名古屋高等裁判所金沢支部 昭和50年(ネ)161号 判決
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【判旨】
一本件事故の発生状況<中略>
1 訴外金島宏こと金宏(以下金宏という)はかねて義兄春山利夫の許諾のもとに同人所有の前記加害車(普通貨物自動車福井一一な六八四)(以下本件加害車)というを使用して砂利アスフアルト等の運送に従事していた者で平常、夜間は本件加害車を居宅横の空地の車置場に駐車していたが、昭和四七年一〇月一八日午後七時三〇分頃、翌早朝からの使用に備えて本件加害車を居宅に近い福井県敦賀市三島二三号六の一一番地先の笙の川西岸堤防上の幅員約五、五米の市道(その北方約10.5メートルには呉竹団地行の道路との三叉路がある)の左側端に駐車せしめた。本件加害車は車幅員約二メートルであつた。右駐車箇所は見とおしの良い平坦なアスフアルト舗装の長く続く直線道路にあり、夜間の交通は閑散で、大型自動車の北行を終日禁止する以外は特に交通規制はなかつたが、四囲には照明がなく、当夜は曇天で暗く乾いた路面であつた。訴外金宏は本件加害車の尾灯を点灯することなく、また、暗闇にある同車の存在を表示するごとき特別の処置を講ずることもしなかつた。それに、訴外金宏は平常本件加害車を砂利、アスフアルトの運搬に使用し、当日も同様に使用していたので、右車体全体は油に汚れ水洗い程度では容易に汚れがおちない有様であつた。
2 亡巧は同日午後九時頃後部座席に訴外鞠山英一の同乗する自動二輪車(一福井い八一四七、二五〇CCエンジン付)(以下本件被害車という)を運転して、前記市道を北進し、事故現場にさしかかつた際、本件加害車の右後部に本件被害車の左ハンドルを接触させて車もろとも転倒し、顔面骨々折、左上膊複雑骨折などの傷を受け、そのため同日午後一一時頃同市三島町一丁目一の二林外科医院において失血死するに至つた。
以上の事実が認められ<る>。<証拠判断略>
二被控訴人の責任
1 まず、「運行」については同法二条二項に定義するところから、「運行」が必ずしも自動車の走行中に限局されることを意味するものではない。駐停車中で、すでにエンヂンを切り、夜間の場合は車灯をすべて消していても、なお、翌早朝の運転の便に備えて、とくに所定の車置場へはこばないで路上に駐車せしめているごとき場合は、右駐車が前日から翌早暁に及ぶ長時間にわたつても、なお、右の路上駐車を自動車なる装置の用い方に従つて用いていることに当る場合と、即ち運行と解することができるものということができる。
これを前記認定の事実に基づいて見れば、前記認定の訴外金宏による本件加害車の前記道路上の駐車をも同訴外人による本件加害車の運行中と解することが必ずしも不当でないと解しうることとなる。
2 つぎに、被控訴人は同法三条但書による免責を主張する。
しかし、前記争いのない事実と前記認定事実によれば訴外金宏は本件加害車を四囲に照明のない前記路上に夜間尾灯を点灯しないままで駐車したが、その場合は、本件加害車の後部反射器の機能をも十分発揮せしめて追突等の事故を未然に防止するための処置を講ずべきであつた。右反射器は一日の作業中にほこり、油のため反射機能のおちることも考えられるのにかかわらず同訴外人によつて当日の仕事終了後改めて右反射器が拭われたことを認めるに足りる信用できる証拠もなく、また、当夜反射器の機能が発揮されていたことについても証拠がないので、同訴外人が本件加害車を前叙のごとく駐車せしめるについて注意を怠らなかつたことの立証があつたものとすることはできない。
(西岡悌次 富川秀秋 西田美昭)