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和歌山地方裁判所 昭和57年(ワ)408号 決定

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【判旨】

(一) 一件記録によれば、原告の本訴請求の要旨は、原告は割賦販売法による割賦購入斡旋業を主たる業務とする株式会社であるが、昭和五四年九月二〇日被告片山一美の委託を受け、同被告が訴外株式会社テイスター(以下単にテイスターという。)より買受けた自動販売機の代金五三万三〇〇〇円のうち金五二万円を同年一〇月二〇日立替え支払つた。同被告は同年九月二〇日原告に対し右立替金及び手数料合計金六四万六四〇円を同年一〇月二七日から昭和五七年三月二七日まで毎月二七日限り金二万一三〇〇円ずつ三〇回に分割して原告に支払う旨約し、被告片山敏は同年九月二〇日被告一美の原告に対する右債務を連帯保証した。ところが被告一美は前期分割金の最終支払期に至るまで全額支払をなさないので、原告は被告両名に対し、立替金とこれに対する遅延損害金の支払を求めているものであること、一方被告らは右事実は大旨認めるものであるか、しかしながら、テイスターの従業員が本件自動販売機の設置に際し、被告一美の知らぬ間に電源コード先端のプラグをはずし、コードの先端を被告両名宅のブレーカーの電源側に直接つなぐという無謀で危険な方法で設置したため、本件自動販売機を使用することは不可能な状況にあること、これはテイスターにおいて著しい債務不履行があり、クレジット会社は実質上商品の売主と同視すべき立場にあるから、被告らは原告に対し本件立替金請求の支払を拒絶しうること、本件自動販売機の売買契約は福井県敦賀市内の被告両名宅において締結され、同所に本件自動販売機が設置されたこと、テイスターは大阪市内に本社を設置しているが、本件の売買契約には奈良営業所が担当したものであること本件立替払の契約は原告の和歌山営業所が担当し、同原告と被告両名との間において作成された契約書(甲第一号証の二)の12項に「契約についての訴訟の必要が生じた場合には当社の本社または各支店、営業所を管轄する裁判所において解決する。」との記載により、和歌山地方裁判所を合意管轄として、本訴提起がなされたこと、以上の事実が認められる。

(二) 右の事実によれば、右管轄の合意は、専属的管轄の合意であると解することはできないので、その合意された管轄裁判所で審理することが合意当事者に著しい損害を生ぜしめ、又は、訴訟の遅滞を避けるために移送することは許されるべきである。

(三) そこで、本件につき福井地方裁判所敦賀支部に移送する必要があるかどうかにつき検討する。

本訴請求における争点は、本件自動販売機の瑕疵にあるところ、その瑕疵の程度によつては、信義誠実の原則によりその瑕疵を理由として、被告らは信販会社である原告に対し、本件立替払金の支払を拒絶することができると解される。

ところで、本件証拠調べの中心は、本件自動販売機の設置方法と、それによる販売機の性能等にならざるをえず、そのためには、被告両名宅に設置されている自動販売機の設置状況を検証し、右に関する証人調べ等が予想されるところであるが、テイスターは昭和五六年一〇月二〇日解散し、昭和五七年五月二〇日午前一〇時破産宣告がなされ、テイスターの関係者から証拠資料を得ることは期待できない状況にあること、更に、本件争点からすれば、原告の和歌山営業所の従業員を証人として調べることまで予想されえないことからすると、本件の証拠蒐集はほとんど被告らの住所地でなされることになる。

右事情に本件訴額等を併せ考えると、当庁で審理することは、被告らにとつて著しい損害となるばかりでなく、訴訟の著しい遅滞をきたすものであり、右損害と遅滞を避けるため、本件を被告らの住所地の管轄裁判所に移送するのが相当である。

(来本笑子)

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