名古屋高等裁判所金沢支部 昭和31年(う)207号 判決
記録に依れば原審は、原判決理由第一に於て、被告人の前後十九回に亘る賍物故買の各所為を、同じく第二に於て被告人の賍物収受の所為を、それぞれ認定した上、これ等各所為に対し、刑法第二百五十六条第二項、第一項、罰金等臨時措置法第三条、刑法第四十五条、第四十七条、第十条等を適用し、被告人に対し主文掲記の刑(懲役壱年及び罰金拾万円)を言渡したものであることを認め得る。ところで、原判決を検討すれば、併合罪の関係にある賍物故買罪の罰金刑に対し、原審が刑法第四十八条第二項の適用を判文上明示しなかつたことは、まことに所論の通りであるけれども、しかしながら、これを原判決主文に徴すれば、原審は刑法第四十八条第二項の適用を遣脱したものでなく、却つて、同法条を適用した結果、同法第二百五十六条第二項、罰金等臨時措置法第三条所定の罰金額を超え、各罪につき定める罰金の合算額以下に於て、被告人を罰金拾万円に処したものであることを看取するに足り、他方、刑法第四十八条は所謂総則的規定に属し、必ずしも判文上その適用を明示しなければならぬものでないと考えられるから、従つて、原判決は法令の適用を誤つたものでなければ、また、その理由に不備、齟齬の存するものでないことが明であつて、論旨は結局その理由がないと言わなければならぬ。
(裁判長判事 高城運七 判事 成智寿朗 判事 沢田哲夫)