大津家庭裁判所 平成21年(少)534号 決定 2010年3月23日
少年
A (平成○.○.○生)
主文
この事件については審判を開始しない。
理由
1 本件送致事実は次のとおりである。
「少年は,平成21年5月17日,滋賀県××市○○町×○○番地○の少年方において,B(平成×年○月×日生,当時16歳)が18歳に満たない青少年であることを知りながら,自己の性欲を満たすため,同人と性交し,もって青少年に対していん行をしたものである。」
2 ところで,滋賀県青少年の健全育成に関する条例(以下「本件条例」という。)24条1項には「何人も,青少年に対していん行またはわいせつな行為をしてはならない。」と規定され,本件条例27条1項には「第24条第1項の規定に違反した者は,1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処する。」と規定されているものの,本件条例29条には「この条例に違反した者が,青少年であるときは,この条例の罰則は適用しない。ただし,青少年が営業者であって,その営業に関する場合は,この限りでない。」と規定されている(本件条例10条によれば,本件条例29条中の「青少年」とは,6歳以上18歳未満の者(婚姻した女子を除く。)を指すことになる。)。
そうすると,本件送致事実のとおりの事実があったとしても,少年は当時16歳であり,営業者であったことを認めるに足りる証拠もないから,本件条例27条1項の適用はなく,少年について本件条例24条1項違反の罪が成立する余地はない。
3 したがって,本件送致事実が認められたとしても,少年は少年法3条1項1号所定の犯罪少年には該当せず(同法3条1項3号所定のぐ犯少年に該当すると認定し得る証拠もない。),審判に付することができないから,同法19条1項により,この事件については審判を開始しないこととし,主文のとおり決定する。
(裁判官 大野正男)