大判例

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名古屋高等裁判所金沢支部 昭和31年(う)154号 判決

原判決理由冒頭の前科に関する判示は、裁判言渡の年月日に関する部分が不正確であり、且、該刑の執行を了したものであるか否かの点に関する記載もない。しかも、原判決証拠理由中引用に係る前科調書の記載に依れば、原判決掲記の第一順位の前科、すなわち、昭和二十四年九月三十日名古屋高等裁判所金沢支部に於て、横領並に業務上横領罪に依り言渡された懲役六月、三年間執行猶予の裁判は、昭和二十七年四月二十八日政令第百十八号に依り、其の刑を四月十五日に短縮されると同時に、同日限り執行猶予期間満了の減刑処分を受け、その結果として、該裁判言渡の効力は既に消滅に帰し、従つてこれを取上げて累犯加重の原由たらしむべきでないことが明白であり、また、同じく前記前科調書の記載によれば、原判決掲記第二、第三順位の前科は、引続き間断することなく刑の執行を併せ受けたものであつて、従つて、累犯加重の原由としては、前科二犯の取扱を為すべきでなく、前科一犯を以て、これを目すべきであることが明白であるにも拘らず、原判決は、以上の前科の悉くを、累犯加重の原由として判示の冒頭に列挙し、擬律の部分に於て、刑法第五十六条、第五十七条、第五十九条等を適用し、被告人の刑責に対し累犯(三犯以上の取扱)の加重をしていることを認め得る。しかしながら、以上のような原判決の瑕疵にも拘らず、原判決掲記第二、第三順位の前科による受刑の事実に因り、結局、被告人の本件刑責が、再犯の加重を受くべきものであること言う迄もなく、他方、累犯加重は、その再犯に係ると三犯以上に該るとに依り、その法律上の効果を異にするものでないから、原判決の以上の欠陥は、結果に於て判決に影響するものでないと言わなければならぬ。

(裁判長判事 高城運七 判事 成智寿朗 判事 沢田哲夫)

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