名古屋高等裁判所金沢支部 昭和41年(う)35号 判決
判決理由〔抄録〕
よって検討すると、自己の運行管理する自動車運転者が、その車内にあって、運転技術未熟な無免許者にその車の運転を委ねた場合は、常にその無免許者の運転振りを注視して監督し、適切な指示、補正を加えて、その無免許運転者の運転による事故の発生を未然に防止すべき業務上の注意義務が課せられているといわねばならない。これを本件についてみると、被告人池江が軽自動四輪車の運転については未熟であって公道を単独運転するに足る運転能力が無かったことは後記認定のとおりであるが、同証拠によれば、加えて、同被告人は当時飲酒酩酊していたことをも認められ、従って被告人臼池は、被告人池江が同車の運転をすれば危険発生の虞れがあることを懸念していたことも認められる本件においては、被告人臼池はその助手席にいたのであるから、常に被告人池江の運転振りを注視、監督し、その運転能力に応じて進路の矯正、減速、停止等時宜に応じて適切な指示を与え、場合によっては、自らサイドブレーキを引いて停車せしめる等して危険の発生を未然に防止すべき業務上の注意義務があったものといわねばならない、しかるに原審は被告人池江の運転能力に対する事実の認定を誤った結果、被告人臼池の注意義務に関する法令の適用をも誤ったものといわねばならない。