和歌山地方裁判所 昭和63年(わ)154号 判決 1988年7月15日
本籍並びに住居
和歌山県有田郡吉備町大字土生一六四番地
柑橘類仲買卸売業
佐々木定良
昭和七年九月一二日生
右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は検察官松原妙子出席のうえ審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人を懲役一年及び罰金一、二〇〇万円に処する。
右罰金を完納することができないときは、金二万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は、和歌山県有田郡吉備町大字土生一六四番地において「太(かねた)共撰の名称で柑橘類仲買卸売業を営むものであるが、所得税を免れようと企て、
第一 昭和五八年分の総合課税の所得金額は二、五九八万一、七八六円、分離課税の長期譲渡所得金額は一、八一九万円で、これに対する所得税は一、一八三万七、一〇〇円であるのにかかわらず、仮名口座を設けて預金するなどしてその所得の一部を秘匿したうえ、同五九年三月一〇日同郡湯浅町大字湯浅二、四三〇番地所在の湯浅税務署長に対し、総合課税の所得金額が一六九万八、六一八円、分離課税の長期譲渡所得金額が六六〇万円で、これに対する所得税額が一二六万四、四〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により所得税一、〇五七万二、七〇〇円を免れ、
第二 昭和五九年の総所得額は二、九二四万九、五七七円で、これに対する所得税額は一、〇四四万八、二〇〇円であるのにかかわらず、仮名口座を設けて預金するなどしてその所得の一部を秘匿したうえ、同六〇年三月一一日前記湯浅税務署長に対し、総所得金額が一九九万九、一五二円で、これに対する所得税額が〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により所得税一、〇四四万八、二〇〇円を免れ、
第三 昭和六〇年の総所得額は七、二〇二万一七五円でこれに対する所得税額は二、九六三万三、七〇〇円であるのにかかわらず、仮名口座を設けて預金するなどしてその所得の一部を秘匿したうえ、同六一年三月一四日前記湯浅税務署長に対し、総所得金額が二一一万八、八四〇円で、これに対する所得税額が三万円である旨の虚偽の所得税確定申告所を提出し、もって不正の行為により所得税二、九六〇万三、七〇〇円を免れ
たものである。
(証拠の標目)
被告人の当公判廷における供述のほか、判示事実全部につき検察官請求にかかる証拠等関係カード記載番号甲七ないし二八、三〇ないし六六、六八ないし七〇、乙二ないし二五、判示第一事実につき同番号甲一、四、二九、六七、判示第二事実につき同番号甲二、五、判示第三事実につき同番号甲三、六と同一であるから、これを引用する。
(法令の適用)
判示各所為
いずれも所得税法二三八条一項(懲役刑と罰金刑各併科)
併合罪の処理
刑法四五条前段、四七条本文、一〇条、四八条二項(懲役刑につき第三の罪の刑に法定加重。罰金刑につき罰金額合算)
換刑処分
同法一八条
懲役刑の執行猶予
同法二五条一項
よって主文のとおり判決する。
(裁判官 佐々木條吉)