名瀬簡易裁判所 昭和36年(ニ)1号 判決 1961年5月31日
再審原告(原審債務者) 実田照
再審被告(原審債権者) 岩崎産業株式会社
主文
再審原告の訴を却下する。
再審訴訟費用は再審原告の負担とする。
事実並びに理由
再審原告は、当庁昭和三十五年(ト)第五号不動産仮処分命令申請事件について、同事件の仮処分決定に対して異議の申立を為し該異議事件について当裁判所が昭和三十六年四月二十七日言渡した仮処分認可の確定判決に対し再審の訴を提起した。然し乍ら仮処分命令を認可する確定判決に対してはその性質上再審の訴は許されないものである。
即ち再審の訴は係争事件の権利関係につき、最終的に給付を命じ、或は法律関係を確認し、又は法律状態を形成する終局判決、決定命令等が確定した後、民事訴訟法第四百二十条所定の事由ある場合に許されるものである。然し乍ら仮処分命令は右の通り最終的に争ある権利関係を確定するものではない(本件について言えば、係争地が債権者の所有であるとか、債務者の所有であるとかを確認するものでなく、該権利が何れの所有であるかを確認する終局判決の確定する迄係争地に立入り樹木の伐採等を為さしめず現状を保持する為の処分に過ぎない)から、民事訴訟法第四百二十条に所謂確定の終局判決には当らないのである。
よつて本件再審訴状記載のその他の点につき判断を為す迄もなく、本件再審の訴は不適法であり、右欠缺は補正することができない事由に該当するから、民事訴訟法第四百二十三条、第二百二条に則り本件再審の訴は却下すべきものとし、訴訟費用の負担につき同法第八十九条を適用して主文のとおり判決する。
(裁判官 永田武義)