営して居る。判示日時に私方で田中外二名に判示のように酒料理を出したが、主人に手伝つて貰い料理を作つて出した。其の勘定は私と主人が相談して見たら三千八百円になりそれを田中に請求した旨の供述記載。

一、参考記録田中常吉に対する詐欺、窃盗被告事件記録第二公判調書に依り認められる被告人が判示第一の(二)記載のように証人として召喚を受け判事の訊問に対して宣誓の上判示のように田中常吉外二名に酒や料理を提供したことがない旨陳述した事実

に依り之を認め

判示第二の事実は

一、被告人東ますの当公廷に於ける各判示同旨の供述。

一、前掲参考記録第二回公判調書に依り認められる被告人東ますが判示第二の(三)記載のように証人として召喚を受け判事の訊問に対して宣誓の上判示のように田中常吉外二名に酒、料理を提供したことがない旨陳述した事実

に依つて之を認める。

法律に照すと被告人両名の飮食営業を為した点は各飮食営業緊急措置令第二条第六条第一項に偽証の点は各刑法第百六十九条に該当するので何れも前者の罪につき罰金刑を選択し各同法第四十五条の併合罪であるから各同法第四十八条第一項(東ますに付尚同条第二項)に則り夫々主文の刑を量定し尚犯情に照し被告人両名に対し何れも同法第二十五条に依り各貳年間懲役刑の執行を猶予し罰金不完納の場合の労役場留置につき同法第十八条を適用し主文の通り判決する。(昭和二三年八月一六日名古屋高等裁判所金沢支部)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!