大判例

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名古屋高等裁判所金沢支部 昭和30年(う)9号 判決

所論の要旨は、被告人両名が判示の選挙運動をしたのはその所属する労働組合の上部団体である全国繊維産業労働組合連合会の決定に基き発せられた指令に従つたものである。被告等が使用した判示未成年者達も同一傘下組合所属の労働組合員である。従つて被告人等及び右未成年者の右選挙運動は組合活動に従事したものに外ならない。労働組合若しくはその連合体がその団結権を維持強化し若しくは経済的地位の向上を図るため当面せる使用者との間において経済交渉又は抗争をなす外政治闘争をなし得ることは憲法上保障せられた基本的権利であり労働組合法第一条同第二条に明定するところである。従つて、被告人両名並に高橋智子外六名の行為は労働組合法第一条第二条により認められた権利の行使であつて正当行為として許さるべきものである。しかるに原判決が被告人を有罪と認定したのは法令の解釈適用を誤つたものである。というにある。しかし、憲法第二十八条の保証する団体権ないし団体行動権の行使はあらゆる一切の行為を無制限に認められているものでもない。公職選挙法は選挙の公明且つ適正に行われることを確保するため選挙運動に一定の規制を加えているものであつて、労働組合若しくはその連合体又はその構成員といえども、もとより公職選挙法による選挙運動の規制の外にあるものではなく、たとえ所論のように被告人両名及び未成年者高橋智子等の行為が労働組合若しくはその連合体の組合活動としてなされたものであつても、それがいやしくも公職選挙法第百三十七条の二第二項本文の規定に反すると認められる限り同条違反となることが明かであつて所論のように正当行為として許さるべきものということはできない。原判決挙示の証拠によれば被告人両名は共謀の上原判示のとおり未成年者を使用して選挙運働をしたものであることが明かであるから、公職選挙法第百三十七条の二第二項本文、第二百三十九条第一号、刑法第六十条に該当し原判決には所論のような法令の解釈適用に誤りはない。論旨は理由がない。

(裁判長判事 水上尚信 判事 成智寿朗 判事 沢田哲夫)

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