名古屋高等裁判所金沢支部 昭和30年(う)94号 判決
原判決を検するに、原判示第一の事実中に、被告人が吉井友三に対し、欺罔手段を施した年月日の記載の見当らないことは、まことに所論の通りであるが、しかしながら、他方、該事実中には、被告人が吉井友三から金員を受領した年月日及び場所に関する記載の存することを認め得べく、従つて、原判示は、事実の同一性を識別し得ない程度迄、具体性を欠如するものでないことが明かであるのみならず、欺罔手段等犯罪の態様に関する摘示も、必ずしも所論の如く漠然として意味不明なものでなく、此の程度の認定があれば、法律を適用するに十分であると考えられるから、原判決の理由に不備がなく、論旨は理由がない。
(裁判長判事 水上尚信 判事 成智寿朗 判事 沢田哲夫)