大判例

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名古屋高等裁判所金沢支部 昭和29年(う)107号 判決

原判決を検討するに、原審は事実理由第三に於て、「被告人宮沢憲一は、相被告人高村与一と共謀の上、昭和二十八年五月二十八日頃富山県下新川郡桜井町金屋九百七十一番地宮沢藤左衛門方土蔵に於て、同人所有の粳精米八斗を窃取したものである。」旨の事実を認定し、該事実に刑法第二百三十五条第六十条等を適用し、これに累犯の加重をした上、他の認定事実との関係に於て、併合の加重をなした刑期範囲内に於て、被告人宮沢憲一を懲役一年に処したものであることを認め得る。しかるに、原審証拠調の結果を検討すれば、前敍の被害者宮沢藤左衛門は、被告人宮沢憲一の実父であることが明白であるから、従つて同被告人の前記所為は、刑法第二百四十四条第一項前段に所謂「直系血族(中略)の間に於て、第二百三十五条の罪(中略)を犯したるもの」に該当すると言わなければならない。尤も証拠によれば、共犯者高村与一は、被害者と何等の親族関係なく、且、同条第二項は「親族に非る共犯については、前項の例を用いず。」と規定しているけれども、其の趣旨とするところは、右高村与一の如き親族でない者が、共犯者である場合、斯る共犯者、すなわち、親族でない者については、前項の例によらないと言うに止まり、親族でない者が共犯者中に存在する場合、親族である其の共犯者についても、親族でない共犯者と等しく、前項の例によらず、これを処罰すると言う趣旨では決してない。そうして見れば親族でない者と共謀の上、自己の直系血族との間に於て、窃盗の罪を犯した被告人宮沢の所為については、すべからく刑法第二百四十四条第一項前段を適用し、同被告人に対し其の刑を免除すべきであつたにも拘らず、原審は斯る措置に出ることなく、却つて敍上の事実をもつて同被告人に対する科刑の基礎としたものであり、原判決は親族関係を誤認したものでなければ、法令の解釈適用を誤つたものであつて、右の誤りは判決に影響するから、論旨は理由があり、原判決は破棄を免れない。

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