大判例

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名古屋高等裁判所金沢支部 昭和25年(う)643号 判決

労働基準法第百八条違反の罪は、すでに論旨第四点について判示したように、一定時期に、法定の帳簿に、法定の事項を記入することを懈怠することにより、其の都度、個々独立の一罪として成立する犯罪であると解すべきであつて、本件のごとく、記入すべき時期を異にし、多数の労務者について、法定事項の帳簿記入をことごとく懈怠した場合、これを目して包括一個の継続犯であるとなすを得ないから、此の点に関する論旨は、採用することが出来ない。尚、弁護人は、若し原審認定の事実が併合罪であるとすれば、原判決事実摘示のような包括的な事実認定の方法によつては、個々の行為の独立性を識別出来ないと主張するけれども、労働基準法第百八条違反の罪は、たとえば、窃盗罪のように個々の行為がことごとく其の内容を異にし、包括的な記載方法によつては、各行為の独立性を識別することが出来ないものとことなり、既に述べたように、一定時期に於ける一定作為義務を懈怠することによつて成立する、言わば定型的な行為であるから、原判示のような包括的な記載方法を採用しても、別段個々の行為の独立性を識別することが出来ない訳ではなく、原判決の理由に齟齬があると言うを得ないから、論旨は理由がない。

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