大阪地方裁判所 平成12年(ワ)5271号 判決 2002年2月28日
原告
永久恵美子
ほか四名
被告
山多京子
主文
一 被告は、原告永久惠美子に対し金二一八七万一一〇四円、同金谷美千子、同永久龍彦に対し各金六八八万三七〇二円、同高林智子に対し金六八八万三七〇一円、同永久房子に対し金一八七万〇〇〇〇円及びこれらに対する平成一〇年七月八日から支払済みまで年五分の割合による金員をそれぞれ支払え。
二 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。
三 訴訟費用はこれを一〇分し、その三を原告らの負担とし、その余を被告の負担とする。
四 この判決は、第一項に限り仮に執行することができる。
事実及び理由
第一請求
一 被告は、原告永久惠美子に対し、金三一四〇万二七五二円及びこれに対する平成一〇年七月八日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
二 被告は、原告金谷美千子に対し、金一〇〇三万四二五〇円及びこれに対する平成一〇年七月八日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
三 被告は、原告永久龍彦に対し、金一〇〇三万四二五〇円及びこれに対する平成一〇年七月八日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
四 被告は、原告高林智子に対し、金一〇〇三万四二五〇円及びこれに対する平成一〇年七月八日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
五 被告は、原告永久房子に対し、金二二〇万〇〇〇〇円及びこれに対する平成一〇年七月八日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
第二事案の概要
一 争いのない事実等
(1) 訴外永久直昭(以下「亡直昭」という。)と被告との間で、下記交通事故(以下「本件事故」という。)が発生した。
日時 平成一〇年七月八日午後一一時三〇分ころ
場所 山口県豊浦郡豊浦町大字吉永六一三番地の一漁連石油マリノス黒井先路上(国道一九一号線)
加害車両 普通乗用自動車 山口五四な一七四四(以下「被告車両」という。)
運転者 被告
所有者 被告
態様 前記場所付近を横断歩行中の亡直昭に被告車両が衝突したもの。
(2) 亡直昭は、本件事故により脳挫傷等の傷害を負い、同傷害により、同日死亡した。
(3) 被告は、自動車損害賠償保障法三条に基づき、本件事故により亡直昭の被った損害を賠償する責任を負う。
(4) 原告永久惠美子(以下「原告惠美子」という。)は亡直昭の妻であり、原告金谷美千子(以下「原告美千子」という。)、同永久龍彦(以下「原告龍彦」という。)、同高林智子(以下「原告智子」という。)はいずれも亡直昭の子であり、亡直昭の被告に対する損害賠償請求権を法定相続分にしたがって相続により承継取得した。
また、原告永久房子(以下「原告房子」という。)は亡直昭の母である。
二 争点
(1) 過失相殺
(被告の主張)
本件事故は、信号機により交通整理の行われていない交差点の直近において、横断歩道外を横断した亡直昭に被告車両が衝突した事故であるところ、さらに、夜間の事故であること、幹線道路上の事故であること、亡直昭が相当酒に酔っていたこと等を考慮すれば、亡直昭の過失は少なくとも六割を下らない。
(原告らの主張)
本件事故当時、亡直昭は横断歩道上を歩行中であったと考えられ、仮に、横断歩道上でなかったとしても、せいぜい横断歩道から二メートル程度しか離れていない場所を横断歩行中であったと考えられるから、亡直昭には過失相殺すべきほどの過失は認められないというべきである。
(2) 損害
(原告らの主張)
ア 亡直昭の損害
(ア) 逸失利益 二七八〇万五五〇五円
亡直昭(本件事故当時六五歳)は、原告惠美子、同房子との三人暮らしで、役場の運転手としての稼働収入が九八万一〇七二円、厚生年金収入が二九〇万四七九八円(いずれも年収)あった。前者につき稼働可能期間を九年間(ライプニッツ係数七・一〇八)、後者につき受給期間を平均余命までの一七年間(同係数一一・二七四〇)、生活費控除率をいずれも三割として計算すると、二七八〇万五五〇五円となる。
(イ) 慰謝料 九〇〇万〇〇〇〇円
上記合計 三六八〇万五五〇五円
原告恵美子相続分 一八四〇万二七五二円
原告美千子、同龍彦、同智子相続分 各六一三万四二五〇円
イ 原告惠美子の損害
(ア) 慰謝料 九〇〇万〇〇〇〇円
(イ) 葬儀費用 一二〇万〇〇〇〇円
(ウ) 弁護士費用 二八〇万〇〇〇〇円
相続分を加えた損害合計 三一四〇万二七五二円
ウ 原告美千子、同龍彦、同智子の損害
(ア) 慰謝料 各三〇〇万〇〇〇〇円
(イ) 弁護士費用 各九〇万〇〇〇〇円
相続分を加えた損害合計 各一〇〇三万四二五〇円
エ 原告房子の損害
(ア) 慰謝料 二〇〇万〇〇〇〇円
原告房子は、亡直昭と同居中の母親であり、同人の死亡により甚大な精神的苦痛を受けたものであるから、民法七一一条により固有の慰謝料請求権を有する。
(イ) 弁護士費用 二〇万〇〇〇〇円
損害合計 二二〇万〇〇〇〇円
(被告の主張)
ア 生活費控除率は五割が相当である。
イ 慰謝料額については、遺族ら固有の慰謝料を含めて二〇〇〇万円程度が相当である。
第三争点に対する判断
一 争点(1)について
(1) 甲第二号証ないし第七号証、第九号証、第一四号証の三、六、九、一三、乙第一号証ないし第八号証、第一〇号証、第一一号証、被告本人及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。
ア 本件事故現場の状況は、別紙「交通事故発生現場見取図」(以下「別紙図面」という。)記載のとおりであり、北東方向から緩やかな左カーブを描いて南方に至る国道一九一号線(以下「本件道路」という。)に、西方から一本、東方及び南東方向からそれぞれ一本の道路が交差する、信号機による交通整理の行われていない変形五差路交差点(以下「本件交差点」という。)内である。本件道路は、民家がまばらに点在する農村地帯内を通るアスファルト舗装された平坦な道路で、本件事故当時乾燥しており、最高速度の規制はなく(法定制限速度時速六〇キロメートル)、車道東側には縁石等で区分された歩道が存するが、西側は歩車道の区別がなされていない。本件交差点内には本件道路を東西に横断する幅員約三・〇メートルの横断歩道(以下「本件横断歩道」という。)が白色ペイントで路面に明瞭に表示されていて、同横断歩道の西側及び東側にそれぞれ大型蛍光式横断歩道標識が設置されているほか、北東方向からの走行車両に対しては本件交差点に至るまでに横断歩道予告表示が路面に三か所表示されている。
本件交差点内の照明設備は、別紙図面記載のとおり、本件横断歩道東側歩道内及び西側路側帯内に水銀灯が二基設置されていて、いずれも本件事故当時点灯しており、交差点内に運転者の見通しを妨げるものは存せず、同図面記載<1>地点から、同
1地点及び
2地点を見通すことができた。
イ 被告は、被告車両の前照灯を下向きに点灯して時速約五〇ないし五五キロメートルの速度で同車両を運転し、本件道路を南進してきて本件交差点を直進しようとしたものであるが、別紙図面記載<1>地点付近を通過した際、同地点付近に停車中のタクシーを認めたものの、他に通行中の車両や歩行者の姿を認めなかったことから、左カーブしている道路状況に合わせて視線をやや左前方にやりながら、特段減速することなく進行したところ、横断歩道の白線が視界から消えた直後、進路前方左寄り約五メートル以内の至近距離に身体をほぼ東方に向けた状態の亡直昭の姿を認め、ブレーキペダルを強く踏み込もうとしたが間に合わず、被告車両前部左側を亡直昭の身体に衝突させてはね上げ、同人の頭部付近をフロントガラス左下部に激突させた上、同人を別紙図面記載<ウ>地点付近路上に転倒させた。被告車両は、亡直昭の転倒位置よりも数メートル南方で停止したが、被告は、そのまま停車していると後続車両に追突される危険があると判断し、一旦被告車両をさらに前方に移動させたところ、車で通りかかった知人から車両を元の位置に戻しておくように助言され、同知人に頼んで被告車両を別紙図面記載<4>地点まで戻して停車させた。なお、本件事故現場には、血痕(別紙図面記載K一及びK二)が残っていたものの、被告車両のタイヤによるスリップ痕は路面に印象されておらず、また、亡直昭の履いていた靴の散乱位置(同<エ>及び<オ>地点)は、一旦、被告が拾って揃えて置いたものを警察官の指示で被告が元の場所付近に復元したものであり、これら以外に衝突の痕跡を示す落下物等は現場で発見されなかった。
ウ 亡直昭は、本件事故当日、午後六時半ころから職場の懇親会及び二次会に参加して飲酒し、帰宅する途中、別紙図面記載地点付近でタクシーを停車させ、そこから徒歩で本件道路の横断を開始したものであるが、本件交差点の東方に位置する自宅までは、通常、本件交差点から東方に延びる交差道路を利用していた。本件事故後、亡直昭の血液から一ミリリットル当たり二・八八ミリグラムのエチルアルコールが検出された。
(2) 本件においては、衝突地点が本件横断歩道上であるか否かが、亡直昭の過失の有無及び割合を考える上で決定的に重要な意味を持つことになるが、この点に関し、被告は、捜査官に対し、事故直後から一貫して、衝突地点は本件横断歩道上でなく横断歩道を越した地点であり、概ね別紙図面記載<×>地点付近である旨説明し、また、本人尋問においても同様の供述をし、その理由として横断歩道の白線を過ぎ去った記憶があること、明るいところを通り過ぎたところ暗闇からいきなり歩行者が現れたように見えたことを挙げており、捜査官の度重なる取り調べに対しても供述が一貫していることや供述内容がある程度具体性を有するものであることからして、上記供述内容は、被告本人の記憶に基づくものであると考えてよいと思われる。もちろん、事故が横断歩道上であるか否かが刑事上・民事上の責任に影響を及ぼしうる事柄であることは、通常人であればある程度予想しうるから、被告と同様の立場に置かれた者が当該事実に関し虚偽の事実を述べる可能性が全くないわけではないけれども、事故直後に行われた実況見分において、既に衝突地点につき横断歩道上ではないかとの疑いを抱き追求した捜査官に対し、被告が咄嗟に記憶に基づかない虚偽の供述をしこれを維持することは相当困難であると考えられること、被告は、対向車線上に停車中のタクシーがあったことや亡直昭が右から左に歩いていたこと、散乱していた靴を拾って揃えたこと、衝突時に二度大きな音がしたことなど、体験した事柄をありのまま捜査官に対し述べていることが窺われること、捜査段階や刑事公判廷における供述内容、当法廷における供述態度を見ても、被告が殊更自己の責任を軽減しようとして供述している様子は認められないこと、仮に、被告が自己の責任軽減を図って虚偽の内容を述べようと思えば、事故現場に衝突地点を示す客観的な証拠がほとんど残っておらず、亡直昭の転倒地点が本件横断歩道から二〇メートル以上離れているのであるから、自己により有利に(例えば、横断歩道手前で減速したとか、衝突地点はもっと横断歩道から離れていたとかといったように)事故状況を説明することも十分可能であったと思われるが、そのような意図の窺える供述内容の変遷は全く認められないことなどからして、被告が敢えて記憶に反する虚偽の供述をしているものとは認めることができない。
(3) そこで、さらに、被告の上記供述内容が本件事故現場の状況に付合するものといえるか否かを検討するに、まず、本件交差点内の前記照明の配置状況に照らせば、北東方向から進行してきた車両から見た場合、本件横断歩道上及びその南方直近辺りまではある程度の明るさが保たれており、横断歩道上の歩行者を見落とすことは考えにくい反面、そのさらに南方については、明るい部分との対比からかえって見えにくい状況にあったと考えられ、運転者が至近に接近するまで気付かなかったとしても必ずしも不自然とはいえず、このことは、暗闇から突然亡直昭が現れたように見えたという被告の供述とも付合するといえる。また、亡直昭がタクシーを降りた地点は本件横断歩道よりも約二二メートル南側であり、本件事故当時通行車両がほとんどなく、かつ、同人がかなり酒に酔った状態であったこと(同人の前記アルコール血中濃度は、いわゆる泥酔レベルに当たるものである。)を考慮すると、同人が日頃は横断歩道を利用していたとしても、本件事故当日、本件横断歩道の手前で本件道路の横断を開始したことは考えられないことではない。
次に、被告車両の衝突時の速度については、衝突地点を示す痕跡やスリップ痕が残っていないこと、事故後の被告車両の停止位置が前記事情により必ずしも正確でないことなどから、元々、正確に算定することは困難であると考えられるが、運転経験をかなり有する被告自身が時速約六〇キロメートル程度と述べていることからすると、夜間で視野が狭くなることにより実際よりも走行速度を速めに感じる可能性があることを考慮しても、誤差は時速一〇キロメートル以内と考えられ、亡直昭の下肢や腰部に骨折が生じていないことを考慮すると、時速五〇ないし五五キロメートル程度と想定するのが合理的である(乙第一〇号証)。そして、被告車両の衝突時の速度をこのように想定した場合、甲第七号証によれば、理論上の衝突地点は、時速五〇キロメートルの場合が別紙図面記載<ウ>地点の手前(北方)一九・三メートル地点、時速五五キロメートルの場合が同じく<ウ>地点の手前二三・三メートル地点となるというのであり、理論上は時速五五キロメートルの場合に衝突地点が本件横断歩道上である可能性があることになる(本件横断歩道南端から<ウ>地点までの距離は、別紙図面<2>点から<ウ>地点までで約二二・一メートルとなる。)が、この距離には数メートルの誤差が含まれていることは甲第七号証の鑑定書自体が認めているところであり、ことに、本件において亡直昭が被告車両の中央部でなく、前部左側に衝突した上でフロントガラス左端に衝突していることを考慮すると、亡直昭の身体はボンネット上に乗り上げてから左に滑り落ちやすい状態にあったと考えられ、路面に落下するまでの距離が車両正面に衝突した場合よりも短くなる可能性を否定できず、かかる点を考慮すれば、衝突地点が本件横断歩道よりも数メートル南方であるとしても、明らかに矛盾はしない。
(4) 以上検討してきたところを総合考慮すれば、被告車両と亡直昭の衝突地点は、本件横断歩道上ではなく、横断歩道南端より数メートル南側の地点と考えるのが合理的であり、横断歩道を照らす照明が直接には届かない範囲であったと考えられることからすれば、概ね、別紙図面記載<×>地点(横断歩道南端から南方約五・四メートル地点)付近であると認めることができるというべきである。
(5) そこで、上記衝突地点を前提に亡直昭と被告の過失割合を検討するに、前記のとおり、亡直昭には、交通量が少なかったとはいえ、横断歩道から約五・四メートル程度離れた国道上を、走行車両に十分な注意を払わず横断歩行した過失があるというべきである(なお、亡直昭が飲酒していた点は、酔いの程度に個人差があり、本件事故発生への具体的な影響の有無・程度が明らかでない以上、亡直昭の過失として過大に評価することはできない。)が、他方、横断歩道の南方へ行くほど見通しが良くない本件交差点の状況からして、被告とすれば、単に横断歩道上の歩行者の有無だけでなく、その南方をも含めて前方を特に注視し、速度を調節するなどして安全な方法で通行すべきであったのに、前記速度のまま進行し、本件横断歩道に差し掛かるまで亡直昭を発見するに至っていないことからすれば、被告は前方に対する注視を著しく欠き、かつ、安全な速度と方法で交差点を通行すべき義務を怠ったものといわざるを得ず、これに、被告においては横断歩道南方にタクシーが停車しているのを認めていたのであるから、タクシーを降車した客が横断歩道の南方を横断歩行している可能性を予期することもある程度期待し得たことを考慮すれば、被告の過失は重大であるというべきである。
以上の事情を考慮すれば、本件事故における亡直昭と被告との過失割合は、一割五分対八割五分と解するのが相当である。
二 争点(2)について
(1) 亡直昭の損害
ア 逸失利益 二三三五万五五四一円
甲第一〇号証ないし第一三号証及び弁論の全趣旨によれば、亡直昭は、死亡当時六五歳で、豊浦町役場に非常勤の運転手として勤務し、本件事故前一年間(平成九年七月ないし平成一〇年六月)に八六万九〇七五円の給与収入を得ていたこと、国民年金・厚生年金・老齢基礎年金として年間二九〇万四七九八円の支給を受ける見込みであったこと、妻である原告惠美子と母である原告房子との三人暮らしであったことが認められる。
上記事実によれば、亡直昭の逸失利益としては、給与収入分として上記給与額につき稼働可能と考えられる九年間(ライプニッツ係数七・一〇七八)を通じて生活費控除を四割として計算し、年金受給権喪失分として上記年金額につき平均余命一七年間(ライプニッツ係数一一・二七四〇)を通じて同じく生活費控除を四割として計算するのが相当である。
八六九、〇七五×(一-〇・四)×七・一〇七八=三、七〇六、三二六
二、九〇四、七九八×(一-〇・四)×一一・二七四〇=一九、六四九、二一五
三、七〇六、三二六+一九、六四九、二一五=二三、三五五、五四一
イ 慰謝料 九〇〇万〇〇〇〇円
亡直昭の死亡慰謝料は、後記原告らの慰謝料額その他諸般の事情を考慮すれば九〇〇万円が相当である。
(2) 原告惠美子の損害(弁護士費用を除く)
ア 葬儀費用 一二〇万〇〇〇〇円
弁論の全趣旨によれば、原告惠美子が亡直昭の葬儀費用を負担したものと認められる。本件事故と相当因果関係を有する葬儀費用は一二〇万円が相当である。
イ 慰謝料 六〇〇万〇〇〇〇円
同居中の夫を失った原告惠美子の精神的苦痛に対する慰謝料額としては、前記亡直昭の死亡慰謝料や他の原告らの慰謝料額を考慮すれば、六〇〇万円が相当である。
(3) 原告美千子、同龍彦、同智子の慰謝料 各二〇〇万〇〇〇〇円
亡直昭の子である上記原告らの慰謝料としては、各二〇〇万円が相当である。
(4) 原告房子の固有の慰謝料 二〇〇万〇〇〇〇円
原告房子は、亡直昭の母で、固有の慰謝料請求権(民法七一一条)を有するところ、同原告が亡直昭と同居していたことその他諸般の事情を考慮すれば、慰謝料額は二〇〇万円が相当である。
(5) 過失相殺
前記のとおり、本件事故の発生につき亡直昭にも一割五分の過失が認められるから、上記(1)ないし(4)の各損害額につきそれぞれ一割五分の過失相殺を行うと下記のとおりとなる。
亡直昭の損害 二七五〇万二二〇九円
原告惠美子の損害 六一二万〇〇〇〇円
原告美千子、同龍彦、同智子の損害 各一七〇万〇〇〇〇円
原告房子の損害 一七〇万〇〇〇〇円
(6) 原告ら各自の損害額(弁護士費用を除く)
原告惠美子、同美千子、同龍彦、同智子は、法定相続分にしたがって亡直昭の損害賠償請求権を、原告惠美子が二分の一、同美千子、同龍彦、同智子がそれぞれ六分の一ずつ相続したから、これを計算して適宜端数を処理すると下記のとおりとなる。
原告惠美子の相続分 一三七五万一一〇四円
原告美千子、同龍彦の損害 各四五八万三七〇二円
同智子の損害 四五八万三七〇一円
上記金額を前項の各原告ら固有の損害に加算すると、下記のとおりとなる。
原告惠美子の損害 一九八七万一一〇四円
原告美千子、同龍彦の損害 各六二八万三七〇二円
同智子の損害 六二八万三七〇一円
原告房子の損害 一七〇万〇〇〇〇円
(7) 弁護士費用加算後の損害額
上記各原告らの損害額に鑑みると、原告惠美子の弁護士費用として二〇〇万円、原告美千子、同龍彦、同智子の弁護士費用として各六〇万円、原告房子の弁護士費用として一七万円を被告に負担させるのが相当であるから、これらを加算した各原告らの損害額は下記のとおりとなる。
原告惠美子の損害 二一八七万一一〇四円
原告美千子、同龍彦の損害 各六八八万三七〇二円
同智子の損害 六八八万三七〇一円
原告房子の損害 一八七万〇〇〇〇円
三 結論
以上の次第で、原告らの請求は、上記各金額及びこれに対する本件事故の日である平成一〇年七月八日から支払済みまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由がある。
よって、主文のとおり判決する。
(裁判官 福井健太)
交通事故発生現場見取図
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