大津地方裁判所 事件番号不詳 判決
右被告人大堀省三に対する臨時物資需給調整法(指定生産資材在庫調整規則)違反、物価統制令違反、所得税法違反、被告人汎商社に対する物価統制令違反被告事件に付当裁判所は検事藤原正雄関與審理を遂げ左の通り判決する。
主文
被告人大堀省三を懲役八月及罰金五十万円に処する。
右罰金を完納する事が出来ない時は五百日間労役場に留置する。
訴訟費用中証人寺村滋に支給した旅費日当は同被告人の負担とする。
被告人汎商社に対する物価統制令違反の点は無罪。
理由
被告人大堀省三は大津市葭原町十四番地に於て紙製品の製造並印刷業を営むものであるが
第一
第二}(省略)
第三 昭和二十三年一月三十日大津税務署に対し所得税法第二十六條に基く確定申告書を提出した際昭和二十二年中に於ける被告人個人所得は純益四十一万円を下らないのに拘らず所得税を免れる目的で該申告書に自己の給與所得及不動産所得等合計八万百五十円と記載して虚僞の申告をして右真実の所得額に相当する所得税の一部を免れたものである。
右の事実は被告人の当公廷に於ける判示同旨の供述により之を認める。
法律に照すと被告人の判示(第一第二の所為は省略)第三の所為は所得税法第二十六條第一項第六十九條第一項に夫々該当するから右第一、第三の罪については各所定刑中罰金刑を選択し第二の罪については情状に因り物価統制令第三十六條に則り懲役刑及罰金刑を併科することとし以上三罪は刑法第四十五條前段の併合罪であるから同法第四十八條を適用した上被告人を懲役八月及罰金五十万円に処し右罰金を完納することが出来ない時は刑法第十八條第一項により五百日間労役場に留置すべく訴訟費用中証人寺村滋に支給した旅費日当は刑事訴訟法第二百三十七條第一項に依り被告人省三をして負担せしむべきものとする。
大堀省三が被告人汎商社の代表者として昭和二十二年八月二十七日頃より同年十月八日頃迄の間六回に亘り大津市馬場共栄板紙株式会社事務所に於て同会社より板紙カード第二十一号三百七十二連半を卸売統制額より一連当り金千四百三十四円四十銭合計金五十三万四千三百十四円を超過せる代金合計百六十万八千六百二十八円で買受ける契約をしたとの公訴事実に付いては証拠調の結果共栄板紙株式会社が商工省より許可を受けておる一貫作業をする為印刷機の設備ある汎商社に原紙を提供して加工を委託して前記板紙カード三百七十二連半汎商社に渡したもので板紙の売買でないと見るのを相当とするから物価統制令違反罪は成立しないものと認める。従つて右の公訴事実に付いては刑事訴訟法第三百六十二條に則り汎商社に対し無罪の言渡を為すべきものである。
仍て主文の通り判決する。
(判事 小久保義憲)