大判例

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名古屋高等裁判所金沢支部 昭和25年(う)314号 判決

一、弁護人A、Bの論旨第一点並に第二点について。

被告人会社及び桝本定吉についての原判決がその事実理由として「被告人大建産業株式会社は大阪市北区宗是町一番地に本店を置き富田市桜木町二十五番地に富山出張所を設け内外物質の輸出入及販売を業とし、被告人桝本定吉は同出張所の所長として其の業務一切を掌握しているものであるが、法定の除外事由がないのに被告人桝本定吉は被告人会社の業務に関し昭和二十三年三月十一日から同年四月十六日までの間五回に亘り右富山出張所で別紙目録記載の通り角川源三から代用洗剤合計四万二百八十瓩を昭和二十二年十月二十八日物価庁告示第九百三十八号指定の統制額二十一万四千円を八十三万一千円超過する代金合計百四万五千円で買い受けた」旨判示する一方判決の末尾において「尚本件公訴事実中営利の目的の点については証明不充分で犯罪とならないが会社の業務行為の点と包括一罪の関係において起訴されたものと認められるので特に主文に於て無罪の言渡を為さない」との文言を附記している点に鑑みれば原判決認定の趣旨は本件代用洗剤の買い受けは検事起訴の如く営利の目的を有するのではないが尚お物価統制令第十一条但書にいわゆる「当該契約を為すことが自己の業務に属する者」としての被告会社の業務範囲に属する行為であること、従つて被告会社の使用人として被告会社の為め遂行した被告人桝本定吉の本件所為は被告会社の業務に属するものであることを示したものであると見ることが出来る。弁護人は本件代用洗剤は被告会社の従業員の厚生用物資として買い入れたものであるから原判決認定の通り営利を目的としないことは勿論のこと、同令第十一条但書にいわゆる会社の業務に属しないものであると主張するけれども原判決挙示の証拠によれば被告会社は原判示のように其の商業部門に於て内外物資の輸出入及び販売を業とし特に繊維製品機械工具建築資材並に雑貨等の売買を営業種目に数えていたことが明かであること、本件買受の代用洗剤は系統会社の従業員、縁故者、取引筋の需要の為め運賃其の他の諸経費を仕入値の一割と見て之を原価に加算したいわゆる奉仕価格で転売したことが認められるのであり、右事実に鑑みると本件洗剤の買入れ行為はそれ自身直接の営利目的に出た行為でないにしても外形上被告会社の前記営業種目に適切に嵌合する形式を具備するのみでなく実質的にも転売の目的を内面に包含する点で被告会社の一般商行為若くは経済活動の一部面に属する行為と認めるのを相当とし只それ自身直接の営利を目的としない点で通例の営業活動の一変則を呈するに過ぎないものといわなければならない。よつて弁護人の右所論は採用することが出来ず原判決には論旨に述べるような事実誤認又は法律適用上の違法はない。

(註 本件は量刑不当により破棄自判)

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