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大分地方裁判所中津支部 平成24年(ワ)80号 判決 2013年3月15日

原告

同訴訟代理人弁護士

玉木正明

根岸秀世

同訴訟復代理人弁護士

武内庸泰

被告

中津市

同代表者市長

同訴訟代理人弁護士

神本博志

主文

1  原告の請求を棄却する。

2  訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由

第1請求

被告は、原告に対し、1092万8632円及びこれに対する平成24年4月8日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

第2事案の概要

1  本件は、被告(平成17年に被告が編入した大分県a郡b村<以下「b村」という。>を含む。以下同じ。)の職員として勤務し退職した原告が、被告に対し、「中津市職員の退職手当に関する条例」(以下「本件条例」という。)による退職手当請求権に基づいて、退職手当1092万8632円及びこれに対する退職した日から1週間経過した日である平成24年4月8日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。

2  前提事実(争いのない事実及び掲記の証拠により容易に認定できる事実)

(1)  原告は、昭和54年4月1日又は昭和56年4月1日(なお、始期については後述のとおり当事者間に争いがある。)に、1年間の任期で被告(b村)の非常勤職員に任用され、以後、平成24年3月31日に退職するまで、毎年1年間の任期で再任用されていた(ただし、平成17年3月1日にb村が中津市に編入された関係で、平成16年度は、平成16年4月1日から平成17年2月末日までの任期で被告(b村)の非常勤職員に任用され、同年3月1日から同年3月末日までの任期で被告(中津市)に任用された。)。

(2)  原告の退職時の月給は、23万3000円であった。

(3)  被告は、以下の内容の本件条例を制定している(証拠<省略>)。

(目的)

第1条 この条例は、職員(地方公営企業等の労働関係に関する法律(昭和27年法律第289号)第3条第4号の職員及び単純な労務に雇用される一般職の職員を除く。)の退職手当に関する事項を定めることを目的とする。

(退職手当の支給)

第2条第1項 この条例の規定による退職手当は、前条に規定する職員のうち、常時勤務に服することを要するもの(地方公務員法(昭和25年法律第261号)第28条の4第1項、第28条の5第1項又は第28条の6第1項若しくは第2項の規定により採用された者を除く。以下「職員」という。)が退職した場合、その者(死亡による退職の場合にはその遺族)に支給する。

第2条第2項 職員以外の者のうち、職員について定められている勤務時間以上勤務した日(法令又は条例若しくはこれに基づく規則により、勤務を要しないこととされ、又は休暇を与えられた日を含む。)が18日以上ある月が引き続いて12月を超えるに至ったもので、その超えるに至った日以後引き続き当該勤務時間により勤務することとされているものは、職員とみなして、この条例(第4条中11年以上25年未満の期間勤続した者の死亡による退職に係る部分以外の部分並びに第5条中公務上の負傷若しくは疾病(以下「傷病」という。)又は死亡による退職に係る部分及び25年以上勤続した者の死亡による退職に係る部分以外の部分を除く。)の規定を適用する。

(自己の都合による退職等の場合の退職手当の基本額)

第3条第1項 次条又は第5条の規定に該当する場合を除くほか、退職した者に対する退職手当の基本額は、退職の日におけるその者の給料月額(給料が日額で定められている者については、給料の日額の21日分に相当する額とし職員が休職、停職、減給その他の事由によりその給料の一部又は全部を支給されない場合においては、これらの事由がないと仮定した場合におけるその者の受けるべき給料月額。以下同じ。)にその者の勤続期間を次の各号に区分して当該各号に掲げる割合を乗じて得た額の合計額とする。

(1)  1年以上10年以下の期間については1年につき 100分の100

(2)  11年以上15年以下の期間については1年につき 100分の110

(3)  16年以上20年以下の期間については、1年につき 100分の160

(4)  21年以上25年以下の期間については、1年につき 100分の200

(5)  26年以上30年以下の期間については、1年につき 100分の160

(6)  31年以上の期間については、1年につき100分の120

3  争点

(1)  本件条例1条の「職員」は特別職の職員を含むか。

(2)  原告は一般職の職員に当たるか。

(3)  原告は本件条例2条2項の適用要件を満たしているか。

(4)  任用期間

4  争点に対する当事者の主張

(1)  争点(1)(本件条例1条の「職員」は特別職の職員を含むか。)について

(原告の主張)

ア 本件条例1条の「職員」は特別職の職員を含む。

イ 特別職であっても、常勤職員(常勤的非常勤職員を含む。)である限り、原則として、本件条例の適用があり、その適用を排除するためには、その旨の明文が必要であると解されているが、そのような明文規定はない。

ウ 本件条例は、地方自治法上の給与条例主義を具体化した条例であるから、特別職であってもその適用がある。

エ 本件条例は、地方公務員の職員の退職手当に関する一般的規定であり、中津市特別職の職員の退職手当に関する条例(以下「特別職退職手当条例」という。)は、市長及び副市長の特殊性にかんがみて支給額を上乗せした特別規定である。

オ 地方公務員法には、常勤的非常勤職員の任用根拠として想定した規定がなく、同じ職種・勤務形態であっても各地方公共団体ごとに、任用根拠が異なっており、一般職と特別職のいずれに分類されるかは偶然の事情によるものであるから、退職手当の受給資格に差異を設ける実質的理由がない。

カ 退職手当制度の趣旨は、賃金の後払い、功労報償及び退職後の生活補償という3つの性格が複合しており、原告のような常勤的非常勤職員は、勤務実態が正規職員と何ら異ならないので、これらの性格が妥当し、本件条例の適用対象になる。

キ 被告は、単純労務職員にも一定の要件の下で退職手当を支給する条例を制定しており、原告のような常勤的非常勤職員は何年間勤務しても、退職手当が一切支給されないとすれば、単純労務職員よりも悪待遇となり、明らかに不均衡である。

(被告の主張)

ア 本件条例1条の「職員」は特別職の職員を含まない。

イ 昭和31年の地方自治法改正により、特別職の職員に対する退職手当の支給については条例上の根拠が必要になったが、被告は、それまで特別職の職員についての退職手当支給のための条例が制定されていなかったため、特別職退職手当条例を制定したものであり、本件条例は、特別職の職員を適用対象としたものではなかったと解すべきである。

また、仮に本件条例が特別職の職員も適用対象として制定されたものであったとしても、本件条例とは別に特別職退職手当条例が制定された以上、その後は、特別職の職員の退職手当の支給は専ら同条例によることになったのは明らかである。

(2)  争点(2)(原告は一般職の職員に当たるか。)について

(原告の主張)

ア 原告は一般職の職員である。

イ 原告は、任用通知書にも記載されているとおり、学校図書館司書であり、cセンター嘱託員ではない。また、中津市非常勤職員の設置及び管理に関する規則(以下「設置等規則」という。)には、地方公務員法3条3項3号の特別職として、学校図書館司書は規定されていない。

ウ 地方公務員法3条3項3号の特別職とは、①生活を維持するために公務に就くのではなく、②特定の場合に、一定の学識経験などに基づいて、随時地方自治体の業務に参画する者の職であり、③その担当する職務が厳格な指揮命令系統の中で行われることが予定されておらず、④当該公務のほかに職務を有しており、⑤公務のため使用する時間が短時間・短期間であることの諸要素を総合的に考慮して判断すべきである。

そして、これを原告についてみれば、原告の職務は、①勤務日数、勤務時間、給与の額に照らして、生活を維持するために公務に就いていたものであり、②33年にわたり、同校の常勤職員と同一の勤務をしていたのであって、業務に常時参画していたことも明らかで、③校長の監督下に業務を行ってきたのであるから、厳格な指揮命令系統の中で職務を行っており、④当該公務のほかに職務を有しているのが通常とはいえず、⑤公務のために使用する時間が短時間・短期間とはいえないから、地方公務員法3条3項3号の特別職には当たらないというべきである。

したがって、cセンター嘱託員を特別職とする設置等規則は、地方公務員法に違反するものとして、無効である。

(被告の主張)

ア 原告は特別職の職員である。

イ 被告は、任用通知書にも明記されているとおり、あらかじめ原告に対して、地方公務員法3条3項3号に基づくものであることを明示して、cセンター嘱託員として任用していたもので、設置等規則においても、同職を特別職として規定している。

ウ 職務の性質が恒常的な者であるとか、勤務実態が一般職の職員と同様であることから直ちに一般職であるとすることはできない。かえって、原告の任用については競争試験がなされておらず、待遇も報酬及び費用弁償のみ支給され、地方自治法204条2項所定の手当も一切支給されないのであって(証拠<省略>)、一般職とは相容れない。

(3)  争点(3)(原告は本件条例2条2項の適用要件を満たしているか。)について

(原告の主張)

本件条例2条2項の「12月を超える」とは、雇用関係が法的に継続している場合に限られず、雇用関係が事実上継続していれば足り、原告はその要件を具備している。

コンメンタール退職手当条例案(証拠<省略>)によれば、本件条例2条2項の趣旨は、常勤的非常勤職員に対しても、常勤職員との均衡上必要な範囲内で退職手当を支給することとしたとされている。

総務大臣通達(証拠<省略>)によれば、国家公務員退職手当法等における常勤的非常勤職員は、雇用関係が事実上継続していると認められる場合と規定している。

地方公務員災害補償法における常勤的非常勤職員の要件についても「雇用関係が事実上継続していると認められる場合」(証拠<省略>)とされている。

(被告の主張)

原告は、単年度任用を繰り返されてきたのであり、再任用は当然されるものではなく、任命権者による判断に基づいて新たな任命行為を行うものであるから、本件条例2条2項の「12月を超える」の要件を満たさない。

(4)  争点(4)(任用期間)について

(原告の主張)

原告の任用期間は、昭和54年4月1日から平成24年3月31日である。

(被告の主張)

原告の任用期間は、昭和56年4月1日から平成24年3月31日である。

第3当裁判所の判断

1  争点(1)(本件条例1条の「職員」に特別職が含まれるか)について

(1)  証拠<省略>及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。

ア 被告は、昭和28年9月10日に自治庁が示した地方公務員の職員の退職手当に関する条例案(以下「本件条例案」という。)を参考にして、同年12月23日、ほぼ同一の内容の本件条例を制定した(証拠<省略>、弁論の全趣旨)。

本件条例案においては、その対象とする「職員」には、一般職の職員のみならず、特別職の職員も含まれるものとされているが(行実昭和41.4.1自治給発第32号)、一般職の職員の退職手当に関する条例とは別個に、特別職の職員の退職手当に関する条例を定めることは差し支えないと解されている(証拠<省略>)。

イ 被告は、昭和31年の地方自治法の一部改正(同法204条の2の新設)によって、給与以外の給付にも法律又は条例の根拠が必要になったことに伴い、特別職の職員の退職手当について、一般職の職員の退職手当とは別個に単独条例として制定することとし、昭和31年12月22日、以下の内容の特別職退職手当条例を制定した(証拠<省略>)。

(目的)

第一条 この条例は中津市特別職の職員(以下「職員」という)の退職手当の支給に関し必要な事項を定めることを目的とする

(適用範囲)

第二条 この条例は左に掲げる職員が退職した場合にはその者死亡した場合にはその遺族に支給する

一 市長

二 助役

三 収入役

(退職手当の額)

第三条 退職手当の額は職員が退職し又は死亡した当時の給料年額の五割以内の範囲において市長が定めた金額に在職年数を乗じて得た金額とする

(他の条例の準用)

第四条 この条例に規定するものの外退職手当の取扱については中津市職員の退職手当に関する条例(昭和二十八年条例第三十五号)を準用する

ウ 特別職退職手当条例は、昭和42年6月1日及び平成19年3月26日に改正され、次のとおり規定されている(証拠<省略>)。

(目的)

第1条 この条例は、中津市特別職の職員(以下「職員」という。)の退職手当の支給に関し必要な事項を定めることを目的とする。

(適用範囲)

第2条 この条例は、次に掲げる職員が退職した場合にはその者死亡した場合にはその遺族に支給する。

(1)  市長

(2)  副市長

(退職手当の額等)

第3条 退職手当の額は、職員が退職又は死亡した当時の給料月額に在職月数を乗じて得た額に次に定める割合を乗じて得た額とする。

(1)  市長 100分の50

(2)  副市長 100分の40

2  前項の在職月数は、特別職に就任した日の属する月から退職又は死亡した日の属する月までを計算する。ただし、退職した日の属する月に再び特別職に就任したときは、その翌月からこれを起算する。

3  一般職の職員から引き続き特別職の常勤職員となったときは、特別職に就任した日の属する前月をもって一般職の職員を退職したものとみなし、在職月数は通算しない。

(他の条例の準用)

第4条 この条例に規定するもののほか退職手当の取扱については中津市職員の退職手当に関する条例(昭和28年中津市条例第35号)を準用する。

(2) 以上の事実に照らして検討するに、本件条例は、適用対象となる「職員」について一般職の職員と特別職の職員とを区別しておらず、また、本件条例が参考にする本件条例案では、適用対象となる「職員」には一般職の職員のみならず、特別職の職員も含まれると解されていることからすると、本件条例の適用対象となる職員には特別職の職員も含まれると解する余地がないとはいえない。

しかしながら、一般職の職員に対する退職手当の支給根拠となっていたのが本件条例であったことは明らかであるところ、上記(1)イのとおり、特別職の職員に退職手当を支給するための条例上の根拠が必要になったことを理由に、本件条例とは別個の単独条例として特別職退職手当条例が制定されたものであること、同条例1条は「特別職の職員の退職手当の支給に関し必要な事項を定めることを目的」とするとし、特別職の職員全体を対象としていること、また、同条例が制定された当時、非常勤の特別職の職員には退職手当が支給されていなかったことがうかがわれるが、このことは同条例が特別職の職員全体を対象としつつ、市長等の常勤の特別職の職員のみに退職手当を支給し、他方、非常勤の特別職の職員には退職手当を支給しないとすることとも整合すること、さらに、本件条例案でも、一般職の職員の退職手当に関する条例とは別個に、特別職の職員の退職手当に関する条例を定めることは差し支えないと解されていることなどからすると、特別職退職手当条例は、特別職の職員全体に対する退職手当に関する条例として創設されたというべきであり、同条例の成立により、特別職の職員に本件条例が適用される余地はなくなったと解するのが相当である。

被告は、同条例は、市長等の特殊性にかんがみた支給額の上乗せ規定である旨主張するが、そのように解すべき的確な根拠はなく、その他原告が指摘する退職手当の趣旨や単純労務職員との均衡についても上記認定を左右する事情とはいえない。

以上によれば、本件条例1条の「職員」とは一般職の職員をいい、特別職の職員を含まないというべきである。

2  争点(2)(原告は一般職の職員に当たるか。)について

(1)  後掲証拠及び弁論の全趣旨によれば次の事実が認められる(なお、当事者間に争いのない事実も摘示する。)。

ア 原告は、昭和49年3月に大学を卒業するとともに、中学校教諭1級普通免許(社会科)、高等学校教諭2級普通免許(社会科)及び図書館司書の資格を取得し、昭和56年8月には司書教諭の資格を取得した(当事者間に争いがない。)。

イ 原告は、初回の任用時から退職に至るまで、被告の設置するd中学校の学校図書館の司書のみに従事し、勤務日数及び勤務時間は同校の常勤職員と同一であった(当事者間に争いがない。)。

ウ 原告は、b村が中津市に編入されるまでの間は、単年度ごとに被告(b村)からb村教育委員会嘱託雇用職員、嘱託学校司書又はb村嘱託職員などの名称で任命され、その編入後は、被告(中津市)から、地方公務員法3条3項3号の非常勤嘱託職員として、cセンターを勤務課とする旨の任用通知を受けていた(証拠<省略>)。

エ 被告が定めている設置等規則では、「cセンター嘱託員」は地方公務員法3条3項3号の特別職非常勤職員とされている(証拠<省略>)。

(2)  上記事実に照らして検討するに、原告が一般職の職員に当たるかどうかは、原告が地方公務員法3条3項3号の「臨時又は非常勤の顧問、参与、調査員、嘱託員及びこれらの者に準ずる者の職」に該当するかどうかによって決まるところ、同号の趣旨は、一定の学識、知識、経験、技能等に基づいて、随時、地方公共団体の業務に参画する者については、その特殊性にかんがみ、競争試験(同法17条)や職階性(同法23条)などを定める地方公務員法の一般的規定の適用を受けない特別職として任用、処遇することを認めたものと解される。そうすると、ある職員が同号に定める特別職に該当するか否かは、その職務内容、任命権者の意思、勤務態様等を総合して判断すべきである。

これをまず原告の職務内容についてみるに、学校図書館は、図書などの学校教育に必要な資料を収集、整理、保存し、これを生徒及び教員の利用に供することによって、学校の教育課程の展開に寄与するとともに、生徒の健全な教養を育成することを目的として設けられているところ(学校図書館法2条)、その勤務する職員の職務内容には、図書館資料の選択、分類、整理、目録作成、参考調査、貸出業務など専門的側面を有するものが含まれている。そして、原告は、その学校図書館司書としての勤務を命じられていたのであるから、その職務内容はかかる専門的内容に携わるものであったと認められ(証拠<省略>)、一定の学職、技能等を必要とするものであったということができる。

また、任命権者の意思について検討すると、上記(1)ウ及びエによれば、被告(中津市)は、地方公務員法3条3項3号の職員に該当するとの扱いをしているcセンター嘱託員として、原告を任用していたと認められる上、その具体的な任用判断としても、一般職の職員の任用として必要となる選考試験等が実施された事実は証拠上うかがわれず、原告が教員免許及び図書館司書の資格を有していたことなどから判断される図書館司書業務に関する学職等を基準に任用がなされ、その後に原告が司書教諭の資格を取得したことや、その後の図書館司書としての経験、技能等に基づいて再任用されていたものと考えられる。

さらに、その勤務実態についてみれば、勤務日数及び勤務時間の点で、他の常勤職員と同一である上、校長による監督を受ける立場にあり(証拠<省略>)、勤務成績が良くない場合には、市長によって解任される場合があるとされている(証拠<省略>。設置等規則11条)など、一般職の職員と共通するところがあると認められるものの、勤務実態のみから、臨時又は非常勤の嘱託員として任用することが禁止されるものとまではいえないから、これらの事情によって、直ちに原告が一般職の職員と認められるものではない。

以上の事情を総合的に考慮すると、原告は、一定の学識、知識、経験、技能等を有し、これらの学識等を要する職務に任命され、任用通知や規則において、特別職の職員としての扱いを受けていたのであって、その勤務実態に一般職の職員と共通する側面があったことにかんがみても、原告が、一定の学職、知識、経験、技能等に基づいて、随時、地方公共団体の業務に参画する者ではないとはいえず、一般職の職員に該当するとは認められない。

3  前記1及び2で判断したところによれば、原告は本件条例の適用を受ける「職員」(同条例1条)には当たらないから、その余の争点について判断するまでもなく、原告の請求は理由がない。

第4結論

よって、原告の請求を棄却することとし、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 右田晃一 裁判官 甲斐雄次 裁判官 石本慧)

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