名古屋高等裁判所金沢支部 昭和25年(う)205号 判決 1950年8月01日
被告人
和田森春雄
主文
原判決を破棄する。
本件を金沢地方裁判所七尾支部へ差し戻す。
理由
弁護人豊島武夫控訴趣意
第一点 原判決が本件被告人に対する併合罪の刑の加重につき刑法第十四条を適用し長期二十年以下の範囲内で量刑したのは違法であると謂うのである。
て原判決を査するに本件に於て原判決が認定した事実は第一が窃盜の事実、第二橫領、第三乃至第七詐欺の事実であつて右七個の併合罪であるところ原判決は之に対し刑法第四十七条第十条に依り犯情の重い第五の詐欺罪の刑に法定の加重を為し同法第十四条の制限に従い懲役一年に処すべき旨説示してあるから原判決は本件被告人に対し長期二十年以下の懲役刑の範囲内に依る併合罪の加重を誤つたものである。