名古屋高等裁判所金沢支部 昭和26年(う)563号 判決
記録を調査するに原審第四回公判調書には第一回公判調書に記載したと同一の裁判官及裁判所書記官補が列席した旨の記載があつて第一回公判調書に依れば同公判に裁判官水越政雄、裁判所書記官補角田清が列席したことが記載せられてあるから第四回公判は同裁判官及同書記官補が列席開廷せられたものである。そして第五回公判調書には第四回公判調書に記載したと同一の裁判官並裁判所書記官補が列席し公判を開廷した旨又第六回公判調書には第五回公判調書に記載したと同一の裁判官並書記官が公判に列席した旨の各記載があるから右第五回第六回の各公判は何れも裁判官水越政雄、裁判所書記官補角田清が列席の下に開廷せられたものと謂わねばならない。然るに第五回第六回の各公判調書が裁判所書記官補高田貞夫に依り作成せられたものであることは各其の調書末尾の記載に依り明かであつて即ち本件に於ては第五回第六回公判調書が果して公判に列席した書記官が作成したものであるか否か不明であり其の記載内容の真実性を保証し得ない。而して、本件第五回公判に於ては原判決が有罪認定の資料に供した数個の証拠調が行われた旨の記載があるから公判調書が前示のように信憑性を確保し難い以上該手続の瑕疵は勿論原判決に影響を及ぼすものであると謂わねばならない。