大阪地方裁判所 平成12年(ワ)384号 判決 2000年9月14日
反訴原告
嶋崎幸夫
反訴被告
下野金属株式会社
ほか一名
主文
一 反訴被告らは、反訴原告に対し、連帯して金六三万九四八八円及びこれに対する平成九年七月三〇日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
二 反訴原告のその余の請求を棄却する。
三 訴訟費用は、これを一〇分し、その九を反訴原告の負担とし、その余を反訴被告らの負担とする。
四 この判決は、第一項に限り仮に執行することができる。
事実及び理由
第一請求
反訴被告らは、反訴原告に対し、連帯して金五八七万六三六三円及びこれに対する平成九年七月三〇日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
第二事案の概要
本件は、普通貨物自動車と接触して負傷した反訴原告が、車両運転者に対しては民法七〇九条により、車両の保有者に対しては自動車損害賠償保障法(以下「自賠法」という。)三条本文により損害賠償を請求した事案である(なお、本件は、取下げによって終了した平成一一年(ワ)第七三一四号債務不存在確認請求事件の反訴である。)。
一 争いのない事実
(一) 反訴原告と反訴被告金子禄誠こと賀云禄(以下「反訴被告賀」という。)との間で、別紙交通事故目録記載の交通事故(以下「本件交通事故」という。)が発生した。
(二) 反訴被告賀は加害車両の運転者であり、反訴被告下野金属株式会社(以下「反訴被告会社」という。)は加害車両の所有者である。
(三) 反訴原告は、本件交通事故により、頭部打撲・挫創、顔面挫創、左下腿打撲・挫創の傷害を負い、医療法人社団丸山会八戸の里病院(以下「八戸の里病院」という。)において頭部及び顔面の縫合手術を受け、平成九年七月三〇日から平成一〇年六月七日まで同病院に入院して治療を受け、同日、症状固定と診断された。
(四) 反訴原告は、自動車保険料率算定会大阪第三調査事務所から、後遺障害等級第一四級一〇号の認定を受け、自賠責保険から後遺症慰謝料として七五万円を受け取った。
二 争点
(一) 本件交通事故の態様
反訴原告は、本件交通事故は、反訴原告が自転車を押して歩行中に発生したものであると主張するのに対し、反訴被告らは、反訴原告の自転車運転中に発生したものであると主張する。
(二) 反訴被告らの責任原因
反訴被告らは、本件事故の原因は反訴原告が歩道から車道に急に飛び出してきたことにあり、反訴被告賀には本件事故の回避可能性がなかったから民法七〇九条の過失がなく、また、反訴被告会社は自賠法三条ただし書きにより免責されると主張する。
(三) 損害及びその填補
反訴被告らは、反訴原告の請求する損害項目につき、いずれもその発生の事実及び額を争っているが、特に、治療費について一三四万三〇三一円を本件交通事故の損害賠償債務の履行として支払済みであると主張するのに対し、反訴原告は、国民健康保険及び一部負担相当額等助成制度により反訴原告にはそもそも治療費の支払義務が一切なかったものであるから、治療費相当額は反訴原告の損害には当たらず、したがってまた、反訴被告らがこれを支払ったとしても損益相殺されるべきでないと主張する。
(四) 過失相殺
反訴被告らは、仮に反訴被告賀に過失が認められるとしても、本件交通事故の発生については反訴原告にも過失があるから、過失相殺がなされるべきであると主張する。
第三当裁判所の判断
一 本件交通事故の態様について。
甲第一号証、第二号証の二、第四号証、第五号証、乙第二四号証ないし第三二号証、反訴原告本人及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。
すなわち、本件交通事故現場は、近畿日本鉄道奈良線八戸ノ里駅前ロータリーに隣接した南北方向の道路と東西方向の道路の交差する信号機により交通整理の行われた交差点(以下「本件交差点」という。)付近であって、北から南方向に走る道路は、中央線によって区分された片側一車線の道路で、南行き車線の車道部分の幅員は、同交差点北側では約四・二メートルあり、ロータリー方向へ左折する車道との間にある中央分離帯から約〇・四メートルの地点に外側線が引かれているのに対し、同交差点南側では同車線の幅員が約三・五メートルとなり、車道東側の歩道との間には鉄製の柵が設置されていて、同歩道の縁石から約〇・七メートルの地点に外側線が引かれていること、反訴被告賀は、本件交差点の北側から規制速度と同じ時速約四〇キロメートルで加害車両を運転して、対面信号機の青色表示に従い、南側に向かって本件交差点を直進したこと、他方、反訴原告は、本件交差点の南側から、車道東側の歩道上を自転車を運転して本件交差点手前に差し掛かったところ、前方歩道上に、本件交差点南側に設置された横断歩道を横断しようとする歩行者約一〇数名が信号待ちをしており、自転車を運転して歩道上を進行することが困難であったため、同横断歩道手前で歩車道を区切る鉄製柵が途切れた辺りから自転車を運転したまま車道上に進出したこと、反訴被告賀は、本件交差点を通過する際、前記横断歩道の東側歩道上で信号待ちをしている人混みに気付いたが、そのまま通過しようとしたところ、前方約八・八メートルに自転車に乗って歩道から車道上に進出してこようとする反訴原告の姿を認め、咄嗟に右にハンドルを切りながら急制動を掛けて衝突を回避しようとしたが及ばず、反訴原告の姿を認めた地点から約六・八メートル前方、縁石から車道西側に直線距離にして約一・一メートル、横断歩道南端から約〇・四メートル横断歩道上に入った地点で加害車両左前角部分を反訴原告運転の自転車に衝突させた上、衝突地点からさらに約三メートル南側に進行した後停止したこと、加害車両の損傷は、左前角バンパーに自転車のタイヤによる払拭痕が、左角フロントパネルの地上高〇・六二メートルから〇・九七メートルの範囲に自転車の前かご左側部分でできたと見られる網目様の打突痕があったほか、左前フロントガラスのひび割れとワイパーの凹損が認められたのに対し、反訴原告の自転車では、地上高〇・七メートルから〇・九六メートルの範囲の前かごの左角及び車体左側の鍵部分に凹損が認められたこと、本件交通事故当時の天候は晴れで、道路上の見通しは良かったことの各事実を認めることができる。
以上認定したとおり、反訴原告は、本件交差点の南側から東側歩道上を自転車を運転して本件交差点手前に差し掛かり、横断歩道付近の歩車道を仕切る鉄製柵の切れ目から自転車に乗ったまま車道上に進出して本件交通事故に遭ったことが認められる。
これに対し、反訴原告は、本件交通事故は、反訴原告が本件交差点手前で自転車を降りた後、自転車を身体の右側にして押しながら歩行中に加害車両に撥ねられたものであると主張し、かつ、供述するが、仮に、反訴原告主張のような事故態様であったとすれば、加害車両には、加害車両から見て自転車による衝突痕よりもさらに右側の車両中央付近にも反訴原告の身体に衝突したことによる何らかの痕跡が残ると思われるにもかかわらず、加害車両の損傷は前記のとおり自転車による左前角部分の損傷のみに止まっていること、また、反訴原告の主張によれば反訴原告の身体は直接加害車両と正面から衝突することになると思われるが、その場合には反訴原告の下腿部に加害車両のバンパー部との衝突による骨折等の重篤な傷害が発生していて然るべきであるのに、そのような事実は認められないこと、反訴被告賀は、本件交通事故直後から一貫して反訴原告が自転車に乗って飛び出してきたと供述しており、かつ、本訴においても同様の主張をしていたのに対し、反訴原告は、本訴に対する答弁の時点のみならず、反訴提起の時点においても、飛び出した速度についてはともかく自転車に乗っていたこと自体は争っていなかったのであり、その後に至って突如として上記のような主張をし始めたこと等に照らすと、反訴原告の上記供述は俄に信用することができないというほかない。したがって、本件交通事故当時、反訴原告が自転車を押して歩行中であったとの反訴原告の主張は理由がない。
二 反訴被告らの責任原因について
前記のとおり認定した本件交通事故現場の状況及び本件交通事故の態様によれば、反訴被告賀は、青色信号の表示に従って本件交差点に進入したとはいえ、交差点南側では同北側に比べて車道幅員が狭くなる上、東側歩道上には横断歩道手前付近に信号待ちをしている歩行者が少なからずおり、右歩行者らに遮られて歩道南側の見通しが効きにくくなっていたのであるから、自動車運転者としては、南側から歩道上を進行してきた自転車等が歩行者らを避けて車道に進入してくることもあり得ることを予見して、歩行者や自転車等の動静を十分注視し、万一車道に自転車等が進入してきた場合にも衝突を回避することが可能な程度に歩道との間隔を十分に取った上で、横断歩道の直前で停止することが可能な程度の速度で進行すべき注意義務があったというべきであるが(道路交通法第三六条四項、第三八条一項参照)、反訴原告運転の自転車の動静に対する十分な注視を欠いて、時速約四〇キロメートルの速度で、車両左側面と東側歩道縁石との間隔がせいぜい一・一メートル以内(前記外側線との間隔は〇・四メートル以内)の位置を通って本件交差点南側の車道を通過しようとしたために、進路前方八・八メートルの距離に至って初めて車道内に進入しようとする反訴原告の姿を認め、急制動の措置等を講じたが間に合わず本件交通事故を惹起したことが認められる。そうすると、反訴被告賀が前記注意義務を果たして、予め歩道との間隔を十分取った上、咄嗟の場合に直ぐさま停止できる程度の速度で進行していれば、本件交通事故を回避することは可能であったというべきであるから、反訴被告賀には、本件交通事故の発生につき過失があり、反訴原告に対し民法七〇九条による損害賠償責任を負うというべきである。
また、反訴被告会社が本件加害車両の所有者であることについては当事者間に争いがないところ、上記のとおり、加害車両を運転していた反訴被告賀に過失が認められる以上、反訴被告会社が自賠法三条ただし書きにより責任を免れる余地はない。
したがって、反訴被告会社は、自賠法三条本文により、加害車両の運行供用者として、反訴原告に生じた損害を賠償する責任を負う。
三 損害について
(一) 治療費 二四万三四二〇円
反訴原告が、本件交通事故で受傷したことにより、八戸の里病院において頭部及び顔面の縫合手術を受け、平成九年七月三〇日から平成一〇年六月七日まで入院して治療を受けたことについては当事者間に争いがないところ、甲第六号証、第八号証、反訴原告本人及び弁論の全趣旨によれば、同病院における治療費は合計一三四万三〇三一円であり、その内一〇九万九六一一円については反訴原告加入の国民健康保険によってまかなわれ、後日、大阪府国民健康保険団体連合会から反訴被告会社加入の自賠責保険会社に求償請求され、同保険会社がこれを支払ったこと、また、治療費の残り二四万三四二〇円については、八戸の里病院から直接上記保険会社に請求がなされ、同保険会社が同病院に対しこれを支払ったことの各事実が認められる。
ところで、反訴原告は、国民健康保険に加入していたことに加え、それによってまかなわれない一部負担金相当額については東大阪市から医療費の助成を受ける資格を有しており、治療費について一切自己負担をする必要がなかったものであるから、上記治療費はそもそも反訴原告の損害には当たらないと主張する。
しかしながら、確かに、交通事故の被害者が国民健康保険を利用して治療を受けた場合には、保険給付を受けた金額部分については保険給付自体によって直接損害が填補され、その結果、被害者の損害賠償請求権も保険者に移転する(国民健康保険法第六四条一項)のであって、加害者が健康保険組合からの求償請求に応じて支払いをすることによって被害者の損害が填補されるわけではないから、損害額の計算にあたって、治療費の内、国民健康保険から保険給付を受けた金額については損害に計上しないのが相当というべきであるが、国民健康保険によってまかなわれなかった自己負担額相当部分については、現実に地方自治体の医療費助成制度等の適用を受けて被害者がその負担を免れた場合は格別、被害者がその申請手続きを行わず、治療を受けた病院から加害者加入の自賠責保険に対して請求がなされて保険会社がこれを支払った場合には、保険会社の支払いによって初めてその損害が填補されたことになるのであるから、被害者には一部負担金相当額の損害が発生していたものというべきである。
したがって、本件交通事故によって発生した前記治療費の内、国民健康保険によってまかなわれた一〇九万九六一一円については反訴原告の損害に含めるべきでないが、反訴被告加入の保険会社が八戸の里病院から請求を受けて支払った二四万三四二〇円については、本件交通事故による反訴原告の被った損害として計上するのが相当である。
(二) 入院雑費(請求額四〇万六九〇〇円) 四〇万六九〇〇円
反訴原告は、前記のとおり、本件交通事故により平成九年七月三〇日から平成一〇年六月七日までの三一三日間八戸の里病院に入院していた者であり、入院期間中は当然に治療費以外に日用品雑貨費その他の雑費の支出を強いられたと考えられる。その額については一日あたり一三〇〇円が相当であるから、これに前記入院日数を乗じた四〇万六九〇〇円を入院雑費としての損害と認める。
反訴被告らは、入院が長期化したのは、反訴原告が脳梗塞や白内障に罹患したためであるから、入院全期間分の雑費について本件交通事故との相当因果関係があるわけではないと主張するが、乙第二号証ないし第一三号証の治療に関する全資料を検討しても、反訴被告らの主張するような傷病が入院期間を長期化させた原因になったとの事実を認めることはできないから、上記主張は理由がない。
(三) 逸失利益(請求額八七万一七六三円) 五万一九五二円
前記「争いのない事実」記載(三)、同(四)の事実及び乙第二号証ないし第一四号証、反訴原告本人によれば、反訴原告は、本件交通事故で受傷し入院治療を受けた結果、関節に特段の可動域制限は残さなかったものの、頭痛及び左下肢・大腿部に疼痛としびれ感の自覚症状を残して平成一〇年六月七日症状固定と診断されたこと、自動車保険料率算定会大阪第三調査事務所は、反訴原告の上記症状につき後遺障害等級第一四級一〇号と認定したこと、反訴原告は大正一二年三月二〇日生まれ(症状固定時満七五歳)の男性で、定年までガス配管工事の仕事に従事し、その後はビル清掃や駐車場の管理等の作業をして収入を得ていたが、平成七年ころにはそれらの仕事も辞め、本件交通事故当時は、月額約一六万円程度の年金収入以外には、知人から月一、二回程度大工仕事の手伝いを頼まれて、せいぜい月二万円程度の臨時収入を得ていたに過ぎないことの各事実が認められる。
反訴原告は、本件交通事故により反訴原告の視力が両眼とも〇・〇一程度に低下したとして、これが後遺障害等級第二級二号に該当すると主張しているが、前記各証拠によれば、反訴原告が視力の障害を訴えて診察を受けたのは平成一〇年五月一一日が最初であり、本件交通事故から九か月以上後であること、反訴原告の前眼部、中間透光体には老人性白内障が認められ、眼底には異常所見がなく、このことから中枢性の低下が考えられるとする診断がある一方で、視力低下を示唆する眼科的所見は認められず、事故との因果関係は不明とする診断や、頭部CTの所見は正常で、自覚症状と他覚所見の一致を見ないとする診断もあることが認められ、以上の事実を総合して判断すると、反訴原告の視力障害の原因は必ずしも明らかとはいえず、本件交通事故の外傷に基づくものであることを認めるに十分とは言えないから、反訴原告が本件交通事故後視力低下を来した事実があったとしても、これをもって本件交通事故による後遺障害と認めることはできないというべきである。
以上の事実によれば、反訴原告の年齢及び本件交通事故当時の稼働状況からして、反訴原告が本件交通事故に遭わなかったとしても、将来就職して賃金センサスによる六五歳以上男性の平均給与程度の収入を得られた蓋然性は極めて乏しかったものと考えざるを得ないから、逸失利益算出の基礎収入としては、せいぜい反訴原告が本件交通事故当時現実に得ていた月二万円程度の収入額をもとにして、年額二四万円と考えるのが相当であり、反訴原告は、前記後遺障害の内容・程度に鑑み、上記収入の五パーセントを、平均余命の約二分の一に相当する五年間にわたり喪失したものと解するのが相当であるから、年五分の割合でライプニッツ方式により中間利息を控除すると、逸失利益は五万一九五二円となる。
(計算式)
240,000×0.05×4.3294=51,952
なお、反訴原告は、中間利息の控除は年二パーセントの割合によるべきであると主張するが、中間利息の控除割合を何パーセントとするかは、損害賠償算定の際に前提とする各種の数値(賃金センサス、稼働可能年齢、生活費控除率、民事法定利率等)との関係で考えなければならず、単に、近年日本経済が停滞しており、低金利政策が一定期間継続してきているとの一事をもって、直ちにこれを変更しなければならないものとは解されないから、上記主張は採用しない。
(四) 入院慰謝料(請求額三三四万円) 二二三万円
反訴原告の前記受傷内容や入院期間に鑑みれば、入院慰謝料としては二二三万円が相当である。
(五) 後遺障害慰謝料(請求額二〇〇万円) 九〇万円
反訴原告の前記後遺障害の内容、程度に鑑みれば、慰謝料としては九〇万円が相当である。
上記損害額合計三八三万二二七二円
四 過失相殺について
本件交通事故の態様については前記認定のとおりであり、反訴被告賀には、前記のとおり、歩道上の歩行者や自転車等の動静を十分注視し、万一車道に自転車等が進入してきた場合にも衝突を回避することが可能な程度に歩道との間隔を十分に取った上で、横断歩道の直前で停止することが可能な程度の速度で進行すべき注意義務を怠った過失が認められるが、他方、反訴原告は、衝突するまで加害車両の存在に全く気付いていなかったというのであるから、自転車を運転して歩道から車道に進入するに際し、車道上の進行車両に対する安全確認を怠った過失が認められる。そして、反訴原告が車道に進入したのが交差点直近であり、反訴被告賀は対面信号の青色表示に従って本件交差点に進入していること、反訴原告が、人混みのかげから自転車に乗ったまま、車道上に引かれた外側線を越えて歩道縁石から一メートル以上車道内に進入していることに鑑みると、反訴原告が高齢であることを考慮してもなお、本件交通事故の発生に関する過失割合は反訴原告の方が大きいと言うほかはなく、反訴原告の過失割合を六割、反訴被告賀の過失割合を四割と解するのが相当である。
(計算式)
3,832,272×(1-0.6)=1,532,908
五 損益相殺
反訴原告が自賠責保険金七五万円を本件交通事故による損害賠償として受領したことについては当事者間に争いがない。
また、治療費の二四万三四二〇円については、反訴被告会社加入の保険会社から八戸の里病院に対し支払われていることが認められることは前記のとおりであるから、これらの合計額九九万三四二〇円を上記損害額から控除すると、五三万九四八八円となる。
六 弁護士費用(請求額一〇〇万〇五〇〇円) 一〇万円
上記認容額その他諸般の事情を考慮すれば、弁護士費用としては一〇万円が相当である。
七 結論
以上によれば、反訴原告の請求は、反訴被告らに対し連帯して金六三万九四八八円及びこれに対する本件交通事故の日である平成九年七月三〇日から民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払いを求める限度で理由があり、その余は理由がないから、主文のとおり判決する。
(裁判官 福井健太)
別紙 交通事故目録
発生日時 平成9年7月30日午後0時45分ころ
発生場所 大阪府東大阪市下小阪5丁目2番33号先路上
加害車両 反訴被告賀云禄運転、同下野金属株式会社所有の普通貨物自動車(大阪41に3309)
被害車両 反訴原告運転の自転車
事故態様 被害車両が前方にある人だかりを避けるため、歩道から車道上に出たところ、反対方向から進行してきた加害車両と衝突したもの