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名古屋高等裁判所金沢支部 昭和54年(ネ)96号・昭54年(ネ)130号 判決

主文

一  第一審原告の控訴に基づき原判決主文第二項1及び2、第三項2及び3を次のとおり変更する。

1  第一審原告の本件土地崩壊予防(法面工事)請求並びに道路復旧請求はいずれも棄却する。

2  第一審原告に対し

(一)  第一審被告三陽建設株式会社、同寺畑勝次郎、同寺畑正は連帯して金一四八万〇四〇二円を

(二)  第一審被告伏木ゆみは(一)項記載の第一審被告らと連帯して同項記載の金員のうち金八万五七二八円を

(三)  第一審被告伏木洋子は(一)項記載の第一審被告らと連帯して同項記載の金員のうち金四万二八六三円を

(四)  第一審被告伏木實は(一)項記載の第一審被告らと連帯して同項記載の金員のうち金四万二八六三円を

各支払え。

3  第一審原告のその余の請求並びに予備的請求を棄却する。

二  第一審原告の第一審被告富山県知事に対する本件控訴、第一審被告寺畑勝次郎、同寺畑正の第一審原告に対する本件各控訴をいずれも棄却する。

三  第一審原告と第一審被告富山県知事間の控訴費用は第一審原告の負担とし、第一審原告とその余の第一審被告間の訴訟費用は、第一・二審を通じこれを五分し、その四を第一審原告の、その一をその余の第一審被告らの連帯負担とする。

事実

第一  第一審原告

一  昭和五四年(ネ)第九六号事件につき

1  本件控訴を棄却する。

2  控訴費用は第一審被告寺畑勝次郎(以下「第一審被告寺畑」という)及び同寺畑正の負担とする。

二  昭和五四年(ネ)第一三〇号事件につき

1  原判決を次のとおり変更する。

(一)(1) 第一審被告寺畑、同寺畑正、同三陽建設株式会社(以下「第一審被告会社」という)、同伏木ゆみ、同伏木洋子及び同伏木實は、第一審原告に対し、別紙第二目録記載の土地に、両側四五度の勾配をもつて盛土した基礎のうえに、幅員一メートルの道路を開通設置(復旧)せよ。

(2) 第一審原告に対し、別紙第一目録記載の甲地(以下「本件甲地」という)に接して、別紙第三目録記載の土地のうち、第一審被告寺畑、同寺畑正、同会社及び同富山県知事(以下「第一審被告知事」という)は、前記(1)項の道路より東側部分に、

第一審被告伏木ゆみ、同伏木洋子、同伏木實及び同知事は、右道路より西側部分に

それぞれ四五度よりもゆるやかな勾配を保つた法面(盛土)工事をしたうえ、いずれもその法面に芝をふきつけて、三・三平方メートル当り一本の割合で杉苗の植林をせよ。

(3) (第一審被告知事を除くその余の第一審被告ら六名に対する右(1)及び(2)項の予備的請求)

第一審被告寺畑、同寺畑正及び同会社は、第一審原告に対し、連帯して五〇〇万円を支払え。

第一審原告に対し、第一審被告伏木ゆみは二五〇万円、同伏木洋子及び同伏木實は各一二五円をそれぞれ右第一審被告らと連帯して支払え。

(二) 第一審被告寺畑、同寺畑正、同会社及び同知事は、第一審原告に対し、連帯して昭和四四年六月二七日から前記(一)項の(1)及び(2)の各工事が完成するまで、年五万円の割合による金員を支払え。

第一審原告に対し、第一審被告伏木ゆみは同期間年二万五〇〇〇円の、同伏木洋子及び同伏木實は同期間年一万二五〇〇円の各割合による金員をそれぞれ右第一審被告らと連帯して支払え。

(三) 第一審被告寺畑、同寺畑正及び同会社は、第一審原告に対し、連帯して五〇万円を支払え。

2  訴訟費用は、第一、二審とも第一審被告らの負担とする。

第二  第一審被告寺畑及び同寺畑正

一  昭和五四年(ネ)第九六号事件につき

1  原判決中第一審被告寺畑及び同寺畑正の敗訴部分を取消す。

2  本件甲地と別紙第一目録記載の乙地(以下「乙地」という)との境界は、別紙第三図面記載のT5、3、4、5の各点を順次直線で結んだ線であることを確定する。

3  第一審原告の第一審被告寺畑に対する請求を棄却する。

4  訴訟費用は第一、二審とも第一審原告の負担とする。

第三  第一審被告亡伏木政次郎承継人伏木ゆみ、同伏木洋子、同伏木實、第一審被告知事

昭和五四年(ネ)第一三〇号事件につき

1  本件控訴を棄却する。

2  控訴費用は第一審原告の負担とする。

(当事者の主張)

当事者双方の主張は次のとおり付加するほか原判決事実摘示と同じであるからこれを引用する。

第一  第一審原告の主張

一  当事者の確定及び富山県の責任について

1  本件訴状では被告を「富山県知事」と表示しているが、被告は「富山県」である。

当事者が誰であつたかを判決の時点で考える場合、手続の安定、訴訟経済の要請が強く働くから、そこでは既に完了した手続の遡及的覆滅をなるべく防止する方向で当事者の確定を図るべきである。従つて、このような場面では当事者を確定するための資料を訴状の記載内容のみに限定する必要はなく、当事者の意思の合理的解釈を中心にして判定するのが妥当であるが、その場合手続全体を通して現実に誰が当事者として行動し、また取扱われてきたかという点を参酌するのが相当である。

右の観点から検討すると、本件訴状の表示は確かに「富山県知事」とされているものの、答弁書の表示は「富山県」とされているほか、被告の証拠の申出書等にはすべて「富山県」と記載されているので、本件の場合、現実には「富山県」が本件被告として行動していることが明らかである。また、口頭弁論調書の「当事者の出頭状況等」欄に「富山県代理人」と記載されているものが多数みられるので、裁判所においても「富山県」を被告として取扱つてきたというべきである。

加えて、当事者が自然人の場合の判決の名宛人を誰にするかという問題とは異なり、本件で被告は、「県知事」か「県」かということであつて、前者は後者の機関にあたり、実質的な不都合不利益はほぼ生じないこと、本件は提訴以来多数回にわたり口頭弁論を重ねた長期の裁判であることを考慮のうえ決すべきである。

以上のとおり、第一審原告は、「富山県」を被告とするものであるから、訴状第一審被告の表示のうち「富山県知事」とあるを「富山県」に訂正する。

2  被告富山県は、風致地区規則及び都市計画法並びに都市計画法施行令により、都市の風致を維持し、都市における自然環境を保護し、ひいては国民の生命、財産の保護を図るべき義務があり、右義務を果すために本件土砂採取の許可権限及び許可取消権限、または原状回復その他必要な措置を命ずる権限を付与されているにもかかわらず、富山県から許可を受けた第一審被告会社や同寺畑らによつて自然的景観が破壊され、かつ第一審原告の財産である山林が崩壊、侵害の危機に頻しているのにこれを放置し続けた。

よつて法律上の義務に違反した違法な職務行為によつて第一審原告に損害を与えたものであるから、第一審原告に対して損害賠償責任があるというべきである。

二  土地崩壊予防の請求について

原判決は、第一審原告に所有権に基づく妨害予防請求権を行使しうることを認めながら、第一審被告らに対し予防措置をとることを法的な権利として求めることができないとしているが、論理の矛盾である。予防措置を講じることについて相当高額な工事費用を要するとしても、このような状態をもたらしたことについて、原状回復を求める側の第一審原告には何ら責を負うべきいわれはなく、専ら第一審被告寺畑らの側に責任がある。しかも、高額な工事費用を要するに至つたのは、第一審被告らが徹底的に違法行為を行つた必然的帰結である。およそ他人の所有地の境界線ぎりぎりにまたはこれを侵してまで、しかも高さ約二〇ないし二五メートルの垂直な断崖状態になるまで土砂を採取することは許されない。回復不可能なまでに徹底的に違法行為を行つた者は予防措置を免ぜられるというのでは、社会正義に反する。

また予防措置費用と第一審原告所有地(本件甲地)の価値のみを単純に比較し、前者が大であるから小の目的のために大の措置をとらせる必要がないというのは相当でない。第一審原告が請求するような予防措置はもともと第一審被告らの土砂採取工事の許可条件となつているので、それに要する費用負担は採取行為の前提をなしていた。確かに第一審被告らが許可条件どおりに自己の採取範囲を守り、四五度の傾斜をもつ法面までの採取にとどめておけば、多額の費用を要しなかつたかもしれない。しかし、その場合には本件のような徹底的な採取を行えず、第一審被告らの利潤も限られたものとなつたであろう。第一審被告らは許可条件に違反しその陰で膨大な利潤をあげたのである。このように第一審被告らはもともと少額の費用で済んだ予防工事費用を自らの責任で多額にした訳である。従つて、予防措置費用と第一審被告らの違法行為による利潤とは、相殺勘定されるべきである。それをしないで費用が嵩むという理由で予防工事をしなくていいというのは、到底許されない。

三  崩壊道路復旧(開設)の請求について

右予防措置としての法面工事さえ認容されれば、崩壊道路を容易に復旧しうることは明らかである。白山林道から本件甲地に至る方法として、霜浦一四番の土地(以下「丙地」という)の平坦部分を通過し、同字一三番の土地との境界付近から巾員二メートル弱の敷設された道路(私道)を通ればよいというが、右「私道」はおよそ道とはいえないもので、ほかに巾員二メートル弱の敷設された道路は全く存しない。検証時等に便宜上甲地に至るまでに通つたところは単なる斜面の一部である。

ロ道路はそれ程広くはなかつたが、白山林道から甲地までを最短距離で結ぶ極めて便利な道であり、イ道路についてはかなり広くかつ平坦な道であつてよく利用されていたので、とても右「私道」をもつて代替しうるものではない。

四  公道消失による損害賠償請求について

イ及びロ道路という従来あつた二つの公道がなくなつたことが、第一審原告に損害を及ぼさない筈はない。囲繞地通行権が考えられるとしても、同通行権の成立及びその開設場所等については種々の要件があつて簡単に認められるものでないのみならず、仮に通行権が認められたとしても無償ではないし、従前のように二本の道が認められる訳ではない。このように公道が消失したことによつて、第一審原告の所有する甲地の価値は毀損された。

また第一審原告は右公道を日常生活道路として使つていたのでなく、山道として利用していたものであるが、利用の程度の多寡を損害額の認定に当つて考慮するのなら格別、右利用目的をもつて損害なしとするのは相当でない。例え利用度は低くても、年に何度か本件山林の維持管理のため通行する必要はあるし、とりわけ本件のように隣地が土砂採取の対象となり、境界線を侵入してまで採取してくるような場合には、監視のため甲地に出かける必要が出てくるし、また採取行為によつて断崖を生じさせられた以上、崩壊の監視及び予防のために(杉木等の樹木が転落しないように)甲地に出かける必要が生じている。その際、一々他人の土地を遠まわりして通り、急斜面をよじ登らなければならないというのでは第一審原告の不便は測り知れない。第一審原告の蒙つた損害は、第一審原告の請求額を下らない。

五  本件甲地の崩壊またはその虞れのため利用できなくなることによる損害の賠償請求について

1  第一審被告会社及び同寺畑は、昭和四二年頃から昭和四五年頃にかけて、第一審原告の所有地たる本件甲地に侵入して、同地の土砂を採掘したものであるが、その採取した土砂は六〇三三立方メートルを下らない。そして当時土砂は一立方メートル当り四〇〇円であつたので、右第一審被告両名は少なくとも採取した土砂の時価相当額である二四一万三二〇〇円を利得し、第一審原告は同額の損害を蒙つた。

2  甲地が崩壊すれば崩落した土砂は第一審被告らの利得するところとなるので、将来崩落する土砂価額をも含めて甲地の損害を算定しなければならない。本件甲地は今後二二〇〇平方メートルにわたつて崩壊する虞れがあり、この面積に甲地の高さ二五メートルを乗じ、二分の一した二万七五〇〇立方メートルが流出する計算となる。従つて、これによる損害は、単価四〇〇円を乗じた一一〇〇万円を下らない。

3  今後崩壊が進めば、明治年間から開墾され畑地として長年利用されてきた本件甲地は、平坦地としての利用ができなくなるので、畑としての利用は永久にできず、山林としての利用も多大の不便を来すことになるので、実質的に価値はなくなる。現時点においても、本件甲地は周囲を削りとられて孤立させられ、その上道まで消失させられてほぼ利用価値を失つた。

4  従つて、本件損害について請求金額は満額認定されるべきである。

六  慰藉料請求及び不当抗争による損害賠償請求について

本件甲地の地肌がむき出しにされた無惨な姿は、周辺道路からもよく見え、訪れる観光客や識者の顰蹙を買つている。第一審原告は、第一審被告らが採取行為を始めて以来、同人らの違法行為に心を痛め、今また間断なく崩壊の進んでいる本件崖地の状況に心を痛めている。本件の場合、本件地域が景勝の地で、かつ風致地区内にあり、はたまた大伴家持ゆかりの歴史的価値を有しているという特殊性からいつても、また第一審被告らの採取行為の態様が、単に他人の土地に対する侵害にとどまらず、土地所有者の人格そのものに対する悔辱と評し得る態様であることから考えても、慰藉料請求は当然認容されるべきある。

七  亡伏木政次郎の死亡及び承継

亡伏木政次郎は昭和六〇年八月二四日死亡したため、同人の権利義務はその妻である第一審被告伏木ゆみ、子である第一審被告伏木洋子、同伏木實が相続によりこれを承継した。

第二  第一審被告寺畑及び同寺畑正の主張

一  第一審被告寺畑正主張の甲地と乙地との境界線は、別紙第四図面表示のA、B、C、Dの各点を順次結んだ線である。

右線が甲乙両地の境界線である根拠は次のとおりである。

1  第一審被告寺畑が乙地である一六、一七番の両土地をその長男である第一審被告寺畑正名義で取得したのは昭和三〇年一月のことであるが、当時第一審被告寺畑は売買に際して前所有者大江豊一の番代で、第一審原告の伯父に当る坂口某から、右両土地の境界について説明を受けた。その際、当然のこととして甲地との境界についても説明を受けたのであるが、その境界線が右AからDまでの線である。

2  因みに、右甲地と丙地(一四番)との境界もその時点で知つたのであるが、それは第一審原告の主張するロ道路が乙地と丙地との境界線をすぎて更に西の方に伸びているところ、このロ道路が右甲地と丙地との境界であるということであつた。右D点はこのロ道路上の一点であり、付近には特に境界標識と思われる物件は存在しないものの、丙地側の崖と乙地側の崖とのほぼ見合いの場所に存し、右D点を基礎にして北西側が甲地、南側が丙地、北東側が乙地と合理的に区分できる場所である。

3  D点より北方へ進行して約四〇メートルの地点に目の高さで周囲約七五センチメートルの太さの楢の木が存し、この木をC点とすると、このC点が右坂口より第一審被告寺畑が教えられた境界の目印である。更に北方へ進んでイ道路との交差をA点としたが、A点は二本の松の木にはさまれた中間地点で、ここにも特に境界標識となりうるものは存在しないものの、この松の中間地点と教えられ指示されたのであつて、甲乙両地を分ける境界線となりうるものである。

二  仮に右主張が認められないとしても、別紙第三図面記載のT5、3、4、5の各点を順次直線で結んだ線が甲乙両地の境界線である。

三  第一審原告の主張する境界線は次のとおり事実に反し不自然なものである。

1  従前の地形状況が境界線を識別しうる地形になつていたか否かは極めて疑わしい。甲地は台地で平坦、乙地は下り斜面の谷あいというが、甲第三二号証の等高線からみても右のように一律には区別しえない。まして右地形からみて下り斜面の頂点付近が境界であると断定しうるほど明確に頂点の線がはつきり残つていた訳ではない。

2  本件甲地の従前の使用状況について第一審原告の主張に特に反論することはないが、ただ別紙第一図面の枡形の溜池と主張する地表の穴については、これを溜池と認定することは極めて不自然である。この穴は、かつて「もみすり」の「うす」製造用の粘土を取つた穴であつて、本件付近全体の地質から考えても、粘土の採取場所とする方が合理的である。溜池とは、畑全体の水利から考えても到底納得しえないものである。

第三  第一審被告知事の主張

一  第一審原告が相手方を富山県ではなく富山県知事としたことは、訴状のみならず第一審原告提出の準備書面及び証拠申出書に被告人の表示を殆ど富山県知事としていることからも(富山県としているのは僅かである)、また、訴状及び準備書面の記載内容自体、富山県知事を被告とする趣旨が明確に理解できるように記載されていることからも、極めて明白である。被告代理人の書面や口頭弁論調書に偶々「富山県」の表示があつたとしても、単なる誤記であつて、右判断に何ら影響を及ぼすものではない。

第一審原告は、本件控訴状においても相手方を「富山県知事」と明確に記載しており、当事者は「富山県」である旨の第一審原告の主張は理由がない。

二  第一審被告知事は、第一審被告会社及び亡伏木政次郎に対し土石採取の許可を与えたが、第一審原告所有の本件甲地は許可区域に入つておらず、第一審被告知事としては、第一審原告と隣接地主との複雑、困難な本件境界問題について全く真相がつかめず、これに関与することはできなかつたので、双方が充分協議して円満解決をはかり、境界線には杭を打込み、不測の損害が生じないようにするよう何度も指示し、第一審原告は勿論他の第一審被告らもこれを承諾していたにもかかわらず、杭打ち等の防止措置は一切とられなかつた。もし双方で土地の所有権の範囲について合意が成立したのであれば、右指示どおり杭打ちをすることによつて無用の紛争は充分避け得たものである。第一審被告会社らが境界線付近まで崖状に掘さくしたのは、右第一審被告会社らに責任があることは勿論であるが、これを回避し得なかつたことについて第一審原告にも落度はあるというべきであり、第一審被告知事に責任ありというのは失当である。

第一審被告知事としては、本件の境界争いは、裁判所の判断にまつ以外にないと考え、境界に対する判決結果をまつてから法面工事についての処置につき行政的に考慮しようとして現在に至つている。判決前に境界に関する判断を第一審被告知事が先行させてみても、関係者は承服せず抗争してくることは明白であり、何ら良い行政結果は望めない。

行政庁たる第一審被告知事が特に行政上懸念するのは法面工事の円滑な履行である。それにはまず境界が明確に確定されることが必要であることは前述したとおりであるが、更に許可取消しを行うにしても諸手続を経る必要があり、この段階から関係者が争つてくることも明白で、その結果が出るまでに長年月を要し、本件裁判と同一の運命を辿ることが予想されるし、これだけですべてが解決するものでもない。従つて、第一審被告県知事としては工事中止命令程度に止めたのである。しかも、法面工事につき行政処分をするにしても、第一審原告主張の如き境界線を基準とした盛土法面工事であつた場合、相当高額な工事費用を要するため、社会的経済的に有用かつ必要なものとは判定されず、不当命令として取消しとなる余地が大である。従つて、境界線付近の第一審原告所有土地を第一審被告寺畑らに買取らせ、この土砂を掘さくして法面工事をさせるよう行政指導等の処置をすることが妥当と思料される。

以上のとおり、第一審被告知事の自由裁量の範囲を逸脱して権限を行使せず、放置し続けて第一審原告に損害を加えているとの第一審原告の主張は失当というべきである。以上は、被告が富山県とされる場合であつても同じことである。

三  第一審原告の慰藉料請求は、精神的損害まで生じているとは認められないので、失当である。

第四  第一審被告伏木實の主張

亡伏木政次郎が昭和六〇年八月二四日死亡し、同人の権利義務はその妻である第一審被告伏木ゆみ、子である第一審被告伏木洋子、同伏木實が相続により承継したことは認める。

(証拠関係)<省略>

理由

第一第一審被告知事に対する訴えについて

一第一審原告は、当審に至り、本件訴状において「被告富山県知事」と表示した訴えの被告は「富山県」である旨主張するので、まず右訴えは、何人を被告として提起したものであるかにつき判断する。

そもそも原告は訴えにおいて何人を当事者とするかを明示すべきであり、これは本来は訴え提起時において確定していなければならないものであるところ、何人が当事者であるか訴訟に現われた確実な資料のみによつて判断すべく、訴えの提起は訴状の提出によつてなされるのであるから、右判断をするための資料はすべて訴状に記載されているというべきである。

そこで、本件訴状をみるに、第一審原告は、本件訴状において被告を「富山県知事」と表示(この点は第一審原告も自陳するところである)したうえ、請求原因として、被告知事は風致地区内の乙丙両地における土砂採取を許可したものであるが、右土砂採取により甲地崩壊の危険が生じたため、原状回復その他の必要な措置を命ずる法律上の義務あるにも拘わらずこれをなさず、右不作為により第一審原告の本件土地所有権を危殆ならしめたとし、右不作為者である被告知事に対し、甲地に接しての法面(盛土)工事等及び同工事の完成に至るまで慰藉料として年五万円の割合による金員の支払を請求するとしているのであつて、ここにも被告として富山県知事の名が出て来ているのである。しかも、右訴状によれば、訴状受付以前に、被告の表示として当初「富山県右代表者中田幸吉」と記載していたところを「富山県知事中田幸吉」と訂正し、請求原因事実中「被告県」とあるところも同じく「被告県知事」と訂正した形跡さえ見受けられ、第一審原告において何人を被告とするか充分検討した結果、富山県知事としたことが窺えるというべきである。以上によれば、第一審原告は被告を「富山県知事」として訴えを提起したものと認めるのが相当である。

第一審原告は、第一審被告知事の答弁書、証拠申出書等の表示が「富山県」とされていること、原審における口頭弁論調書の「当事者の出頭状況等」欄に「富山県代理人」と記載されているものが多数みられることをもつて「富山県」が被告である旨主張するが、原審における第一審被告知事の委任状には「富山県代表者知事」ではなく単に「富山県知事」と記載されており、その他同第一審被告提出の書面の大多数が「富山県知事」と記載されていることからみて、右答弁書等の記載は単なる誤記と認めることも可能である。

また、第一審原告は、「県知事」が「県」の機関にあたるため実質的な不都合不利益はないとか本件が多数回の口頭弁論を重ねる長期裁判である旨主張するが、これらは当事者を確定するための判断資料となるものではない。以上の如く本件の被告は「富山県知事」であつて、行政機関たる富山県知事と地方公共団体たる富山県とは法主体として別異であり、同一性を欠いているから、当事者の表示の訂正という形で被告を「富山県」に変更することは許されない。

第一審原告の右表示訂正の申立が被告の変更を申立てるものと解するとしても、任意的当事者の変更は訴訟の提起と旧訴の取下げの複合した訴訟行為というべきであり、新旧当事者の同意なき限り許されないと解すべきであるが、第一審被告知事がこれに同意しないことは、同第一審被告の主張から明らかといわねばならず、任意的当事者の変更もまた認めることはできない。

二そこで第一審被告知事に対する本件訴えにつき判断するに、当裁判所も同訴えを不適法と判断するところ、その理由は、原判決二四枚目表三行目から同一〇・一一行目「却下を免れない」まで(但し文末に「。」を加える)と同一であるからここにこれを引用する。すると、第一審被告知事に対する訴えを却下した原判決は相当である。

第二第一審被告知事を除くその余の第一審被告ら(以下「第一審被告ら」という)に対する請求について

一本件甲地を第一審原告が所有していることは各当事者間に争いがなく、本件甲地と乙地とが隣接し、第一審被告寺畑正が乙地を所有していることは第一審原告と第一審被告寺畑正との間に争いがなく、第一審被告寺畑が乙地の山土砂を第一審被告会社に売却し、第一審被告会社がその山土砂を掘さく採取したことは第一審原告と第一審被告会社及び同寺畑両名との間に争いがなく、さらに亡伏木政次郎が丙地の所有者から山土砂を購入しこれを掘さく採取したことは第一審原告と第一審被告伏木三名との間に争いがない。

本件甲地の現在の地形及び周囲の状況、本件甲地付近の従前の地形及び道路状況、本件甲地の使用状況及び乙地との境界に関する紛争の経緯等、乙地の山土砂採取状況、丙地の山土砂採取状況についての当裁判所の認定は次のとおり付加訂正するほか原判決二五枚目表七行目から三六枚目表七行目までの理由説示と同じであるからこれを引用する。

1  原判決二七枚目表二行目「同能島元次(第一、二回)」の次に「、当審証人舟崎治平、同奥村久作」を加え、同表二・三行目「原告本人及び」を「原審及び当審における第一審原告本人並びに原審における」と、同表五行目「検証の結果(第一、二回)」を「原審(第一、二回)及び当審における検証の結果」とそれぞれ改める。

2  同二八枚目裏末行「本件甲地の東南角」から二九枚目表一行目「山道であつたが」までを「本件甲地の南東角から右乙丙両地の境界に沿つて約五〇メートルで白山林道と交わり、さらに南東に延びる山道であつたが」と改め、同二九枚目表二行目「断崖となつていて、」の次に「右南東角と白山林道間の」を加え、同二九枚目表七行目「敷設されており」から同八行目までを「敷設されているが、雑草木が生い茂つたため、その道路の昇口へは白山林道から丙地の平坦部分を人一人が雑草木をかき分けてようやく達する」と改める。

3  同三一枚目表九行目「相続によつて本件甲地を取得」を「相続による本件甲地の取得登記を経由」と、同裏八行目「溜池の水」の次に「や松の木等」を加える。

4  同三二枚目表三行目「その結果」から同八行目までを「甲地は平坦部分で乙地は斜面からである旨主張したところ、第一審被告寺畑はこれを了承したため、能島はこれに従つて別紙第一図面のイロハニホヘトの各点を順次直線で結んだ線を境界線としてこれを前記図面上でさらに図示した図面(甲第三二号証)を作成した。」と改める。

5  同三六枚目表六行目「本人尋問の結果の一部」の次に「、当審における第一審被告寺畑本人尋問の結果(第一、二回)」を加える。

二本件甲地と乙地との境界確定請求について

当裁判所も、本件甲地と乙地との境界は別紙第一図面のイロハニホヘトを順次直線で結んだ線であると確定するのが相当と判断するところ、その理由は次のとおり付加するほか原判決三六枚目表末行から同三七枚目裏一行目までの理由説示と同じであるからこれを引用する。

1  原判決三六枚目裏四・五行目「従前の使用状況、」の次に「溜池跡との位置関係、」を加える。

2  第一審被告寺畑正は、甲乙両地の境界は別紙第四図面表示のABCDの各点を順次結んだ線であり、これは乙地を買受けた際坂口某から説明を受けた線である旨主張し、当審における第一審被告寺畑本人尋問の結果(第二回)はこれにそうものである。しかしながら、右主張線は、昭和五六年一二月二日の当審第七回口頭弁論期日において第一審被告寺畑正が同日付準備書面をもつて初めて主張した線であり、それまで第一審被告寺畑正が原審及び当審において提出した数多くの準備書面でも二本の松の木の中間点や楢の木が境界であるとは一切述べられておらず、既に実施された原審(第一、二回)及び当審における検証や原審及び当審(第一回)における第一審被告寺畑本人尋問等においてもそのような主張・供述は全くされていなかつたものである。しかも、第一審被告寺畑正は、本件控訴状、昭和五五年九月二四日付準備書面では、右主張線とは異なる別紙第三図面記載のT5、3、4、5の各点を順次結んだ線を主張していたものであり(当審における第一審被告寺畑本人尋問(第二回)において右両主張線はほぼ同一である旨供述するが、別紙第四図面記載のイA間の距離と別紙第三図面記載イ5間の距離とは約六メートルの差異があることからも、両主張線が異なることは明らかである)、当審における第一審被告寺畑本人尋問(第一回)では右両主張線とも異なる当審検証見取図記載の点を結ぶ線であり、これは坂口某から指示された境界線である旨供述しているのである。これら第一審被告寺畑正主張の境界線は、前認定の第一審被告寺畑が昭和四一年一二月頃能島元次に現地で指示した境界線(別紙第一図面のNo.9の溜池を表示した境界線)とも異なつているが(原審及び当審(第一、二回)における第一審被告寺畑本人尋問では、能島に指示した線は境界線でない旨供述するが、これは原審証人能島元次の証言(第一、二回)に全く反するものである)、当審における第一審被告寺畑本人尋問(第一回)では、能島に指示したのは土砂採取の限界線であり、これは境界に明確な特徴がなかつたため、後でトラブルが生じないようにしたためである旨供述する。また、本件全証拠によるも、第一審被告寺畑正が第一審原告らとの間の境界をめぐる長期間の紛争の中で、前記のような二本の松の木の中間点とか楢の木が境界である旨主張していたとの事実は全く窺われない。以上によれば、前記ABCD線が甲乙両地の境界線であり、坂口から指示されたとの当審における第一審被告寺畑本人尋問の結果(第二回)は措信できず、他に右線をもつて境界線と認めるに足りる証拠はない。

第一審被告寺畑正は別紙第三図面記載のT5、3、4、5の各点を順次結んだ線が境界線であるとも主張するが、右に検討した第一審被告寺畑正の主張の地点に境界の標識となりうるものが存在することにつき、証拠が全くないことからみて、右主張線を境界と認定することもできない。

3  第一審被告寺畑正は、従前の地形状況は境界線を識別できる程明確でなかつた旨主張する。しかし、本件甲地がほぼ平坦な台地であることは前認定の事実から動かし難いところ、前掲丙第五、第六号証によると、本件甲地付近は標高九二メートルの等高線を境に上はほぼ平坦、下はかなり急な斜面となつていたことが認められる。そして、乙地が急斜面であつたことは、その中間に敷設された巾員四メートルの白山道路によりロ道路が分断され、高さ数メートルの崖状の急斜面ができたことからも窺い知ることができ、また、前認定の、第一審原告、第一審被告寺畑、能島の三名が昭和四二年三月現地で境界を確認した際、本件甲地が台地で、斜面からが乙地である旨の確認ができ、これをもとに能島が境界線を図示している事実からみて、甲乙両地の境界は従前の地形状況ではかなり明確であつたということができる。

また、第一審被告寺畑正は、別紙第一図面記載の№.4、№.9に存する地表の穴は溜池ではなく、もみすりの臼製造に使う粘土を取つた穴である旨主張し、当審における第一審被告寺畑本人尋問の結果(第一、二回)はこれにそうものである。しかしながら、当審証人奥村久作の証言によると、右穴の壁面は漆喰で固めてあつたことが認められ、本件甲地が畑地として利用されていた頃雨水を貯えるために設けられた溜池の跡であつたことは明らかであり、右第一審被告寺畑の供述は措信できず、他にこれが溜池跡であるとの認定を動かすに足りる証拠はない。以上のとおり、第一審被告寺畑正の主張は理由がない。

三土地崩壊予防の請求について

1  第一審原告は、本件甲地がその境界付近で崩壊する虞れがあるため、その所有権に基づき、第一審被告らに対し、その崩壊予防措置として、本件甲地と隣接する乙丙両地(別紙第三目録記載の土地)に、本件甲地の境界に沿つて約一五〇メートルに亘り、高さ二〇メートル余りの垂直な断崖箇所に対し、四五度よりもゆるやかな勾配をもつた法面(盛土)工事とその法面に対する芝付け、植林をなすことを求めるものである。

そして、前記認定事実によれば、第一審被告会社の乙地に対する山土砂掘さく採取工事及び亡伏木政次郎の依頼を受けた屋根工業の丙地に対する同様の工事によつて、その隣接する本件甲地の境界線に接近して、一部分においては境界線を超えて乙地側約一一〇メートル、丙地側約一〇メートルに亘り、高さ約二〇ないし二五メートルの垂直な断崖状態を生じさせ、そのため本件甲地の境界付近は、その断崖に有効適切な法止工事をしないで放置すれば、その土質と相まつて自然作用によつて早晩崩壊する虞れが存し、かつ甲地内の右境界付近はその危険があるため立入つて利用することができない状況にあると認められる。

ところで上方に位置する土地が、隣接する下方の土地の掘さく工事により、崩壊する虞れが生じたときは、上方の土地所有権者は、その危険な状態を除去しうべき地位にある者に対し、所有権に基づき妨害予防請求権を行使することができるというべく、右危険な状態を除去しうべき地位にある者とは、危険な状態の原因が存在する土地の所有権者またはこれに準すべき者と解するのが相当である。そしてこの場合、土地を掘さくし、隣地の崩壊を来たす虞ある危険な状態を作り出した者が外にいるとしても、下方の土地所有権者は、現在の同土地支配者として、同土地上に右崩壊予防に必要な設備をなす義務があるというべく、自ら掘さく者でないことを理由として右義務を免れることはできない。これに対し、土砂買受人として掘さく工事をした者或いは土砂売渡人の委任を受けて掘さく工事を監督したに過ぎない者は、土地崩壊予防のための設備を設置する地盤につき所有権を有しないから、予防措置を講ずべき地位にあるとはいえず、従つてこれらの者につき過失があれば、損害賠償請求の相手方とするならば格別、これらの者に対しては、土地崩壊の予防請求はできないと解される。

すると、第一審被告会社及び同伏木らは本件乙地または丙地の所有者でなく、またこれに準ずる権限ある者ともいえないので同被告らに対する第一審原告の本件土地崩壊予防請求は理由がない。

2  前認定事実によると、第一審被告寺畑は本件乙地を購入し、子である第一審被告寺畑正に贈与したが、正から管理を一任され、自ら実質上の所有者の如く支配管理してきたことが認められるから、乙地につき所有権者に準ずる者ということができ、乙地の所有権者である第一審被告寺畑正とともに、本件土地崩壊予防請求の相手方となり得るというべきである。よつてその当否につき判断するに、前認定のとおり、本件甲地付近一帯は風致地区に指定されており、第一審被告会社は乙地の山土砂採取許可を受けるにあたり、その許可区域は第一審被告会社の提出した図面の本件甲地との境界よりかなり手前までとし、その土砂採取に際しては安定勾配を保ち、その切取法面に植樹及び芝付をすることを条件付けられたものであり、亡伏木政次郎もまた第一審被告会社とほぼ同様の条件付きで採取の許可を受けたにもかかわらず、いずれもその許可区域を越えて採取し、最終的には許可条件を全く満たさないばかりか、本件甲地との境界附近に、高さ約二〇ないし二五メートルものほぼ垂直な断崖を生じさせ、その間第一審原告の度重なる抗議や、富山県からの工事中止命令をも無視し続け、しかも第一審被告会社に至つては、第一審原告からの申請による立入禁止の仮処分決定をも無視し土砂の採取を続けたものであつて、その侵害の態様には違法性があるといわざるを得ない。

しかしながら、第一審原告の右請求内容どおりの工事を実現させるためには、前記認定した本件甲地付近の現状からすれば、相当高額な工事費用を要することが予測され(高さ二〇ないし二五メートル、長さ一二〇メートルの断崖に四五度の傾斜をもつた法面工事を付加するとすれば、その土砂量は、二二・五×二二・五×一二〇÷二=三〇、三七五立方メートルとなり、かりに現在の価額を第一審原告主張にかかる一立方メートル当り四〇〇円として計算してみても土砂代金だけで優に一二〇〇万円を超え、これに工事費を加算すると更に高額となることが明らかである)、他方右法面工事をしないで放置すると、侵害される甲地部分は、前認定事実からみれば、その断崖となつた箇所が崩壊して斜面状となり、あるいは崩壊の危険のため使用できない範囲であるが、崖下の土地が平坦であるため断崖の上部半分が四五度の角度で崩壊し、その土砂が崖下に堆積すれば(図のようになる)安定勾配となつてそれ以上崩壊しないと考えられるので、乙地と隣接する部分においてその境界線上一一〇メートルに亘り奥行き約一一・二五メートルの部分、また丙地と隣接する部分においてその境界線上一〇メートルに亘り奥行き約一一・二五メートルの範囲(但し、これは乙地の部分と一部競合する。)であるにすぎない。また、第一審原告の本件甲地の従前の利用状況は、昭和二二、三年頃まで第一審原告らがその一部を畑地として耕作していたが、それ以降は放置したまま雑木林としていたものであり、その現在における最大の利用価値は林地に過ぎないことは前記認定のとおりである。更に原審における鑑定人舟崎治平の鑑定によれば、本件甲地付近は公法上の制限が厳しいことや地形状況(特に本件甲地は自動車交通可能な公道に面しない盲地である)からして長期的には全く否定できないとしても、近く宅地化の可能性は低いもので、本件甲地の地価は、その極めて低い宅地化の可能性を考慮しても、昭和四四・五年当時でイ・ロ道路が存するものとして一平方メートル当り二八〇円(甲地全体の価額は約一二四万円となる)、昭和五三年一〇月当時(鑑定時)、一平方メートル当り六五〇円であり、崩壊部分の土地価額は約九〇万円(一二〇×一一・二五×六五〇=八七万七五〇〇円)に過ぎないことが認められる。そしてこれらの事実から判断すれば、本件甲地の一部が崩壊するのを防止する必要性はそれ程大であるということはできず、右崩壊を予防するための法面工事をするとすれば、その費用は前記崩壊予想部分の土地価額をはるかに超え十数倍にのぼり、本件甲地全体の価額をも優に越すものである(甲地価額は右鑑定時より高騰していると思われるが、土砂代・工事費も高騰していると思料されるので、現在における工事費とこれによつて受ける利益の比率は右認定と大差なきものと認められる)。そして甲地を保全するため法面工事をすることとし、その土砂を附近山林内から採取すれば、更に自然の風致を損ねることになるのであつて、その他第一審原告自身、自己所有地の境界を明確にしておかなかつた事情等を総合すると、第一審原告の本件工事請求は、社会的、経済的に有用とはいえず、第一審原告の右請求は権利行使の相当性を欠き権利濫用にあたるものということができる。第一審原告は、予防措置費用と崩壊予想土地の価額を単純に比較するのは相当でない、法面工事請求を認めないと社会正義に反する旨主張するが、前記理由により何れも採用できず、損害賠償請求によつて結果の不公平は救済されるべきである。

なお第一審原告は、将来境界線を超えて土地が崩壊する虞れがあるとしてその予防措置を請求しているが、現に一部において境界線を超えて崩壊していることは前認定のとおりである。しかし境界線より侵入した崩壊部分はごく一部であり、結局は境界線を頂点とする一定角度を持つた法面工事を施行したうえで、失われた境界線内の地表面の回復をはかる必要があり、法面工事をしないで侵入部分のみの補修工事をするとすれば、境界線に沿つて土砂を垂直に積み上げねばならず、技術的に不可能と考えられる。従つて境界線を超えた部分の崩壊回復のためにも第一審原告主張の法面工事が必要となるところ、同工事が権利行使としての相当性を欠くことは前記のとおりであるから、侵入部分回復のための工事請求も相当性がないといわざるを得ない。

3  以上によると、第一審原告の土地崩壊予防請求は、前記被告に対する関係でも理由がないというべきである。

四崩壊道路復旧(開設)の請求について

第一審原告は、第一審被告らの土砂採取工事によつて本件甲地に通じるイ・ロの公道が消失したため、公道通行の自由権又は本件甲地の所有権に付随する土地立入通行権を侵害されたとして、第一審被告らに対してロ道路の回復(開設)を求めている。

そして前記認定事実によれば、第一審被告会社及び亡伏木から依頼された屋根工業の各掘さく採取工事によつて、本件甲地に通じる里道であるロ道路を消滅させ、また第一審被告会社の右工事によつて、本件甲地付近で同じく里道であるイ道路を消滅させ、その結果本件甲地に通じていた公道であるイ及びロ道路は、道路敷所有権はそのまま残り、特に道路としての用途が廃止されたわけではないが、道路としての形態を失つたため、事実上通行不能になつたものと認められる。

ところで、第一審原告が復旧(開設)を求めるロ道路は白山林道から本件甲地に至る長さ約五〇メートル、幅一メートルの道路で、高さ約二〇メートルに及ぶものであるが、前記認定のとおり、本件甲地は昭和二二、三年頃まで第一審原告らが一部を畑地として耕作していたが、それ以降は放置し雑木林となつて、第一審原告も何ら有効な土地利用を計つておらず、また、従前のイ及びロ道路は人一人が歩いてようやく通れる程度の山道であつたところ、昭和三六年頃に白山林道が開設されて以来、同林道に接する部分が崖状となり道路としての利用度合が低くなつていたものであつて、これらによれば、第一審原告はイ及びロ道路を時折山林見回りに利用していたに過ぎず、日常生活上欠くことのできない道路として利用していたものではないというべきである。

ところで、一般に公共用物たる里道は、その管理者がこれを公共の用に供していることの反射的利益として公衆に通行の自由が認められているに止まり、里道利用者は特段の事情が認められない限り、里道に対し特定の権利又は法律上の利益を取得するものではないと解される。そして本件では、第一審原告の利用状況は前認定のとおり、通常利用の域を超えるものではないから、右利用につき特定の権利ないし利益を考慮しなければならない特別の事情があつたとはとうてい認められない。すると第一審原告の本件ロ道路についての通行自由権或いはロ道路を介しての自己所有地への立入通行権侵害を理由とする道路復旧請求は理由のないことが明らかである。次に右道路復旧請求を不法行為に基づく請求と構成しても、損害賠償請求なら格別、前認定の被害の程度では損害賠償に代わる差止めないしは原状回復まで認めることはできないと解され第一審原告の主張は理由がないので、同請求は同様に失当である。

五損害賠償の請求(予備的請求)について

1  第一審被告らの故意過失

(一) 第一審被告会社、同寺畑、同寺畑正について

前記認定事実によれば、第一審被告会社は、乙地に対する第一審被告知事の掘さく採取許可範囲を越えた上、本件甲地の境界に沿つて垂直な断崖状に掘さくした者であり、その崩壊する虞れを生じさせている者である。従つて、第一審被告会社に過失があることは明らかである。

次に第一審被告寺畑は、乙地の山土砂を第一審被告会社に売却する際実質的に売主として関与していた者であり、しかも現場で第一審被告会社従業員に採取場所を指示したりしていた者である。従つて本件掘さくについて過失があることは明らかであり、第一審被告寺畑正は乙地所有者であるが、その管理・利用を父の第一審被告寺畑に一任していた者で、両者の関係からみれば、第一審被告寺畑正は、第一審被告寺畑の右採取場所の指示が違法であることを知り得べき地位にあつたというべく、その間一任して何ら顧みなかつたことには過失があるといわねばならない。

なお、第一審被告寺畑は、乙地の土砂売却に当たり第一審被告会社との間で、土砂掘さく採取によつて生じたすべての事故について、その全責任を第一審被告会社が負い、第一審被告寺畑には全く迷惑をかけない旨確約したので、第一審原告に対しては第一審被告会社が責任を負うべきである旨主張するが、右契約の効力は当事者以外の第三者にまで及ぼし得ないものであるから、右確約の存在をもつて第一審原告に対する免責事由とすることはできない。

(二) また亡伏木政次郎は、丙地の山土砂を土地所有者から買受け、屋根工業をして掘さく採取をなさしめた者である。従つて、亡伏木政次郎は丙地に関する部分につき過失があると認められるところ、亡伏木政次郎が昭和六〇年八月二四日死亡し、同人の権利義務はその妻である第一審被告伏木ゆみ、子である第一審被告伏木洋子、同伏木實が相続により承継したことは、第一審原告と第一審被告伏木實との間に争いがなく、第一審被告伏木ゆみ、同伏木洋子との間においても弁論の全趣旨によりこれを認めることができる。

(三) 以上のとおりであつて、右第一審被告らには過失がない旨の同人らの主張はいずれも理由がない。

2  損害

(一) 甲地の崩壊またはその虞れにより生ずる損害

(1) 甲地のうち崩壊部分の土地価額の下落

前認定によると、甲地はその地表において、乙地との境界線に沿つて約一一〇メートル、奥行き約一一・二五メートルの範囲、丙地との境界線に沿つて約一〇メートル、奥行き約一一・二五メートルの範囲(この部分は乙地側と競合)で崩壊する虞れがあるから、右競合を考慮すると、実質喪失予想表面積は、一二三七・五平方メートルと認めるのが相当である。そして不法行為時である昭和四四・五年当時の甲地の価額は前記のとおり一平方メートル当り二八〇円と認められるから、右崩壊部分の土地価額は三四万六五〇〇円となる。右部分は崩落後は四五度の斜面となるので、前認定にかかる諸般の事情に照らせば、崩壊前の価額の一〇分の一に価額がすでに下落しているものと思料され、従つて、三一万一八五〇円の損害が現実に発生していると認められる。右全額を乙地側の不法行為者である第一審被告会社、同寺畑、同寺畑正が連帯負担し、そのうち競合部分である一一〇分の一〇の二万八三五〇円を亡伏木政次郎が前記三者と連帯支払うべきところ、同人は死亡したため、第一審被告伏木ゆみはその二分の一である一万四一七五円、同伏木洋子、同實は各四分の一である七〇八七円をそれぞれ前記三者と連帯支払う義務がある。右認定額以上の第一審原告の主張は理由がない。

(2) 境界線を超えて甲地に侵入し採取した土砂価額

第一審原告は、第一審被告らが乙地または丙地における採取だけでなく、甲地との境界線を超え、甲地内の土砂をも採取した旨主張する。そして現に崩壊は一部において本件境界線の内側(甲地内)に及んでいることが認められることは、前認定のとおりである。しかしながら、当審における第一審原告本人尋問の結果並びに検証の結果によると、右崩壊個所下部附近に崩落した土砂の堆積があることが認められるから、右境界線を超えた個所の崩壊は、第一審被告らが境界を越えて甲地の土砂を採取したために生じたものか、乙又は丙地の土砂を採取した後の自然崩落によつて崩壊線が甲地内側へ進行したものか必ずしも明らかでないというべきである。そして境界線から内側約一一・二五メートルの幅の崩壊は前記(1)においてその損害を算定しているから、(1)の損害のほかに崩落土砂の価額賠償を求めることはできないというべきである。よつて第一審原告の同請求は理由がない。

(3) 将来崩落して乙及び丙地上に堆積する甲地の土砂価額

第一審原告は、現在は甲地の構成部分となつているが、将来崩壊し、乙及び丙地上に崩落・堆積する土砂価額も第一審原告の損害であると主張する。そして、前認定によると、将来断崖の上半分が四五度の角度で奥行約一一・二五メートル、長さ約一一〇メートルにわたり崩壊し、乙地または丙地に堆積することが認められ、崩落土砂量は六九六〇立方メートル(一一・二五×一一・二五×一一〇÷二=六九六〇)と計算される。しかしながら、甲地から崩落し下部に堆積した土砂は、前記のとおり断崖下で法面を形成し、甲地の崩壊を一定限度でくい止める働きをするものであるから、右土砂を売買等の対象として採取・搬出することはできず、乙地または丙地所有者に現実の利得が生ずるわけではない。もつとも第一審原告としては、右崩落する土砂の所有権を失うことになるが、その点の損害は、前記(1)において土地価額の下落として算定しているから、重ねてその構成部分たる土砂の価額を損害として請求することはできない。のみならず、本件イ・ロ道路の消失がなくても、右里道によつては、土砂搬出は不可能であつたと認められるから、甲地の土砂は、地盤と離れて経済的取引の対象となつていたものとは認め難く、もともと、独立の価値を有していたとは認められない。すると土地価額の下落のほかに崩落土砂自体の価額の賠償を求める第一審原告の請求は理由がない。

(4) 甲地残地部分の価額下落

第一審原告は、崩壊予想地の甲地の残地は無価値或いはそれに近い状況にまで価値が下つている旨主張する。そして前認定によると、甲地の総面積は四四三四・五七平方メートルでほぼ平坦であるから、前記認定の境界線附近の土砂が今後崩壊し、一二三七・五平方メートルの平坦部分が四五度の傾斜地に変化することが予想されるからといつて、残地三一九七・〇七平方メートルの山林が直ちに無価値またはそれに近い状態になつたとは認め難い。しかし、失われる平坦地部分の割合は必ずしも少くないこと、山林として利用する場合面積が狭くなることは経営の効率化を阻害すると解されるので、右平坦部分の喪失が予想される現在すでに残地価額の低下をもたらしていると認められる。そして、右低下は前認定にかかる諸般の事情に照らせば、残地価額の一〇分の一と認めるのが相当であるところ、一平方メートル当り二八〇円で計算すると、その額は八万九五一七円となる。その全額を第一審被告会社、同寺畑、同寺畑正が連帯負担し、そのうちの一一〇分の一〇である八一三七円につき亡伏木政次郎の相続人である第一審被告伏木ゆみが四〇六八円、同伏木洋子、同實が各二〇三四円の割合で前三者と連帯負担し、第一審原告に支払う義務があるというべきである。右認定額以上の第一審原告の請求は理由がない。

(二) 公道通行阻害による損害

前認定によると、本件甲地に通じるイ・ロ道路は通行不能となり、修復の見込みもないため、甲地は袋地状となり土地価額が低下したことが認められる。そして前認定にかかる諸般の事情に照らせば、右低下の程度は、残地部分について価額の五分の一と認めるのが相当である。そして前認定によると、甲地の残地は三一九七・〇七平方メートルであるから、単価二八〇円として計算した八九万五一七九円の五分の一である一七万九〇三五円がその損害となる。ところで、前認定によると、イ道路の消失は乙地側の掘さくによるから第一審被告会社、同寺畑、同寺畑正らの責任、ロ道路の消失は乙地側と丙地側の共同掘さくによるから右三者と亡伏木政次郎の責任と認められ、イ・ロ道路の必要性は同等と認められるから、右分担割合に従うと、第一審被告会社、同寺畑、同寺畑正は右全額を、亡伏木政次郎はその二分の一である八万九五一七円を右三者と連帯して支払う義務があるから、その相続人である第一審被告伏木ゆみは四万四七五八円、同伏木洋子、同實は各二万二三七九円を連帯支払う義務があるということになる。右認定額以上の第一審原告の請求は理由がない。

六慰藉料請求について

前認定事実並びに原審及び当審における第一審原告本人尋問の結果によると、本件甲地は、昭和一三年に父政吉が本家から買入れて所有し、その後第一審原告が相続したもので、昭和二二・三年頃までは北野方において畑として利用してきたこと、そして甲地がある二上山は能登半島国定公園に指定され、かつて万葉集にも歌われた景勝の地であり、また甲地は富山県風致地区内に存するものであつて、観光客の集まる万葉ドライブウェーから横道に入つて差程遠くない所に位置し、これら来歴や場所柄からいつて甲地は第一審原告が愛着を抱いている土地であると認められる。そして前認定の如く、本件甲地は違法掘さくによつて境界線附近は高さ二〇ないし二五メートルの断崖となつて無残な姿をさらし、自然崩壊が続き、今後安定勾配となるまで地形は定まらないことになるのであつて、所有者としては誠に無念な思いをしていると認められる。しかも右断崖は危険を伴うものであり、山遊びの者が足を滑らすなど断崖附近で不測の事故が起きることは予想されない訳ではなく、そのため第一審原告は強い不安を抱いていることが、当審における第一審原告本人尋問の結果によつて認められる。また前認定によると、第一審原告は、本件イ・ロの公道を破壊されたため、本件甲地へは公道を通つて行くことができず、これに代るほどの私道もなく、甲地の見回りなどに多大の不便・苦痛を蒙つていることが認められる。

そして、そもそも、このような被害が回復されないのは、断崖への法面工事請求が、専ら過大な費用を要するという理由で認容されないためであつて、過大な費用を要する程侵害の規模、程度が大であつたというべく、その結果第一審原告には、前記の如き被害が残る反面、第一審被告らは違法な掘さくによる土砂の採取・販売が結果的に是認され、更には千数百万円にのぼる法面工事の施行を免れることになるのであつて、第一審原告に著しい不公平が生じていることは否定し難く、その意味でも第一審原告に著しい精神的苦悩が認められるというべきである。

以上を総合すると、本件では崩壊危険のため土地価額下落による財産上の損害賠償を受けてもなお第一審原告に償いきれない精神的苦痛が残り、第一審被告らにおいて予見可能性があつたと認められるから、第一審被告らは第一審原告に対し、これを賠償するため慰藉料の支払義務あるものというべく、その額は、前認定の諸事情を総合すると五〇万円が相当である。

右全額を第一審被告会社、同寺畑、同寺畑正が連帯負担し、そのうち、前記一一〇分の一〇である四万五四五四円につき、第一審被告伏木ゆみが二万二七二七円、同伏木洋子、同實が各一万一三六三円の割合で前三者と連帯負担し、これを第一審原告に支払う義務があるというべきである。すると、昭和四四年六月二七日から年五万円の割合による慰藉料の支払を求める第一審原告の請求は、そのうち一〇年分五〇万円の限度で理由があるが、右以上は理由がない。

七不当抗争による損害賠償請求について

当裁判所も右請求は理由がないと判断するところ、その理由は原判決四九枚目裏六行目から同五〇枚目表一行目までの理由説示と同じであるからこれを引用する。

八弁護士費用について

前記認定のとおり、第一審被告会社及び同寺畑、同寺畑正は、不法行為に基づく損害賠償義務があり、これと相当因果関係ある第一審原告に要した弁護士費用の相当額を負担すべき義務が存するところ、前記認定事実及び弁論の全趣旨によれば、第一審原告は、第一審原告訴訟代理人に前記仮処分の申請手続及び本訴の提起追行を委任し、仮処分費用として一〇万円、本訴の着手金として一五万円を各支払い、その成功報酬として一五万円合計四〇万円を支払うことを約したことが認められる。

そして、本件事案の内容、審理過程等に照らすと、右費用はいずれも右第一審被告らの不法行為と相当因果関係ある支出と認められるから、第一審被告会社、同寺畑、同寺畑正は連帯して右四〇万円を支払う義務があり、第一審原告の請求は理由がある。

第三結論

以上によれば、第一審原告の第一審被告知事に対する訴えは不適法であるから却下すべく、第一審被告寺畑正に対する境界確定請求はその請求のとおり確定するのが相当であり、土地崩壊予防請求、崩壊道路復旧請求はいずれも理由なく棄却すべきであり、その余の請求は結局別紙支払額明細表記載の限度で理由があり、右限度を超える部分は失当である。よつて、第一審原告の第一審被告知事に対する控訴を棄却し、その余の第一審被告に対する控訴に基づき、原判決主文第二項1及び2、第三項2及び3を変更し、第一審被告寺畑、同寺畑正両名の本件控訴を棄却することとし、訴訟費用の負担につき民訴法九六条、九五条、八九条、九二条、九三条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官井上孝一 裁判官紙浦健二 裁判官森髙重久)

別紙第一目録

(甲 地)

富山県高岡市伏木一宮霜浦一五番

一、畑 四、四二六平方メートル

(乙 地)

同県同市伏木一宮霜浦一六番

一、山 林 一、五三三平方メートル

同 所一七番

一、山 林 二〇、六二七平方メートル

第二目録

一、第一目録記載の甲地の東方に接する同所一七番の土地と甲地の西方に接する同所一四番の土地の間の稜線(境界)にある別紙第二図面記載の朱線部分であつて、白山林道から甲地に通じる長さ約五〇メートル、幅一メートルの道の存在した場所。

第三目録

一、富山県高岡市伏木一宮字霜浦一三番、同一四番、同一六番、同一七番の土地のうち第一目録記載の甲地に接する別紙第二図面記載の斜線部分で示された、掘さくした崖の高さと同じ長さを崖下に直角にのばし、右二直線の頂点をむすぶ斜面(角度四五度)の法面を保持しうる範囲。

境界目録

一、富山県高岡市伏木一宮字霜浦一五番の土地の北及び東側の断崖の附近で、別紙第一図面のイ点(測量基点№.9の空掘の中心より道路に直角に又は三三〇度の方向へ四・一〇メートルの地点である№.10の地点から道路沿いに北東の方向へ四・三五メートルの地点)、ロ点、ハ点、ニ点(測量基点№.5の地点より一〇〇度の方向へ七・〇〇メートルの地点)、ホ点(測量基点№.4の地点より九〇度の方向へ六・九〇メートルの地点)、ヘ点(測量基点№.3の地点より六〇度の方向へ五・〇〇メートルの地点)、ト点(測量基点№.2の地点の空掘の中心より二・〇〇メートル東の地点)を順次直線で結んだ線。

別紙第一図面乃至第四図面<省略>

別紙

支払額明細表

(円)

支払義務者

(A)三陽建設

(B)寺畑勝次郎

(C)寺畑正

(D)伏木ゆみ

(E)伏木洋子

(F)伏木寛

崩壊土地価額 下落

311,850

14,175

7,087

7,087

崩壊による

残地価額   下落

89,517

4,068

2,034

2,034

公道通行不能による

残地価額   下落

179,035

44,758

22,379

22,379

慰 藉 料

500,000

22,727

11,363

11,363

弁護士費用

400,000

0

0

0

合  計

1,480,402

85,728

42,863

42,863

支払態様

(A)(B)(C)(D)

連帯支払分

85,728円

(A)(B)(C)(E)

42,863〃

(A)(B)(C)(F)

42,863〃

(A)(B)(C)

1,308,948〃

合計

1,480,402〃

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