大阪地方裁判所 平成19年(ワ)3105号 判決 2008年11月20日
1事件原告
X1(以下,単に「原告X1」という。)
1事件原告
X2(以下,単に「原告X2」という。)
1事件原告
X3(以下,単に「原告X3」という。)
2事件原告
X4(以下,単に「原告X4」という。)
2事件原告
X5(以下,単に「原告X5」という。)
2事件原告
X6(以下,単に「原告X6」という。)
上記原告ら訴訟代理人弁護士
戸谷茂樹
須井康雄
1・2事件被告
学校法人大阪経済法律学園
(以下,1・2事件を通じて単に「被告」という。)
同代表者理事長
A
同被告訴訟代理人弁護士
村野譲二
近藤恭子
主文
1 原告らそれぞれと被告との間で,各原告らの賃金額を別紙給与体系表1の「事務職」及び毎年4月1日現在の各原告らの各年齢に応じた「標準年齢」に対応する号俸の額とする雇用契約が存在することを確認するとの訴えを却下する。
2 原告らの上記訴えを除くその余の請求を棄却する。
3 訴訟費用は原告らの負担とする。
事実及び理由
第1請求
1(1) 被告は,原告X1に対し,別紙請求債権目録1記載の金員及び同記載の各内金に対する各起算日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(2) 被告は,原告X2に対し,別紙請求債権目録2記載の金員及び同記載の各内金に対する各起算日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(3) 被告は,原告X3に対し,別紙請求債権目録3記載の金員及び同記載の各内金に対する各起算日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(4) 被告は,原告X4に対し,別紙請求債権目録4記載の金員及び同記載の各内金に対する各起算日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(5) 被告は,原告X5に対し,別紙請求債権目録5記載の金員及び同記載の各内金に対する各起算日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(6) 被告は,原告X6に対し,別紙請求債権目録6記載の金員及び同記載の各内金に対する各起算日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 原告らそれぞれと被告との間で,各原告らの賃金額を別紙給与体系表1の「事務職」及び毎年4月1日現在の各原告らの各年齢に応じた「標準年齢」に対応する号俸の額とする雇用契約が存在することを確認する。
第2事案の概要等
1 事案の概要
本件は,原告らが,
① 従前,大阪経済法科大学(以下「本件大学」という。)教職員組合(以下「組合」という。)と被告との間で締結した労働協約(当該年の4月1日時点の原告らを含む職員の年齢〔以下「標準年齢」という。〕に応じて給与支給号俸が毎年1号俸ずつ上がり,それに対応した別紙給与体系表1(以下「給与体系表1」という。)に記載された額を支給する旨の内容)
② 被告の定める同協約と同趣旨を内容とする就業規則(本件大学給与規程〔以下,単に「給与規程」という。〕),または,原告らを含む職員と被告との間の同趣旨を内容とする労働契約
③ 原告らを含む職員と被告との間の同協約と同趣旨を内容とする労使慣行に被告が反して,平成18年4月1日以降,組合が同意していない,また,原告らが同意していないのに50歳以上の係長以下の職員に対し,別紙給与体系表2(以下「給与体系表2」という。)に基づいて同表で記載する金額(ただし,平成17年4月1日時点で50歳以上に達している人については同月に支給された金額〔月額〕となる。)を支給するところ,被告が定めた給与体系表2の定めが無効であるとして,被告に対し,労働協約,就業規則(給与規程),労働契約,労使慣行に基づいて原告らの標準年齢それぞれに対応する給与体系表1と給与体系表2との差額(給与),同差額を踏まえた賞与差額及び時間外手当差額(各原告らの同各合計額は同各原告に対応する上記別紙請求債権目録1ないし6記載の金額)の各請求(附帯請求を含む。)とともに被告との間で,各原告らの賃金額を給与体系表1の「事務職」及び毎年4月1日現在の原告らの各年齢に応じた「標準年齢」に対応する号俸の額とする雇用契約が存在することの確認を求める事案である。
2 前提事実(ただし,文章の末尾に証拠等を掲げた部分は証拠等によって認定した事実,その余は当事者間に争いのない事実)
(1)ア 被告は,昭和46年2月に設立された学校法人で,本件大学(法学部と経済学部を開設)を設置している。
イ 原告らは,被告の期間の定めのない職員で,本件大学において以下のとおりの職務等を担当している。
(ア) 原告X1
① 雇用開始年月日 昭和49年2月18日
② 職務 事務職(現在・教務部教務課勤務)
(イ) 原告X2
① 雇用開始年月日 昭和53年4月1日
② 職務 事務職(現在・教務部教務課勤務,係長)
(ウ) 原告X3
① 雇用開始年月日 昭和63年4月1日
② 職務 事務職(現在・図書館図書課勤務,係長)
(エ) 原告X4
① 雇用開始年月日 昭和48年4月1日
② 職務 事務職(現在・図書館)
(オ) 原告X5
① 雇用開始年月日 昭和51年9月1日
② 職務 事務職(現在・教務部教務課勤務,係長)
(カ) 原告X6
① 雇用開始年月日 昭和61年4月1日
② 職務 事務職(現在・教務部入試課勤務,係長)
ウ 原告らは,いずれも組合の組合員である。
(2) 就業規則には以下の定めがある(<証拠省略>)。
ア 職階(5条2号)
① 管理職(教授,書記の資格ある者)
学長,副学長,学長補佐,学部長,教養部長及び部館所長,事務局長,財務部長,次長,課長
② 監督職(書記の資格のある者)
課長補佐,係長,主任
③ 一般職(管理職,監督職の指示により業務に従事する者)
書記,司書,書記補,雇員,技術員,傭員
イ 勤務時間(16条2項)
午前8時45分から午後5時まで
ただし,土曜日は午前8時45分から午後1時まで
ウ 休日(17条,22条)
日曜日,国民の祝日に関する法律に規定する休日,学園創立記念日,12月28日から翌年1月5日まで,その他必要と認めたとき(臨時休日)
なお,第2,第4土曜日は特別休暇である。
エ 給与(33条)
給与については,別に給与規程でこれを定める。
(3)ア 給与規程(昭和46年制定)(<証拠省略>)には以下のとおりの定めがある。
(ア) 教職員の職務に対する報酬としての俸給は,国家公務員の一般職の職員の給与に関する法律(給与法)に定められた俸給表に準拠して支給する(7条)。
(イ) 昇給の期間,号俸又は額については,給与法に準拠する(10条4項)。
(ウ) 昇給は,通常毎年4月,7月,10月,1月に実施する(10条5項)。
(エ) 賞与は,6月及び12月の年2回とし,支給月に在職する教職員に対し,勤務成績等を勘案し予算の許す範囲内において別表10(省略)により支給する。ただし,職務内容により若干増減することがある。(23条)
イ 被告の教職員の給与について,ある時期から給与法に定められた俸給表に準拠しなくなったところ,被告と組合の間では給与規程の職務の等級を前提として昭和55年2月17日の労働協約(<証拠省略>)締結以来,平成17年3月31日の給与体系表1を含む合意書による合意(労働協約)(以下「04年度協約」という。)(<証拠省略>)まで,毎年,職種を教育職,事務職,技術職に区分した給与体系表を作成し,同表を含む合意書による合意をしてきた。同協約以降,被告と組合の間では教職員の給与に関して合意ないし合意書は締結されていない。
なお,同協約には以下のとおりの定めがある。
(ア) 2004年度ベースアップ率は0%とする。
(イ) 同定期昇給率は平均1.169%とする。
(4) 原告らの給与は,当月分の全額を毎月25日(当日が土曜日の場合にはその前日,日曜日の場合にはその翌日)に支給している。
なお,平成18年4月から平成19年2月までの間で25日が土曜日,日曜日に当たって,その支給日が変更されたのは以下の年月日である。
ア 平成18年6月 6月26日(支給日)
イ 同年11月 11月24日(支給日)
ウ 平成19年2月 2月26日(支給日)
(5) 原告らの04年度協約に基づく同年度の給与額(ただし,月額),等級及び平成16年4月1日当時の原告らの年齢は以下のとおりである。
ア 原告X1 54万0400円 事務職37号俸 54歳
イ 原告X2 52万9600円 事務職34号俸 51歳
ウ 原告X3 52万5400円 事務職33号俸 50歳
エ 原告X4 53万7300円 事務職36号俸 53歳
オ 原告X5 52万9600円 事務職34号俸 51歳
カ 原告X6 51万6200円 事務職31号俸 48歳
(6) 被告は,原告ら一般職の者に対し,平成17年度,平成18年度には以下の金額を暫定的給与(なお,同各年度の賞与は同給与額を基礎にして算定している。)として支払った。
ア 平成17年度
平成16年度の支給額に定期昇給した場合におけるアップ相当分を加えた金額(原告らに対する支給額は以下のとおりである。)
(ア) 原告X1 54万3500円(38号相当額)
(イ) 原告X2 53万3500円(35号相当額)
(ウ) 原告X3 52万9600円(34号相当額)
(エ) 原告X4 54万0400円(37号相当額)
(オ) 原告X5 53万3500円(35号相当額)
(カ) 原告X6 52万0800円(32号相当額)
イ 平成18年度
(ア) 原告らを含む50歳以上で係長以下の職員は平成17年度と同額
(イ) 同(ア)で記載した職員を除く職員(ただし,一部を除く。)は平成17年度の支給額に定期昇給した場合におけるアップ相当分を加えた金額
なお,被告は,同年度の支給に先立って組合に給与体系表2を提示して上記のとおりの支給をし,平成19年度も平成18年度の支給例(ただし,上記(イ)の部分については平成18年度の支給額に定期昇給した場合におけるアップ相当分を加えた金額)にしたがって支給をした(以下,平成18年度の措置,同措置に平成19年度の支給例も含めて「本件措置」という場合がある。)。
(7) 賞与は,給与規程に定めがあるが,実際は毎年,被告と組合との労働協約によりその率が決定されているところ,各対応年度に合意された労働協約により平成17年度(<証拠省略>)は同年6月15日に俸給の2か月分,同年12月11日に俸給の4か月分に2万4900円を足した額が支給され,平成18年度(<証拠省略>)は同年6月15日に俸給の2か月分,同年12月11日に俸給の4か月分に1万円を足して支給され,平成19年度は同年6月15日に俸給の2か月分,同年12月10日に俸給の4か月分に900円を足して支給された。
(9)ア 時間外の超過勤務手当に係る計算方法は給与規程17条で定められているが,現在,被告と職員との間ではこれと異なる以下の算式により計算されている。なお,同計算方式にしたがうことについて原告らと被告との間で異論がない。以下の計算式で適用される住宅手当は1万8400円である。
(ア) 超過勤務(時間外)手当
超過勤務(時間外)手当=(本給+住宅手当)÷173.3×1.25×超過勤務(時間外勤務)時間数
(イ) 深夜(時間外)超過勤務手当=(本給+住宅手当)÷173.3×1.5×超過勤務(時間外勤務)時間数
(10) 原告X1,原告X2,原告X3,原告X6の時間外勤務時間等は以下のとおりである(ただし,原告X6のそれは平成19年4月1日から同年12月末日までの分で,原告X6以外の原告らのそれは平成18年4月1日から平成19年1月31日までの分である。)。
ア 原告X1 72時間
イ 原告X2 86時間
ウ 原告X3 13時間
エ 原告X6 336時間,その他深夜時間が2時間
3 争点及び争点に対する当事者の主張
(1) 04年度協約の効力及びその後の拘束力(内容を含めて)について(争点1)
(原告ら)
ア 組合は,被告との間で昭和55年以降,給与規程の定めを上回る労働協約を締結したところ,平成17年3月に04年度協約を締結した。
イ 同協約で定められた内容(同協約に基づく給与体系表1)は労働協約としての規範的効力を有するところ,その内容は同給与体系表に従って「年齢が1つ上がるごとに1つ上の標準年齢に対応する本給を支給すること」である。ここでいう標準年齢は新卒者採用の場合の年齢を基準にしたことによる表現である。
ウ 同協約締結後,それに代わる協約が締結されていない以上,同協約の内容(同給与体系表に従って年齢が1つ上がるごとに1つ上の標準年齢に対応する本給を支給すること)がその後の平成17年度,平成18年度の被告と原告らを含む職員との間の給与を規律する規範として効力を有しているというべきである。
(被告)
ア 被告は,組合との間で昭和55年以降,毎年,労働協約によって各年度のベースアップ率,定期昇給率を定めてベースアップ及び定期昇給の実施の有無とその内容について合意とともにそれを踏まえた各年度の給与体系表として確認してきた。
イ 04年度協約は,平成16年度(同年4月1日から平成17年3月31日まで)における教職員の給与を定めたものであり,したがって,同年度限りで効力を有するもので,翌年度以降もその規範的効力を有するものではない。
ところで,平成17年度以降,被告と組合との間で同協約のような労働協約が締結されていないため,空白期間が生じるところ,同期間の規律(給与額)は新たな合理的基準(労働協約等)が定められるまでの間,労働契約関係の継続的な性格からその給与額については04年度協約で定められた給与額が原告らとの労働契約関係を規律することとなる。
原告らの平成17年度以降の各具体的給与額(月額)は,以下のとおり同協約が定める金額である。
(ア) 原告X1 54万0400円
(イ) 原告X2 52万9600円
(ウ) 原告X3 52万5400円
(エ) 原告X4 54万0400円
(オ) 原告X5 53万3500円
(カ) 原告X6 52万0800円
(2) 平成18年度,平成19年度(ただし,平成20年3月分を除く。)の給与について,04年度協約の合意内容に含まれる給与体系表1に従って毎年4月1日を基準にして年齢が1つ上がるごとに1つ上の標準年齢に対応する本給を支給する旨の就業規則が設定されているか,また,原告らと被告との間で同趣旨の労働契約が締結されているか。(争点2)
(原告ら)
ア 組合と被告は,昭和55年以降,04年度協約締結までの間,毎年ベースアップの交渉をしてきたところ,被告は,ベースアップ率が0の場合も含めて毎年4月1日に従前号俸に比して1号俸上がるという定期昇給を実施し,同内容に従った給与支給をしてきた。
イ 原告らと被告は,教職員の給与について,昭和55年以降,04年度協約締結までの間,標準年齢の記載された給与体系表を含む給与に関する合意書を交わして合意をしてきた。
また,被告は,前歴加算について,毎年1つ上の標準年齢に該当する本給が支払われることを前提として「本学採用後満2年毎に1号俸ずつ回復するものとする。」旨の合意をしている(<証拠省略>)。
ところで,04年度協約までの標準年齢に基づく給与体系表は年齢給を求める労使交渉の末に作成されたものである。
ウ 上記ア,イの事実からして,少なくとも平成17年度以降,給与に関する最終の合意である04年度協約に含まれる給与体系表1を前提として,同体系表に従って毎年4月1日には年齢が1つ上がれば1号俸上がるという年齢を基準として具体的金額が明らかとなる就業規則(同体系表を給与規程の別表とする扱い。)を被告が制定し,また,原告らと被告との間で同内容の労働契約が締結された。
(被告)
ア 被告は,組合との間で毎年,労使協議を経た上で,労働協約(合意)により各年度のベースアップ率,同定期昇給率を定め,その後,各年度の給与体系表等を含めた合意文書を取り交わして労使間で合意してきた。同各合意してきた労働協約は当該年度で効力を有するのみである。
なお,同各労働協約の内容が就業規則化することはない。
イ 被告は,組合に対し,以下のとおりの申し入れをしている。
(ア) 平成16年8月3日
職員の一部について平成17年度以降の定期昇給の不実施
(イ) 平成17年3月22日
同年度の給与について,全教職員の定期昇給の不実施
(ウ) 平成17年8月3日
① 平成17年度のベースアップ率は0%
② 同年度の定期昇給率は平均で1.191%
③ 係長以下の職員で満50歳以上の者については,平成17年4月から定期昇給を行わず,一律50歳級に格付
(エ) 平成18年3月16日
上記(ウ)の①②の提案を維持した上で③の提案について,同対象者の平成17年度の差額分(被告は,同対象者についても混乱を避けるため暫定的に1号俸上の号俸で支給している。)についてはその清算を留保し,同対象者の本俸を仮に同年4月支給額と同額とする旨
(オ) 平成18年4月5日
一部職員を除外して定期昇給を行う旨
(カ) 平成18年4月19日
給与体系表1,2を提示して,平成17年度の本学教職員の職員給与は基本的には給与体系表1のとおりで,同教職員のうち係長以下の職員給与は給与体系表2のとおりであるが,後者について平成17年4月支給額を下回らない旨(以下「2次修正回答」という。)
(キ) 平成18年4月25日
2次修正回答に従って平成18年4月給与を支払う旨
ウ 上記ア,イの事情からしても平成17年度以降の給与について,毎年4月1日には年齢が1つ上がれば1号俸上がるという年齢を基準とした内容の就業規則(給与規程)を被告が制定し,また,同内容の労働契約を原告らと被告が締結していないことは明らかである。
(3) 平成18年度,平成19年度(ただし,平成20年3月分を除く。)の給与に関して04年度協約に含まれる給与体系表1に従って毎年4月1日に年齢が1つ上がるごとに1つ上の標準年齢に対応する本給を支給する旨の労使慣行が形成されているか。(争点3)
(原告ら)
遅くとも,平成18年度以降,04年度協約に含まれる給与体系表1に従って毎年4月1日に年齢が1つ上がるごとに1つ上の標準年齢に対応する本給を支給する旨の,すなわち当該年度の4月1日現在の年齢と同じ標準年齢に対応する給与が支払われる旨の労使慣行が形成されていた。
そのことは上記(2)の原告らの主張アの事情等から明らかである。
(被告)
否認する。
原告ら主張のような労使慣行が成立していないことは上記(2)の被告の主張ア,イの事情等からも明らかである。
(4) 被告の本件措置は不利益変更に当たるか。その変更は違法で無効か。(争点4)
(原告ら)
ア 原告らは,平成18年度,平成19年度,原告らの標準年齢を基準にして,同人ら主張にかかる上記労働協約等に基づき給与体系表1のとおりの額について具体的給与請求権を有している。
イ 被告の本件措置は具体的に発生した給与請求権をその差額の範囲で排斥する内容,すなわち,原告らに不利益をもたらす内容である。
仮に同措置が就業規則に基づくものであるとしても,原告らとの関係でその合理性が認められるためには合理的な必要性とともに手続的適正が必要不可欠である。
ところで,被告は,本件訴訟になる前,組合との団体交渉の中では財政的な必要性をその根拠として述べていたが,本件訴訟になるや同根拠を撤回し,新たな根拠として①教職員一本の給与体系の是正,②意識改革,③人件費の適正配分を挙げる。しかし,被告が挙げる理由はいずれも合理的理由がなく,本件措置をとるべき必要性について疑問があるうえ,同措置は原告らに対して著しい不利益をもたらすものである。しかも,少なくとも同措置を採用した際に,被告の財務諸表を検討する機会を与えず,組合との協議によることなく実施する等,手続きにも瑕疵があることは明らかである。
ウ そうすると,被告の本件措置は違法で無効といわざるを得ない。
(被告)
ア 本件大学が建学した理念に基づいて大学の個性・特色をより明確にするとともに多様な学生のニーズに応える質の高い教育サービスを提供し,高校生やその父母をはじめとして社会から広く指示を受けるためには,その方策の一つとして同大学で勤務する教職員の意識改革を伴う自己刷新,同改革に伴う率先垂範が求められるところ,そのためにもその職能や業績等の評価に応じた給与体系の導入が検討されるべきである。しかし,同大学においては事務職員の給与体系は年功型体系しかなく,その結果,管理職,監督職,一般職の給与に顕著な差がなく,若手の管理職・監督職よりも50代の一般職の方が給与が高いという例も生じている。
ところで,原告らは,被告から平均して年間約1100万円の給与(賞与を含む。)所得を得ている。
イ 被告は,本件措置の必要性,理由として,組合に以下の事由に基づくことを説明している。なお,平成18年3月のいわゆる第2次回答以降,被告の財政事情を同措置の主たる理由として説明をしていない。
(ア) 教職員一本の現行給与体系の是正
(イ) 職制の確立と意識改革の促進
(ウ) 人件費の適正配分
ウ そうすると,本件措置には合理性があり,したがって,同措置は有効である。
(5) 賞与について(争点5)
(原告ら)
ア 原告らの平成18年度,平成19年度の各賞与は原告らが上記主張する平成18年度,平成19年度の各対応する給与額を基礎にして算出されるべきところ,被告は,平成17年4月分支給額(ただし,原告X5,原告X6については平成18年度本給額)を基礎にして支給した。
イ そうすると,被告は,別紙請求債権目録1ないし6の平成18年6月16日,同年12月11日,平成19年6月16日,同年12月11日の各欄記載の金額記載のとおりの差額分(6月は支給実績に応じた2か月分,12月は同4か月分)を支給すべきである。
(被告)
否認ないし争う。
(6) 時間外手当等について(争点6)
(原告ら)
ア 原告らの時間外手当等の額は原告X1,原告X2,原告X3,原告X6らが主張する上記平成18年度,平成19年度の各給与額を基礎にして算出されるべきところ,被告は,平成17年4月分支給額(ただし,原告X6については平成18年度本給額)を基礎にして支給した。
イ そうすると,被告は,同各原告らに対して別紙時間外手当額等差額分記載のとおりの差額分を支給すべきである。
(被告)
否認ないし争う。
第3当裁判所の判断
1 前提事実及び証拠(<証拠・人証省略>)並びに弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。
(1)ア 組合は,昭和55年2月17日の労働協約締結以降,平成15年度までは毎年,おおむね夏休み前ころまでに被告に対し,春闘要求書を提出して当該年度の給与の増額等を要求してきた。それに対して被告は,毎年遅くとも秋ころまでにはそれに対する理事会の回答等と題する書面を組合に交付した回答等し,その後の交渉を経て組合との間でその年度に適用すべき給与体系表を作成してベースアップ分と定期昇給を含む賃金増額の合意(労働協約)をしてきた。上記のとおり当該年度の給与額等については同年度の途中で合意されることとなるため,被告は,教職員に対し,一旦,前年度の給与体系表にしたがって仮払いし,同合意と仮払額との間で相違が生じた場合には後に調整するという取り扱いをしてきた。
同取り扱いは原告らのように組合に加入している組合員(組織率3,4割程度)との間では同合意される労働協約に従って,同組合員以外の被告の職員との間では組合との同労働協約に従った内容の合意に基づくものである。
(<証拠・人証省略>,弁論の全趣旨)
イ ところで,上記アで記載した期間における組合の春闘要求はベースアップの要求に主眼があり,被告からの回答もベースアップの回答が中心課題とされ,その合意が成立していたことや同各当時の社会情勢や被告の経済的状況(定期昇給が当然なこととして行いうる社会的情勢や経済的情勢であって,その成否が問題となるような状況ではなかった。)から,定期昇給の成否がことさら被告と組合との間で議題となることまではなかった。しかし,時期は必ずしも明らかでないが,被告からの同回答や組合との間で締結される合意書の中に定期昇給に伴うアップ率が記載されるようになった。
(<証拠省略>,弁論の全趣旨)
(2) 被告は,厳しい経営環境を踏まえて平成13年度以降,平成16年度(04年度協約)まで組合との間で定期昇給を除いてベースアップ率0%の合意をしてきた(<証拠省略>)。
(3)ア ところで,被告は,組合の平成16年度の春闘要求書の説明を受けた際の平成16年6月8日,人件費削減を理由に専任職員の定昇ストップ(全国平均を上回る,係長以下・50歳以上対象に検討)を提案し,その後の同年8月3日,以下のような回答をするとともに人件費抑制・削減が重大な課題であるとして教員定年年齢規程の改定,一部職員の定昇の停止等について提案している。なお,被告は,同定昇ストップの理由として①人件費削減,②人件費率の是正,③職員の意識改革の3点を挙げている。(<証拠省略>)
(ア) 平成16年度ベースアップ率は0%とする。
(イ) 同定期昇給率は,平均1.169%とする。
イ 平成16年度の給与については,上記一部職員の定昇ストップ等が問題となって被告と組合との間でなかなか合意に至らず,同年度末を超えた平成17年3月31日になってようやく同年度の取り決めとして04年度協約が締結された。
なお,同協約は,同協約を締結した被告と組合との間において,給与体系表1も含めて被告から所轄の労働基準監督署に届けられることは予定されていなかった。
(<証拠・人証省略>,弁論の全趣旨)
(4)ア 被告は,平成17年度の職員の給与等について,係長以下の職員(係長~課員及び技術員)で満50歳以上の者については,定期昇給を行わない旨の提案を引き続き組合に対して行い,組合との間で交渉を重ねたが,それに強く反対する組合に対して,改めて平成17年8月3日,以下のような回答をした(<証拠省略>)。
(ア) 平成17年度ベースアップ率は0%とする。
同定期昇給率は,平均1.191%とする。
(イ) 係長以下の職員(係長~課員及び技術員)で満50歳以上の者については,17年4月~定期昇給を行わず,一律50歳給を格付ける。
(ウ) ただし,前項対象者の17年度の差額分の清算を留保し,同対象者の本俸を仮に17年4月支給額とみなす。
イ 組合は,被告からの上記回答に反対し,被告と組合の双方が譲ることなく,平成17年度末(平成18年3月)を超えても給与について合意にいたらなかった。そこで,被告は,平成18年4月18日,以下の提案を行った。(<証拠省略>)
(ア) 上記ア(ア)と同じ。
(イ) 平成17年度の本学教職員の給与については給与体系法1のとおりとする。
(ウ) 本学教職員のうち,係長以下の職員(係長~課員及び技術員)の給与については,給与体系法2のとおりとするが,平成17年4月支給本俸月額を下回らないものとする。
(5)ア 被告は,平成18年度の職員の給与等について,係長以下の職員(係長~課員及び技術員)で満50歳以上の者の定昇ストップについて組合の同意を得ることができなかったが,平成18年10月24日,上記(ウ)で提案した内容にしたがって「本学教職員のうち,係長以下の職員(係長~課員及び技術員)の給与については,給与体系表2のとおりとするが,経過措置として平成18年4月支給本俸月額を下回らないものとする。」との回答とともに以下のような回答をした(<証拠省略>)。
(ア) 平成18年度ベースアップ率は0%とする。
同定期昇給率は,平均1.031%とする。
(イ) 係長以下の職員(係長~課員及び技術員)で満50歳以上の者については,平成17年4月から定期昇給を行わず,一律50歳給を格付ける。
(ウ) ただし,前項対象者の平成17年度の差額分の清算を留保し,同対象者の本俸を仮に平成17年4月支給額とみなす。
(6) 被告と組合は,昭和55年2月,給与に係る格付けのうち,以下の内容を含む前歴換算に係る労働協約を締結した。
ア 本学採用後満2年毎に1号俸ずつ回復するものとする。
イ 年度途中で本学に採用された者については,採用後2年毎に1号俸ずつ回復するものとし,その採用月において回復するものとする。
2 争点1について
(1) 原告らは,被告と組合との間で04年度協約が締結された以降,定期昇給についてそれに代わる合意が締結されていない以上,同協約の内容が平成16年度のみならず平成17年度以降も被告と原告ら職員との給与について規律する旨主張する。確かに,被告と組合との間で04年度協約が締結された以降定期昇給について,それに代わる労働協約(合意)が締結されていない。
(2) しかし,前提事実(2)で記載した04年度協約の「2004年度」との文言記載,上記1(3)で認定した被告と組合との間で締結された04年度協約の作成過程(2004年度のベースアップ,定期昇給等の交渉を踏まえたもの)を踏まえると,同協約は,翌年度以降の被告と原告らを含む職員らとの間のベースアップ率,定期昇給に係る規律までも予定していたと認めることはできず,かえって,同協約が同年度における被告と原告らを含む職員らとの間のベースアップ率,定期昇給についての規律であって,翌年度以降における被告と原告らを含む職員らとの間の定期昇給等の規律まで予定していなかったことが推認される。また,原告らは,主張する昇給部分について,定期昇給という言葉を使用しているが,定期昇給であっても昇給に関する労働契約等一定の要件を具備しない限り具体的請求権として発生しているものでないところ,以上の事実に上記認定したとおり平成17年度,平成18年度において被告と組合との間で定期昇給の成否について厳しく争われているところであり,それに関して組合との間でも,また,原告ら個々人との間でも合意に至っていないことを踏まえると,原告らが主張するように04年度協約の給与体系表1を含む定期昇給に関する内容部分のみを抽出して規範的効力を持たせること(補充規範として機能させること)は当事者の予測ないし当事者の意思解釈の範囲を逸脱するものであって相当でない。
ところで,定期昇給について定めた労働協約が本件のようにその予定した期間を経過した場合,同協約は失効するところ,それに関して就業規則等でそれに関する定めがある場合には就業規則等が補充規範として合理的基準としての役割を果たすことになる。しかし,定期昇給に関しては昭和55年2月以降,04年度協約までの長きにわたって被告と組合との間の労働協約(合意)によって規律されてきたもので,その間,昇給等に関する就業規則(給与規程)は上記前提事実(3)ア(ウ)のような定めがあるものの長年にわたって適用されず,形骸化してきている。定期昇給に係る同規定を含むそのような形骸化した就業規則(給与規程)部分は平成17年度以降における被告と原告らを含む職員との間の定期昇給について規律する規範としての効力は喪失しており,したがって,合理的規範とはなりえず,平成17年度以降の定期昇給についての規律としては機能しないものというべきである。
(3) そうすると,原告らの上記主張は理由がない。
3 争点2について
(1) 原告らは,平成17年度以降,給与に関する最終の合意書を取り交わした合意である04年度協約の内容となっている給与体系表1に従って毎年4月1日には年齢が1つ上がれば1号俸上がるという年齢を基準に具体的金額が明らかとなる就業規則(同体系表を給与規程の別表とする扱い。)を被告が制定し,また,原告らと被告との間で同内容の労働契約が締結している旨主張する。
(2)ア 就業規則は使用者が従業員の労働条件等について,従業員の同意を経ることなく一方的に定めるものである。ところで,被告は,組合との間で給与体系表1を含む04年度協約を締結しているが,同協約の際,取り交わされた合意書の表題は「合意書」であって,それに含まれる給与体系表1は,被告において就業規則であれば当然されるべき行政官庁(所轄の労働基準監督署)への届け出は予定されていなかった(労基法89条)ところ,以上の事実を踏まえると,給与体系表1をもって,就業規則(給与規程)の一部と認めることはできない。また,上記1の(1)(2)で認定したとおり従前から被告と組合との定期昇給等についての労働協約(合意)の締結が繰り返されたとしても,そのような事実をもって給与体系表を含めた同労働協約(合意)の内容が直ちに被告が定める就業規則(給与規程)の一部になることはあり得ない。その他,本件全証拠によるも,原告らが主張するような「同体系表に従って毎年4月1日には年齢が1つ上がれば1号俸上がるという年齢を基準とした内容」の就業規則が被告において制定されたことを認めることができず,かえって,証拠(<証拠省略>)及び弁論の全趣旨によれば,被告においてそのような内容の就業規則(給与規程)が定められていないことが認められる。
イ そうすると,原告らの就業規則(給与規程)に係る上記主張は理由がない。
(3)ア 原告らの上記労働契約に係る主張であるが,確かに,原告らと被告は,職員の給与について,昭和55年2月以降,04年度協約締結までの間,標準年齢の記載された給与体系表を含む給与に関する労働協約(合意)を締結してきた。また,昭和55年2月,被告と組合との間で上記1(6)で認定したとおり前歴換算措置に係る労働協約(合意)を締結している。しかし,同各事実をもってしても被告と原告らとの間で平成17年度ないし平成19年度において,原告らが同主張するような内容の労働契約が締結されたと認めることはできない。その他,本件全証拠によるも平成17年度ないし平成19年度において,原告らが主張するような内容の労働契約が被告と原告らとの間で成立したことを認めることはできない。
また,原告らが主張するとおり従前から被告と組合との間で定期昇給等の定めをした労働協約(合意)の締結が繰り返されたとしても,労働協約(合意)と労働契約とは少なくとも当事者が異なるうえ,本件全証拠によるも被告と原告らとの同労働契約に係る交渉も窺えない以上,労働協約(合意)に関する同事実から直ちに労働協約(合意)で定められた内容の同労働契約が成立したことを認めることができず,また,その内容が擬制されることもない。
イ そうすると,原告らの労働契約に係る上記主張も理由がない。
4 争点3について
(1) 原告らは,平成17年度ないし平成19年度の各給与に関して04年度協約の合意内容に含まれる給与体系表に従って毎年4月1日に年齢が1つ上がるごとに1つ上の標準年齢に対応する本給を支給する旨の労使慣行が形成されている旨主張する。確かに,原告らと被告は,職員の給与について,昭和55年2月以降,04年度協約締結までの間,標準年齢の記載された給与体系表を含む給与に関する労働協約を締結してきた。また,昭和55年2月,被告と組合との間で上記認定したとおりの前歴換算措置に係る労働協約を締結している。
(2) しかし,昭和55年2月以降,04年度協約までの定期昇給を含む被告職員の各年度の給与額は組合員との間では労働協約によって,組合員以外の者らとの間では同協約内容に沿った合意によって定められたことからすると,同(1)で記載した各事実をもってしても,平成17年度ないし平成19年度の給与に関して,直ちに原告らが主張するような04年度協約の内容に含まれる給与体系表1に従って毎年4月1日に年齢が1つ上がるごとに1つ上の標準年齢に対応する本給を支給する旨の労使慣行が形成されていたとまで認めることはできない。また,昭和55年2月以降,平成15年度ころまでの春闘交渉の際,定期昇給の成否がことさら被告と組合との間で議題となることまではなかったが,その各当時,被告と組合との間で定期昇給の成否が問題となるような経済的,社会的情勢でなかったことが窺われることからすると,そのことをもってしても,原告ら主張のような労使慣行が形成されていたと認めることができない。かえって,被告が組合との間で昭和55年2月以降,毎年,労使協議を経た上で,労働協約により各年度のベースアップ率,同定期昇給率,各年度の給与体系表として労使間で合意してきたこと,また,被告は,平成16年6月8日以降,一部職員の定期昇給の停止も含めて平成16年度以降の給与について,組合との間で上記1(3)ないし(5)で認定したとおりの交渉を重ねていることがあるところ,以上の事実を踏まえると,平成17年度ないし平成19年度において原告らが同主張するような労使慣行があったとは認められない。その他,本件全証拠によるも原告らが同主張するような同労使慣行の事実を認めることはできない。
(3) そうすると,原告らの労使慣行に係る上記主張も理由がない。
5 原告ら主張の定期昇給に係る小括
以上の認定,説示したとおり原告らには平成17年度ないし平成19年度において,原告らが主張するような労働協約等に基づく定期昇給は認められず,したがって,同定期昇給を前提とする具体的請求権の発生もまた認めることがができないというべきである。
6 争点5,6について
ところで,原告らは,賞与,時間外手当等についても請求するが,それらはいずれも上記定期昇給に伴う具体的請求権が認められることが前提としているところ,同前提事実が認められないことは上記認定,説示したとおりである。
7 原告らは,原告らそれぞれと被告との間で,賃金のうち給与体系表を給与体系表1の「事務職」及び毎年4月1日現在の原告らの各年齢に応じた「標準年齢」に対応する号俸の額とする雇用契約が存在することの確認を求めている。
しかし,原告らの同訴えは雇用契約という法律行為の確認で,かつ,その一部は過去の法律行為の確認を求める訴えであるところ,そのような確認の訴えはそれにより抜本的に紛争が解決される等特段の事情でもない限り訴えの利益がないと解するのが相当である。本件においては本件全証拠によるも同特段の事情を認めることはできない。
そうすると,原告らの同訴えは不適法といわなければならない。
8 結論
以上の次第で,原告らの本件各訴えのうち,雇用契約(法律行為)の確認を求める訴え部分は不適法であるから却下することとし,同訴えを除いたその余の請求はその余の点(争点4にかかる事項)について判断するまでもなく,理由がないからいずれも棄却することとして主文のとおり判決する。
(裁判官 中村哲)
別紙
給与体系表1
標準年齢
教育職
事務職
技術職
号俸
本給
間差
号俸
本給
間差
号俸
本給
間差
18
1
180,100
10,800
1
19
2
190,900
11,000
2
20
3
201,900
11,300
3
21
4
213,200
12,500
4
22
1
244,100
12,300
5
225,700
12,600
5
23
2
256,400
12,400
6
238,300
12,700
6
24
3
268,800
12,900
7
251,000
13,100
7
25
4
281,700
13,100
8
264,100
13,100
8
26
5
294,800
13,500
9
277,200
13,400
9
27
6
308,300
14,500
10
290,600
13,500
10
28
7
322,800
14,600
11
304,100
13,700
11
284,700
11,900
29
8
337,400
15,400
12
317,800
13,900
12
296,600
11,600
30
9
352,800
15,800
13
331,700
14,500
13
308,200
11,400
31
10
368,600
16,100
14
346,200
13,600
14
319,600
11,100
32
11
384,700
16,500
15
359,800
13,200
15
330,700
10,900
33
12
401,200
16,300
16
373,000
13,000
16
341,600
10,700
34
13
417,500
16,200
17
386,000
12,500
17
352,300
10,700
35
14
433,700
16,100
18
398,500
12,200
18
363,000
9,900
36
15
449,800
15,900
19
410,700
12,100
19
372,900
9,500
37
16
465,700
15,600
20
422,800
11,300
20
382,400
9,200
38
17
481,300
15,200
21
434,100
10,400
21
391,600
8,800
39
18
496,500
13,900
22
444,500
10,200
22
400,400
8,100
40
19
510,400
12,500
23
454,700
10,100
23
408,500
7,000
41
20
522,900
11,000
24
464,800
9,600
24
415,500
6,100
42
21
533,900
10,600
25
474,400
8,400
25
421,600
6,000
43
22
544,500
10,600
26
482,800
8,200
26
427,600
5,400
44
23
555,100
10,400
27
491,000
7,600
27
433,000
5,000
45
24
565,500
9,600
28
498,600
6,900
28
438,000
4,900
46
25
575,100
9,400
29
505,500
5,800
29
442,900
4,900
47
26
584,500
9,000
30
511,300
4,900
30
447,800
4,300
48
27
593,500
8,400
31
516,200
4,600
31
452,100
3,800
49
28
601,900
8,300
32
520,800
4,600
32
455,900
2,700
50
29
610,200
7,900
33
525,400
4,200
33
458,600
2,400
51
30
618,100
7,800
34
529,600
3,900
34
461,000
2,100
52
31
625,900
7,300
35
533,500
3,800
35
463,100
1,900
53
32
633,200
7,200
36
537,300
3,100
36
465,000
300
54
33
640,400
6,600
37
540,400
3,100
37
465,300
100
55
34
647,000
6,000
38
543,500
2,900
38
465,400
100
56
35
653,000
5,500
39
546,400
2,900
39
465,500
100
57
36
658,500
4,700
40
549,300
2,900
40
465,600
100
58
37
663,200
4,200
41
552,200
2,900
41
465,700
100
59
38
667,400
3,200
42
555,100
2,900
42
465,800
100
60
39
670,600
1,800
43
558,000
43
465,900
61
40
672,400
1,800
62
41
674,200
100
63
42
674,300
100
64
43
674,400
100
65
44
674,500
100
66
45
674,600
100
67
46
674,700
100
68
47
674,800
100
69
48
674,900
100
70
49
675,000
別紙
給与体系表2
標準年齢
係長・主任・課員
技術員
号俸
本給
間差
号俸
本給
間差
18
1
180,100
10,800
1
19
2
190,900
11,000
2
20
3
201,900
11,300
3
21
4
213,200
12,500
4
22
5
225,700
12,600
5
23
6
238,300
12,700
6
24
7
251,000
13,100
7
25
8
264,100
13,100
8
26
9
277,200
13,400
9
27
10
290,600
13,500
10
28
11
304,100
13,700
11
284,700
11,900
29
12
317,800
13,900
12
296,600
11,600
30
13
331,700
14,500
13
308,200
11,400
31
14
346,200
13,600
14
319,600
11,100
32
15
359,800
13,200
15
330,700
10,900
33
16
373,000
13,000
16
341,600
10,700
34
17
386,000
12,500
17
352,300
10,700
35
18
398,500
12,200
18
363,000
9,900
36
19
410,700
12,100
19
372,900
9,500
37
20
422,800
11,300
20
382,400
9,200
38
21
434,100
10,400
21
391,600
8,800
39
22
444,500
10,200
22
400,400
8,100
40
23
454,700
10,100
23
408,500
7,000
41
24
464,800
9,600
24
415,500
6,100
42
25
474,400
8,400
25
421,600
6,000
43
26
482,800
8,200
26
427,600
5,400
44
27
491,000
7,600
27
433,000
5,000
45
28
498,600
6,900
28
438,000
4,900
46
29
505,500
5,800
29
442,900
4,900
47
30
511,300
4,900
30
447,800
4,300
48
31
516,200
4,600
31
452,100
3,800
49
32
520,800
4,600
32
455,900
2,700
50
33
525,400
0
33
458,600
0
51
34
525,400
0
34
458,600
0
52
35
525,400
0
35
458,600
0
53
36
525,400
0
36
458,600
0
54
37
525,400
0
37
458,600
0
55
38
525,400
0
38
458,600
0
56
39
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