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大津地方裁判所 平成18年(ワ)385号 判決 2007年6月29日

原告

滋賀県信用保証協会

同代表者理事

同訴訟代理人弁護士

森田雅之

第385号事件被告

Y1

第831号事件被告

Y2

上記両名訴訟代理人弁護士

宮川清

主文

1  原告の請求をいずれも棄却する。

2  訴訟費用は、原告の負担とする。

事実及び理由

第1当事者の求めた裁判

1  請求の趣旨

(1)  第385号事件

ア 被告Y1(以下、「Y1」という。)は、原告に対し、4901万9079円及び内1178万5224円に対する平成13年8月1日から完済まで年18.25パーセントの割合(年365日の日割計算)による金員を支払え。

イ Y1は、原告に対し、1296万2899円及び内286万2730円に対する平成13年8月1日から完済まで年18.25パーセントの割合(年365日の日割計算)による金員を支払え。

ウ 訴訟費用はY1の負担とする。

エ 仮執行宣言

(2)  第831号事件

ア 被告Y2(以下、「Y2」という。)は、原告に対し、4901万9079円及び内1178万5224円に対する平成13年8月1日から完済まで年18.25パーセントの割合(年365日の日割計算)による金員を支払え。

イ Y2は、原告に対し、1296万2899円及び内286万2730円に対する平成13年8月1日より完済まで年18.25パーセントの割合(年365日の日割計算)による金員を支払え。

ウ 訴訟費用はY2の負担とする。

エ 仮執行宣言

2  請求の趣旨に対する答弁

(1)  Y1

ア 原告の請求を棄却する。

イ 訴訟費用は原告の負担とする。

(2)  Y2

ア 原告の請求を棄却する。

イ 訴訟費用は原告の負担とする。

第2当事者の主張

1  請求原因

(1)  Y1に対して

ア 昭和57年4月26日付信用保証委託契約について

(ア) 訴外湖東信用金庫は、訴外Bに対し、昭和57年5月7日、以下の約定で1500万円を貸し付けた。

・弁済期 昭和57年6月30日から毎月末に20万円ずつ分割弁済

ただし、各弁済期が経過した時には、訴外Bは期限の利益を失い、残額全部についての弁済期が経過したものとする。

・利息 年8.6パーセント

(イ) 訴外Bは、原告に対し、平成57年4月26日、上記(ア)の借入れにつき、原告が代位弁済をしたときは代位弁済額に対する弁済の日の翌日から年18.25パーセントの割合(年365日の日割計算とする。以下同じ)による損害金を支払うとの約定で信用保証の委託をした。

(ウ) 原告は、訴外湖東信用金庫との間で、昭和57年5月6日、上記(イ)の信用保証委託契約に基づき、上記(ア)の債務を信用保証するとの合意をした。

(エ) 原告は、訴外湖東信用金庫に対し、昭和60年5月24日、上記(ウ)の信用保証債務につき、1360万3134円を弁済した。

(オ) Y1は、原告との間で、昭和57年4月26日、上記(イ)の信用保証委託契約に基づく求償債務を保証するとの合意をした。

(カ) よって、原告は、被告に対し、上記(オ)の保証契約に基づき1360万3134円及びこれに対する代位弁済の日の翌日である昭和60年5月25日から支払済みまで年18.25パーセントの割合による金員のうち請求の趣旨(1)アに記載の範囲の金員の支払を求める。

イ 昭和57年4月26日付信用保証委託契約について(代理)

(ア) 上記ア(ア)ないし(エ)と同じ

(イ) Y2は、原告との間で、昭和57年4月26日、上記(ア)の求償債務を保証するとの合意をした。

(ウ) 上記(イ)の際、Y2は、署名代理により、Y1のためにすることを示した。

(エ) Y1は、Y2に対し、上記(イ)について代理権を授与した。

(オ) よって、原告は、Y1に対し、上記(イ)の保証契約に基づき1360万円3134円及びこれに対する代位弁済の日の翌日である昭和60年5月25日から支払済みまで年18.25パーセントの割合による金員のうち請求の趣旨(1)アに記載の範囲の金員の支払を求める。

ウ 昭和57年4月26日付信用保証委託契約について(法定追認)

(ア) 上記ア(ア)ないし(エ)と同じ

(イ) Y2は、原告との間で、昭和57年4月26日、上記(ア)の求償債務を保証するとの合意をした。

(ウ) 上記(イ)の際、Y2は、署名代理により、Y1のためにすることを示した。

(エ) Y1は、原告に対し、上記(イ)の保証債務の履行として、平成9年4月30日に3万円を、平成11年7月26日に2万円を支払った。

(オ) よって、原告は、Y1に対し、上記(イ)の保証契約に基づき1360万3134円及びこれに対する代位弁済の日の翌日である昭和60年5月25日から支払済みまで年18.25パーセントの割合による金員のうち請求の趣旨(1)アに記載の範囲の金員の支払を求める。

エ 昭和58年3月31日付信用保証委託契約について

(ア) 訴外株式会社滋賀銀行は、訴外Bに対し、昭和58年4月9日、以下の約定で500万円を貸し付けた。

・弁済期 昭和58年4月30日から毎月末に14万円ずつ、最終弁済期日に10万円の分割弁済

ただし、各弁済期が経過した時には、訴外Bは期限の利益を失い、残額全部についての弁済期が経過したものとする。

・利息 年8.0パーセント

(イ) 訴外Bは、原告に対し、平成58年3月31日、上記(ア)の借入れにつき、原告が代位弁済をしたときは代位弁済額に対する弁済の日の翌日から年18.25パーセントの割合による損害金を支払うとの約定で信用保証の委託をした。

(ウ) 原告は、訴外株式会社滋賀銀行との間で、昭和58年4月7日、上記(イ)の信用保証委託契約に基づき、上記(ア)の債務を信用保証するとの合意をした。

(エ) 原告は、訴外株式会社滋賀銀行に対し、昭和60年5月24日、上記(ウ)の信用保証債務につき、425万円9283円を弁済した。

(オ) Y1は、原告との間で、昭和58年3月31日、上記(イ)の信用保証委託契約に基づく求償債務を保証するとの合意をした。

(カ) よって、原告は、Y1に対し、上記(オ)の保証契約に基づき425万9283円及びこれに対する代位弁済の日の翌日である昭和60年5月25日から支払済みまで年18.25パーセントの割合による金員のうち請求の趣旨(1)イに記載の範囲の金員の支払を求める。

オ 昭和58年3月31日付信用保証委託契約について(代理)

(ア) 上記エ(ア)ないし(エ)と同じ

(イ) Y2は原告との間で、昭和58年3月31日、上記(ア)の求償債務を保証するとの合意をした。

(ウ) 上記(イ)の際、Y2は、署名代理により、Y1のためにすることを示した。

(エ) Y1は、Y2に対し、上記(イ)について代理権を授与した。

(オ) よって、原告は、Y1に対し、上記(イ)の保証契約に基づき425万9283円及びこれに対する代位弁済の日の翌日である昭和60年5月25日から支払済みまで年18.25パーセントの割合による金員のうち請求の趣旨(2)イに記載の範囲の金員の支払を求める。

カ 昭和58年3月31日付信用保証委託契約について(法定追認)

(ア) 上記エ(ア)ないし(エ)と同じ

(イ) Y2は原告との間で、昭和58年3月31日、上記(ア)の求償債務を保証するとの合意をした。

(ウ) 上記(イ)の際、Y2は、署名代理により、Y1のためにすることを示した。

(エ) Y1は、原告に対し、上記(イ)の保証債務の履行として、平成9年4月30日に3万円を、平成11年7月26日に2万円を支払った。

(オ) よって、原告は、Y1に対し、上記(イ)の保証契約に基づき425万9283円及びこれに対する代位弁済の日の翌日である昭和60年5月25日から支払済みまで年18.25パーセントの割合による金員のうち請求の趣旨(2)イに記載の範囲の金員の支払を求める。

(2)  Y2に対して

ア 昭和57年4月26日付信用保証委託契約について

(ア) 上記(1)ア(ア)と同じ

(イ) 上記(1)ア(イ)ないし(エ)と同じ

(ウ) Y2は、原告との間で、昭和57年4月26日、上記(イ)の信用保証委託契約に基づく求償債務を保証するとの合意をした。

(エ) 上記(ウ)の際、Y2は、署名代理により、Y1のためにすることを示した。

(オ) よって、原告は、Y2に対し、無権代理人に対する履行請求として1360万3134円及びこれに対する代位弁済の日の翌日である昭和60年5月25日から支払済みまで年18.25パーセントの割合による金員のうち請求の趣旨(2)アに記載の範囲の金員の支払を求める。

イ 昭和58年3月31日付信用保証委託契約について

(ア) 上記(1)エ(ア)と同じ

(イ) 上記(1)エ(イ)ないし(エ)と同じ

(ウ) Y2は原告との間で、昭和58年3月31日、上記(イ)の信用保証委託契約に基づく求償債務を保証するとの合意をした。

(エ) 上記(ウ)の際、Y2は、署名代理により、Y1のためにすることを示した。

(オ) よって、原告は、Y2に対し、無権代理人に対する履行請求として425万9283円及びこれに対する代位弁済の日の翌日である昭和60年5月25日から支払済みまで年18.25パーセントの割合による金員のうち請求の趣旨(2)イに記載の範囲の金員の支払を求める。

2  請求原因に対する認否

(1)  Y1の認否

ア 請求原因アについて

(ア) 請求原因(ア)ないし(エ)は不知。

(イ) 請求原因(オ)は否認する。

イ 請求原因イについて(代理)

(ア) 請求原因(ア)は不知。

(イ) 請求原因(イ)及び(ウ)は認める。

(ウ) 請求原因(エ)は否認する。

ウ 請求原因ウについて(法定追認)

(ア) 請求原因(ア)は不知。

(イ) 請求原因(イ)及び(ウ)は認める。

(ウ) 請求原因(エ)は否認する。

エ 請求原因エについて

(ア) 請求原因(ア)ないし(エ)は不知。

(イ) 請求原因(オ)は否認する。

オ 請求原因オについて(代理)

(ア) 請求原因(ア)は不知。

(イ) 請求原因(イ)及び(ウ)は認める。

(ウ) 請求原因(エ)は否認する。

カ 請求原因カについて(法定追認)

(ア) 請求原因(ア)は不知。

(イ) 請求原因(イ)及び(ウ)は認める。

(ウ) 請求原因(エ)は否認する。

(2)  Y2の認否

ア 請求原因アについて

(ア) 請求原因(ア)は認める。

(イ) 請求原因(イ)は不知。

(ウ) 請求原因(ウ)及び(エ)は認める。

イ 請求原因イについて

(ア) 請求原因(ア)は認める。

(イ) 請求原因(イ)は不知。

(ウ) 請求原因(ウ)及び(エ)は認める。

3  抗弁

(1)  過失の評価根拠事実(請求原因(2)アに対して)

ア 原告は、請求原因(2)ア(ウ)の当時、金銭債務の保証を専門業務とする団体であった。

イ 請求原因(2)ア(ウ)の際に提出された昭和57年4月26日付信用保証委託契約書(《証拠省略》)の訴外B、Y1、訴外Cの署名の筆跡が同一人の筆跡である。

ウ 原告は、請求原因(2)ア(ウ)の後、Y1に面談したり、電話をしたり、書面を送ったりする等して、保証意思があるか確認をしていない。

(2)  過失の評価根拠事実(請求原因(2)イに対して)

ア 原告は、請求原因(2)イ(ウ)の当時、金銭債務の保証を専門業務とする団体であった。

イ 昭和57年4月26日付信用保証委託契約書(《証拠省略》)訴外B、Y1、訴外Cの署名の筆跡と請求原因(2)イ(ウ)の際に提出された昭和58年3月31日付信用保証委託契約書(《証拠省略》)のY1の署名の筆跡が同一人の筆跡である。

ウ 原告は、請求原因(2)イ(ウ)の後、Y1に面談したり、電話をしたり、書面を送ったりする等して、保証意思があるか確認をしていない。

4  抗弁に対する認否

(1)  抗弁(1)に対して

ア 抗弁ア及びウは認める。

イ 抗弁イは不知。

(2)  抗弁(2)に対して

ア 抗弁ア及びウは認める。

イ 抗弁イは不知。

5  再抗弁

(1)  過失の評価障害事実(抗弁(1)に対して)

ア 昭和57年4月26日付信用保証委託契約書(《証拠省略》)には、Y1の実印が押捺されていた。

イ 原告は、上記アの事実をY1の印鑑証明書(《証拠省略》)により確認した。

(2)  過失の評価障害事実(抗弁(2)に対して)

ア 昭和58年3月31日付信用保証委託契約書(《証拠省略》)には、Y1の実印が押捺されていた。

イ 原告は、上記アの事実をY1の印鑑証明書(《証拠省略》)により確認した。

6  再抗弁に対する認否

(1)  再抗弁(1)に対して

ア 再抗弁アは認める。

イ 再抗弁イは不知。

(2)  再抗弁(2)に対して

ア 再抗弁アは認める。

イ 再抗弁イは不知。

理由

1  Y1に対する請求について

(1)  請求原因アについて

ア  請求原因(ア)について

《証拠省略》により真正に成立したものと認められる《証拠省略》によれば、請求原因(ア)の事実が認められる。

イ  請求原因(イ)について

《証拠省略》により訴外Bの作成部分について真正に成立したものと認められる《証拠省略》によれば、請求原因(イ)の事実が認められる。

ウ  請求原因(ウ)について

弁論の全趣旨により真正に成立したものと認められる《証拠省略》によれば、請求原因(ウ)の事実が認められる。

エ  請求原因(エ)について

弁論の全趣旨により真正に成立したものと認められる《証拠省略》によれば、請求原因(エ)の事実が認められる。

オ  請求原因(オ)について

《証拠省略》、Y2及びY1の本人尋問の結果によれば、《証拠省略》のY1の住所、氏名の署名及び押印は、Y1に無断でY2によってなされたことが認められ、同号証は真正に成立したことを認められないから、採用することはできず、他に請求原因(オ)の事実を認めるに足りる証拠はない。

(2)  請求原因イについて(代理)

ア  請求原因(ア)について

請求原因(ア)の事実が認められるのは、前記(1)の通りである。

イ  請求原因(イ)及び(ウ)は当事者間に争いがない。

ウ  請求原因(エ)について

請求原因(エ)の事実を認めるに足りる証拠はない。

(3)  請求原因ウについて(法定追認)

ア  請求原因(ア)について

請求原因(ア)はの事実が認められるのは、前記(1)の通りである。

イ  請求原因(イ)及び(ウ)は当事者間に争いがない。

ウ  請求原因(エ)について

《証拠省略》、Y2及びY1の本人尋問の結果によれば、原告への平成9年4月30日の3万円の支払及び平成11年7月26日の2万円の支払(《証拠省略》)は、Y2がY1に無断で同人の名で行ったものであるとの事実が認められ、請求原因(エ)の事実を認めるに足りる証拠はない。

(4)  請求原因エについて

ア  請求原因(ア)について

《証拠省略》により訴外Bの作成部分について真正に成立したものと認められる《証拠省略》によれば、請求原因(ア)の事実が認められる。

イ  請求原因(イ)について

《証拠省略》により訴外Bの作成部分について真正に成立したものと認められる《証拠省略》によれば、請求原因(イ)の事実が認められる。

ウ  請求原因(ウ)について

弁論の全趣旨により真正に成立したものと認められる《証拠省略》によれば、請求原因(ウ)の事実が認められる。

エ  請求原因(エ)について

弁論の全趣旨により真正に成立したものと認められる《証拠省略》によれば、請求原因(エ)の事実が認められる。

オ  請求原因(オ)について

《証拠省略》、Y2及びY1の本人尋問の結果によれば、《証拠省略》のY1の住所、氏名の署名及び押印は、Y1に無断でY2によってなされ、同号証は真正に成立したことを認められないから、採用することはできず、他に請求原因(オ)の事実を認めるに足りる証拠はない。

(5)  請求原因オについて(代理)

ア  請求原因(ア)について

請求原因(ア)の事実が認められるのは、上記(1)の通りである。

イ  請求原因(イ)及び(ウ)は当事者間に争いがない。

ウ  請求原因(エ)について

請求原因(エ)の事実を認めるに足りる証拠はない。

(6)  請求原因カについて(法定追認)

ア  請求原因(ア)について

請求原因(ア)の事実が認められるのは、上記(1)の通りである。

イ  請求原因(イ)及び(ウ)は当事者間に争いがない。

ウ  請求原因(エ)について

上記(3)ウの通り、原告への平成9年4月30日の30000万円の支払及び平成11年7月26日の20000万円の支払(《証拠省略》)は、Y2がY1に無断で同人の名で行ったものであるとの事実が認められ、請求原因(エ)の事実を認めるに足りる証拠はない。

2  Y2に対する請求について

(1)  請求原因アについて

ア  請求原因(ア)は当事者間に争いがない。

イ  請求原因(イ)について

上記1(1)イないしエの通り、請求原因(イ)は認められる。

ウ  請求原因(ウ)及び(エ)は当事者間に争いがない。

(2)  請求原因イについて

ア  請求原因(ア)は当事者間に争いがない。

イ  請求原因(イ)について

上記1(3)イないしエの通り、請求原因(イ)は認められる。

ウ  請求原因(ウ)及び(エ)は当事者間に争いがない。

(3)  過失

ア  抗弁(1)について

(ア) 抗弁ア及びウは当事者間に争いがない。

(イ) 抗弁イについて

《証拠省略》、Y2の本人尋問の結果によれば、《証拠省略》の訴外B、Y1、訴外Cの住所、氏名の署名は、Y2によってなされたことが認められるから、抗弁イの事実が認められる。

イ  抗弁(2)について

(ア) 抗弁ア及びウは当事者間に争いがない。

(イ) 抗弁イについて

《証拠省略》の訴外B、Y1、訴外Cの住所、氏名の署名が、Y2によってなされたと認められることは、上記ア(イ)の通りである。

また、《証拠省略》、Y2の本人尋問の結果によれば、《証拠省略》のY1の住所、氏名の署名が、Y2によってなされたことが認められる。

したがって、抗弁イの事実は認められる。

ウ  再抗弁(1)について

(ア) 再抗弁アは当事者間に争いがない。

(イ) 再抗弁イについて

《証拠省略》によれば、Y2が、連帯保証人欄にY1の署名、押印がなされた原告と訴外B間の信用保証委託契約書(《証拠省略》)とともに、Y1の印鑑登録証(《証拠省略》)を添付して訴外湖東信用金庫の職員に手渡したことが認められ、再抗弁イの事実は認められる。

エ  再抗弁(2)に対して

(ア) 再抗弁アは当事者間に争いがない。

(イ) 再抗弁イについて

《証拠省略》によれば、Y2が、連帯保証人欄にY1の署名、押印がなされた原告と訴外B間の信用保証委託契約書(《証拠省略》)とともに、Y1の印鑑登録証(《証拠省略》)を添付して訴外滋賀銀行の職員に手渡したことが認められ、再抗弁イの事実は認められる。

オ  上記事実を総合すると、金銭債務の保証を専門業務とする原告は、単に印鑑登録証明書により信用保証委託契約書にY1の実印が押捺されていることを確認するのみでなく、それがY1の意思に基づくものであることも確認すべき注意義務があるというべきであるところ、原告は、昭和57年付信用保証委託契約締結の際も、昭和58年付信用保証委託契約締結の際も、いずれもY1の保証意思の有無を確認することを怠っており、過失があったと認められる。

3  以上によれば、原告の被告らに対する請求は、いずれも理由がないからこれを棄却することとし、訴訟費用の負担については民事訴訟法61条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 濱谷由紀)

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