大阪地方裁判所 平成10年(わ)694号
本店の所在地
大阪市北区芝田二丁目八番一一号
明治大和倉庫株式会社
(右代表者代表取締役 加地利郎)
(右代理人 加地聰郎)
本店の所在地
大阪市北区芝田二丁目八番一一号
大和ムービング株式会社
(右代表者代表取締役 加地聰郎)
本店の所在地
大阪市北区芝田二丁目八番一一号
東和流通産業株式会社
(右代表者代表取締役 加地聰郎)
本籍
大阪府枚方市東香里三丁目一六番
住居
同市東香里三丁目一六番二五号
会社役員
加地聰郎
大正一五年一一月八日生
右の者らに対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官中井隆司、弁護人谷宜憲各出席の上審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人明治大和倉庫株式会社を罰金三二〇〇万円に、被告人大和ムービング株式会社を罰金一五〇〇万円に、被告人東和流通産業株式会社を罰金一〇〇〇万円に、被告人加地聰郎を懲役二年にそれぞれ処する。被告人加地聰郎に対し、この裁判確定の日から三年間その刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人明治大和倉庫株式会社、同大和ムービング株式会社及び同東和流通産業株式会社は、いずれも大阪市北区芝田二丁目八番一一号に本店を置き、貨物取扱業等を営む資本金九八四〇万円(同東和流産業株式会社については、平成六年九月二七日に八一〇〇万円から変更)の株式会社、被告人加地聰郎(以下、単に「被告人加地」という。)は、右三社の代表取締役としてその業務全般を統括していたものであるが、被告人加地は、右三社(以下、単に「各被告会社」ということがある。)の業務に関し、法人税を免れようと企て
第一被告人明治大和倉庫株式会社に関し
一 平成四年四月一日から平成五年三月三一日までの事業年度における実際の所得金額が九五八六万六三七二円(別紙一参照)で、これに対する法人税額が三五一一万九四〇〇円(別紙九参照)であるにもかかわらず、架空人件費を計上するなどしてその所得の一部を秘匿した上、同年五月七日、同市北区中津一丁目五番一六号所在の所轄大淀税務署において、同署署長に対し、右事業年度の所得金額が五四八万五六三二円(別紙一参照)で、これに対する法人税額が一四六万五五〇〇円(別紙九参照)である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、右事業年度の法人税三三六五万三九〇〇円(前同)を免れた
二 平成五年四月一日から平成六年三月三一日までの事業年度における実際の所得金額が一億六四九九万八八三三円(別紙二参照)で、これに対する法人税額が六一〇六万六〇〇〇円で(別紙一〇参照)であるにもかかわらず、前同様の方法でその所得の一部を秘匿した上、同年五月二六日、前記大淀税務署において、同署署長に対し、右事業年度の欠損金額が一六七万六一五六円(別紙二参照)で、これに対する法人税額が零円(別紙一〇参照)である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、右事業年度の法人税六一〇六万六〇〇〇円(前同)を免れた
三 平成六年四月一日から平成七年三月三一日までの事業年度における実際の所得金額が二億九一万四八一〇円(別紙三参照)で、これに対する法人税額が七四五一万五〇〇円(別紙一一参照)であるにもかかわらず、前同様の方法でその所得の一部を秘匿した上、同年五月二三日、前記大淀税務署において、同署署長に対し、右事業年度の所得金額が七八九〇万二二〇円(別紙三参照)で、これに対する法人税額が二八七〇万七一〇〇円(別紙一一参照)である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、右事業年度の法人税四五八〇万三四〇〇円(前同)を免れた
第二被告人大和ムービング株式会社に関し
一 平成四年一〇月一日から平成五年九月三〇日までの事業年度における実際の所得金額が八六二三万二五四八円(別紙四参照)で、これに対する法人税額が三一五〇万四〇〇円で(別紙一二参照)であるにもかかわらず、前同様の方法でその所得の一部を秘匿した上、同年一一月二九日、前記大淀税務署において、同署署長に対し、右事業年度の所得金額が四六八万六五七九円(別紙四参照)で、これに対する法人税額が一二三万五四〇〇円(別紙一二参照)である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、右事業年度の法人税三〇二六万五〇〇〇円(前同)を免れた
二 平成五年一〇月一日から平成六年九月三〇日までの事業年度における実際の所得金額が八九三一万六三三九円(別紙五参照)で、これに対する法人税額が三二六六万二六〇〇円で(別紙一三参照)であるにもかかわらず、前同様の方法でその所得の一部を秘匿した上、同年一一月二五日、前記大淀税務署において、同署署長に対し、右事業年度の所得金額が一四八二万五九〇四円(別紙五参照)で、これに対する法人税額が四七二万八四〇〇円(別紙一三参照)である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、右事業年度の法人税二七九三万四二〇〇円(前同)を免れた
第三被告人東和流通産業株式会社に関し
一 平成四年一〇月一日から平成五年九月三〇日までの事業年度における実際の所得金額が六五二六万八一八二円(別紙六参照)で、これに対する法人税額が二三六九万二〇〇〇円(別紙一四参照)であるにもかかわらず、前同様の方法でその所得の一部を秘匿した上、同年一一月二九日、前記大淀税務署において、同署署長に対し、右事業年度の所得金額が五五一万四三九二円(別紙六参照)で、これに対する法人税額が一五二万五〇〇円(別紙一四参照)である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、右事業年度の法人税二二一七万一五〇〇円(前同)を免れた
二 平成五年一〇月一日から平成六年九月三〇日までの事業年度における実際の所得金額が四九八八万四七二八円(別紙七参照)で、これに対する法人税額が一七九三万八〇〇〇円で(別紙一五参照)であるにもかかわらず、前同様の方法でその所得の一部を秘匿した上、同年一一月二五日、前記大淀税務署において、同署署長に対し、右事業年度の所得金額が一〇五万五一八三円(別紙七参照)で、これに対する法人税額が二八万六九〇〇円(別紙一五参照)である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、右事業年度の法人税一七六五万一一〇〇円(前同)を免れた
三 平成六年一〇月一日から平成七年九月三〇日までの事業年度における実際の所得金額が三五五八万一〇三五円(別紙八参照)で、これに対する法人税額が一二五一万九一〇〇円で(別紙一六参照)であるにもかかわらず、前同様の方法でその所得の一部を秘匿した上、同年一一月二四日、前記大淀税務署において、同署署長に対し、右事業年度の所得金額が一九八三万三五〇五円(別紙八参照)で、これに対する法人税額が六六一万三六〇〇円(別紙一六参照)である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、右事業年度の法人税五九〇万五五〇〇円(前同)を免れた
ものである。
(証拠の標目)
括弧中の数字は、検察官請求分証拠等関係カード(甲)中の番号を示し、「乙」を付したものは、同カード(乙)中の番号を示す。
判示事実全部について
一 被告人加地の当公判廷における供述(被告人明治大和倉庫関係では、第一回公判期日におけるものを除く。)
一 被告人加地の検察官に対する供述調書二通(乙二四、乙二五)
一 被告人加地に対する大蔵事務官作成の質問てん末書一三通(乙四から乙一一まで、乙一四、乙一六から乙一九まで)
一 花原大樹の検察官に供述調書(一八二)
一 花原大樹(三通)、西田輝男(二通)、木田秀明(四通)、森本富二也及び松下重幸に対する大蔵事務官作成の各質問てん末書(一七八、一七九、一八一、一八三から一九〇)
一 大蔵事務官作成の査察官調査書(七二)
判示第一の各事実について
一 被告人加地に対する大蔵事務官作成の質問てん末書三通(乙一二、乙一三、乙一五)
一 高木淳の検察官に対する供述調書(一六六)
一 高木淳(五通)及び花原大樹に対する大蔵事務官作成の各質問てん末書(一六一から一六五まで、一八〇)
一 大蔵事務官作成の査察官調査書八一通(二二から二八まで、三〇、三二、三四、三六から七一まで、七三から一〇七まで)
一 大蔵事務官作成の「所轄税務署の所在地について」と題する書面(七)
一 商業登記簿謄本(一九一)
判示第一の一の事実について
一 大蔵事務官作成の査察官調査書四通(二九、三一、三三、三五)
一 大蔵事務官作成の証明書(四)
判示第一の二の事実について
一 大蔵事務官作成の証明書(五)
判示第一の三の事実について
一 大蔵事務官作成の証明書(六)
判示第二の各事実について
一 被告人加地に対する大蔵事務官作成の質問てん末書二通(乙二〇、乙二一)
一 花原信好の検察官に供述調書(一七一)
一 花原信好に対する大蔵事務官作成の質問てん末書四通(一六七から一七〇まで)
一 大蔵事務官作成の査察官調査書二七通(一〇八から一三四まで)
一 大蔵事務官作成の「所轄税務署の所在地について」と題する書面(一二)
一 商業登記簿謄本(一九二)
判示第二の一の事実について
一 大蔵事務官作成の証明書(一〇)
判示第二の二の事実について
一 大蔵事務官作成の証明書(一一)
判示第三の各事実について
一 被告人加地に対する大蔵事務官作成の質問てん末書二通(乙二二、乙二三)
一 坪井正身の検察官に対する供述調書(一七七)
一 坪井正身に対する大蔵事務官作成の質問てん末書五通(一七二から一七六まで)
一 大蔵事務官作成の査察官調査書二六通(一三五から一六〇まで)
一 大蔵事務官作成の「所轄税務署の所在地について」と題する書面(一九)
一 商業登記簿謄本(一九三)
判示第三の一の事実について
一 大蔵事務官作成の証明書(一六)
判示第三の二の事実について
一 大蔵事務官作成の証明書(一七)
判示第三の三の事実について
一 大蔵事務官作成の証明書(一八)
(法令の適用)
被告人加地の判示各所為は、いずれも平成一〇年法律第二四号附則一二条により同法による改正前の法人税法一五九条一項に該当するので、所定刑中懲役刑をそれぞれ選択し、以上は平成七年法律第九一号附則二条二項により同法による改正後の刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第一の二の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人を懲役二年に処し、情状により同法二五条一項を適用して、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予することとする。
さらに、同被告人の判示各所為はいずれも対応する各被告会社の業務に関してなされたものであるから、各被告会社については、判示各所為につきそれぞれ法人税法一六四条一項に従い前記法律第二四号附則一二条により前記改正前の法人税法一五九条一項所定の罰金刑に処すべきところ、被告人明治大和倉庫株式会社及び同大和ムービング株式会社については、情状により同法一五九条二項を適用して、右の罰金額はいずれもその免れた法人税の額に相当する金額以下とし、以上の各罪はいずれも前記法律第九一号附則二条一項により同法による改正前の刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四八条二項により各罪の罰金の合算額の範囲内で同明治大和倉庫株式会社を罰金三二〇〇万円に、同大和ムービング株式会社を罰金一五〇〇万円にそれぞれ処することとし、同東和流通産業株式会社については、以上の各罪は前記法律第九一号附則二条二項により同法による改正後の刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四八条二項により各罪所定の罰金の多額を合計した金額の範囲内で同東和流通産業株式会社を罰金一〇〇〇万円に処することとする。
(量刑の事情)
本件は、被告人加地が経営していた三つの会社に係る合計八事業年度分の法人税ほ脱の事案である。動機に格別酌むべきものがない上、周到で計画的な犯行であること、各社の平均ほ脱率が約八二パーセントから約九〇パーセントと高いほか、被告人明治大和倉庫株式会社については、三期合計ほ脱額が一億四〇〇〇万円余りと大きく、被告人加地について見れば、合計ほ脱額が二億四〇〇〇万円余りに達していることなどに照らすと、被告人ら、とりわけ被告人加地及び被告人明治大和倉庫株式会社の刑事責任は相当に重い。しかし、他方では、各ほ脱税額については、附帯税を含めて既に納付されていること、被告人加地は素直に犯行を認めており、各社においても、経理体制をしっかりさせて再犯のないことを約束していることなど、酌むべき事情も認められるので、これらの諸事情を総合考慮して、主文のとおり量刑した。
よって、主文のとおり判決する。
(裁判官 的場純男)
別紙1
修正損益計算書
明治大和倉庫(株)
自 平成4年4月1日
至 平成5年3月31日
<省略>
別紙2
修正損益計算書
明治大和倉庫(株)
自 平成5年4月1日
至 平成6年3月31日
<省略>
別紙3
修正損益計算書
明治大和倉庫(株)
自 平成6年4月1日
至 平成7年3月31日
<省略>
別紙4
修正損益計算書
大和ムービング(株)
自 平成4年10月1日
至 平成5年9月30日
<省略>
別紙5
修正損益計算書
大和ムービング(株)
自 平成5年10月1日
至 平成6年9月30日
<省略>
別紙6
修正損益計算書
東和流通産業(株)
自 平成4年10月1日
至 平成5年9月30日
<省略>
別紙7
修正損益計算書
東和流通産業(株)
自 平成5年10月1日
至 平成6年9月30日
<省略>
別紙8
修正損益計算書
東和流通産業(株)
自 平成6年10月1日
至 平成7年9月30日
<省略>
別紙9
税額計算書
明治大和倉庫株式会社
自 平成4年4月1日
至 平成5年3月31日
<省略>
別紙10
税額計算書
明治大和倉庫株式会社
自 平成5年4月1日
至 平成6年3月31日
<省略>
別紙11
税額計算書
明治大和倉庫株式会社
自 平成6年4月1日
至 平成7年3月31日
<省略>
別紙12
税額計算書
大和ムービング株式会社
自 平成4年10月1日
至 平成5年9月30日
<省略>
別紙13
税額計算書
大和ムービング株式会社
自 平成5年10月1日
至 平成6年9月30日
<省略>
別紙14
税額計算書
東和流通産業株式会社
自 平成4年10月1日
至 平成5年9月30日
<省略>
別紙15
税額計算書
東和流通産業株式会社
自 平成5年10月1日
至 平成6年9月30日
<省略>
別紙16
税額計算書
東和流通産業株式会社
自 平成6年10月1日
至 平成7年9月30日
<省略>