名古屋高等裁判所金沢支部 昭和31年(う)262号 判決
論旨援用の資料に依れば、被告人折江長太郎は、本件発生後、大洞工業株式会社の代表取締役たることを、辞任したものであることを肯認し得ない訳でなく、従つて、同被告人の資格に関する原審の認定(起訴状の記載を引用したもの)には、その限度に於て、事実の誤認があると言わざるを得ないけれども、此の程度の誤認は判決に影響するものでないから、この点に関する論旨は理由がない。また、労働基準法第百二十一条第二項の規定は、刑罰法規に共通の法理に従い、犯罪行為当時事業主(事業主が法人である場合には、その代表者)であつた者を処罰する趣旨であることが明かであり、所論のように、犯罪行為当時、事業主であつたと否とに拘らず、裁判時に於て、現に事業主である者を処罰する趣旨であるとは、到底解するを得ないから、この点に関する論旨もその理由がない。
(裁判長判事 高城運七 判事 成智寿朗 判事 沢田哲夫)