大阪地方裁判所 平成10年(ワ)11935号・平9年(ワ)5856号・平10年(ワ)3968号・平9年(ワ)454号・平11年(ワ)7963号・平11年(ワ)10175号・平9年(ワ)13371号 判決
主文
一 別紙「認容金額一覧表」の各「原告氏名」欄記載の各原告に対応する「被告ら氏名等」に掲げた各被告は、当該各原告に対し、連帯して、各原告に対応する「認容金額」欄記載の各金員及びうち各原告に対応する「損害金の基礎となる金額」欄記載の各金員に対する各被告に対応する「被告ら損害金起算日」欄記載の各年月日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
二 原告A、原告B、原告C、原告D、原告E、原告F及び原告Gの、各原告に対応する「被告ら氏名等」に掲げた各被告に対するその余の請求をいずれも棄却する。
三 訴訟費用の負担については、次のとおりとする。
1 原告ら(ただし、原告A及び原告Hを除く。)に生じた費用、被告法の華三法行、被告北田一郎こと北田二郎、被告南山春子及び被告東川次郎こと西川次郎に生じた費用はいずれも被告法の華三法行、被告北田一郎こと北田二郎、被告南山春子及び被告東川次郎こと西川次郎の負担
2 原告Aに生じた費用は被告法の華三法行、被告北田一郎こと北田二郎、被告南山春子、被告東川次郎こと西川次郎及び被告甲山一郎の負担
3 被告Hに生じた費用は被告法の華三法行、被告北田一郎こと北田二郎、被告南山春子、被告東川次郎こと西川次郎及び被告乙川花子の負担
4 被告甲山一郎に生じた費用は被告甲山一郎の負担
5 被告乙川花子に生じた費用は被告乙川花子の負担
四 この判決の第一項は、仮に執行することができる。
事実及び理由
第一 請求
別紙「請求額一覧表」の各「原告氏名」欄記載の原告に対応する「被告ら氏名等」欄に掲げた各被告は、当該各原告に対し、各自、各原告に対応する「請求金額」欄記載の各金員のうち各原告に対応する「損害金の基礎となる金額」欄記載の各金員に対する各被告に対応する「被告ら損害金起算日」欄記載の各年月日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
第二 事案の概要
本件は、宗教法人である被告法の華三法行(以下、「被告法の華」という。)の主催する研修等に参加し、また、修行用に必要であるとして物品を購入するために高額な金員の出捐をした原告らが、被告法の華の教祖兼代表役員であった被告北田一郎こと北田二郎(以下、「被告北田」という。)を中心とする被告法の華の信者らが、宗教団体として組織的に、専ら不相当に高額な研修参加費用等の獲得を目的として、いわゆる足裏診断等の機会を通じて、相談者である原告らに対して、何ら根拠のない害悪を告知して、殊更に相談者の不安をあおったり、困惑に陥れ、また、長期間にわたり執拗な勧誘を繰り返す等の宗教として社会的に許容される範囲を逸脱した違法な方法により、原告らに不相当に高額な金員を出捐させたものであるとして、被告法の華に対しては民法七〇九条及び七一九条又は四四条若しくは七一五条に基づき、被告北田、被告法の華の前理事長である南山春子(以下、「被告南山」という。)、被告法の華の前理事である被告東川次郎こと西川次郎(以下、「被告東川」という。)、被告法の華の信者である被告甲山一郎(以下、「被告甲山」という。)及び被告乙川花子(以下、「被告乙川」という。)に対してはいずれも共同不法行為(七〇九条、七一九条)に基づき、原告らに対応する「請求金額」欄記載の各金員及び右各金員の内、各原告に対応する「損害金の基礎となる金額」欄記載の各金員に対する各被告に対応する「被告ら損害金起算日」欄記載の各年月日から支払済みまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の連帯支払を求めた事案である(ただし、別紙「請求一覧表」のとおり、被告甲山に対する請求をするのは原告Aのみ、被告乙川に対する請求をするのは原告Hのみである。)。
一 争いのない事実等
1 被告ら
(一) 被告法の華は、昭和六二年三月二六日、静岡県知事の認証を受けて設立された宗教法人である。
登記簿には、その設立目的として、「『南無天法地源如来行』を本尊とし、『法の華三法行』の教義(『南無天法地源如来行』を通じて、尊師に啓示される『天声』を崇敬し、その『天声』に従って、三法行を行じ、家系正し、さらに天行力を源かして自己の身心安定と錬磨に務め、以て完全円満なる人格をめざし、幸せな家庭及び平和な社会を形成する。)を広め、儀式行事を行い、信徒を教化育成することを目的とし、その目的を達成するために必要な業務を行う」旨記載されている。
(二) 被告北田は、被告法の華の教祖であり、被告法の華の代表役員であった者である。
(三) 被告南山は、被告北田の実母であり、被告法の華の理事長であった者である。
(四) 被告東川は、被告法の華の理事兼被告北田の著書を出版する会社の一つである株式会社△△(以下、「△△」という。)の代表者を務め、被告北田に次ぐ地位にあった者である。
(五) 被告甲山は、ゼロの力学貝塚支部長であり、原告Aを勧誘した者である。なお、ゼロの力学は、被告法の華の布教部門である。
(六) 被告乙川は、被告法の華関西本部の信者であり、原告Hを勧誘した者である。
2 原告ら
原告らは、いずれも被告北田及び被告法の華の信者らの勧誘行為により、被告法の華に対し、別紙「請求一覧表」の各「原告氏名」欄に対応する「被告法の華関連の出捐(内訳)」欄中の「摘要(出捐順)」「出捐金額」欄各記載のとおり、研修費用や各種行事の参加費用等の名目で金員を出捐した者である。
二 争点
1 原告らに対する各勧誘行為が宗教として社会的に許容される相当の範囲を逸脱した違法なものであるといえるか。
2 被告らの責任の有無
3 消滅時効の成否及び被告ら(ただし、被告甲山及び被告乙川を除く。)による消滅時効の援用が権利の濫用に当たるか(原告I、原告J、原告K、原告L、原告M及び原告Gについて)。
三 争点に対する当事者の主張
1 被告らの行為の違法性について
(原告らの主張)
被告らの勧誘行為は、以下のとおり、その目的が専ら原告らから金員の出捐を求めることによる利益獲得にあり、その手段も、害悪を告知し、殊更原告らの不安をあおって困惑に陥れたり、長時間にわたる勧誘等により原告らを極度に疲労させ、判断力を著しく低下させ、到底原告らの自由な意思に基づくとはいえない態様で金員の出捐を求めたものであり、右勧誘行為の結果、原告らから、各年齢、家庭環境、資力、社会的地位等に照らして著しく不相当に高額な出捐をさせたものであるから、このような勧誘行為は、正当な宗教活動とは到底認められず、社会的に許容される相当な範囲を逸脱した違法なものである。
(一) 手段
(1) 書籍の配付等による宗教団体性を隠匿した勧誘
被告らは、被告法の華の布教活動の機関である△△等により出版された「病苦を超える最後の天行力」を始めとする被告北田の多数の書籍を出版し、これを書店で販売したり、被告法の華の信者らにより組織的に街頭や病人が多い大病院の前で無料配付した。
右著書には、いずれも人の興味を引きやすい題名が付けられ、被告北田が宗教法人の代表者であることは伏せられており、△△やゼロの力学等の別名を用いて宗教性を殊更秘匿した上、アンケート等を通じて読者から問合せがあっても、被告法の華の名称はもとより、宗教であることの説明も一切行わず、宗教でないとする積極的な欺罔行為又は根拠のない害悪を告知することに及ぶこともあり、原告らをその旨誤信ないし畏怖困惑させたまま、三法行セット代、三法行手帳代、説明会又は講演会費用、面接代金ないし足裏鑑定費用等の名目で(個々の原告の関係では、別紙請求一覧表「被告法の華関連の出捐(内訳)」記載のとおりである。)金員を出捐させた。
(2) 足裏診断及びこれに引き続く四泊五日の研修参加の勧誘
イ 足裏診断
被告北田の著書に興味を持った者らに対しては、被告北田、被告法の華の信者ら又はその双方により、概ね次のとおり足裏診断を行った。
(イ) 事前に「診断カルテ」と題する書面を渡し、所定の質問事項に回答を求める。その内容は、相談者の職業、家族構成、先祖に自殺者・精神異常者・癌になった者等があるか、経済状況に余裕があるか、流産・中絶の経験の有無、悩み・相談事等である。
(ロ) 被告北田又は被告法の華の信者らは、右カルテを見ながら、相談者の記載した相談内容に即して診断を行う。その際、「足裏診断」「診断カルテ」との医学的な名称を用い、被告北田も「生態哲学博士」を名乗るなど、右足裏診断が、いかにも医学的、科学的根拠に基づくかのように装った。
(ハ) 診断は、約五分程度の極めて簡単なものであり、診断の結果は、一律に、相談者に対して、害悪を断定的に告知し、殊更不安に陥れるものであり、しかも、著しく高額の研修費用を要する四泊五日の研修への参加を強要し、研修費用を、当日ないし三日以内という極めて短期間に支払うよう迫るものである。
具体的には、「大変な病気になる。あと数年で医者もさじを投げるような病気になる。」(原告N)、「このままでは駄目だ。何もかも悪くなる。」(原告A)、「このままだと、将来、腰から下の癌になる。」(原告B)、「このまま行けば、頭の病気になる。脳がやられる。」(原告C)、「これではほとんど病人だ。胃腸だけでなく、内臓全体が悪い。今のままでは命を取られる。足の裏のほくろは癌になる。」(原告D)、「このままではあなたは死ねば地獄に落ちるし、生きている間も運勢は開けない。不幸が連続して起きるようになるでしょう。」(原告P)、「可哀想に、こういう家系だからねえ。」(原告I)、「家に水子がいるから家の中がうまくいかない。」(原告K)、「全くはりもないし、つやもない。これではあなたの人生は駄目になる。」(原告E)、「癌の家系だ。」(原告F)、「二人夫婦が行かないと意味がない。問題は解決しない。」「夫の仕事もうまくいかなくなる。」(原告L。ただし、被告法の華の信者によるものである。)、「小指が曲がっているので、子孫が繁栄しない。足の裏がぶよぶよしているので、内臓(子宮)に問題があり、放っておくと癌になる。また、本当の赤い糸になっていないので離婚する。」「流産したのは子宮に問題があると足裏に出ている。」(原告M)、「研修に行って頭を取らないと、お父さんの病気も治らないし、あなたも結婚できずにお宅の子孫は絶えてしまいますよ。」(原告G)、「非常に悪い。このままだと脳血栓で倒れる。」(原告Q)、「右の親指と左の親指が離れている。右は実家で左は婚家であり、うまくいっていないということだ。先祖の因縁がある。」(原告H)等と告げた上、一律に四泊五日の研修参加を勧誘する。
このように、被告北田又は被告法の華の信者らは、右のように災厄や不幸を告知し、原告らをして、困惑させ、恐怖感を抱かせ、災厄や不幸から逃れるためには、高額の研修料を支払って四泊五日の研修に参加する以外に方法がないと思い込ませた。
ロ 引き続く四泊五日の研修参加への勧誘
(イ) 被告北田が足裏診断をした後は、別室で被告法の華の信者らにより、研修参加を更に強引に勧める。また、足裏診断そのものが行われなかった場合においても、原告Jのように、被告法の華の信者により、「頭を取らねば癌になる。血圧が高いから、そのままなら動脈硬化になる。」「旦那さんが早死にしたのもそのためだ。」「頭を取れば、息子さん夫婦にも子供ができる。娘さん(R)も赤い糸に出会って結婚できる。」「家族も協力して一緒にならないと答えが出ない。」等と殊更根拠のない害悪を告知することもある。
右勧誘は、足裏診断等により災厄や不幸の告知を受けた原告らに対し、執拗かつ強引に、相談者が疲れ切って判断力が失われるまで長時間にわたり続けられ、右のように害悪を告知して相談者の不安感をあおった状況の中で、著しく高額な研修費用の支払を殊更短期間に支払うべきであるとして決断を促す(親族や金融業者から借金してでも、研修に参加すべきであると勧めることすらある。)。
(ロ) 四泊五日の研修は過酷なものであり、私語は禁止され、食事は極めて粗末なものであり、睡眠時間は平均三、四時間(時には徹夜させられることもある。)、雑魚寝で、入浴や歯磨き、着替えさえも許されない劣悪な状況下で行われる。その内容も、「七観行」などを長時間絶叫したり、街頭で「最高ですか。」と大声を上げたり土下座して通行人に写経を求めたり、目隠しをして長時間暗闇の中で正座する等、屈辱的かつ参加者の正常な判断能力を麻痺させるものである上、高圧的な指導員が常時参加者の挙動を監視し、時には小突いたり平手打ちを加えたりの暴行にも及び、研修離脱も阻止することもある。右のように、四泊五日の研修内容は、それ自体が、社会的相当性を著しく逸脱するものである。
(ハ) 被告らは、右(ロ)のような研修内容を事前に全く伝えずに、前記(イ)のとおり、研修参加につき即断を求め、研修の意味を理解した上で過酷な研修に耐えられるか否かを決断するという意思決定権を完全に奪った上、被告らは、自ら宗教であると考えているにもかかわらず、宗教であることを秘匿し、積極的に宗教性を問い質した者に対しても宗教でないと答える等、宗教的な行為である研修に参加するか否かの判断をするにつき重要な情報を全く開示しないまま、原告らに高額な金員を出捐させ(具体的には、別紙請求一覧表「被告法の華関連の出捐(内訳)・摘要(出捐順)」欄の各「研修費用」に対応する「出捐金額」欄記載の各金額に相当するものである。)、過酷な研修に送り込んだ。
ハ まとめ
右のとおり足裏診断等を手段とする四泊五日の研修の勧誘は、科学的な根拠に欠ける診断に基づき、各人が抱える悩みを殊更増長させて不安感をあおり、金員出捐の趣旨、研修の宗教的意義及び研修内容等重要な内容を秘匿したまま高額な金員を拠出させた上、前記のとおり過酷な四泊五日の研修に参加させたものであるから、社会的相当性を著しく逸脱していることは明らかである。
(3) 研修後の「天声」による高額の金員出捐を求める勧誘
被告らは、右のとおり過酷かつ異常な研修により正常な判断能力を奪った状態で、原告らに対し、研修終了後に、被告北田を通じた「天声」と称して更に高額な金員の出捐を迫る(右の「天声」は被告北田のみが感得することができるとされているが、それ自体欺瞞に満ちたものであり、被告北田の虚言というべきである。)。研修直後には、過酷な研修によって正常な判断能力が失われた状態にあることに乗じ、また、研修後時間を経た場合には、既に研修参加費用として多額の出捐をしており、支払わなければ研修の効果がなくなると信じ込んでいることに乗じ、家の中心、水子供養、百歳塾、解脱奉納、天上界奉納等種々の名目で更なる高額な追加出捐を行わせたものであり(具体的には別紙「請求一覧表」の「被告法の華関連の出捐(内訳)・摘要(出捐順)」欄の右各項目に対応する「出捐金額」欄記載の金額に相当するものである。)、社会的相当性を著しく逸脱していることは明らかである。
(二) 結果
(1) 高額の金銭の出費
原告らは、前記違法な勧誘により、六五万五〇〇〇円から三一一六万円に及ぶ高額の金額を出捐した。右出捐額自体、非常に高額であり、中には、知人や金融業者から借金をしたり、退職金や保険金等の老後の生活の支えとなるべき金員の大半を巻き上げられた者もいるなど、いずれも自らの年齢、家庭環境、資力及び社会的地位に照らして、不相当に高額な金員の出捐をさせられた。
(2) 病状・人間関係の悪化
前記のとおり、被告らは研修内容を秘匿して過酷な研修に参加させたため、病状が悪化した参加者が多数あり(研修に参加したあげく、死亡した者もいる。)、高額の出捐を原因として家族関係が破壊される者もあった(家族五人を刺し、本人も首吊り自殺するなどの悲劇的な事件も続出している。)。
(三) 目的
被告法の華においては組織的に信者に集金のノルマを課するほか、「足裏診断士養成マニュアル」を始めとした各種マニュアルを作成して、効率的に金員の搾取を図る一方で、原告らを始めとする多数の者から受領した金員を被告法の華が標榜する人類救済ではなく、被告北田及びその妻らの個人的目的や、営利事業等本来の目的外に使用する等しながら、その集金した金員の使途を具体的に全く明らかにしない等の諸事情に照らせば、被告らによる勧誘行為は、専ら金員の利得を図る目的であったというべきである。
(四) 結論
以上の事実、すなわち、被告らの勧誘行為等の目的、手段及び結果等に照らせば、被告らの勧誘行為は、宗教として社会的に相当なものとして許容される範囲を著しく逸脱した違法なものであって、不法行為を構成するというべきである。
(被告らの主張)
原告らの主張は次のとおり争う。
(一) 手段
(1) 書籍の配布等による宗教団体性を隠匿した勧誘
書籍その他の媒体を種々の方法で販売配布して布教活動に積極的に利用することは、直ちに被告法の華の違法集団性に結びつくものではない。
(2) 足裏診断等及びこれに引き続く四泊五日の研修参加の勧誘
イ 足裏診断等
足裏診断は、被告法の華の教義に基づく運命判定方法であり、原告らが主張するような、不安をあおるような診断結果を根拠なく捏造しているわけではない。右診断により、例えば病気になるという兆候が発見されたときに、被告法の華において、「大病をして死亡する。」等不安を醸成する言辞を用いて研修参加を説得することも、対象者を救済するためには許される当然の措置である。
ロ 引き続く四泊五日の研修参加への勧誘
(イ) 被告法の華においては、「観い(おもい)の定め」は一つの修行として位置づけられており、被告法の華又はその天仕(信者)は、修行をするよう真剣かつ強く勧める。人間は、時を逸すると決断が出来なくなるため、いきおい即断即決を要求するが、これは自己の根本的態度を切り替えることを幸福の源泉とする新々宗教の本質的特徴を淵源とする現象である。期限を切り、手持金の一部で内金支払を勧め、担当者が電話で納付を促したりすることもあるが、それはあくまで行に入る決断を補強する目的での営為に過ぎず、配偶者など第三者に電話で相談を希望する場合などは、当然その相談の結果を待つことにもしている。
(ロ) 四泊五日の研修(被告法の華においては、これを「人間一郎生きざま修行」と称している。)は、被告法の華で重要な行と位置づけられている。日常性を打破することにより、「頭を取る」ことを目的とするものであり、その内容は、教義及び右目的に従い合理的に構成されている。常識的観点からは荒唐無稽とみえるとしても、元来「行」というものは、そのような属性を持つものである。また、参加者の体力に応じてグループ分けをし、過度の負担をかけないよう合理的な配慮もされている。過去死亡した者や病気になった者も皆無ではないが、右事実から直ちに原告が主張するような行の過酷性を論ずることは早計である。
(ハ) 寄付や喜捨等金員の出捐については、当初からかなり高額の出捐を明示的に要求しており、被告法の華は、社会の一般的な理解における「宗教」の性質、傾向を有しているものではないから、実質的に見ても、正体を隠して勧誘しているわけではない。
四泊五日の人間一郎生きざま修行を「研修」と称し、これに際して課される「観いの定め」の金員を寄付ないし喜捨金と説明せず「研修費」と称していることは事実であるが、これらは、被告法の華が、宗教団体であることを殊更秘匿しているからではなく、伝統的な既成宗教を禁忌する傾向を持つことに基づくものである。
ハ まとめ
原告らの主張は、被告法の華の教義や足裏診断等が全て信用に値しないとの先入観に基づき、被告法の華が違法な集金集団であり「エセ宗教団体」であるとの決めつけをし、これを前提として新聞記事等の曖昧な資料に依拠してされた事実無根のものであるか、その評価を自らの主張に合致させるべく著しく歪曲した結果に他ならない。
(3) 研修後の「天声」による高額の金員出捐を求める勧誘
研修によって正常な判断能力が失われた状態に乗じて「天声」の名の下に更なる出捐をさせたとの原告らの主張は、具体的事案に照らして根拠がないことが明らかであるし、「天声」の欺瞞性についても、些細な点を針小棒大に主張しているに過ぎない。
(二) 結果
研修や天納による病状等の悪化等についての原告らの指摘は、いずれも曖昧な資料に依拠する事実無根の主張である。
(三) 目的
(1) 信者に対するノルマの存在
宗教団体においても、一般社会におけると同様、組織の各部局に対し、一定の成績を上げるべく目標を課することは何ら奇異ないし不当なことではないし、被告法の華においては、目標が達成できなかった場合の制裁や不利益はない。
(2) マニュアルの存在
宗教団体においては、布教活動や事務管理について習熟していない者の働きに負うところが大きいのであって、布教や組織運営の方法について、一定の方式を定め、マニュアル化して配布することにより、その徹底を図ることは、何ら問題となるものではない。
(3) 天納された金員及びその使途の不透明性
原告らの主張は勝手な想像又は誤解に基づくものである。情報化社会においては、社会に活動の場を確保するため、話題性その他の特徴があることが不可欠である。一流ホテルに宿泊し、又は海外の著名人と面談する機会を求める被告北田の行動は、右のような他との差別化のために必要なことであり、単なる贅沢ではない。
2 被告らの法的責任(原告らの主張)
(一) 被告法の華について
(1) 被告法の華は、被告北田を教祖とする宗教法人で、大規模な宗教施設を有し、全国に一〇か所の地域本部を置き、それぞれ地域本部長及び足裏診断士などを置き、支部は合計約一八〇か所存在する。被告らの原告らに対する勧誘行為は、被告法の華の教義に基づく体裁を取った上、組織的に短時間の科学的根拠のない足裏診断等によって、その場で直ちに健康や家庭状況等に関わる害悪を告知し、研修参加の効用を執拗に述べることにより、一律に四泊五日の研修参加につき、即断即決を求め、引き続き「天声」と称して更なる高額な金員の出捐を度々要求するものであり、右実態に照らせば、被告法の華自体が主体となって行われた組織的な不法行為であることが明らかである。
(2) 仮に、被告法の華に直接の不法行為責任が認められないとしても、被告法の華の代表者である被告北田又は被告法の華の被用者である信者らが、被告法の華の宗教的活動として前記違法な行為を行い原告らに損害を与えたのであるから、民法四四条、七一五条に基づき責任を負う。
(二) 被告北田について
被告北田は、被告法の華の教祖兼代表役員として、被告法の華の教義における「天声」の唯一の感得者として、前記研修参加、物品購入等の違法な勧誘行為の主導的立場にあり、自ら足裏診断において「天声」と称して害悪を直接告知する等した者であり、その地位及び関与の程度に照らせば、他の被告らと共同して違法行為を行ったというべきである。
(三) 被告南山について
被告南山は、被告北田の実母であり、被告法の華の責任役員及び被告法の華の広報紙である「○○新聞」の発行主兼代表取締役の地位にあった者であって、その地位に照らせば、被告北田らと共同して、前記違法行為を行ったというべきである。
(四) 被告東川について
被告東川は、被告法の華の責任役員であり、被告北田に次ぐ主導的立場にあったことに照らせば、被告北田らと共同して、前記違法な行為を行ったというべきである。
(五) 被告甲山について(原告Aについて)
被告甲山は、被告法の華の岸和田支部長として、原告Aに対し、前記違法な勧誘行為を行った。
(六) 被告乙川について(原告Hについて)
被告乙川は、被告法の華の関西支部の職員(信者)として、原告Hに対し、前記違法な勧誘行為を行った。
3 慰謝料(原告らの主張)
原告らは、その多くが自己又は家族の病気、性格的傾向、経済的病状等、自己の努力のみでは容易に解決がつかないことに対して深刻に悩み、苦しんでいた。原告らは、被告らの勧誘行為により、悩みに対する不安や恐怖感を不当に増大され、反面、現代医学等では治療不可能な病気につき、研修等によって治癒できる等という根拠のない一時的な希望を持たされたこと、過酷な研修を受けさせられ、直接暴行を受けたり、研修後に体調を崩した者もいること、多額の出損を余儀なくされ、将来の生活の原資を失った者のいること等の事実に照らし、原告らの受けた精神的苦痛は甚大である。
また、原告らは、研修等が宗教的行為であること、研修が極めて過酷な内容であること、研修後に更なる金員の要求をされること、金員の出捐は被告法の華において宗教上の喜捨の性格を持つとされていたこと等について、事前に何らの説明も受けていなかったのであり、従って、被告らの行為は、原告らの宗教的行為に対する自己決定権を侵害するものである。
したがって、本件を単なる財産権の侵害による不法行為として、原告らによる出捐額相当の賠償を受けるだけでは、その被った精神的損害を慰謝することはできず、別紙請求一覧表の各原告に対応する「慰謝料」欄記載の各慰謝料の請求が認められるべきである。
4 消滅時効の成否及び被告らの援用が権利の濫用か(原告I、原告K、原告J、原告L、原告M及び原告Gについて)
(被告法の華、被告北田、被告南山及び被告東川の主張)
(一) 別紙「請求一覧表」記載の原告I及び原告Jの全出捐並びに原告K、原告L、原告M及び原告Gの各最終出損を除くその余の出損日からいずれも三年が経過した。
(二) 被告法の華、被告北田、被告南山及び被告東川は、右消滅時効をいずれも援用する旨の意思表示をした。
(原告I、原告K、原告J、原告L、原告M及び原告Gの主張)
(一) 右被告四名の主張(一)はいずれも争う。本件における消滅時効の起算点は最終出損時ではなく、原告弁護団の弁護士に相談して、多数の事例と法的評価の説明を受けた時点であるから、消滅時効はいずれも完成していない。なお、右時効完成前にいずれも本訴を提起しているから、時効は中断した。
(二) 消滅時効期間を起算するための各事実を原告らが認識していなかったのは、研修の実施主体や天納金の納付先等がゼロの力学本庁という何らかの団体なのか、法の華三法行なのか、被告北田個人であるのか明確でなく、被告らが意図的に主体を隠蔽したことが原因であって、このような加害者の意図的な行為により、原告らが、加害者、使用関係、事業執行性を知り得なかった場合に、消滅時効を援用するのは権利の濫用である。
第三 争点に対する判断
一 前提となる事実
1 被告法の華における教義の概要等<証拠略>
(一) 教義の概要等
(1) 被告法の華は、教祖である被告北田が「法の手をもって全人類を救い、法の足で法の道を進め。全人類に法の華を咲かせよ」等神秘的な天の啓示を受けたとして立教された宗教団体であり、昭和六二年三月二六日、静岡県知事の認証を受けて宗教法人化した。なお、被告法の華においては、天の啓示(これを「天声」と称している。)は被告北田のみが受けることができるとされ、被告北田のマイク等を通じて伝えられるとされる。
(2) 被告法の華の設立目的は、前記啓示の内容に基づいたものであり、登記簿上、「『南無天法地源如来行』を本尊とし、『法の華三法行』の教義(『南無天法地源如来行』を通じて、尊師に啓示される『天声』を崇敬し、その『天声』に従って、三法行を行じ、家系正し、さらに天行力を源かして自己の身心安定と錬磨に務め、以て完全円満なる人格をめざし、幸せな家庭及び平和な社会を形成する。)をひろめ、儀式行事を行い、信徒を教化育成することを目的とし、その目的を達成するために必要な業務を行う」とされている(前記争いのない事実等)。
右にいう「尊師」とは被告北田を指し、「天行力」とは、誰一人として同じ者のいない人間という存在の一人一人を生かし続ける宇宙の根元的な「力」であるとされる。被告法の華においては、人間が修養を積むことによって欲望や執着から解放され、宇宙普遍の法則に従った真に正しい本来の姿になるとき、神秘的な力を天から賦与されると説かれている。
三法行とは、被告法の華において最も基本的な行とされており、具体的には、法唱(二七六文字の般若心経に類似した「般若天行」を三回繰り返し唱える行)、法筆(「天行力三法行帳」に般若天行を繰り返し書き写す行)、法座(静かに瞑目し座す行)がこれに当たる。
日常の修行としては、三法行のほか、七観行(般若天行の精髄を現代用語で平易に表現したとされる七つの文を唱えること。具体的には、『健康にあふれた楽しい毎日です。』『家族全員が豊かで明るい毎日です。』『希望に満ちあふれた繁栄一筋の毎日です。』『喜びがいっぱいの毎日です。』『感謝に満ちた幸せな毎日です。』『いつも楽しく三法行をやらせていただく毎日です。』『親切あふれた生かしあい、ゆるしあう毎日です。』の七つである。)。
なお、右三法行を実践するため、被告法の華においては、天行力三法行帳と称する写経帳、天行力手帳(これを所持していると、天行力を受け取ることが出来るとされ、法座の際には右手に持つとされている。)、七観行が記載された「最高に生きる」と題する書面等合計七点の行材を「あさなる天行力三法行」と称して頒布している(以下、「三法行セット」という。)。なお、三法行セットは五万円以上とされ、天行力手帳を別途購入している者については三万円以上とされている。
(二) 被告法の華における四泊五日の研修等や高額の金員の出捐(観いの定め)の位置付け
(1) 被告法の華では、前記のとおり、種々の「修行」を通じて、欲望や執着を捨て去ることが、解脱へと至る最重要かつ唯一の道程であると位置付け(これを、教義上「頭を取る」と称している。)、信者に対して各種修行の実践を要求している。
(2) 被告法の華においては、静岡県富士市所在の被告法の華本部において、四泊五日の日程で行われる研修(これを、「人間一郎生きざま修行」と称している。)を、日常の修行の前段階として最も基本的な行として位置付けており、右研修に参加することが、被告法の華への入信の第一歩と考えられている、
右研修に参加するに当たっては、参加者に対して原則として二二五万円の喜捨を要求する。被告法の華においては、これを「観い(おもい)の定め」と称しており、それ自体一つの独立した修行であると位置付けられている(「観い」とは、無意識の世界の中から源き(わき)出してくるものとされている。)。「観いの定め」は前記のとおり極めて高額であるところ、被告法の華においては、「観いの定め」を金銭に執着する人間の普遍的な性(さが)に対し、敢えて金銭を投げ出すことにより内に抱える財に対する執着から解放して頭を取り、信者が修行に入るにつき、後戻りはできないとの覚悟を固めるための必須の行為であるとされている。
2 原告が被告法の華に対し金員を出捐するに至った経緯
(一) 原告N(以下、「原告N」という。)<証拠略>
(1) 身上及び被告法の華を知った端緒(以下、「端緒」という。)
原告Nは、昭和三〇年生まれの女性であり、平成六年八月当時は未だ独身で、結婚できないことに悩み、落ち込んでいた。
原告Nは、同月下旬ころ、被告北田の著作「一〇〇%結婚できる出会いの法則」を書店で購入し、約一週間で読了した。その後、同書添付のアンケートに、自己のことを記載してその出版社である△△宛返送した。
(2) 足裏診断等を手段とする四泊五日の研修勧誘(以下、「足裏診断等」という。)
同年九月二七日午後八時三〇分ころ、当時被告法の華の天仕であったTが原告N方に電話をした。Tは、原告Nのアンケートから「全然駄目だということが分かります。」と結婚できる確率がないことが明白である旨強調したため、原告Nは結婚できないのではないかと不安になった。
Tは、「今のままでは一生出会えない。」と強調した上で、天行力について「人間にとって大切なものです。」「天行力を通さないと駄目ですよ。」「天行力を浴びると腹の底から喜べるんです。」と述べて、被告北田との面接を勧めた。
原告Nは、自分の将来に対する不安が募っていたものの、金銭的不安から右勧めを断ると、Tは「一生どれだけ考えても赤い糸には出会えない。」「良くなりたくないんですか。」「そのままでは駄目ですよ。」「先生に会わなければいけませんよ。」などと原告Nの人生について一層不安をあおったが、日程が翌々日であったため都合が付かず断った。すると、Tは声を大にして「心から喜んで生きていますか。」と言ってきた。原告Nが「いやそんなに。」と言葉を濁すと、Tは、「それだから駄目なのですよ。」「天行力が通っていないから喜ばないんです。」「それだから赤い糸に出会えない。」「面接に来なければいけない。」と言葉を重ね、原告Nの不安を更にあおった。Tの話は約一時間三〇分にわたって続いた。原告Nは、右のように大声でまくしたてられたことから、自分自身を陰湿で駄目な人間だと思い、将来を慮って、被告北田との面接を承諾した。
原告Nは、Tに言われたとおり、被告北田の著書である「病苦を超える最後の天行力」を購入して事前に一読した。
同月二九日、原告Nは、被告北田の足裏診断を受けた。待合場所でカルテ<証拠略>を渡され、職業、未既婚の別、家族構成、家の経済状況、家族、祖父母及び三代前までの自殺者、精神異常者等の有無、悩み事などについて記入した。Tが手帳と天行力大祭のチケットを持参した際、原告Nは、面接代金一〇万円と手帳代金三万円の合計一三万円を支払った。
原告Nは、Tと女性一名に案内されて広い部屋に通され、その部屋の中心にある椅子に座った。
被告北田は、原告Nの着席後に入室し、原告Nの前の椅子に座り、前記カルテを見ながら、兄弟、仕事、職歴等について、質問をした。
被告北田は、当初笑顔で談笑していたが、「天行力を通す。」と言って、原告Nの頭の上及び腰に手を置いて、「首で五、腰で二・七」と言った上、原告Nの足の裏を見るや、厳しい表情で「指が曲がっている。これだったら大変な病気になる。あと数年で医者もさじを投げるような病気になる。」と言った。原告Nはこれを聞いて恐怖し、自分の将来について絶望感を覚えたところで、被告北田が「ここに来て良かったね。ここでそうならない方法がある。」と言い、原告Nに安心感を与える一方で、「赤い糸はあるにはあります。だけど、このままだったら赤い糸に出会えない。」等と断定的に不安をあおった。
原告Nは、TとS(以下、「S」という。)に別室に案内され、三〇分ないし四〇分間、「三日後出発の頭を取る行に行かなければいけない。腰が二・七というのは大変なことだ。病気にもなる。」と研修参加を勧誘された。原告Nは、費用を理由に断ったが、Sから「頭を取るとお金が集まるんですよ。」「来ないと病気になる。」などと幾度となく言われた上で、「いいですよ、どうせNさんの人生ですから。」と突き放されたため、このままでは死んでしまうのではないかと追いつめられ、結局、原告Nは研修参加を承諾した。
原告Nは、預貯金として一七五万円しか有していなかったので、友人から使途を隠して借り入れたり、銀行のカードローンや信販会社のローンを利用して二二五万円を工面した。原告Nは、右金員を研修前日までに郵便局を通じて送金した。
(3) 研修及びその後の「天声」による勧誘等(以下、「研修、その後」という。)
原告Nは、同年一〇月一日から四泊五日の研修に参加した。
研修内容は、五日間、同じ事の繰り返しであり、特に七観行の唱和においては、幾度となく大声で叫んだり、狂ったように大声でわめき散らしたりした。途中からは、唱和に当たり体を動かすことも強制され、大声で叫びながら、跳んだり跳ねたりするので、全く考える余裕がなくなっていった。睡眠時間は一日二時間から三時間程度であった。
二日目には渋谷に出て、約一二時間、「最高ですか。」と通行人に声をかけて、七観行と般若天経の写経を通行人に対して求める行を行い、三日目は「苦の行」という、畳の上にあぐらをかいて座った上で目隠しをし、消灯の上塾長役の者に合わせて、息を吸ったり吐く行を行った。原告Nは何を考えているのかさえも理解できなくなって泣き出し、余りの興奮から嘔吐しそうにもなった。四日目の午前零時からは、道端で土下座をして七観行と般若天行の写経を通行人に求め、その後は被告北田の本を販売する二四時間行を行い、最後に頭が取れたかどうかを聞かれた。取れていると返事をしなかった者に対しては、繰り返し土下座からやり直しをさせられた。五日目は、七観行唱和を他の公園で行ったあと、渋谷において二人組で七観行唱和を通行人に対して叫ぶ「行」であった。その後、夕方に天声村に戻り、七観行を全員で唱和し、教団から合格が出されるまで、唱和を続けた。幾度ものやり直しの末、合格となり、服を着替え、ようやくサンドイッチを口にすることができた。この五日間、ほとんど睡眠を取ることができず、着替えもなく、しかも他の人と話すことはもちろんのこと、独り言も許されず、講和や説明以外は、静止していると怒られ、絶えず動き続けなければならなかった。
研修参加後、原告Nは、被告法の華に対し、次のとおり金員を支払った。
イ 同年一〇月一六日、被告北田の大阪講演の講演料として二〇〇〇円
ロ 同年一一月ころ、温行館の入浴料として五〇〇〇円
ハ 同年一二月ころ、天行力手帳の更新料として五万円
ニ そのころ天行力大祭参加の交通費及び宿泊費として二万二〇〇〇円
ホ 平成七年一二月ころ、超法行力伝授式典参加費として五〇〇〇円
原告Nは、他人を被告法の華へ勧誘するよう言われたが、これを断った。
原告Nは、被告北田の言うとおりに被告法の華の諸行事に参加しないと大変な目に遭い、死んだらどうしようという恐怖に駆られる一方、きっと良いことがあると思い、三法行を実践し、被告北田の著作の内容や講和での発言を信じて待っていた。
しかし、一向に良いことが起こらなかったので、原告Nは次第に被告法の華はおかしいと思い始め、平成八年になって被告法の華が問題がある旨の週刊誌の記事を読んだりするうちに、騙されたと感じるようになった。なお、原告Nは、平成一〇年五月ころに結婚することができた。
(二) 原告A(以下、「原告A」という。)<証拠略>
(1) 端緒
原告Aは平成七年当時三七歳の独身女性であり、大手百貨店に勤務していた。
そのころ、原告Aは、大阪市中央区内の勤務先前で「病苦を超える最後の天行力」を配布されて、ゼロの力学を知った。右書籍には、「自分自身が変わらないと何も良くならない」等と書かれており、結婚問題に関する被告北田の著書も多数出版されていると記載されている旨の広告を見て、興味を持った。当時原告Aには交際相手との結婚話が長期間進まず、兄の離婚問題等でも悩んでいたところ、すべての悩みや良くないことは先祖や前世のものが汚れていることによる、今のままでは全然良くならない旨の記載を読んでゼロの力学大阪事務所に電話し、他の本の購入方法を尋ねた。すると、大阪市内のホテルで開催される講習会参加を勧誘され、原告Aはこれを承諾した。
(2) 足裏診断等
右講習会では、まず頭を取ってどのように変わったかという信者の体験談があり、原告Aは、これを真実である旨信じた。その後、足裏診断を全員無料で受けることとなり、別室で一人ずつ足裏診断を受けた。別室には丙野及び被告甲山が同席した。
原告Aの足裏診断をした丙野は、「良くない。汚い。このままでは大変なことになる。汚い部分を頭を取ってきれいにしないとますます悪くなる。結婚もできない。家族全員が病気になる。両親とあなたは癌になる。一度先生(被告北田)に見てもらった方がよい。東京で先生直々の話がある。この時機を逃すといつになるかわからない。」等と話した。被告甲山も「丙野さんでは詳しく見れない。北田先生に直接詳しく見てもらった方がよい。」と言ったが、原告Aは即答せずに帰宅した。原告Aは、講習会の際、被告北田の著作である「赤い糸」「輝く女性」「愛を超える結婚があった!」を入手して読了した。
その後、被告甲山らから、何度も講習会参加の電話勧誘があった。約三回電話勧誘があったころ、原告Aの母親が不審を抱いて原告Aに事情を質したことがあったので、原告Aは被告甲山に対し、家の方には電話しないで欲しい旨依頼した。その後も被告甲山は更に自宅に電話をした上、勤務先にも電話を架けるようになった。電話の回数は一〇回以上であったが、一日に一度か、多くとも二度程度であった。
そのころ、被告甲山が、難波駅近くの百貨店前で被告北田の著作を配布していたところ、偶然通りかかった原告Aが被告甲山に声を掛けたことがあった。その際、被告甲山から、「まだ東京に行く返事をしていなかったんですね。」「先生の話を聞きに行くだけでも行きなさい。」等と勧められたが、その場でも即答を避けた。
原告Aは、ゼロの力学が宗教団体なのか否かよく理解できなかったので、即答できずに悩んでいた。被告甲山にそのことを質問すると、「そういう団体では全然ない。」「宗教とか、そういうものとは全然違う。」等と答えた。その後も何度か被告甲山から電話があり、原告Aは取り敢えず被告北田に足裏診断をしてもらうこととし、講習会へ参加する気持ちになった。
結局、原告Aは、三法行セット代として五万円、足裏診断料として一〇万円の合計一五万円を振り込んだ。
同年八月六日、原告Aは、東京での被告北田の講演会に参加し、その後個室で足裏診断を受けた。被告北田は、「大変だ、汚い。このままでは駄目だ。家自体が良くない。研修に行って頭を取りなさい。」などと話した。その後別室で、被告甲山とU(女性)から、右同様のことを繰り返し説明され、「先生はこのように言われている。」「このまま付き合っていても結婚はできない。」「家族の不和、今のまま以上に悪くなりますよ。」「体が悪くなります。」「両親が癌になり、挙げ句の果てにあなたも癌になりますよ。」等と繰り返し言われた。原告Aは信じられなかったものの、若干不安になった。その後、両名から「研修に参加するには二五五万円必要である。」との説明を受けた。
原告Aは「そんな大金はないです。」と言ってこれを断ったが、被告甲山は「お金を握っているから駄目だ。あなたの命が二五五万円で縛られている。」等と一時間位にわたって執拗に同額の出捐を要求した。原告Aは被告甲山の言に従い、取り敢えず一万円を渡してその場を離れて帰阪した。別室には鍵がかかっていなかったが、原告Aは容易にその場を離れられない雰囲気であると感じていた。
帰阪すると、被告甲山とUから、すぐに研修参加の勧誘電話が自宅や職場にあった。原告Aは、自分の方から電話をするので、自宅や職場に電話をしないよう再度依頼した。
また、被告甲山は原告Aに対し、「頭を取った人から直接話を聞いてみたら良い。」と言い、当該人物から電話が架かってきたため、その後は原告Aから当該人物に電話をする日時を約束し、原告Aは約束の日時に電話を架け、研修を受けて頭を取ったことにより、今までの自分ではなく、良い方向に変わった旨の話を聞いた。原告Aはその話を信用し、後に被告甲山に対し、そのようになれるのであれば、自分も変わりたいと話した。
その後、右人物らが岸和田駅で本を配布する際に、たくさんの人に会ってみたらよいと勧められ、原告Aは、帰宅途中に被告北田の書籍を配布する集会に参加した。その集会のメンバーは、先に原告Aが電話で聞いたのと同様の話をし、被告甲山は「研修に行った方は、みんな顔が違うでしょう。目が輝いているでしょう。」と言うので、原告Aは「そうですね。」と答えた。原告Aは、自己の人生が二五五万円程度である旨繰り返し言われることに納得できない一方で、被告甲山を始めとする被告法の華の信者らの言を信用して、研修に参加することを決意し、同月一〇日、結婚資金として預金していた貯金を解約し、ゼロの力学宛に残金二五四万円を送金した。なお、右研修に参加することは、家族や友人等には一切口外しないよう、被告甲山から言われていた。
(3) 研修、その後
原告Aは、同月二四日から研修に参加した。研修には何百人もの人が集まり、大声で七観行を一日中唱和させられ、その間ほとんど睡眠が取れず、ふらふらの状態であった。研修の最初と最後に被告北田が来て「頑張って頭取るように。」と言い、被告甲山も様子を見に来た。研修中は見張りがおり、周りの人と話をすることも禁じられた。
原告Aは、研修の帰途、被告甲山から「今度は誰かを連れて来なければいけない。家族や交際している人を誘わないと変わらない。救われない。」と言われた。原告Aは、研修を受ければ頭が取れて救われると言われたのに、今度は誰かを誘わないと救われないのでは話が違うのではないか、研修を受けることを絶対人に言ってはいけないと言っていたのに、今度は人に積極的に勧めなければいけないのでは話が違うと思った。
研修終了の際、被告北田の著作「病苦を超える最後の天行力」二〇冊を家族や知人等に配布するよう指示されたが、原告Aは誰にも配布せず、その後被告法の華の活動はしなかった。
(三) 原告B(以下、「原告B」という。)<証拠略>
(1) 端緒
原告Bは昭和二三年生まれの女性であり、夫と娘二人がいる。
原告Bは、かねて超常現象に興味を抱いていたところ、平成七年二月か三月ころ、「病苦を超える最後の天行力」を読み、二〇〇一年に人類が滅亡するとか、天行力によって病気が治る旨の記載に興味を抱き、同書添付のアンケートを郵送した。
このころ、原告Bは、娘二人がそれぞれ交際している男性について不満を持っていたが、取り立てて深刻な悩みを持っているわけではなかった。
その後、案内が送られてきたので、原告Bは同年五月一六日に京都で開催された説明会に参加したものの、その際は何ら金員を出捐することなく帰宅した。
(2) 足裏診断等
原告Bは、同月二八日名古屋で開催された被告北田の講演会にも参加した。講演会では、被告北田が会場から天行力を送る動作をすると、聴衆の多くが「最高です、最高です。」と叫んだ。その際、東京で行われる被告北田との個人面談参加を勧められてこれを承諾し、面談料金一〇万円、三法行セット代金五万円の合計金一五万円を支払った。
同年六月五日、原告Bは東京に行き、被告北田の個人面談を受けた、道中、被告法の華の信者から、研修に参加したところ、ある家の娘が良からぬ男性に付きまとわれていたのが止まり、電話も架かってこなくなったと聞き及び、天行力とはすごい力であると感心した。当時、原告Bは、ゼロの力学に参加しているという認識であり、被告法の華についての認識はなかったが、ゼロの力学は、宗教を越えた偉大なものであると考えていた。
原告Bは、所定のアンケート用紙に二人の娘の交際相手のこと及び夫との関係について相談したい旨事前に記載し、被告北田の足裏診断を受けた。
被告北田は原告Bの足裏を見て、「汚い足裏だ。」等と言い、原告Oの後頭部と腰部に手を当て、普通の言い回しで「頭は五〇パーセント、腰から下は二三パーセントしか天行力が通っていない。」「このままだと、将来、腰から下の癌になる。」と話し、診断カルテ<証拠略>に、六月一〇日から四日間研修等と書き込んだ。原告Bは、これを見て、研修することが既に決定しているかのような気持ちになった。
その後、原告Bは別室で二人の女性信者から、約三〇分間、同月一〇日から始まる研修会参加を勧誘された。原告Bが参加費用の額を尋ねると、二人は、二二五万円と答え、驚愕している原告Bに対し、「できる、できる。」「生活保護の人でもやっている。」「明日中に振り込め。」と説得した。原告Bは、被告北田から腰から下の癌になると言われて怖くなって気が動転していた上、研修参加が既定のものであるかのような気持ちであったため、翌六日ころ、二二五万円を郵便局から振り込んだ。
原告Bの夫及び娘らは、原告Bがゼロの力学に興味を持ち、研修に参加することを知り、原告Bに対し「騙されてるんやないか。」と反対したが、原告Bは翻意せず、右のとおり研修費用を振り込んだ。その後、夫から「いくらかかったんや。」と言われた際には、実際に支払った額の一〇分の一程度の額であったと答えたが、娘からも「お母さん、お金がかかるのと違うのか。」と言われ、今後一切金員の出捐しない旨一筆したためた。
(3) 研修、その後
原告Bは、同年六月一〇日から四泊五日の研修に参加した。研修冒頭、原告Bは修行生カルテ<証拠略>に入塾の動機として、娘が医学を信じるばかりであり、自分の力で何とかしたいと記載していた。
研修中は私語が禁じられ、歯磨きや着替えの時間もなく、休憩時間も殆どなく、七観行を大声で繰り返し唱え続けたり、目隠しをさせられて長時間正座させられるなど、肉体的・精神的に極めて過酷な研修であった。
研修終了後も、原告Bは、テレビ等で被告法の華が取り上げられるようになるころまで、法筆、法座及び法唱を実践した。
原告Bは、同年八月一日ころ、被告北田の「天声」を聞く会に誘われて参加した。事前に申込用紙に相談したいこととして、娘と男性との付き合いのこと等と書いて提出していたところ、被告北田から、電話で直接「こんなことを言っていたら、また血が濁るよ。」と言われるなどした後、被告法の華の信者を通じ、被告北田の「天声」として、①水子供養料金として一〇〇万円、②「家の中心代」として二三三万円、③実家の五代前、五代後の供養として一〇〇万円(合計四三三万円)を支払う必要があると聞かされた。原告Bは、その額が余りに高額であるため悩んだが、被告北田から直接このように言われた以上、言うとおりに支払わなければ家や子供に不幸が訪れると思い、同月五日に合計四三三万円を支払った。右金員は、原告Bの給与や、簡易保険からの借入金等で賄った。
平成八年になり、テレビ等で被告法の華が取り上げられるようになり、これを知った原告Bは騙されていたと知った。
(四) 原告C(以下、「原告C」という。)<証拠略>
(1) 端緒
原告Cは、昭和四四年生まれの大卒男性であり、父母がいる。
原告Cは、平成七年七月ころ、大学卒業後勤務していた会社を退職したものの、次の仕事が見つからず、何の仕事をすべきか、また自己の人生のあり方、方向づけ等について相当深く悩んでいた。
原告Cは、そのころ、街頭で配布を受けた「病苦を超える最後の天行力」を読み、人間が不幸になる原因、幸せになる方法等の内容について、そのとおりかも知れないと思った。そこで、被告北田の他の著作「五五億貯めずになにが人間か」「超人間療法」「愛を超える結婚があった!」を書店で購入して読了し、苦を刻んでいたら何も出来ない旨の言説に共感を抱き、「頭を取る」ための三法行セットの資料を△△に請求した。資料には、三法行を毎日実行すれば「頭を取る」ことができて仕事に成功する、「足の裏診断」を行えば自己の状態が分かるなどと記載されていた。原告Cが三法行セットの送付を△△に依頼したところ、同年九月二〇日の三法行受診説明会参加を勧誘され、これを承諾した。参加費用は三〇〇〇円であった。
(2) 足裏診断等
右説明会においては、ビデオを見て、七観行を大声で言い、「最高ですか。」と言い合ったりし、原告Cもこれに同調した。
その後、原告Cは、担当信者から足裏診断を受けた。担当者は原告Cに対し、「こんな大きな足をしていてもったいない。」「このままでは頭の病気になる。脳がやられる。」と話した。原告Cは、概ね予想されたとおりであると感じたが、脳がやられると言われたのは意外であったので、どうすればよいか尋ねた。すると、「四泊五日の修行を受けてくれ。」「頭が取れると、今までの悩みも全部解消する。」と言われたので、原告Cは、修行をすることで、苦しみから逃れられると考え、研修を受けて頭を取ってみようと思った。
すると、同席していた女性から預貯金額を聞かれ、原告Cは四〇〇万円と答えると、その女性から、二三〇万円を研修費用として当日中に支払うように言われた。原告Cは驚いたが、結局即日研修参加を承諾した。
原告Cは、帰宅して家族に相談したが、「金額が普通じゃないし、これは絶対おかしい。」と言われて反対された。しかし、原告Cは、翌日ゼロの力学に二三〇万円を振込送金した。
(3) 研修、その後
原告Cは、同年一〇月二九日ころから、四泊五日の研修を受けた。
その間、被告北田からこの研修中に「頭を取る」ことができなければ死ぬしかないと言われ、「頭を取る」ため長時間にわたり七観行や二四時間行等過酷な研修を受けた。原告Cは、絶対に頭を取ろうと思い、一生懸命研修を行っていた。
原告Cは、研修直後に大阪支部で行われた祝賀パーティーに参加し、研修の感想として、「自分はやっぱり参加できて良かった。」「頭が取れて今は最高だ。」等と述べた。その後、同年末ころまで、自宅で三法行等を実践しており、特に疑問等は感じていなかった。
同年一一月ころ、原告Cは研修における「苦の行」の結果を聞きに大阪支部に行くと、支部長らしき者から、苦の行の結果は「自分の中心」「赤い糸」である、修行を受けた段階では自分が揺れることがある、一年以内に結婚相手が見つかるが、そのためには天授式に出席して初めて人間として完成すると言われ、同人から自分の中心代、赤い糸代として合計八〇万円を振り込むよう言われた。しかし、原告Cは手持現金がないとして支払わなかった。
原告Cは、同年一一月下旬ころ、天声村にて「法洗行」を受け、一万円を支払った。
原告Cは、同年一二月ころ、金二万円を支払って東京ドームでの「天行力大祭」に参加した。
原告Cは、その後アルバイト先の上司から怒られて立腹したこと等から、頭が取れたら腹が立つことはないはずであるのに、自分は研修後も研修前と何ら変わりがないことに突然気付き、騙されていたと感じるようになった。
(五) 原告D(以下、「原告D」という。)<証拠略>
(1) 端緒
原告Dは、昭和一八年生まれの男性であり、平成六年五月当時、信用金庫の融資部審査課に勤務していた。
原告Dは、当時仕事が思うように行かず、家庭では嫁と姑のいさかいが絶えず、健康面でも胃潰瘍が三年ほど快方へ向かわず、癌になる可能性があると医師に言われて悩んでいた。
そのころ、原告Dは、悩みを解決する糸口になるかも知れないと思い、書店で被告北田の著書「地球四六億歳の逆襲」を購入した。同書には、西暦二〇〇〇年の地球と人類の行く末や、物事に対するこだわりを捨てたら全てが解決される等の記載があった。その後、「病苦を超える最後の天行力」を書店で購入し、末尾の葉書をゼロの力学本庁に送付し、案内書を送付してもらった。「最高」の気持ちを持つことができれば悩みが解決するとの記載内容を見て、少しでも今の悩みを解決できるのであればと思い、同年六月一日、二万円を現金書留で送金して天行力手帳を購入した。
同月ころ、ゼロの力学本庁から、同年七月二四日に神戸で開催される被告北田の講演会の案内が送付された。原告Dは、二〇〇〇円で講演会の入場券を購入し、その講演会に出席した。
(2) 足裏診断等
同年七月一七日に、原告DはVという女性から電話を受け、足裏診断を勧誘された。最初は断ったが、それで悩みが解決するかもしれないとの思いもあってこれを承諾し、面談料一〇万円を現金書留で送金した。
同月二四日の講演は、天行力についての説明と、被告北田による天行力の実演が行われた。
講演終了後、原告Dは、被告北田による足裏診断を受けた。その際、自分の悩みを予め書類に記載して事前に渡していた。
被告北田は、原告Dの首筋に手を当てたり足の裏を見たりしながら、「よく自分のことを分析している。天行力が三〇パーセントしか通らない。これではほとんど病人だ。」「胃潰瘍だけでなく、内臓全体が悪い。今のままでは、命を取られる。」「足の裏のほくろは、癌になる。家庭や仕事の悩みも含めて、全て解決するには富士で行われる人間完成修行を受けるしかない。」と強く言った。その後、Vらからも、「人間完成修行への参加が全てを解決する。」「頭を取る必要がある。参加しなければ、身体がますます悪くなる。参加すれば、翌日から全てが変わる。」と右同様に言われた。参加費用は、一二五万円と告げられた。そのとき、原告Dは、研修を受けなければ将来の命の保証はないものと思ったが、家族に内緒で費用一二五万円を工面することができず、一旦様子を見ることにしてVの勧誘を断った。
同年秋ころ、名古屋で前記同様の講演会が開催され、原告Dもこれに出席した。被告北田は「一九九五年(平成七年)は、大きな天災人災が起きる。そして、二〇〇一年一月六日午前二時に人類はひとまず終わる。しかし、天行力が通りさえすれば、全ての苦しみが洗い流される。」などと演説した。
原告Dは、同年一二月ころ、三万円を支払って天行力手帳を更新した。
平成七年一月一七日、原告Dは阪神大震災により被災し、三月には胃潰瘍が再発した。原告Dは、これらを被告北田が前年秋の講演会時点において予言していたものであると考え、人間完成修行を受けなければ、自分の将来はないものと思い、再度説明を聞くため、ゼロの力学大阪支部に連絡を取り、同年七月五日に同支部に赴いた。なお、再度大阪支部へ赴くまでの間、被告法の華から郵便による宣伝はされていたが、電話勧誘はなかった。
大阪支部では、丙野から、被告北田が行う人間完成修行について、「自分も末期癌だったが、一郎氏(被告北田)の研修に参加して完治した。」と説明を受けた。研修費用は前回より値上がりして一五八万円になっていたが、研修に参加しないと助かる見込みがなく、逆に研修に参加すれば体調も良くなって悩みも解決すると思い、同日原告Dは研修参加を承諾し、一五八万円を振り込んだ。
(3) 研修、その後
原告Dは、同月八日から七日間の研修に参加した。研修初日である同月八日、「私意書」と題する書面に署名指印した。研修は厳しいものであった。
同年八月に丙野の連絡により大阪支部に赴くと、被告北田から電話で、「あなたは何をしても中途半端だ。」「支部の人によく天声を聞いてするように。そうすれば、全て今後の将来は保証される。」等と言われ、その後支部の幹部女性からは、「諸々の費用として五〇〇万円出して下さい。そうすば、あなたの人生そして子孫の繁栄が約束される。」等と言われたが、金額の大きさから、支払いを拒否した。その後も何の変化も訪れなかった。
その後、天行力手帳の更新手続案内と同時に、同年一二月三日に東京ドームで開催される天行力大祭の案内が送られて来た。その案内には、「大祭当日には、頭から足の先まで突き抜けて全ての苦しみが消える、超天行力を実演する。」と記載されていたため、原告Dは、これだけ宣伝するのであればさすがに効果があるのではないかと思い、また費用も高額でないこともあり、二万円を支払ってこれに参加した。
被告北田は、「超天行力が全ての苦しみも悩みも流して、繁栄を約束し、明日からの生活が変わる。」などと演説したが、結局生活は何も変わらず、被告北田に対する不信感が募った。
そのころから、北田の宗教活動が詐欺的なものと取り上げられるようになり、単に脅され又は騙されていただけであったと自覚した。
(六) 原告P(以下、「原告P」という。)<証拠略>
(1) 端緒
原告Pは、昭和四年生まれの女性である。一九歳で結婚したが、二二歳で夫と別れ、長女は夫が引き取り、当時身ごもっていた息子は女手一つで養育したが、原告Pが四二歳の時に病で先立たれ、現在単身である。
原告Pは、夫や子供のない寂しさに加え、自分が死んだ時には誰が先祖の供養や私のためにお経をあげてくれるのだろうか等、自分の死後に不安を抱いていた。原告Pは、右のような悩みを、三〇年来の友人であり、被告法の華の信者でもあるW(以下、「W」という。)に度々話していた。
(2) 足裏診断等
原告Pは、Wから、被告法の華で「足の裏鑑定」を受けて「頭を取る」ように勧められ、これを承諾した。Wによれば、足裏鑑定を受ければ原告Pの不幸の原因が判明し、入信して修行を積めば天行力が付き、運勢が開けると共に、先祖の供養もできて悩みも解決するとのことだった。当時、原告Pは、「頭を取る」ということは、昔の邪念をなくすことだと考えており、法の華は仏教と同じであるとの認識であった。
原告Pは、平成八年二月上旬ころ、被告法の華の大阪支部に行き、五万円を支払って足裏鑑定を受けた。足裏鑑定士と称する五〇歳位の女性とW及び被告甲山がその場に立ち会った。
右女性は、大きなため息をつき「このままではあなたは死ねば地獄に落ちるし、生きている間も運勢は開けない。不幸が連続して起きるようになるでしょう。」「今のままでは天行力が三〇パーセントしか通らない。こんな状態ではあなた自体もやがて破滅する。独り息子に先立たれたのもそのせいである。是非、人間完成の修業を受けなければならない。」など、強い調子で研修参加を勧誘された。支部長やWからも、「明日名古屋で北田先生の講演会があるから、先生の話を一遍聞いてごらん。」「聞いたら、ああもっともやと思うから一緒に行こう。」「名古屋へ行って先生の話を聞けば、自分が幸せになれるということが分かるから、一緒に行こう。」などと言われた。
翌日、原告Pは、名古屋での研修会に会費二〇〇〇円を支払って参加した。
広い講堂に千人程集まっており、被告北田は「近々大きな天災、人災が起きる。そして二〇〇一年六月に地球上の人類はすべて滅亡する。しかし、修業をして天行力が通りさえすれば、すべての苦しみから救われ生存することができる。」等と演説した。
被告北田の話を聞いた後、「幸せですか。」「最高ですか。」等と尋ねられ「幸せです。」「最高です。」と皆で大声で絶叫した。原告Pは、周囲が絶叫していたので真似をしているうちに、次第に救われるような気持ちになり、富士での修業も是非積まねばならないと思い、翌一三日、定期預金を解約して二二五万円を電信為替で振り込んだ。
(3) 研修、その後
原告Pは、平成八年二月一四日から、四泊五日の研修に参加した。その際、七観行の絶叫や写経、本を頭に乗せて正座することや、天珠水を飲む研修等が行われた。
(七) 原告I(以下、「原告I」という。)<証拠略>
(1) 端緒
原告Iは昭和四七年生まれの女性であり、平成四年当時大学生であった。
当時、原告Iは、アルバイト先での人間関係に悩み、少し欝のようになり家に閉じ籠りがちであった。
(2) 足裏診断等
原告Iは、同年一〇月初ころ、被告北田の著作「金運大逆転」を購入し、読者カードを送ると、まもなくゼロの力学から足裏診断会に電話勧誘された。電話の女性は、「宗教法人ではなく株式会社だから怪しいところではありません。」「一郎先生の力はテレビでも証明され、ミスターマリックと対決して勝ったんですよ。費用は三万円で済みますから、こんな機会は滅多にないので、是非足裏診断を受けてみてください。」「運が開け、悩みも解決する手がかりが得られるはずです。」等と熱心に勧誘されたので、原告Iはこれを承諾した。原告Iは、ゼロの力学を占い又は自己啓発を目的とする団体である旨認識していた。
同月一七日、原告Iは足裏診断会場である静岡県富士市に赴き、所定のアンケートを記載した。二〇個ぐらいの項目があったが、身内に水子はいるか、自殺者はいるか、癌で死んだ人がいるか、家が火事になったことがあるか、という四つの質問項目に該当する旨記載した。
被告北田は、原告Iの憔悴した顔を見て、「何か悩んでいることがあるのかな。」とつぶやきながら、アンケートに目を移し「可哀想に、こういう家系だからねえ。」と言い、足の裏を見て「でも君はまだこういう足だから、研修を受ければ悩みはすぐ解決するよ。」等と言った。そして、隣にいた職員にカルテを渡し、「普通の半額で受けられる研修。」と指示し、「天行力を通す。」と言いながら原告Iの頭から背中にかけて手をストンと落とす感じで触り、ぽんと背中を軽く叩いた。この間五分程度であった。
その後、原告Iが帰宅しようと思っていると、女性信者二人から、即時の研修参加の説得を受けた。信者らは、「研修に参加しないと、あなたは因縁に囚われて人生が永久に開けない。」「あなたが余りに可哀想だから言うのよ。」と哀れむようなまなざしで話した。原告Iは、小学校の時に原因不明の高熱で入院し、霊能者のお祓いを受けた直後に原因が判明した経験があったことから、先祖の因縁もあり得ると思い、研修参加を承諾し、同日からの三泊四日の研修に参加することにした。原告Iが所持金がない旨答えると、うち一人が内緒で立て替えてあげる旨言ったため、原告Iは、取り敢えず足裏診断費及び研修費の一部として七万五〇〇〇円をその場で支払い、四泊五日の研修に途中から参加した。この間約二時間であった。
(3) 研修、その後
研修内容は、跳びながら「最高です。」と叫んだり、身体を揺すったり、また般若天行の写経をしたりするものであった。そして監視役が研修生約三人に一人の割合で付き、少しでも決められたとおりにしなかったり、ひるんだり、たるんだりすると、その監視役から突き飛ばされることがあった。食事は、一日目の夜はスープのみで、後は一切なく、私語も一切禁止され、道場の中で隔離されて毛布一枚でごろ寝の状態であった。
二日目の夜、渋谷駅前で朝の一〇時まで一晩中「最高ですか。」等と語りかける行をした際に、五〇歳過ぎの末期癌患者である参加者が雨中土色の顔で修行をしている姿を傍らで見るに及び、原告Iは、病人に苦行をさせるような団体はいんちきかもしれないと思い、次第に馬鹿らしくなった。そのため、研修を中止して近くの車庫で寝た。
三日目になって、原告Iが帰宅の意向を示すと、被告法の華の信者から、途中で止めた人はいないとして翻意を促され、取り敢えず被告法の華本部まで戻った。そこで女性信者三人がかりで執拗に説得されて押し問答となり、頬を平手で一度叩かれることもあったが、それでも原告Iは翻意しなかった。すると、原告Iを研修に誘った女性信者が、「研修費は私が善意で貸してあげたものだから、返してくれるわね。」と念押ししたため、原告Iは帰りたい一心でこれを承知した。
結局、原告Iは右のとおり研修を中断し、途中帰宅した。原告Iは被告法の華を信頼しておらず、残金の支払いをしたくないと思っていたが、内金を支払った際に私意書に署名指印していたため、後に因縁を付けられると困ると思い、残金五五万円を指定先に送金した。
(八) 原告K(以下、「原告K」という。)<証拠略>
(1) 端緒
原告Kは、大正一五年生まれの女性であり、夫との間に一男一女がいる。
平成五年春ころ、原告Kは、長女(当時三三歳)が就職できないことに悩んでいた。長女も自分の将来に不安を持っていたところ、長女が被告北田の著書を読んで関心を持つに至り、同年七月、まず長女が東京のゼロの力学本庁で説明を受けた。
(2) 足裏診断等
原告Kは、長女に同行を頼まれ、同年八月二四日、ゼロの力学本庁に行って別々に足裏診断を受けた。
被告北田は、原告Kの足の裏を見て、「汚いですね。」「えらい苦を刻んでいますね。」「水子がありますね。」「五代前の先祖の霊をちゃんと洗わないといかん。」等と言った。
原告Kは、自ら過去に中絶の経験があったことから、そのことを被告北田に言い当てられたように思い、折から娘のことで悩んでいたこともあり、被告北田に自分の全てを把握されていると思っていると、被告北田から、「先祖の祭りをしないといけない。」「五代前からの先祖の生き様の大掃除をして、腹から喜べる生活をして器の大きな人間になるように。」「頭を取るように。」「研修すれば、あなたの家も良くなってくるし、娘さんも良くなる。」「研修を受けなかったら、娘も良くならない。」等と言われたため、原告Kは、別々に勧誘された長女共々研修に行くことを決意した。原告Kは、当日の足裏診断料として、二人分九万六〇〇〇円を支払った。
原告Kは、同月二七日、長女と二人分の研修費用として二一三万円を支払い、同月二八日からの研修に参加した。約一〇〇名が参加した。
(3) 研修、その後
研修内容は、七観行を唱えること等で、その他、約三時間暗い部屋に閉じ込められたり、また、新宿の路上で「最高です。」と大きな声で何回も叫んだり、夜通し通行人に般若天行を書かせたりし、こんなことをして効果があるのかと若干疑問も感じた。研修の最後のころ、被告北田の説法があり、研修参加者がそれぞれ現在の自分の気持ちにつき、頭が取れた等と述べ、被告北田がそれを聞き、合格、不合格を判定した。
研修会終了後、原告Kは、担当者と称するXから、家や娘が良くなるためのお金という名目で、五八三万円の支払を求められた。原告Kは、請求額が余りにも多額であったため躊躇したが、Xから約一、二時間説得され、求められた金額を支払わないと娘も良くならないし、家も余計に悪くなると困ると思い、Xに対し、その後に払う意思は全くないことを確認した上でこれに応じ、同年九月三日、五八三万円をX宛に振り込んだ。
その後、原告Kは、同年九月五日、同年一一月二〇日、同年一二月一九日に天声村に行った。九月か一一月、掛軸を二本もらった。
原告Kは、平成六年八月ころ、Xから電話を受けた。Xは、「五代前に遡ってしないと娘やKさんに先祖のたたりがある。」「今度のこれは水子の供養塔やから払いなさい。そうしたら絶対に良くなること間違いないから。」と述べ、更に一〇〇万円の出捐を勧誘した。原告Kは「お金がもうありません。」と言ったが、Xは「これで最後です。借金してでも払ったらそれなりのことがあります。」と説得した。この間約一時間であった。原告Kは、Xの発言に説得されて、同月二三日、一〇〇万円をX宛に振り込んだ。
原告Kは、平成六年九月二六日に三〇万円、平成七年一月一七日に一万円をそれぞれ被告法の華に振り込んだ。
原告Kは、テレビ等で被告法の華に関する報道を見聞し、長女からも騙されたのではないかと言われ、自分も騙されていたと思った。
(九) 原告E(以下、「原告E」という。)<証拠略>
(1) 端緒
原告Eは昭和三二年生まれの大卒男性である。原告Eには妻及び未成年の子供三人があったが、平成三年ないし平成四年ころから、当時勤務先の部下であったY(以下、「Y」という。)と交際を開始し、男女関係を持つに至った。
原告Eは、平成八年五月ころ、自宅ローンや長男の私立中学受験等で銀行からの借入れが増える一方、妻にこれを打ち明けることができず、経済的な問題が原因で妻との間に不和があり、さらに右Yとの関係についても悩んでいた。
原告Eは、そのころ、Yから被告北田の著書を見せられ、被告法の華を知った。Yからは、研修をすれば生きる力が湧く旨、被告法の華は宗教であると聞いた。Yは、原告Eに対し、被告北田に会うことを勧めた。
(2) 足裏診断等
同年一一月二三日、原告E、Yの勧めで被告北田の大阪講演会に参加し、被告北田の面談を受けた。右面談費用三〇万円は、Yが自己資金で工面した。原告Eは事前に「診断カルテ」<証拠略>に、被告北田に聞きたいこととして、「女性関係(妻以外の人との関係)、家庭の事」等と記載した。被告北田は原告Eに対し、右カルテを見ながら、「あなたは優柔不断です。中途半端な性格です。」などと述べた後、原告の足裏を見ながら「七〇歳の年寄りの足の裏だ。全く張りもないしつやもない。これではあなたの人生は駄目になる。」と原告Eに告げ、続けて「今年中に間に合って良かった。来年ならもうあなたは駄目になっていた。」と述べ、原告Eに対し今年中の研修に参加するよう伝えた。この間五分から一〇分程度であった。
面談終了後、原告Eは引き続き、支部長と称する女性から「頭でいろいろ考えてはどうにもならない。頭を取らないとすべて人生駄目になる。」と言われ、研修を受けることを強く勧められ、その費用二二五万円を二四時間以内に用意するように言われた。原告Eが無理だと答えると「観いの定めだから。」「腹をくくるためには中途半端な金額では駄目なんだ。研修に行った人はお金をどんなことをしても用意して腹をくくって研修に行ったんだ。」と言われた。原告Eは研修参加を承諾し、その場で三〇〇〇円を支払って帰宅したものの、二二五万円全額を支払うことは到底無理であると認識していた。
その後一週間ないし一〇日間が経過し、Yからも「研修に行った人はサラ金から借金してでも研修費用を用意している。」等と金の工面を求められていたものの、原告Eは金員出捐を躊躇していた。ところが、同年一二月二〇日ころ、Yが原告Eに対し、内金として一〇〇万円を自ら振り込んだと伝えた。原告Eは「それは返してもらえないのか。」とYに聞いたが、Yは「返してもらえない。一度振り込んだお金は二度と戻らない。」と答えた。このため、原告Eは残額一二五万円を用意して研修に行くことを決意し、同月二四日ころ、金融業者から二回に分けて借金し、研修当日に持参して支払った。
(3) 研修、その後
原告Eは、同月二六日から四泊五日の研修に参加した。研修参加に当たり、Yから「研修に行く人は、とにかく何も持たずに、そこに逃げるようにして行くんですよ。」などと聞き及んでいたことから、妻子には説明せず、「心配するな一二月三一日には帰ってくる。」と置き手紙を残した。
研修初日、原告Eは「修行参加者受付証」に、研修参加の理由として「自分で何事も結論を出せるようになるため(すべての事が)、中途半端な自分をかえたい。」と記載した。五日間の睡眠時間は一日四、五時間程度で粗末な食事であり、入浴も出来ず、ただ大声で定められた言葉を繰り返し、写経をするなどした。
Yは、平成九年二月に勤務先を退職し、その二か月後に被告法の華の教育施設である右脳塾に入所した。その後、原告EとYとは、約一か月間手紙や電話でのやりとりをしていたが、次第に疎遠となり、結局原告Eが妻の元に戻る形で関係解消した。
研修参加後、原告Eは一度地区の集会に参加することがあったが、月々の生活に変化はなかった。経済的な苦しみは一層増大し、結局妻の実家から一時立て替えてもらって負債を返済した。その後、妻から被告法の華の被害者の会ができ、日本中で被害者が裁判に訴えていることを知り、本件提訴に至った。
(一〇) 原告F(以下、「原告F」という。)<証拠略>
(1) 端緒
原告Fは、昭和四三年生まれの女性で、平成七年一〇月当時、独身で生命保険の外交をしていた。そのころ、仕事、異性及び母親との関係で悩んでいたところ、同月末ころ、東三国駅前で配布された「病苦を超える最後の天行力」及び自分で購入した「赤い糸」「人間力」を読了した。これらに記載のある天行力手帳に興味を持ち、関西支局へ問い合わせたところ、来所を誘われた。
同支局では、原告Fに対し、頭を取ることについて、絵を描いて説明した上、「頭を取れば右脳が開発され、勘が冴える。」「生命保険の仕事もたくさん取れる。」「赤い糸の人に巡り会える。」「好きな人とうまくいく。」「天職が見つかる。」などと言って、手帳、写経帳面及び天珠等の三法行セット(合計七万円)の購入を約一時間勧誘した。
原告Fは、当時手帳等を持つだけで少しでも道が開けるのであればと思ったが、新興宗教の一種ではないかと思ってこれを尋ねたところ、担当者は、「宗教ではない。」と答えた。原告Fは、被告北田の著書の中で「宗教を超えている。」「超宗」といった表現があったので、宗教を超えている以上、宗教ではないと考え、右回答を単純に信用し、手付金として一〇〇〇円を支払って同支局を出た。
その後、原告Fが手帳を取りに右支局へ行くと、担当と称するZから、東京ドームでの催しに勧誘された。原告Fは、手帳に興味があった上、被告北田の言うところの天行力に興味を持ち、右催しに参加することを承諾した。右手帳代及び東京ドームの入場料の合計として、原告Fは、同年一一月ころ、合計一〇万円を支払った。
(2) 足裏診断等
原告Fは、同年一二月初めころ、再び関西支局へ行き、足裏診断をしたり、皆で「最高です。」と叫んだり、天行力を受ける姿勢を取ったり、ビデオを見たりした。右足裏診断においては「汚い足だ。」「親指が大きいから、頭が固い。」「癌の家系。」「父の血の方がましや。」などと言われた。
原告Fは、右のように言われてショックを受け、同年一二月三日、東京ドームの催しに参加した。そこでは、ゲストの話があったり、被告北田が参加者に天行力を送る仕草をしたりしていた。原告Fの周りにいた参加者の中には泣き出す者も出ており、原告Fも涙が出たりした。
原告Fは、Zの誘いで同月一一日に関西支局に行くと、Zらから、四泊五日の研修への参加を一時間半から二時間勧誘された。原告Fが承諾しないでいると、担当者がaに代わり、更に「先祖が悪い。」「このままだったら赤い糸の人に巡り会えない。」「家の代表としてやることで、悩みも解決するし、家もうまくいく。」「癌の家系である。」等と言われ、最後には「腹をくくれ。」と怒鳴られた。原告Fは、かねて研修費用が高額であると聞き及んでおり、一〇〇〇万円程度と考えていたものの、aから二三〇万円であると聞かされ、この金額なら何とか工面できると考え、研修に参加することにより職業や家庭、異性との出会い等についてうまくいく可能性に賭けてみようという気になり、結局承諾した。内金一万円を当日支払い、残金二二九万円については、同月一二日、郵便局を通じて送金した。右金員については、いずれも自己の預金により捻出した。
(3) 研修、その後
原告Fは、当月一三日から天声村で研修を受けた。研修中は、私語を禁止され、見張りが置かれ、七観行が言えないと平手打ちをされ、風呂に入れず着替もできず、必要な睡眠も取れない等過酷なものであった。
帰宅の車中、原告Fは、以後は他人を勧誘しなければならないと聞き及び、嫌な気分になった。また、平成八年一月四日ころ、原告Fは、研修で知り合った三名と共に天声村の温泉へ行った際、四人共同様の足裏診断の結果であったことを知って不信感を覚え、その後、Zから、組織の中に入ればZの勧誘分を原告Fの成績にしても良いと生命保険の外交と同様のことを言われたため不信感が更に増幅し、以後Zとの接触を中止した。なお、原告Fは、その後結婚した。
(一一) 原告J、原告L及びM(以下、原告Jを「原告J」、原告Lを「原告L」、原告Mを「原告M」という。)<証拠略>
(1) 端緒
原告Lは昭和四一年生まれの男性であり、銀行員である。原告Mは同年生まれの女性であり、原告Lと原告Mは夫婦である。
R(以下、「R」という。)及び原告Lはいずれも原告Jとその夫(昭和五八年に死亡)との間の子である。
平成七年一月当時、原告JとRは同居していたが、Rの縁談について親族一同で反対したことがきっかけで、関係はあまり良好でなかった。原告Jと原告L夫婦とは、当時別居しており、原告L夫婦とRとの交流はさほどなかった。
Rは、そのころ被告北田の著書「愛を超える結婚があった!」「病苦を超える最後の天行力」を読みゼロの力学に出会い、「ゼロの力学は自分を変えてくれる素晴らしいところだ。三〇歳を過ぎて結婚できないのは赤い糸がないためだ。」「頭を取ると幸せになる。」と言い出した。Rは、原告Jがかねて結婚したら三〇〇万円渡すと約束していたので、「その三〇〇万円を頭を取るために富士の道場に行く費用に出してほしい。」と求め、原告Jはこれに応じて同額を渡した。
Rは、同年二月一九日、被告北田の面談を受け、その後被告法の華の研修に参加した。研修後の同年三月二五日ころ、被告北田から「天声」として、「家の中心」「赤い糸」「天仕拝命」が下り、Rは被告法の華の天仕になろうと決意した。研修から戻ったRは、以前に比べて明るい様子になり、家の中でも会話をするようになったので、原告Jは喜んでいた。
Rは、同月ころ、原告Jに対し、「ゼロの力学のゆうぷらす祭に参加してほしい。」「私(R)が結婚できるためにも行ってほしい。」「二〇〇一年一月に人類が滅亡する。」「大阪で最低何人集めなければならない。参加だけでもして欲しい。」等と話し、原告Jは、これを承諾した。
Rは、同じころ、原告L及び原告Mの二人に対しても、「ゼロの力学で頭を取って、私は生まれ変わった。」「今まで辛くして申し訳なかった。」「お母さん(原告J)に頭を取ってもらおうと思っている。いずれは原告L及び原告Mにも頭を取ってもらいたい。」「東京の超宗ゆうぷらす祭に出て欲しい。」「すごいことが起きる。」等と述べて勧誘した。同時に「ゼロの力学の天仕となって家を出る。そうすると母一人になるので、母のことは面倒を見て欲しい。」等と述べた。原告Lは、Rの様子を見て、性格が穏やかになっており、良くなったとの印象を抱いていた。原告Mも、Rが以前に比べて性格が変わったと感じていた。
こうして、原告J、原告L及び原告Mは、同年四月五日、東京国技館で開催された超宗ゆうぷらす祭に、参加費用各自五〇〇〇円ずつを支払って参加した。なお、東京に向かう新幹線の車中、原告Lは「超宗」という旗に不快感を示し、他の参加者の輪の中に入ることはなかった。
会場においては、被告北田が参加者に対し、「頭を取らなければ二〇〇一年にこの世から抹殺される。」「頭を取らなければ癌になる。」「頭を取ればすべてうまくいく。」等と演説した。当時、原告Lは、ゼロの力学は現実を越えたような宇宙的なものであると理解していた。
その後、Rは、原告Jに対し、「天仕になるために、もう一〇〇万円のお金が要る。」と無心をし、原告Jは結局これに応じた。Rは、同年四月、当時の勤務先を退職した。
(2) 四泊五日の研修勧誘等
ゆうぷらす祭の後、門真支部長であるb夫婦を始めとする被告法の華の信者らが、原告Jに対し、次々に昼夜を問わず頻繁に電話をして、「お母さんが頭を取らないと何の意味もない。」「親子は互いに血がつながっているので、お母さんがしないと娘さんの足を引っ張ることになる。」「頭を取らねば癌になる。血圧が高いから、そのままなら動脈硬化になる。」「旦那さんが早死にしたのもそのためだ。」「頭を取れば、息子さん夫婦にも子供が出来る。娘さん(R)も赤い糸に出会って結婚できる。」、「家族も協力して一緒にやらないと答えが出ない。」などと原告Jに対して話した。その結果、原告Jは、周囲の不幸は、自分が被告法の華の信者らの言うようにしないことが原因で、このままでは自分も含めて周りを不幸にするとの不安、恐怖に襲われるようになり、結局、三法行セットを五万円で購入し、同月二四日、被告法の華に対し、研修費用として一二五万円を夫の遺産を取り崩して支払った。
bは、原告L及び原告Mに対しても、一度か二度、電話で勧誘をした。その際、「子供が出来ないのは頭を取らないからだ。」「このままだと早死や癌になったり、夫婦関係もうまくいかなくなる。離婚する。」と言われ、Rからも同様に勧誘を受けた。原告L及び原告Mは、bらから、頭を取らなくとも、三法行セットを持つだけでも効果があると言われたため、同年四月二二日ころ、三法行セットを各五万円で二組購入した。
(3) 原告Jの四泊五日の研修等
原告Jは、同年五月一三日から四泊五日の研修に参加した。なお、研修初日の冒頭、原告Jは「修行生カルテ」の入塾の動機と理由欄に「娘が入塾しました。とっても良い娘になって帰ってきたので。」と記載した。
研修の間は、睡眠時間が、一日一、二時間のみで、五日間合計しても五、六時間であった。同月一六日ころ、被告北田は参加者に「他の人の心臓を天の前に預けろ。他の人を一人でも多く預けさせれば、あなた方はもっと幸せになれる。」「二〇〇一年一月六日までに人類の二分の一プラス一人の頭を取らせないと人類は滅亡する。」「一人でも多く頭を取らないと大変なことになる。」「この行はまだ完了していない。他の人を最低一人は頭を取らせるようにしないとこの行は終わらない。」と言った。
Rは、同月二七日ころ、実家を出て被告法の華の施設へ行き、その後平成九年一二月末及び平成一一年五月末から六月初めにかけて度々金の無心に来たものの、現在も家を出たままになっている。
原告J、原告L及び原告Mは、平成七年五月二一日、京都のホテルにて、被告北田のテレビ中継の講演会に参加し、費用として原告Jが二〇〇〇円、原告L及び原告Mが各三〇〇〇円を支払った。講演会においては、被告北田は参加者に対し、「みんなは五代前の先祖の供養がなっていないから不幸になっている。これをまずきれいにしないといけない。」「二〇〇一年一月六日に人類が滅びると天声が聞こえてきている。」「ゼロの力学は外国でも活動している。中国は日本より頭を取ることにもっと頑張っている。日本の方が負けている。」「とにかく頭を取らないといけない。」等と話した。
(4) 原告L、Mの足裏診断等
同月二三日、bが少しは足裏診断ができるということで、原告Mは足裏診断を受けた。bは、原告Mの足裏について「小指が曲がっているので、子孫が繁栄しない。」「足の裏がぶよぶよしているので、内臓(子宮)に問題があり、放っておくと癌になる。」「本当の赤い糸になっていないので離婚する。」等と断定的に話す一方、b夫婦も四年間子供が出来なかったが、頭を取ったらすぐに子供が出来たなどと話した。
原告J、原告L及び原告Mは、同年六月三日に富士市天声村所在の温行館に行き、参加費用として各一万五〇〇〇円を支払った。温行館に行くに当たっては、原告Jが、富士に旅立ったRがどのように暮らしているのか心配したため、原告Lの運転で結局右三名で行くことになった。
右参加の際、自称足裏診断士の診断において、原告Mは、「流産したのは子宮に問題があると足裏に出ている。」「頭を取れば絶対子供も出来る。」と言われ、原告Lは、「夫婦一緒に頭を取る研修に参加しなければ意味がない。」「夫は奥さんのために頭を取らなければいけない。」「奥さんを救ってあげてください。」と言われた。原告Lは、これに対し、原告Mだけを研修に行かせても良いのではないかと言ったが、「二人夫婦が行かないと意味がない。問題は解決しない。」「夫の仕事もうまくいかなくなる。」等と言われた。原告Lは、当時頭を取れば絶対子供が出来ると信じていた。
その後、原告L及び原告Mは、周りの皆が同じような診断等をするので、このままでは頭を取るしかないと考えるようになり、原告Jに対し、夫婦で研修に参加すべきか相談した。原告Jが「行くんだったら、行って欲しい。」との返事をしたため、研修参加を決意した。Rに対しては、Lから研修に参加する旨連絡し、Rが日程調整をした。原告L及び原告Mは、研修参加時までに、各一二五万円の合計二五〇万円を支払った。右二五〇万円は、原告Jから借りたものである。右二五〇万円を支払うまでの間、約一日おきにbらやRから電話があった。この前後に、原告Lは、ゼロの力学と聞いていた団体が被告法の華という教団であることを知った。
(5) 原告L及び原告Mの研修等
原告L及び原告Mは、同年六月一〇日から四泊五日の研修に参加した。研修初日、両原告は「修行生カルテ」ないし「修行参加者受付証」と題する書面に所定事項を記載した。原告Lは、参加の動機として「姉母に勧められて、又最高の気分を感じたい。子供が欲しいからです。」「子供ができないので、頭を取った後の最高の気持ちになりたい、又、仕事、私生活全てがうまくいって欲しい。」と記載し、原告Mは「家族のすすめ、子供が出来れば良いと思いました。」「生理が流産後量が減り、卵巣がはれたりして、このままでは子供ができないと思いました。時折出る喘息もなくなればと思いました。喘息は、実弟の家族四人も悩まされていることなので、何とかしたく、入塾しました。」と記載した。
研修中は、睡眠時間が一日一、二時間であり、五日間合計でも五、六時間であった。私語は禁止され、七観行を大声で叫んだり、互いに非難攻撃しあって怒鳴り合わせる等の研修が行われた。最終日の前日に、被告北田は、参加者に対し「他の人の心臓を天の前に預けろ。他の人を一人でも多く預けさせれば、あなた方はもっと幸せになれる。」「二〇〇一年一月六日までに人類の二分の一プラス一人の頭を取らせないと人類は滅亡する。」「一人でも多く頭を取らないと大変なことになる。」「この行はまだ完了していない。他の人を最低一人は頭を取らせるようにしないとこの行は終わらない。」等と言った。原告Lは、被告北田の言うことを信じており研修終了時に達成感を感じ、「良かった。」とRに対して述べた。
右研修の終了時に温行館修行の予約をし、同年七月一日、原告J、原告L及び原告Mの三人で、日帰りの温泉修業(法洗行)に参加した。費用は前回同様、一人当たり各一万五〇〇〇円を支払った。同月ころ、原告Jは、法の華三法行の名称を知った。
(6) その後の「天声」による勧誘等
その後、原告Jは被告法の華の信者らから「娘が頑張っているのに、娘さんの答えが出ないのは、あなたが天声を聞いていないからだ。」等と言われ、天伺い(被告北田に頼んで天声を聞くこと。)を勧められ、五万円を支払ってこれを受けることとした。
原告Jは、被告北田と直接電話で話をした際、「寝屋川の支部長になれ。」「水子供養が出ている。」「実家の掃除。」程度のことを言われ、その後電話を代わったX講師を通じて、「天声で、実家の掃除として一〇〇万円、水子供養として一〇〇万円、支部長になる研修で三〇万円が出ている。」「富士でする支部長研修の日程は平成七年八月一九日と二〇日と決まっているので、これに参加しなさい。」と言われた。原告Jは、被告北田やXの指示に従い、右合計二三〇万円を、同年八月一七日に支払った。
原告Jは、同年八月一九日から二〇日まで、富士市天声村での支部長研修に参加した。最終日の同月二〇日には同地で法納祭が開かれ、これに原告Jのほか、途中で合流した原告L及び原告Mの三人で参加した。費用は各自四〇〇〇円であった。
その後も原告J、原告L及び原告Mは、被告法の華の信者らの勧めで、同年一二月ころまでの間、次の各行事に参加した。
サンケイホールでの講演会(費用各三〇〇〇円)
厚生年金中ホールでの集会(費用各二〇〇〇円)
国際ホテルでの集会(費用各二〇〇〇円)
原告J、原告L及び原告Mは、同年一二月三日、東京ドームでの天行力大会に参加費用各二万円を支払って参加した。
原告J、原告L及び原告Mは、同月一二日、東京国技館での超天行力伝授に参加費用各五〇〇〇円を支払って参加した。これに参加したのは、被告北田がローマ法王から貰った指輪(これを装着すると、天行力及び法行力が増大するとされていた。)と同じデザインの指輪を貰えると聞き及んでいたからであるが、会場においては、右指輪は新たに七人を勧誘することが条件であると聞かされ、話が違うと感じた。
原告Jは、平成八年四月五日、東京国技館で開催されたゆうぷらす祭に参加費用五〇〇〇円を支払って参加した。その前後に、原告Jと原告Lは、費用各二〇〇〇円を支払って大阪市内のホテルで行われた被告北田の講演会に参加した。
原告J、原告L及び原告Mは、同年一二月一〇日、名古屋での超天行力大祭に、参加費用各二万円を支払って参加し、三法行セットの中の手帳を更新した。
原告Jは、平成九年五月一八日、被告北田の天声個人指導を受けた。原告Jは、その際の面談カルテ<証拠略>に、被告北田に聞きたいこととして、「娘が天仕二年行(や)らせて頂いていますが、まだ赤い糸の出会いがないのでそれが心配です。息子夫婦も頭を取りましたが(結婚六年)まだ子供が出来ません。」と記載し、八観行の欄に「娘が赤い糸になった、素晴らしい毎日です。」と記載していた。
(一二) 原告G(以下「原告G」という。)<証拠略>
(1) 端緒
原告Gは、昭和三四年生まれの独身男性であり、平成七年九月当時、母親と二人暮らしであった。
同年一月に発生した阪神大震災で自宅が全壊して家族が離散した上、父親が重度の糖尿病で入院中であった。原告G自身も三〇代半ばを過ぎて独身で、想う女性と巡り会うことができず、何とかこのような事態から脱したいと思っていた。
同月初めころ、大阪駅前で、被告法の華の信者から「病苦を超える最後の天行力」を貰い読了した。「頭を取る研修を受ければ、いろいろな問題が解決する。」との被告北田の話に興味を持ち、読者カードを送ると、ゼロの力学から被告北田の講演案内が届いた。
(2) 足裏診断等
原告Gは、同年九月終わりころ、名古屋での被告北田の講演会(有料)に参加した。
講演終了後に、原告Gはゼロの力学の係員らしき女性信者に呼び出され、事前に記載したアンケートを見ながら、このままなら永久に運が開けないので、三法行セットを買って修行し二、三日後に実施される足裏診断会に参加するよう熱心に勧誘され、自分の人生が良くなるならばと思い、三法行セット代として五万円、足裏診断予約金として一万円を支払った。
それから二、三日後、原告Gは、右の際に指定された名古屋のホテルに赴き、女性信者から足裏診断を受け「お父さんが病気なのも、あなたが結婚できないのも、先祖の因縁のせいです。」「小指が曲がっているのは、もう子孫が絶えるということで、あなたは結婚できません。」「このままでは、ずっとこのままですよ。」「研修に参加して頭を取れば良くなりますよ。運が開けますよ。」と言われ、同年一〇月一四日から始まる四泊五日の研修に参加するよう強く勧められた。費用については二二五万円であり、一週間以内に支払う必要があるとのことで、原告Gは躊躇したが、その女性は「今、いくらでもいいですから、お金を納めてください。」と言い、「行かないとこのまま運も開けないし、どんどん悪くなることもあります。」と言うので、原告Gは、その場で予約金として一万円を支払った。
原告Gは、自身の貯金等で二二四万円を支払うことができる見込みがあったものの、余りに高額であるので、研修に参加するか否か数日間かなり迷った。しかし、運が良くなるのであればと言うことで、参加を決意し、同年一〇月三日、貯金を解約して残金二二四万円を送金した。なお、この間、原告Gは特に誰にも相談をしなかったが、被告法の華の信者からは何の働きかけもなかった。
(3) 研修、その後
原告Gは、同年一〇月一四日から、四泊五日の研修に参加した。
研修初日に、「修行生カルテ」「修行参加者受付証」と題する書面に、研修参加の動機として、それぞれ「体験してみて、頭を取ってみたいと感じたから。家庭内のこだわり等を正したいので。本当に赤い糸の出会いがしたい。父親との仲、両親間の不調和を正したい。」「頭を取る研修に参加体験してみたかった。これからの人生家族とこだわりなく生きていきたい、本当に赤い糸の出会いがしたい。父親との仲、両親間の関係を正したい。」と記載した。
二、三百人の参加者が約一〇個のグループに分けられ、研修が行なわれた。研修内容は、「健康あふれる楽しい毎日です。」「最高です。」などと叫びながら、跳んだり、身体を揺すったり、また般若天行を写経したりするものであったが、監視役が各グループに何人か付き、私語厳禁というものであり、原告Gは、これは宗教ではないかと思った。研修の最後に頭が取れたかどうかの判定会があり、原告Gは頭が取れたと言われたが、自分がどのように変わったのか、何の自覚もなかった。
研修から帰宅して約一週間後、原告Gは、被告北田が受けたという「天声」を聞きに関西支局に行った。その際、同支局担当者から、原告Gに対し、「あなたは家が壊れているから、『家の中心』(その名称の掛軸)をおきなさい、それが天声です。」と言われ、また赤い糸に出会うための何かを併せて買うよう勧められたが、原告Gは、とても何百万円もの金員を工面することはできないとして、これを断った。
同年一一月、再び関西支局から、東京ドームで行なわれる「天行力祭」に参加するよう勧誘され、「天行力祭に行けば大きなパワーが貰える。」と言われ、家族で参加するよう特に勧められた。実際には行かない人でも写真を送るとパワーが貰えるということであったので、母と二人分のチケットを購入し、また父、弟、妹及び義妹(弟の妻)の四人分の参加を申し込み、同行する母の分も三法行セットが必要だと言われて、参加費と併せて一五万円を支払った。右出捐をするに先立ち、原告Gは母に相談したが、母も悩みを持っていたので承諾し、同行することとなった。その他の家族については、内緒で参加費用及び写真を送付した。
なお被告北田は、天行力祭で、「九七年には人類の三分の一が死に絶える。」などと言っていたが、原告Gは、個人的な悩みとはかけ離れたことを言っていると感じ、その後は被告法の華から足が遠のいた。
(一三) 原告Q(以下、「原告Q」という。)<証拠略>
(1) 端緒
原告Qは昭和一一年生まれの男性であり、平成七年ころは両親、妻及び長男と同居していた。
当時、父親は脳血栓の後遺症で歩行困難で痴呆も出ており(平成一一年二月死亡)、両親の面倒を見ていた妻もリュウマチに苦しみ、両親の面倒を見ることが困難になっていた。このため、原告Qは名古屋在住の弟に両親の引取りを要請したが断られた上、弟妹から、両親と同居しているだけで何の世話もしていないなどと非難されたが、原告Qは反論できずに悔しい思いをしていた。
同年四月ないし五月ころ、JR大阪駅前で「病苦を超える最後の天行力」を手渡された。原告Qは、「自分を変えられる。」との内容に惹かれ、読者カードを送ったところ、ゼロの力学関西支局から足裏診断を受けるよう勧誘する手紙が送られてきた。
(2) 足裏診断等
同年六月ころ、原告Qはゼロの力学関西支局に行き、五〇〇〇円を支払って中年女性信者から足裏診断を受けた。女性は原告Qの足裏を見るなり、「うわあ、汚い。」「非常に悪い。このままだと脳血栓で倒れる。」などと言い、「すぐに本庁に行って、一郎先生に見てもらいなさい。」と被告北田の足裏診断を受けるよう勧め、原告Qはこれを了承した。
同月中旬ころ、原告Qは東京に行き、被告北田の足裏診断を受けた。その際、足裏診断料として一〇万円、三法行セット代として八万円を支払った。
被告北田は、原告Qの頭上に手をかざして天行力の通り方を測った後、足裏診断を行い、「天行力がほとんど首で止まっている。下に流れていない。」などと述べた。その後、別室で付添の女性から被告北田の診断内容として、「非常に悪い。」「このまま放っておくと大変なことになる。脳血栓で倒れる。」「修行をすればあなたが抱えている問題、自分を変えること、家族のいざこざ、妻の病気のことなど全て良くなる。」などと言われ、四泊五日の研修に勧誘された。原告Qは、右文言に恐怖心を覚えたが、研修への参加費用二二五万円を一両日中にはとても支払えないとして断った。しかし、女性は約三時間にわたり、研修への参加及び費用の支払を求め、原告Qはこれを承諾した。
帰宅後、原告Qは妻に対し、是非研修へ行かせて欲しいと頼み込んだ。妻からは、「そんなお金はない。」「ゼロの力学とか、そういう研修と言って、そんな高いお金を出して研修というのはおかしいんじゃないか。」と反対された。妻は、高額の金員を支払うことにこだわっていたが、結局、妻に金員の工面を依頼し、一両日中に、研修への参加費用二二五万円を指定された電信為替でゼロの力学宛に送金した。
(3) 研修、その後
原告Qは、平成七年六月二四日から四泊五日の研修に参加した。研修初日、「修行生カルテ」「修行参加者受付証」と題する書面に所定事項を記載し、研修参加の理由等として、「Q家家族の正常化(家庭円満)、妻の病気を治す。」等と自ら記載した。
研修では短時間の睡眠で、七観行、三法行等様々な研修をした。研修の三日目ころに、被告北田同席のもとで「苦の行」という目隠をして座る行を行ったが、その時に被告北田から、参加者について「天声」が下りたと言われた。
研修終了後、原告Qは、被告法の華の担当者から「天声を聞く会」に参加するよう誘われたが、原告Qは、妻からも、これ以上のお金は出せないと言われていたこともあり、勧誘を断った。被告法の華からは、これ以上の勧誘はなかった。
原告Qは、その後、三法行を約三年間自宅で続け、行材等は自ら注文していた。その間、妻は費用がかからなかったために黙認しており、息子も特に反対はしていなかった。
しかし、妻の病気は進行し、平成九年一一月ころ、両親の面倒を妹夫婦が見ることになり、原告Q夫婦は実家を出て、両親と別居し、両親、弟妹らとも殆ど絶縁状態となる等事態は悪化の一途を辿った。
原告Qは、被告法の華豊中支局長に右のような事情を話した。同支局長から「あなたは天声に沿っていますか。」と聞かれたので、原告Qは「沿っていません。」と答えると、同支局長から「本庁に行きなさい。」と言われたため、原告Qはこれを承諾した。
平成一〇年七月ころ、原告Qは、東京で被告北田と、再度個人面談を行った。被告北田は「三年間も何をしていたのだ。そういうことをしているから解決しない。」「やるだけだな。」などと言って退席した。
その後、原告Qは別室で、前記支局長及びc(以下、「c」という。)から、被告北田の話の内容を敷衍するとして、数時間にわたり、「百歳塾」の入塾費用として四五〇万円、「家の中心」代として二三三万円、「解脱法納」代として三〇〇万円(合計九八三万円)を二四時間以内に支払うべきだと言われた。原告Qは、「とても支払えない。」と言って断ったが、前記支局長及びcは「できる。」「借りたらいい。」と説得を続け、結局、原告Qは支払を約束して帰った。
その後、原告Qは、妻に対して「これをやらないと、結局天声に沿わないということで、何も良くならない。とにかくお前の病気も治してやりたいし、親兄弟との仲もちゃんとやっていきたい。」と相談した。妻はそのような大金はないと言って反対したが、原告Qは必死な形相で、「とにかく何とかしてくれ。」と頼み込んだ。
原告Qは、同年七月二九日ころ、南無天法地源如来行及び解脱法納として、退職金から捻出した五三三万円を支払い、これを寄付したとする「申し出書」に署名捺印した。
原告Qは、同年八月八日ころ、百歳塾院天上界修行として四五〇万円を支払い、これを寄付したとする「申し出書」に署名捺印した。なお、同日朝、前記支局長ほか一名が原告Qの自宅へ行き、原告Qに天声の意味合いを再度伝えたが、途中で原告Qの妻が同席し、帰っていただきたいと言われたため退去したが、玄関先で、原告Qに対し、「頑張りましょう。やらせていただきましょう。」等と勧誘した。これらの金員は、簡易保険からの借入で捻出した。
原告Qは、その後東京へ行き、被告法の華の五日間の研修に参加したが、その最中に、妻子が弁護士に相談し、弁護士の仲介者を通じて、原告Qは被告法の華の実態を聞き及び、脱会するに至った。
(一四) 原告H(以下、「原告H」という。)<証拠略>
(1) 端緒
原告Hは大正一三年生まれの女性(平成一一年四月当時七四歳)であり、夫は既に死亡し、子はない。原告は、当時キリスト教を信仰していた。
原告Hは、平成六年一月から兵庫県宝塚市所在の有料老人ホームに入居していたが、元来体が弱く、平成一〇年には結核で一年療養する等健康に不安があった。また、原告Hが不在中に部屋の中の物品が所在不明となり、誰かが部屋に侵入しているのではないかという不安を覚えており、更に、亡夫と前妻との間の知的障害者の子についても常々気に掛けていた。
原告Hは、平成一一年二月一九日、阪急西宮北口駅で、被告法の華の信者から「病苦を超える最後の天行力」の配布を受け、末尾添付のアンケートを送付したところ、同年三月三日「判定シート」と題する書面<証拠略>が原告Hに返送されてきた。そこには、「五〇点中の二二点」「ジレンマに陥っている。」と記載されていた。
原告Hは、アンケート結果を気に掛け、同日、関西本部に電話をした。被告法の華の女性信者と二日後に会う約束をしたが、被告乙川から「すぐに会いたい。」と電話があり、翌四日、被告乙川が老人ホームを訪ねて来て、被告法の華への入信を勧誘した。原告Hは、前記のとおり敬虔なキリスト教徒であった上、被告北田の著書において「超宗」であるとの記載があったことから、「宗教ではないのか。」と尋ねた。これに対し、被告乙川は、「便宜上宗教法人の届け出をしないと、こういう団体は成り立っていかない。」「一応宗教法人の手続はしているけれども、宗教ではない。」と答えた。原告Hは、以前社会奉仕団体である一灯園で孤児救済等の奉仕活動をしたことがあり、同会では全ての諸宗の神髄を礼拝していたことから、被告法の華も一灯園同様の慈善団体である旨誤信して、三法行セットを五万円で購入した。
(2) 足裏診断等
被告乙川らは、原告Hに対し、「一郎と一度面談した方がよい。」と勧誘し、同月一〇日東京本部に連れて行き、原告Hは足裏診断料として一〇万円を支払った。
被告北田の面談に先立ち、原告Hは、「診断カルテ」中、被告北田に聞きたいこととして、原告Hは婚家先との関係が壊れたこと、(義理の)一人娘が知恵遅れで施設に入院していること、老人ホームの不在中の原告Hの部屋に誰かが侵入しているのをなくしてほしい等と記載した。
被告北田は、原告Hの足の裏を見て、「右の親指と左の親指が離れている。右は実家で左は婚家でありうまくいっていない。これは先祖の因縁だ。」と告げ、手を原告Hの頭の上に置き、「天行力が腰までしか行かない。足まで通すには頭を取る修行をしなければならない。そうしなければ救われない。四泊五日の研修に参加するように。」と言った。
引き続き、被告乙川も「頭を取る修行をしなければいけない。」と言い、原告Hは考える間もなく「修行を受けなければ自分も先祖も苦しんで救われない」と考え、修行を受けることを決意した。その後、被告乙川から「修行を受けるには一六三万円が必要である。」と言われ、翌一一日に一六三万円を支払った。当時、原告Hは前記悩み等のストレスで精神的に不安定な毎日を送っていたところ、被告乙川が身内のように優しく接するので、親身になって心配してくれているのだと考え、被告乙川を全面的に信頼し、自宅敷地が市道にかかることになり立退料として三〇〇〇万円を受領したこと等を話していた。
(3) 研修、その後
原告Hは、同年三月二七日から四泊五日の研修に参加した。初日に原告Hは、「修行参加者受付証」<証拠略>の研修参加の理由として、「健康になりたいです。家族の交流を改善したいです。」と記載した。
原告Hは男性三人と共に別室で研修を行い、一日中法座、法筆(写経)をしたり、法唱(七観行を唱和)したりした。トイレの掃除をしたり、道の水溜まりを素足で何回も歩いたりもした。食事は弁当で全然食べることが出来ず、夜もほとんど眠ることが出来なかった。
同月三〇日、原告Hは、研修の途中で倒れて気を失ったが、何らの手当も施されずに、板の間で気が付くまで寝かされた。最終日の翌三一日も、ふらふらの状態であったが、判定会が続き、その後被告北田と面談した。被告北田は天声を聞いたと言って何か紙に書き、それをcに渡した。cは原告Hに対し、「天声」であるとして、「五代前の先祖が地獄に落ちて苦しんでいる。救って天上にあげなければならない。そうすれば五代先の子孫も救われる。それがあなたの使命だ。まず七八三万円納めて下さい。」と言い、それから更に「腹くくって聞いて下さい。あと三〇〇〇万円必要です。それをするとみんな天上界に行ける。救われる。」と話した。
原告Hは、当時前記体調不良が引き続きふらふらし、全く物事が頭に入らない状態であった上、大阪から迎えに来た被告乙川から帰る途中、「自分の夫も今地獄に落ちている。夫を救うために三〇〇〇万円法納したい。一緒にしましょう。」と何度も「法納」するよう促され、結局老人ホームに帰らないまま関西本部に行き、同日夜、三七八三万円以上を支出する旨の記載がある申入書<証拠略>に署名押印した。
原告Hは翌四月一日に、老人ホームに帰宅したが、被告乙川はcの指示で片時も原告Hから離れず、「法納のお手伝いをしましょう。」と言って通帳を持って銀行に行くよう原告Hに指示し、同日原告Hと共に銀行と郵便局に行き、預貯金を解約して七八三万円を「宗教法人法の華三法行郡司」宛送金した。同日は原告Hに別の用事があったため、原告Hが老人ホームに帰ると告げると、被告乙川は「後も払っときましょう。」と言って離れず、通帳や印鑑、保険証を取り上げ、銀行預金を解約して二一五五万円を右同様郡司宛に振り込んだ。
翌二日も、被告乙川は前記老人ホームへ赴き、原告Hに対し、「まだ八〇〇万円足りない。」と言って住友信託銀行西宮支店へ連れて行った。原告Hが出金手続を行員に依頼したところ、顔見知りの行員が事情を知り、「お金は自分で管理した方がよい。市役所に相談に行った方が良い。」と忠告したため、結局解約には至らなかった。
原告Hが市役所に行くと、市役所の職員は、原告Hに対し、「こういう相談はたくさん来ています。あなたもよく考えないと大変ですよ。」と言われ、また、市役所に同行するよう求めたにもかかわらず、これを拒んだ被告乙川の言動を不審に思い、その後支払を再三催促されたが、これに応じなかった。その後、原告Hの妹からも「友人も被害に遭っている。騙されている。」と言われ、自己が騙されていたことを自覚するに至った。
二 被告らによる勧誘行為の違法性の有無(争点1)
1 宗教的勧誘行為の違法性判断についての基本的視点
原告らは、被告法の華の活動全体が宗教に名を借りた金員搾取を目的とする違法な勧誘行為に当たるというべきであるので、被告法の華に関連して原告らに対して出捐させた全ての金員について、被告らに不法行為が成立すると主張する。
確かに、被告法の華においては、信者に対して集金ノルマを課し、ノルマを実現させるための各種マニュアルが作成されており、また、被告法の華の信者向けの雑誌等の記載<証拠略>には、マザーテレサとの面談内容、潰れた骨を治した等、客観的にみて明らかに虚偽である事項を被告北田の能力等に結びつけて宣伝していた事実が認められ、さらに、被告北田自身、本人尋問において、自身の著書ないし編著とされる各著作について、自ら執筆しておらず、校正稿にも目を通していないと供述し、被告法の華に対する詐欺容疑の強制捜査の直前に証拠となるべき物件を焼却等したことについても、天命による「天棚卸し」である旨述べて正当な行為であったと強弁を繰り返すのみで、何ら合理的な説明をしない等、その活動全体について、原告らの主張するような強い疑念を抱かれて当然というべき点のあることは否定することができない。
そして、このような疑惑を招く行動を取る被告法の華の宗教団体としての在り方そのものを厳しく指弾し、これを告発する内容の記事が掲載された多数の週刊誌等が証拠<証拠略>として提出されているところである。
しかし、一般に、宗教上の教義、教典等は、必ずしも科学的事実とは両立しない事実を前提として構成されることもあり得るのであるから、布教活動等の内容が科学的に根拠を有しないものであるとしても、当該宗教がその教義を広める目的をもって、信仰に関連する物品の購入や有償の講演会等への参加を勧誘することが、直ちに内容虚偽の事実を一般に流布するものである等として、社会的に許されず違法であるとの評価を受けることになるものではない。
被告法の華は、現在、宗教法人として正式に認証されており、少なくとも、一部の熱心な信者を抱える宗教団体として、一応の宗教活動を行っていることは客観的な事実として認められるのであるから、憲法上の信教の自由を保障する見地からして、その個別具体的な布教、勧誘活動の態様如何にかかわらず、全ての宗教活動を一律に違法であると認定することは、結果的に、被告法の華の宗教団体としての存立そのものを否定することとなるので、このような認定をするについては、十分に慎重であるべきであると解される。
そのような見地から検討すると、本件口頭弁論終結時までに提出された全証拠のみによっては、未だ、被告法の華の存在自体が、宗教に名を借りた金員の搾取等を目的とした違法な団体であるとまでは断定できない。
したがって、被告法の華の宗教の教義を広めるための布教活動としての書籍の販売等を含めた被告法の華の活動の全てが、一律に違法であるとまではいえないと解されるので、以下、被告らの原告らに対する布教のための個別的勧誘活動等の態様が、正当な宗教活動の範囲を逸脱した違法なものであるかどうかにつき検討することとする。
2 勧誘手段の概略<証拠略>
被告法の華の勧誘活動(被告法の華においては、これを「法宣」と称している。)としては、大きく分類すると、天行力手帳の保持、三法行の繰り返し、天行(四泊五日の研修)、天行力大祭へと他者を導くこととされており、中でも被告法の華の信者による勧誘活動が重視されている。
各支部における勧誘活動は、大きく分類し、出会い作りの段階、フォロー育成段階及び実証段階に三別される。第一段階においては、被告北田の著書や被告法の華の小冊子を配布する等して応答を待ち、講演会等への参加を促すとされており、第二段階においては、被告法の華ないしゼロの力学に興味を持った参加者に対し、座談会、一日手帳体験会、足裏診断会等の行事に勧誘し、その場で四泊五日の研修を受けた者より、未経験者に対して頭を取ることの喜びを経験談等を通じて理解させることとされ、特に悩みの深い人に対しては、足裏診断の場を設ける等とされている。第三段階では、ゼロの力学誌の定期購読をさせる(定期購読実証)、天行力手帳を所持させる(手帳実証)、そして四泊五日の研修に参加させる(天行実証)とする三種の目標に分けられており、いずれも機の熟した者に対して行うとされている。
被告法の華の内部文書では、いかなる勧誘を行うかは臨機応変に相手の状況(悩みの深さや、被告法の華の信者との信頼関係の程度等)に応じて対応すべき旨定められており、悩みが深く、相手にすがる気持ちが強い場合には四泊五日の研修等への強力な勧奨を行うと定められる一方、前記育成課程を経ずに直接被告法の華の研修等に導くことができる場合もあることが指摘されるとともに、機が熟さない時点で一挙に特訓を強要しても相手が反発して離反する可能性のあることを指摘し、その場合には時機が来るまで育成の課程を経ることとされている。
右勧誘の方法としては、一日手帳体験会(ビデオを見せた後に勧誘する。)、足裏診断会、個別相談等が列挙されており、被告北田の鑑定(尊師鑑定)を勧めることも推奨されている。
3 足裏診断等による四泊五日の研修勧誘
(1) 意義<証拠略>
被告法の華においては、足裏診断は教義に基づく運命判定の方法であるとされている。「天行力」は、頭から足に抜けるのを自然の状態であるとすることから、足の裏は「天行力」がその人の身体をどの程度貫流しているか、あるいは阻害されているのかを判断する鏡としての意味を持つとされ、指先は過去、土踏まずの部分は現在、かかとの部分は未来の各状況を表わすとされている。足裏を鑑定することにより、「天行力」の自然貫流から恵まれる幸福やその阻害から生じる様々な災厄や不幸を観取することができるとされている。
(2) 被告北田による足裏診断等<証拠略>
被告北田は、原告ら相談者の足裏を見ながら、前記認定のとおり、「指が曲がっている。これだったら大変な病気になる。あと数年で医者もさじを投げるような病気になる。」(原告N)、「大変だ。汚い。このままでは駄目だ。家自体がよくない。」(原告A)、「このままだと、将来、腰から下の癌になる。」(原告B)、「このまま行けば、頭・脳の病気になる。」(原告C)、「これではほとんど病人だ。胃腸だけでなく、内臓全体が悪い。今のままでは命を取られる。足の裏のほくろは癌になる。」(原告D)、「可哀想に、こういう家系だからねえ。」、「家に水子がいるから家の中がうまくいかない。」(原告I)、「汚いですね。えらい苦を刻んでいますね。水子がありますね。五代前の先祖の霊をちゃんと洗わないといかん。」(原告K)、「七〇歳の年寄りの足の裏だ。全くはりもないし、つやもない。これではあなたの人生は駄目になる。」(原告E)、「親指が大きいから頭が固い。癌の家系だ。」(原告F)、「右の親指と左の親指が離れている。右は実家で左は婚家であり、うまくいっていないということだ。先祖の因縁がある。」(原告H)等と述べたことが認められ、被告北田自身も、右のような発言をしたことを自認している。
ところで、証拠<証拠略>によれば、足裏「診断」と称してはいるものの、右診断の根拠は足の裏の各部位の形、色、温度及び足裏の線等外形的なものに基づく分類に従い行うとされていることが認められ、被告北田の指示で足裏診断士養成マニュアルを作成したd(以下、「d」という。)も、過去、未来及び将来の吉凶を告げるのは占い的な要素があると供述していること、被告北田自身、当初、足裏の本を別のペンネームを用いて出版したのは、被告法の華が占いをする団体である旨誤解されると困るからであると供述をしていること等に照らせば、右診断は科学的な根拠に基づくものではなく、手相占い等に類するものに過ぎないものであり、被告北田もこのことを認識していたというべきである。それにもかかわらず、被告北田は、自らを「生態哲学博士」とか「足裏博士」と称して権威付け、その著書においても天行力、足裏診断等には客観的、科学的な根拠があるかのような説明をし、足裏診断の際にも、「診断」ないし「鑑定」名目で前記のような発言をし、あたかも、自己の発言には医学的ないし科学的な根拠があるかのように振る舞い、相談者にその旨誤解させている。しかも、事前に「診断カルテ」なる文書を相談者に作成させ、その悩み、家族の病気、経済状態などを記入させていること、原告らは、前記のとおり、自らの悩みに合致した害悪を告知されて悩みを言い当てられたと感じて被告法の華ないし被告北田を信用したことに照らすと、被告北田は、あらかじめ「診断カルテ」を閲読することにより原告らの悩み等を把握した上で、これに概ね対応する害悪を告知し、原告らをして足裏診断に信憑性があるものと誤解させていたというべきである。そして、このような方法による、自己の悩みに対応した現在又は将来において必ず発生するとの具体的かつ断定的な害悪の告知であるため、相談者の悩みが大きければ大きいほど、その後の四泊五日の研修参加の必要性等の判断において、右誤解は相談者に真摯な宗教的自己決定権の行使を阻害する重大な影響を及ぼす結果となることが容易に推認される。
被告らは、足裏診断により、例えば病気の兆候が発見されたときに、大病をして死亡する等の極めて重大な結果の発生を断定的に述べることにより研修参加を説得することも、対象者を救済するために許される当然の措置であると主張している。しかし、dが足裏診断で最も要求されるのは占い的な技術ではなく、いかに対象者をして研修参加を決断させるかであって、そのためにショッキングな体裁を取っているとまで供述していることに照らすと、右断定的な害悪の告知は、何らの科学的な根拠に基づかないことを十分に認識した上で、専ら相談者である原告らに殊更に不安をあおり、困惑に陥れ、四泊五日の研修参加を決断させることにより、研修費用として不相当に高額な金員を出捐させることのみを目的として、意図的に行われていたものであると認められる。
(3) その後の別室での勧誘
前記認定事実によれば、被告北田の足裏診断後に引き続いて行われる被告法の華の信者等による勧誘は、被告北田の説明を平易に説明すると称して、前記のとおり、自分の悩みを言い当てられたとして足裏診断の信悪性を誤解している相談者に対し、更に同様の害悪を告知して不安や恐怖をあおった上、具体的な害悪が生じることを極めて断定的に告げ、しかも、相手方が疲労により正常な判断力を失うまで長時間にわたって研修参加の勧誘を継続し、しかも、研修費用として一二五万円ないし二二五万円もの不相当に高額な金員を、即日ないし七二時間以内に支払うよう即断を求める等、いわゆる詐欺まがい商法そのものの手口を用いている。そして、相談者が右即断に難色を示すと、手持ち金の一部を内金としてその場で納付するよう促したり、その後も、継続して電話による執拗な支払の催促を求めるというものであって、専ら、早期に多額の集金を確保することのみに関心を示す行動をしている。
(4) 被告法の華の信者等による足裏診断<証拠略>
被告法の華においては、当初、足裏診断ができるとされていたのは、教祖である被告北田及び被告北田の足裏診断を見聞したごく少数の者に限定されていたが、その需要が増大するに及び、右原則がなし崩しとなり、ある程度の修行歴を持つ天仕が「足裏診断士」として診断を担当することとなり、被告法の華は、組織的に被告北田以外の診断士を養成するため、dをして足裏診断士養成所を設立させ、「足裏診断士養成マニュアル」を作成させた。右マニュアルによれば、足裏診断において最も要求されるのは占いの技術ではなく、診断の対象者に被告法の華の行への参加を決断させることであるとされ、臨機応変に適切な説得をするため、当該診断に対応する説得文言の例として、足裏を見て、「あなたこのままだと癌になるよ!」「汚い足裏ですね!」「相当血液を濁してきたね!」などと第一声を発して相手を驚愕させ、頭を取れば全てが変わると説き、本当に変わるという決めつけが大切であるとされる。そして、最後の決め手として生かすべき「知恵の表現集」として、「このままでは棺桶に入れない。」「今のままでは命を取られる。」「後二か月で倒産するよ。」「自殺するね。」「結局貧乏人・病人の最後で誰にも相手にされないで終わる。」「八方塞がりの人生だ。」「足裏のほくろは癌になりますよ。」等々の、殊更相手方の不安をあおり、著しく困惑に陥れる断定的な言葉が紹介されている。また、内部文書等による具体的な指示によれば、地方支部における足裏診断会は、前記(2)と同様に診断カルテ等を通じて対象者の悩みの状況を具体的に把握し、四泊五日の研修への参加に向けた説得の機会であると位置付けられ、相手の状況に応じて特訓等への強力な勧奨を行うかどうかを決めると記載され、対象者の悩みの深さや信頼関係等により三分類し、各別に対処の方法が記載されている。
他方で、「足裏診断士」と称して足裏診断を行っていた者は、被告北田の著書を読み、被告北田又はd等経験豊富な天仕のもとで見学した程度で活動していたこと、足裏診断士と称する信者は原則として白衣を着用して診断に当たるなど医学的な外形を作出していたことに照らすと、信者による足裏診断は、結局、いかに相談者の不安や恐怖をあおり、四泊五日の研修に参加させるかという点のみに重点を置いて行われていたということができる。
そして、証拠<証拠略>によれば、dは被告法の華の中では北田についで一番足裏診断の経験が深く、マニュアル作成時点で既に十分な経験を積んでいたこと、dは「天声」で被告北田から直接足裏診断士養成所の開設を命じられた者であるとされていること、被告法の華の宣伝において、dが被告北田の直属の足裏診断士である旨称せられたこと、前記マニュアルの記載内容と酷似した行為が各地で行われていたこと、被告北田は右勧誘について被告法の華の「天声」に沿うものであると供述していることに照らすと、被告法の華の信者等による足裏診断は、被告法の華の組織的活動として行われていたというべきである。
被告らは、マニュアルの作成時期は平成二年であり、天仕になって間もないdが作成したものであるため、マニュアルの内容が稚拙であると主張し、dも、当初右主張に沿う説明をしていた。しかし、dは、その後東京地裁における尋問を経て、当裁判所に提出された陳述書<証拠略>においては、平成四年の方が正しいと思う旨供述するに至った。また、証拠<証拠略>及び弁論の全趣旨によれば、マニュアルの冒頭に「足裏の書籍 金運上昇運は足裏でつかめを繰り返しよむこと」との記載があること、被告北田の著書である「金運上昇運は足裏でつかめ」の発行日は平成四年一〇月二九日であることから、少なくとも右マニュアルは平成四年一〇月二九日以降において作成ないし補正等がされたこと、マニュアルを用いて養成された三〇名の内、その後地方で足裏診断を行っていた者も現にあったこと、平成七年ころに作成された四泊五日の研修に引き続く七日間特訓スケジュールの中には、dによる「足裏診断勉強会」なるカリキュラムが予定されていたこと、平成七年一月から二月にかけて、このマニュアルがファイルに綴じられて、被告法の華の松涛本部の待機室の本棚に置かれていたことが認められ、これらの事実に照らせば、被告らの前記主張は、到底採用することができない。
(5) まとめ
以上の各事実を総合すれば、被告北田又は被告法の華の信者による足裏診断及びこれに付随する勧誘行為は、専ら、不当に高額な参加費用の出捐をさせることを目的として、参加者に対して、四泊五日の研修に参加しなければ自殺する、癌になり死亡する、倒産する等と断定的な害悪を告知して、殊更に相談者の不安をあおり、困惑させることにより、研修参加を決断させるための単なる手段として組織的に行われていたものであることが認められ、このような勧誘行為は、宗教として社会的に相当なものとして許容される限度を明らかに逸脱した違法なものである。
4 四泊五日の研修及び研修後の更なる勧誘
(1) 研修内容の概要<証拠略>
被告法の華の内部文書による四泊五日の研修の概要は次のとおりであり、前記認定にかかる各原告らの経験した研修の内容と概ね同一である。
イ 一日目
(イ) 午前一〇時三〇分から受付を開始する。参加者は、その際、修行生カルテに所定事項を記入し、血圧を測定し、私意書に署名拇印する等し、修行参加者受付証の交付を受ける。
(ロ) 午後一時三〇分ころから、七観行を繰り返し行い、午後三時前ころに、五日間の修行を約束する。
(ハ) 午後三時から午後六時前までの間は、七観行及び「相向きの最高ですか」と称する修行を行う。
(ニ) 午後六時ころから「御法話」と称する被告北田の講演を行う。
(ホ) 午後九時前ころ、修行上の注意事項が述べられ、午後九時過ぎに食事をとる。その後「生きざま診断書」に所定事項を記入したり、右「御法話」についての講義等を行う。
(ヘ) 午後一一時過ぎから、法説御法行及び百分間法唱と称する修行が行われ、翌日午前二時前ころに参加者の自己紹介が行われ、午後三時過ぎに仮眠をとる。
ロ 二日目
(イ) 午前六時二〇分に起床し、洗面等を行い、午前七時から三法行についての講義、デッカイ観いの七観行(息を付かずに一気に話すこと。)、雷の七観行(両手両足を仁王立ちのようにして、四股を踏むように足を地面に叩き付けながら、七観行を叫ぶこと。)及びウルトラ七観行(ウルトラマンのような格好で、両手を上げてジャンプしながら七観行を唱えること。)を行い、午前九時前ころに朝食をとる。
(ロ) 午前九時から、デッカイ観いの「皆さん最高ですか。」と称する修行、前記七観行及び法説御法行を繰り返した後、午後一時ころ昼食をとる。
(ハ) 昼食後は、法説御法行、たたみ拭き、「人間一郎生きざま修行の八観行」「最高の人間一郎になったすばらしい毎日です。」「華の行」「相向きの源かし会」なる各修行を順次行う。
(ニ) 午後六時過ぎころ夕食をとり、その後法説御法行、七観行、グループ別の「華の行」等を行い、翌日午前〇時ころ就寝する。
ハ 三日目
(イ) 午前六時二〇分に起床し、洗面等を行った後、午前七時から「朝七時天行力三法行会」「デッカイ観いの七観行」「雷の七観行」「ウルトラ七観行」を順次行った後、午前八時三〇分ころに朝食をとる。
(ロ) 朝食後、午前九時過ぎからグループで華の行、七観行の繰り返し等を行い、一二時過ぎころから「苦の行」なる修行を行い、これが午後三時前ころまで続く。
(ハ) 午後三時過ぎころから再び七観行、御法話が順次行われ、午後七時前ころに食事をとる。
(ニ) その後、二四時間行の準備が行われ、午後一〇時から開始される。
ニ 四日目
右二四時間行は、約二時間程度の仮眠をとるほか、華の行、デッカイ観いの七観行、雷の七観行、ウルトラ七観行等を繰り返し行い、右修行は四日目の午後一〇時ころまで続く。その後、頭がもぎ取れたかの確認が行われ、翌日午前一時過ぎころ仮眠する。
ホ 五日目
(イ) 午前六時二〇分に起床し、洗面等をした後、午前七時から天行力三法行、天報告等が行われ、午前八時ころ朝食をとる。
(ロ) その後、午前九時ころからデッカイ観いの七観行、雷の七観行、ウルトラ七観行、総仕上げ華の行等を順次行う。
(ハ) 午後一二時前ころから、模擬判定及び激励判定会が行われ、午後四時ころ終了式が行われる。
ヘ 右事実及び前記認定の各原告らの研修内容に照らせば、研修においては、参加者は、施設到着後、所持品をすべて取り上げられ、私語や電話は厳禁とされ、食事は極めて粗末なものだけで、睡眠時間は非常に短く、しかも毛布一枚にくるまって雑魚寝をするため十分な睡眠は取れず、入浴や歯磨き、着替えすら許されないこともある過酷な内容のものである。また、研修の指導員は参加者の挙動を監視しており、時には、小突いたりビンタを加える暴力に及ぶこともあり<証拠略>研修の中止を申し出る者を帰宅させないよう説得することもあった<証拠略>。
(2) 一般に、宗教上の行事については、一般社会生活上の基準から判断すれば特異性を有するものであるとしても、参加者において、その宗教上の修行内容を十分に認識し、これを受容した上で、自らの意思に基づいて参加するような場合には、当該参加者との関係において、その修行内容が過酷なものであるとしても、そのことのみをもって当然に違法であるとの評価を受けるものではない。
しかし、前記認定事実によれば、本件研修の内容は、一切の会話すら許されず、ひたすら受動的に四泊五日もの長期間、大声を出し続けたり、単調な動作を繰り返すという極度の疲労感を伴うものであり、その間、極めて粗末な食事のみを与えられ、睡眠時間も一日二、三時間と極端に少なく、通常人であれば、この研修を受けることにより正常な判断能力を喪失ないし著しく減退させられるものであることが認められる。
この点につき、被告北田自身も、「行に参加してこんなことをして何になる。」「なんて馬鹿なことをさせられるんだ。」と思うなど行に疑問を持ったり反発することは、「頭が取れていない状態」であるからであって、頭が取れた状態であれば、修行をすることについて批判や疑問を感じる必要がなくなると供述しており、これによれば、「頭を取る」とは、通常の社会生活上の意味において、正常な判断能力を喪失することと同義であるとすら解される。
また、本件研修費用は、その内容から通常想定される経費等と比較して、一二五万円から二二五万円という異常なまでに高額なものであるというべきである。
以上のような研修内容であることからすれば、参加者において、このような研修に参加することにつき、宗教上の自己決定権を行使したと評価され得るためには、事前に研修内容の詳細や高額な金員出捐の宗教的な意味等、重要な情報について十分に説明された上で、研修の宗教上の意味を十分に認識し、これを受容した上で参加を決断したものでなければならないと解されるところ、原告らは、このような何らの情報も与えられることなく、前記のような即座に参加の決断を求めるような足裏診断による違法な勧誘行為によって、研修参加を決断させられている。
以上によれば、被告らにおいて、原告らを四泊五日の研修に参加させたこと自体が、原告らの宗教上の自己決定権の侵害であると解される上、不当に多額な研修費用を違法に出捐させたものであると解される。
(3) 研修後の「天声」及び更なる出捐の勧誘<証拠略>
前記一2の認定事実によれば、被告北田又は被告北田の意を受けた被告法の華の信者は、原告らに対し、研修終了後に、「天声」が出たとして、「家の中心」と称する掛け軸等物品の購入あるいは新たなる研修参加を勧誘している。右勧誘は、研修終了直後にされる場合と、研修後時間を置き別の機会にされる場合とがあるが、いずれも原告らが前記研修の影響下で正常な判断力を失っていることを利用して行われたというべきであって、研修と不可分のものとして、違法と評価されるべきものである。
5 以上によれば、被告北田及び被告法の華の信者らによる足裏診断自体及びこれに付随する勧誘行為、研修内容等に関する何らの事前情報を与えることなく研修参加を決断させる勧誘行為並びに研修により正常な判断能力が失われている状態に乗じて物品の購入等を勧誘する行為は、いずれもそれ自体原告らに対する明らかな違法行為というべきである。
したがって、原告らが足裏診断を受けた以降の金員の出捐は、研修費用に限らず、いずれについても被告らの違法行為に基づくものと評価することができる。また、足裏診断自体が違法である以上、足裏診断を受けるように勧誘する行為もまた違法というべきであって、足裏診断のための原告らの金員の出捐も、被告らの違法行為によるものということができる。
6 被告らの反論に対する判断
(一) 原告らの出捐が自発的なものである旨の主張について
被告らは、原告らの四泊五日の研修参加に伴う出捐は、いずれも原告らの自発的な意思によるものであると主張する。
確かに、原告らの中には、自ら積極的に被告法の華やその信者らに働きかけた者もあり、例えば、原告Cは、当初から、被告法の華の教義に対して好意的な態度を取っており、研修にも積極的に参加し、直後の祝賀パーティーにおいては、「参加できて良かった。」「頭が取れて今は最高だ。」と述べて、その後も積極的に被告法の華の活動に参加していることが認められるし、原告Dは、足裏診断等を手段とする四泊五日の研修への勧誘を一度は自らの意思で断り、足裏診断等から約一年経過後、阪神大震災等を契機にして被告北田の言説が正しかったと認識することができたとして、四泊五日の研修参加を決意したことが認められる。
また、四泊五日の研修参加を決断するに当たっては、足裏診断等の勧誘手段とは一見別の動機とも思われる事情がある者もあり、例えば、原告Eのように、被告法の華は宗教団体であって二二五万円の出捐は宗教的行為に対する喜捨である旨を明確に認識した上で、当時の不倫相手が自己に代わって一〇〇万円振り込んだことを契機にして(右立替払に不当な意図等を窺い知ることはできない。)、立替払いをした不倫相手に対する配慮もあって残額一二五万円の出捐を決断した者もある。
しかし、その研修内容が、社会通念上、著しく過酷かつ奇異なものであり、参加費用も一二五万円ないし二二五万円を原則とする極めて高額なものである以上、このような社会常識的に見て著しく特異な研修に参加させるに当たっては、参加者が真摯な宗教的自己決定権の行使により研修参加を決意したと評価し得るだけの研修の意義、内容等に関する十分な情報を与えなければならないというべきである。
これに対し、本件勧誘は、前記のとおり、足裏診断等により対象者を殊更に根拠のない不安や困惑に陥れた上で、しかも、信者拡大という被告らの一方的な都合により、研修の意義及び内容等を意図的に秘匿したままされており、原告らが、真摯な宗教的自己決定権の行使により研修参加を決意したとは到底認められないというべきである。
したがって、原告らの中に、外形的には自発的な意思に基づく言動をしたことが認められる者についても、原告らの前記違法な勧誘行為に基づく参加意思の決定は、原告らの真意に基づくものであるとは認められないというべきである。
(二) 私意書について
証拠<証拠略>によれば、原告らの多くは、四泊五日の研修参加時及びその後の「天声」による勧誘により各種名目で金員を出捐する際に、宗教上の喜捨として金員を寄附する旨書面を被告法の華に差し入れていることが認められ(原告N、原告A、原告B、原告P、原告K、原告J、原告L、原告M、原告Gは「私意書」、原告Qは「私意書」、原告Qは「申し出書」、原告Hは「申入書」と題する各書面を作成した。)、被告らは、右私意書等の作成の事実をもって、その記載内容に照らして当該原告らの自発的な出捐であったとも主張する。
しかし、証拠<証拠略>によれば、私意書等被告法の華により徴された文書は、前記認定のとおり、高額な出捐時に作成交付されるのではなく、違法な勧誘により高額の金員を出捐した後である研修当日の冒頭、他の事務手続と同時に参加者全員に対し一律に差入れを求められるものであり、その際に被告法の華の信者らから私意書等の趣旨、内容等について何ら説明を受けることはなく、したがって私意書等の持つ意義を理解することのないまま、参加者の多くはただ求められるがままにこれを作成交付したことが認められるし、研修参加後の「天声」に基づく出捐の際に作成される書面についても、前記認定の四泊五日の過酷な研修により正常な判断能力を喪失させられた状態で作成されたと認められるので、これらの書面が差し入れられたからといって、自発的に高額の金員を真意に基づいて寄附したとはいえないというべきであるから、被告らの主張は採用できない。
7 被告北田の著書及び天行力手帳の販売の勧誘等、その他の布教活動
(一) はじめに
被告法の華では、被告北田の著書を配布したり、被告北田の講演会を開催するなどして、信者の拡大に努めているが、ある宗教を普及教化するに当たり、教義等について書籍を出版したり、講演会等を開催して参加者にその内容等を広め、ひいては入信等へ向けた布教活動を行うことは、その方法が宗教として社会的に相当なものとして許容される限りにおいては、法的に違法とされるべきではないから、右講演会等への参加を勧めることは、その態様において社会生活上許された方法を逸脱するものでない限りは、右勧誘により参加料等の名目で金員の出捐を受けたとしても、そのことのみで違法の問題を生ずるものではない。
ただし、書籍の配布や右講演会等へ参加の勧誘が、本来の目的を離れ、単に対象者に徒に教義の内容等について誤解させるためであるとか、その後の違法な勧誘に導くための単なる手段であるとか、専ら違法な目的でされたと認められる場合は、その後の違法な勧誘と一体となって、右書籍の配布や講演会等への参加を勧誘する行為自体についても違法の評価を受けるものと解されるので、以下、この点について検討する。
(二) 右著書の配布及びこれを用いた勧誘活動
証拠<証拠略>によれば、全国に分布する支部の公式行事として、被告法の華の信者をして街頭等で被告北田の著作を配布させていた(被告法の華においては、これを「成行」と称していた。)こと、癌病棟を持つ大病院前等において、書籍を計画的に配布したこと、その際の被告法の華の内部文書においては、「反応(せっぱつまっている)が早い『病人』をターゲットにする。」「現場には『ガンは消える』と題した立て看板を二枚立て、癌との部分を赤く塗る。」等の指示がされていたことが認められ、被告北田自身、これらが被告法の華の運営方針に沿った行為である旨供述している。また、証拠<証拠略>によれば、前記各書籍にはアンケート及び回答用の葉書が添付されており、書籍を手にして内容に興味を持った者がアンケート葉書を出したり、直接問合せ先に連絡を取るなどして、前記ゼロの力学と連絡を取ることができる形になっていること、読者から問合せがあった際には、ゼロの力学が宗教団体の一部門である旨の説明はせず、宗教団体かどうかの問合せがあった際には、「宗教でない。」とか「超宗である。」と答えることがあったこと、△△に問合せがあった場合は、内線でゼロの力学に問合せを回していたこと、各支部においては、このようにして本部に集約された情報を入手して、ダイレクトメールや電話等により、各行事等の参加を勧誘していたことが認められる。
(三) 被告北田の講演会等<証拠略>
被告法の華においては、各支部の年中行事として、未入会者、準会員(天行力手帳の所持者。手帳会員とも称していた。)及び正会員(四泊五日の研修に参加した者。一般行者とも称していた。)を対象として、年に一回か二回程度、被告北田の講演会を行うこととされていた。被告北田の講演をバネとして未入会者の大動員を図ること等が目的とされており、参加定めと称する参加料は会員三〇〇〇円以上、一般は無料とされており、具体的には、体験談、被告北田の講演及び天行力伝授であり、その他会場内において、足裏診断や被告北田又は被告法の華の書誌等の頒布を行っていた。
来場者に対しては、講演会後にアンケートを実施することによりリストを作成し、後日、パンフレットや地域集会のスケジュール表を頒布したり、被告北田の著作や被告法の華の雑誌を販売し、後日集会の案内を行う。また、当日別室で個人相談会を開催し、その後、被告北田による足裏診断に勧誘することも予定されていた。
また、大講演会衛星中継受講会と称して、未会員、誌友会員(「ゼロの力学」誌の定期購読者)、準会員、正会員及び休眠会員(天行力手帳の未更新者をいう。)を対象に、衛星生中継番組を通じて、①会員への全国一斉指導、②電波を通じての天行力伝授、③未入会者への動員動機付け、④休眠会員の吸引と活性化、⑤会員の法宣活動に対する士気高揚等を目的として、支局又は支部幹部による指導、講習が行われ、その後、被告北田の講演、天行力伝授が行われ、被告法の華の行事や新刊書籍等の案内が行われることもあった。来場者に対しては、終了後に談話会に誘い、感想を聞いたり、会員の体験を語ると共に、それとなく悩みを聞き出し、それに対応する書籍を案内配布し、足裏診断会や一日手帳体験会等のスケジュール表を配布した上、後日各種集会の案内をダイレクトメール、電話や訪問等で行うこととされており、特に新来者に対しては、一週間以内に一度電話等で連絡を取ってコミュニケーションを図るとされていた。
(四) 一日手帳体験会<証拠略>
各支部において、誌友会員を中心対象として、月に一、二回程度行われることとされていた。天行力手帳の威力を非保持者に体験させて、準会員や正会員への動機付けをすること、手帳を持ちながら反応の弱い準会員に体感を積ませる機会とすることを目的とし、参加料(参加定め)は会員一〇〇〇円以上、非会員無料とされ、冒頭挨拶の後、ビデオを上映したり、天行力手帳の働き、使い方、法座の姿勢等について説明をし、その後感想を聞き、終了時にアンケートを配布する。状況に応じて頭を取る説明会を実施したり、天行力手帳の申込を受け付けたりするとされていた。来場者に対しては、アンケートにより反応を聴取するほか、パワーを納得した人に天行力手帳の保持を勧めるとされていた。
(五) 三法行セットの販売
三法行とは、前記のとおり、被告法の華において最も基本的な行とされる法唱(二七六文字の般若心経に類似した「般若天行」を三回繰り返し唱える行)、法筆(「天行力三法行帳」に般若天行をひたすら書き写す行)、法座(静かに瞑目し座す行)がこれに当たり、被告法の華は、右三法行を実施するための三法行セットを五万円以上、天行力手帳を別途購入している者については三万円以上で販売している。
(六) 違法性の有無
(1) 被告北田の著書等における宗教性の秘匿の有無
原告らは、被告北田の著書の出版は、法の華につき、殊更に宗教性を秘匿することにより、購入者をして教義の内容等につき誤解させ、また、添付されたアンケート等により、被告法の華につき宗教とは知らずに興味を持たせることにより前記違法な行事等への参加を募るための組織的かつ一体的な詐欺的な違法活動であると主張する。
原告らの多くが講読したと認められる「病苦を超える最後の天行力」の記載に照らせば、イエスや釈迦といった過去の宗教者や聖典等と対比しながら被告法の華の教義を説き、研修をして頭を取ることを勧める内容となっており、右内容が殊更宗教性を秘匿しているとは言い難く、もっとも、前記認定事実のとおり、右書籍のアンケートを返送した読者から問合せを受けた際、株式会社であって、宗教法人ではないから怪しい団体ではないと説明した事案(原告I)や、便宜上宗教法人としているだけで、宗教ではなくキリスト教を辞める必要はないと説明した事案(原告H)もあり、被告法の華の宗教性に関して誤解を招き易い説明がされたことのあることも事実ではある。
しかし、既存宗教の枠を越えているので宗教ではないとの説明がされ、その旨理解していたことが窺われる事案(原告B、原告F)、被告法の華が宗教団体であることを明示又は黙示に前提として勧誘された事案もあること(原告P、原告E)、被告法の華の信者らも、既存宗教と対比して宗教ではないとか、「超宗」であるとの説明をしていること<証拠略>等の事情に照らすと、著書中に、既存宗教とは一線を画する意味で「宗教ではない。」等と記載したことのみをもって、直ちに、著書の出版が、宗教性の秘匿による詐欺行為に当たるとまではいうことができない。
(2) 被告北田の著書配布、講演会等への参加の勧誘、三法行セットの販売自体の違法性の有無
原告らは、講演会等に勧誘されると同時に、又は講演会等の席上において、被告北田又は被告法の華の信者による足裏診断に勧誘された者が多数いること(原告N、原告D、原告I、原告Qはアンケート返送後、直接足裏診断の勧誘をされており、原告A、原告B(第二回)、原告C、原告Eについては、講演会後の席上足裏診断を勧誘されている。)、被告法の華では、講演会等の会場内において足裏鑑定を行うほか、別室で個人相談会を開催して被告北田の鑑定に引き継ぐことも、組織的に支部の活動マニュアル等により定められていたことが認められ、これらの事情を総合すれば、被告北田の著書配布や講演会等への参加の勧誘は、前記足裏診断と有機的一体性、連続性があるので、違法と評価されるべきであると主張する。
しかし、各原告らに対する足裏診断への勧誘の態様を検討すると、無料足裏診断と称して自動的に足裏診断が引き続き行われた事案もある(原告A)ものの、改めて別の機会における足裏診断を勧める事案も多く、事案によっては全く勧誘等がなされずにそのまま帰宅する事案(原告F、原告B(第一回))や、そもそも四泊五日の研修に参加するに当たり、足裏診断が全くなされていない事案(原告J)もあり、足裏診断に勧誘するか否かは信者と参加者との信頼関係等を考慮して、個別具体的に対応されていたことが認められる。全ての対象者に対して、一律に足裏診断が行われていたわけではなく、被告法の華の内部文書によっても、相手の状況を見て勧誘方法を決める旨記載され、手帳会員、準会員、正会員及び休眠会員等に分類し、それぞれ異なる対応をしていることに照らすと、講演会等への勧誘そのものが足裏診断への勧誘と全く同一視することまではできないと解される。
また、三法行セットについては、代価が五万円以上(天行力手帳を別途購入している者は三万円以上)とされ、かなり高額ではあるが、一般に、宗教上の修行に用いられる三法行セットのような物品の販売代価には、無形の価値を含んでいるとされる面もあるので、宗教的価値を捨象した単なる物品として見る場合には、代価として高額に過ぎるという場合であっても、このような代価による販売それ自体が、当然に、宗教としての社会的相当性を欠くとまではいえない、というべきである。したがって、右五万円以上とされる代価をもってしては、未だ、社会的に見て、不相当に高額であって、そのような代価での販売自体が、宗教としての社会的相当性を逸脱しているとまではいえないと解される。
以上の点からすると、被告法の華において、四泊五日の研修が教義上重要視され、究極的には、被告北田の著書配布や講演会等への参加の勧誘、三法行セットの販売等が、右研修参加に向けた勧誘活動として行われていたと評価し得るとしても、その手段自体に、足裏診断による勧誘のような違法性がなく、また、研修参加に直結した態様で行われているものではないので、前記のような被告法の華における活動の全てが、勧誘態様如何に関わらず、一律に違法とされるものではないというべきである。
(3) したがって、被告北田の著書配布や講演会等への参加の勧誘、三法行セットの販売に関する原告らに対する勧誘行為が違法か否かは、被告らによる、これらの配布、勧誘、販売等の勧誘態様が、個別具体的に、宗教として社会的に許容される限度を逸脱したものであるかどうかにより判断されるべきものと解される。
8 足裏診断等の違法な勧誘前の出捐についての個別的検討
(一) 手帳代金等
原告N
前記認定事実及び証拠<証拠略>によれば、原告Nは、当時思うように結婚ができずに精神的に落ち込んでいたところ、Tの勧誘により、第三者であるTから自分の人生がこれで終わりであると断定的に言われ、自分は本当に駄目な人間だと追いつめられた気持ちになり、被告北田との面談を承諾した事実が認められる。
Tは、当時結婚できないことに悩んでいた独身女性である原告Nの悩みをアンケート回答で事前に把握した上、合理的な根拠なく、結婚できる確率がないことが明白である旨断定的に強調した上、約一時間三〇分にわたり、原告Nの人生の今後について大声で殊更不安をあおったものであるから、右勧誘方法は、通常の社会生活上の許容される限度を逸脱していたというべきであり、手帳代金の出捐は、右違法な勧誘によるものであると認められる。
(二) 三法行セットの販売
(1) 原告J
前記認定の事実及び証拠<証拠略>によれば、門真支部長であるb夫婦ほか多数の者が、夜中も含め次々に頻繁に電話を架け、癌や動脈硬化になるとか、原告Jが頭を取らないと娘のRの足を引っ張ることになる等告げ、当時Rの将来を気遣っていた原告Jに対し、自分が出捐しなければRを幸せにできず、周りを不幸にするという根拠のない自責の念を起こさせて原告Jを困惑に陥れ、三法行セットを購入させたことが認められる。
右のような事情に照らせば、被告法の華の信者らの右勧誘行為は社会的に許された範囲を逸脱した違法なものであったことは明らかである。
(2) 原告L及び原告M
前記認定の事実及び証拠<証拠略>によれば、原告L及び原告Mはbから電話で「子供が出来ないのは頭を取らないからだ。」「このままだと早死や癌になったり、夫婦関係もうまくいかなくなる。離婚する。」「頭を取らなくとも、三法行セットを持つだけでもそれなりの効果がある。」と言われたため、原告L及び原告Mは不安になり、三法行セットを購入したことが認められる。
bは原告L及び原告M夫婦が子供に恵まれていないことを知りながら、右のような根拠の乏しい害悪を断定的かつ繰り返し告げて不安を殊更にあおったものであるから、右のような勧誘行為は社会的に許容された範囲を逸脱した違法なものであったというべきである。
(3) 原告G
前記のとおり、原告Gに対する女性信者による勧誘は、このままでは永久に運が開けないとして、三法行セットを購入した上での研修参加を求めたものである。
しかし、このままでは永久に運が開けないという程度の害悪の告知のみでは、直ちに宗教として社会的相当性を逸脱した方法であるとまではいえない上、原告Gは、右勧誘に先立ち、頭を取る研修を受ければ、色々な問題が解決されるとの被告北田の話に興味を抱き、自発的に名古屋で開催された被告北田の講演会にも参加していること、三法行セットの購入代金も五万円であって、前記のとおり、未だ社会的に見て不相当に高額であるとまではいえないことからすれば、原告Gの三法行セットの購入は、被告らによる違法な勧誘によるものとは認められない。
(三) 講演会、説明会等
(1) 原告B
原告Bは、説明会開催案内が送られてきたため、興味半分で参加したものであり、仮に宗教であるとの認識があれば、面談には参加しなかったと供述する。
しかし、前記認定の事実によれば、原告Bは、かねて超常現象に興味を抱き、被告北田の著書の二〇〇一年に人類が滅亡するとか、天行力によって病気が治るとの記載にも興味を抱き、ゼロの力学は、宗教を越えた偉大なものであると認識していたこと、右出捐当時、原告Bは、娘二人がそれぞれ交際している男性について不満を持っていたものの、取り立てて深刻な悩みを持っていたわけではなく、京都で開催された説明会では何らの金員も出捐することなく帰宅したことが認められる。
以上の事実によれば、原告Bがゼロの力学の性格について、殊更これを誤解をした事実は認められないし、右出捐に関して、被告らにおいて原告Bの意思決定に対して不当な影響を与える言動がされたとも認められないので、原告Bの右各出捐が、被告らの違法な勧誘によるものであるとは認められない。
(2) 原告C
前記認定の事実経緯を前提とすると、説明会参加費用の支払に至るまで、被告法の華の担当者から、特段、原告Cの不安をあおったり、困惑させるような勧誘がされたことを認めるに足りる証拠はない。かえって、原告C自ら、資料や三法行セットの送付を要請し、担当者の説明を聞くことにより、自発的に足裏診断を受けるつもりで説明会参加の予約を取ったと供述しているのであるから、右三〇〇〇円の出捐が、被告らの違法な勧誘行為によるものとは認められない。
(3) 原告F
原告Fは、頭を取ることの必要性等を執拗に言われ、説得から逃れるため手付金として一〇〇〇円を払った、その後、担当信者から東京ドームの催しに参加するよう命令口調で言われたこともあり、天行力がどのようなものであるかにつき興味を持ち、参加を決意したと供述する。
しかし、前記認定の勧誘文言は抽象的なものに止まり、特段、原告Fに対して害悪を告知して、不安をあおるような勧誘がされた事実を認めることができないし、原告Fは被告北田の著書を以前に自発的に複数読んだことにより、手帳や被告法の華のいう天行力について非常に興味を示していたこと、当初の勧誘後も、原告Fは自発的に大阪支局へ行っていること、右参加費用等(合計一〇万円)も、社会通念に照らして不相当に高額であるとまではいえないことに照らせば、右出捐は原告Fの自発的意思に基づくものというべきである。
また、原告Fは、担当者が法の華は宗教ではないと返答し、宗教性を秘匿されたことが参加費用を出捐した理由であると主張するが、原告Fは、「頭を取る」ことにつき、絵を描いた説明を受けており、被告法の華の信者の説明も「宗教を超えている。」との説明であって、殊更宗教性を秘匿した説明であるとは認められない。
三 被告らの法的責任
1 被告法の華について
前記認定事実によれば、被告北田及び被告法の華の信者らによる違法な勧誘は、被告北田を始めとする被告法の華の教義に基づいてされたものであり、各都道府県の支部に至るまで、マニュアル等を用い、法の華の組織全体の意思に基づいて統一的に行われ、違法な勧誘及びこれによる金員の出捐についても「天声」の趣旨に沿うものとして被告北田自身が容認していたのであるから、勧誘行為としては、個人によってされたものであっても、被告北田及び被告法の華の信者個人の勧誘行為としてではなく、教祖である被告北田を頂点とする被告法の華自体の行為であると評価すべきであるから、被告法の華は、民法七〇九条、七一九条に基づき、違法な勧誘行為により原告らに与えた損害について損害賠償責任を負うというべきである。
2 被告北田について
前記認定の事実及び証拠<証拠略>によれば、被告北田は、被告法の華の開祖、教祖かつ責任役員として、役員会議の場で意思決定を行い、被告法の華の信者に対し、定期的にマイクを使用し、自らしか聞くことのできない「天声」であるとして指示指導等を伝達することにより、信者らによる違法な勧誘行為に関与したほか、前記認定のとおり、自ら、足裏診断において「天声」と称して害悪を直接告知して、それにより原告らに高額の金員を出捐させたのであるから、他の被告らとの共同不法行為に基づく損害賠償責任を負うというべきである。
3 被告南山について
前記認定の事実及び証拠<証拠略>によれば、被告南山は、被告北田の実母、被告法の華の経理等を担当する責任役員及び被告法の華の広報紙である「○○新聞」の発行主として、被告北田らと共同して被告法の華の組織の中核で前記違法な活動の前提となる意思決定等に関与したのであるから、他の被告らとの共同不法行為に基づく損害賠償責任を負うというべきである。
4 被告東川について
前記認定の事実によれば、被告東川は、被告法の華の責任役員として被告北田に次ぐ主導的立場にあり、役員会議等の場で前記違法な活動の前提となる意思決定等に関与したことが認められるから、他の被告らの共同不法行為に基づく損害賠償責任を負うというべきである。
5 被告甲山、被告乙川について
前記認定事実によれば、被告甲山は原告Aに対し、被告乙川は原告Hに対して、被告法の華の布教活動として現実に違法な勧誘を行い、金員を出捐させたというべきであるから、右各原告に対して他の被告らとの共同不法行為に基づく損害賠償責任を負うというべきである。
四 慰謝料について
前記違法な勧誘により多額の金員を出捐したと認められる原告らにおいては、それぞれに悩みごと等を抱えて苦悶していたところ、被告らによる勧誘により、悩みに対する不安や恐怖感を殊更に増幅されて、一層の苦しみを被り、また、科学的根拠のない診断により、一時的な希望を持たされながら、結局はこれを裏切られたこと、不当に高額な研修費用を出捐させられながら、研修内容について何らの情報をも知らされることなく、著しく単調で過酷に過ぎる研修を受けさせられることにより、自己の宗教上の自己決定権を無視される形で、被告法の華の教義を押し付けられ、研修中には暴力を受け、その後に体調を崩した者や、高額の金員を工面する過程で、借入金の債務を負うことにより人間関係を破壊された者もあること等、原告らは、いずれも肉体的、精神的に多大な苦痛を受けるに至っていること等の事情が認められる。他方、原告らにも、被告法の華の勧誘方法が巧妙であったとはいえ、安易に宗教的な説得に応じたと見られる面もあること等の諸般の事情に照らせば、各原告の精神的苦痛を慰謝するには、別紙「認容金額一覧表」の「被告法の華関連の出捐(内訳)」欄の合計額の約一割に相当する「慰謝料」欄記載の各金員の慰謝料の支払を認めるのが相当である。
五 弁護士費用について
本件不法行為と相当因果関係のある各原告の弁護士費用相当の損害は、別紙「認容金額一覧表」の「被告法の華関連の出捐(内訳)」欄及び「慰謝料」欄の合計額の約一割に相当する「弁護士費用」欄記載の各金員と認めるのが相当である。
六 時効について(原告I、原告K、原告J、原告L、原告M及び原告Gについて)
被告らは、右各原告について、出捐日から起算して三年が経過しているとして、消滅時効を援用する旨の意思表示をしている。しかし、原告I、原告K、原告J、原告L、原告M及び原告Gが、各金員の出捐時において、それが被告らの不法行為によるものであると認識していたことを認めるに足りる証拠はない。
第四 結論
よって、原告らの本件請求は、民法七〇九条、七一九条に基づく別紙「認容額一覧表」の各「原告氏名」欄に対応する各被告に対する各「認容金額」欄記載の損害賠償金及びうち各原告に対応する「損害金の基礎となる金額」欄記載の金員に対する各被告に対応する「損害金起算日」欄記載の各年月日から支払済みまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の連帯支払を求める限度で理由があるからその限度でこれを認容し、その余は理由がないからこれを棄却することとし、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官・林圭介、裁判官・森純子、裁判官・髙原知明)
別紙
認容金額一覧表
No
原告
氏名
認容金額
被告法の華関連の出捐(内訳)
慰謝料
弁護士
費用
被告ら
損害金の
基礎と
なる金額
出捐総額
摘要
(出捐順)
出捐金額
氏名等
損害金
起算日
1
N
2,984,000
2,464,000
面接代金
手帳代金
研修費用
大阪講演
温行館入浴料
手帳更新料
天行力大祭関連
超法行力伝授
100,000
30,000
2,250,000
2,000
5,000
50,000
22,000
5,000
250,000
270,000
法の華三法行
平成9年
2月15日
2,714,000
北田一郎こと北田二郎
平成9年
2月15日
南山春子
平成9年
2月22日
東川次郎こと西川次郎
平成9年
2月16日
2
A
3,267,000
2,700,000
三法行セット
足裏鑑定代
研修費用
5,000
100,000
2,550,000
270,000
297,000
法の華三法行
平成9年
2月15日
2,970,000
北田一郎こと北田二郎
平成9年
2月15日
南山春子
平成9年
2月22日
東川次郎こと西川次郎
平成9年
2月16日
甲山一郎
平成9年
2月14日
3
B
8,085,000
6,680,000
三法行セット
面接代金
研修費用
水子供養
家の中心
五代前後の供養
0
100,000
2,250,000
1,000,000
2,330,000
1,000,000
670,000
735,000
法の華三法行
北田一郎こと北田二郎
南山春子
東川次郎こと西川次郎
平成9年
7月3日
(いずれも)
8,085,000
4
C
2,895,534
2,405,534
説明会費用
研修費用
右振込費用
研修の為の交通費
法洗行
上記交通費
天行力大祭
上記交通費
0
2,300,000
3,314
22,640
10,000
22,640
20,000
26,940
230,000
260,000
法の華三法行
北田一郎こと北田二郎
南山春子
東川次郎こと西川次郎
平成9年
7月3日
(いずれも)
2,895,534
5
D
1,890,000
1,580,000
研修費用
1,580,000
140,000
170,000
法の華三法行
北田一郎こと北田二郎
南山春子
東川次郎こと西川次郎
平成9年
7月3日
(いずれも)
1,890,000
6
P
2,710,000
2,250,000
研修費用
2,250,000
220,000
240,000
法の華三法行
北田一郎こと北田二郎
南山春子
東川次郎こと西川次郎
平成9年
7月3日
(いずれも)
2,710,000
7
I
790,000
655,000
研修費用
655,000
65,000
70,000
法の華三法行
北田一郎こと北田二郎
南山春子
東川次郎
平成10年
1月20日
(いずれも)
790,000
8
K
11,302,000
9,366,000
足裏診断料2人分
研修費用2人分
家の中心
水子供養
手帳代
不詳
96,000
2,130,000
5,830,000
1,000,000
300,000
10,000
936,000
1,000,000
法の華三法行
北田一郎こと北田二郎
南山春子
東川次郎
平成10月
1月20日
(いずれも)
11,302,000
9
E
1,490,000
1,250,000
研修費用内金
1,250,000
110,000
130,000
法の華三法行
北田一郎こと北田二郎
南山春子
東川次郎こと西川次郎
平成10年
5月9日
(いずれも)
1,490,000
10
F
2,783,000
2,300,000
三法行セット
天行力大祭
研修費用
0
0
2,300,000
230,000
253,000
法の華三法行
北田一郎こと北田二郎
南山春子
東川次郎こと西川次郎
平成10年
11月12日
(いずれも)
2,783,000
11
J
4,354,000
3,604,000
三法行セット
研修費用
支部長研修費
法納祭
50,000
1,250,000
2,300,000
4,000
360,000
390,000
法の華三法行
北田一郎こと北田二郎
南山春子
東川次郎こと西川次郎
平成10年
11月12日
(いずれも)
4,354,000
12
L
1,590,000
1,320,000
三法行セット
研修費用
手帳更新費用
50,000
1,250,000
20,000
130,000
140,000
法の華三法行
北田一郎こと北田二郎
南山春子
東川次郎こと西川次郎
平成10年
11月12日
(いずれも)
1,590,000
13
M
1,590,000
1,320,000
三法行セット
研修費用
手帳更新費用
50,000
1,250,000
20,000
130,000
140,000
法の華三法行
北田一郎こと北田二郎
南山春子
東川次郎こと西川次郎
平成10年
11月12日
(いずれも)
1,590,000
14
G
2,915,000
2,410,000
三法行セット
足裏診断料
研修費用
天行力大祭
0
10,000
2,250,000
150,000
240,000
265,000
法の華三法行
北田一郎こと北田二郎
南山春子
東川次郎こと西川次郎
平成10年
11月12日
(いずれも)
2,915,000
15
Q
14,825,000
12,265,000
足裏診断
足裏診断
三法行セット
研修費用
百歳塾
家の中心
解脱法納
5,000
100,000
80,000
2,250,000
4,500,000
2,330,000
3,000,000
1,220,000
1,340,000
法の華三法行
北田一郎こと北田二郎
南山春子
東川次郎こと西川次郎
平成11年
8月24日
(いずれも)
14,825,000
16
H
37,690,000
31,160,000
三法行セット
足裏診断料
研修費用
天上界法納等
50,000
100,000
1,630,000
29,380,000
3,110,000
3,420,000
法の華三法行
北田一郎こと北田二郎
南山春子
東川次郎こと西川次郎
乙川花子
平成11年
10月13日
(乙川花子
を除く。)
37,690,000
平成1年
11月19日
【認容総額】101,160,534円
別紙
請求金額一覧表
No
原告
氏名
請求金額
被告法の華関連の出捐(内訳)
慰謝料
弁護士
費用
被告ら
損害金の
基礎と
なる金額
出捐総額
摘要
(出捐順)
出指金額
氏名等
損害金
起算日
1
N
2,984,000
2,464,000
面接代金
手帳代金
研修費用
大阪講演
温行館入浴料
手帳更新料
天行力大祭関連
超法行力伝授
100,000
30,00
2,250,000
2,000
5,000
50,000
22,000
5,000
250,000
270,000
法の華三法行
平成9年
2月15日
2,714,000
北田一郎こと北田二郎
平成9年
2月15日
南山春子
平成9年
2月22日
東川次郎こと西川次郎
平成9年
2月16日
2
A
3,300,000
2,700,000
三法行セット
足裏鑑定代
研修費用
5,000
100,000
2,550,000
300,000
300,000
法の華三法行
平成9年
2月15日
3,000,000
北田一郎こと北田二郎
平成9年
2月15日
南山春子
平成9年
2月22日
東川次郎こと西川次郎
平成9年
2月16日
甲山一郎
平成9年
2月14日
3
B
8,140,000
6,730,000
三法行セット
面接代金
研修費用
水子供養
家の中心
五代前後の供養
50,000
100,000
1,000,000
2,250,000
2,330,000
1,000,000
670,000
740,000
法の華三法行
北田一郎こと北田二郎
南山春子
東川次郎こと西川次郎
平成9年
7月3日
(いずれも)
8,140,000
4
C
2,908,554
2,408,554
説明会費用
研修費用
右振込費用
研修の為の交通費
法洗行
上記交通費
天行力大祭
上記交通費
3,000
2,300,000
3,314
22,640
10,000
22,640
20,000
26,960
240,000
260,000
法の華三法行
北田一郎こと北田二郎
南山春子
東川次郎こと西川次郎
平成9年
7月3日
(いずれも)
2,908,554
5
D
1,900,000
1,580,000
研修費用
1,580,000
150,000
170,000
法の華三法行
北田一郎こと北田二郎
南山春子
東川次郎こと西川次郎
平成9年
7月3日
(いずれも)
1,900,000
6
P
2,710,000
2,250,000
研修費用
2,250,000
220,000
240,000
法の華三法行
北田一郎こと北田二郎
南山春子
東川次郎こと西川次郎
平成9年
7月3日
(いずれも)
2,710,000
7
I
790,000
655,000
研修費用
655,000
65,000
70,000
宗教法人法の華三法行
北田一郎こと北田二郎
南山春子
東川次郎
平成10年
1月20日
(いずれも)
790,000
8
K
11,302,000
9,366,000
足裏診断料2人分
研修費用2人分
家の中心
水子供養
手帳代
不詳
96,000
2,130,000
5,830,000
1,000,000
300,000
10,000
936,000
1,000,000
宗教法人法の華三法行
北田一郎こと北田二郎
南山春子
東川次郎こと西川次郎
平成10月
1月20日
(いずれも)
11,302,000
9
E
1,500,000
1,250,000
研修費用内金
1,250,000
120,000
130,000
法の華三法行
北田一郎こと北田二郎
南山春子
東川次郎こと西川次郎
平成10年
5月9日
(いずれも)
1,500,000
10
F
2,900,000
2,400,000
三法行セット
天行力大祭
研修費用
70,000
30,000
2,300,000
240,000
260,000
法の華三法行
北田一郎こと北田二郎
南山春子
東川次郎こと西川次郎
平成10年
11月12日
(いずれも)
2,900,000
11
J
4,354,000
3,604,000
三法行セット
研修費用
支部長研修費
法納祭
50,000
1,250,000
2,300,000
4,000
360,000
590,000
法の華三法行
北田一郎こと北田二郎
南山春子
東川次郎こと西川次郎
平成10年
11月12日
(いずれも)
4,354,000
12
L
1,590,000
1,320,000
三法行セット
研修費用
手帳更新費用
50,000
1,250,000
20,000
130,000
140,000
法の華三法行
北田一郎こと北田二郎
南山春子
東川次郎こと西川次郎
平成10年
11月12日
(いずれも)
1,590,000
13
M
1,590,000
1,320,000
三法行セット
研修費用
手帳更新費用
50,000
1,250,000
20,000
130,000
140,000
法の華三法行
北田一郎こと北田二郎
南山春子
東川次郎こと西川次郎
平成10年
11月12日
(いずれも)
1,590,000
14
G
2,970,000
2,460,000
三法行セット
足裏診断料
研修費用
天行力大祭
50,000
10,000
2,250,000
150,000
240,000
270,000
宗教法人法の華三法行
北田一郎こと北田二郎
南山春子
東川次郎こと西川次郎
平成10年
11月12日
(いずれも)
2,970,000
15
Q
14,825,000
12,265,000
足裏診断
足裏診断
三法行セット
研修費用
百歳塾
家の中心
解脱法納
5,000
100,000
80,000
2,250,000
4,500,000
2,330,000
3,000,000
1,220,000
1,340,000
宗教法人法の華三法行
北田一郎こと北田二郎
南山春子
東川次郎こと西川次郎
平成11年
8月24日
(いずれも)
14,825,000
16
H
37,690,000
31,160,000
三法行セット
足裏診断料
研修費用
天上界法納等
50,000
100,000
1,630,000
29,380,000
3,110,000
3,420,000
法の華三法行
北田一郎こと北田二郎
南山春子
東川次郎こと西川次郎
乙川花子
平成11年
10月13日
(乙川花子
を除く。)
37,690,000
平成11年
11月19日
【請求総額】 101,453,554