大阪地方裁判所 平成19年(ワ)5362号 判決 2011年2月23日
主文
1 原告らの請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告らの負担とする。
事実及び理由
第1請求
1 第1事件
(1) 原告X1と被告との間で、以下の消費貸借契約に基づく原告X1の被告に対する貸金債務が存在しないことを確認する。
契約日 平成元年6月30日
貸付金額 1億2000万円
貸付期間 平成元年6月30日から平成31年6月26日
利率 年5.5%
支払方法 毎月26日限り、元利金均等払い
貸付方法 証書貸付
(2) 被告は、原告X2に対し、別紙1株券目録記載の株券を引き渡せ。
(3) 被告は、原告X2に対し、前記(2)株券の引渡しをすることができないときは、同目録記載の株券の引渡しに代えて、3327万9500円及びこれに対する平成18年4月21日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
2 第2事件
原告X2と被告との間で、以下の消費貸借契約に基づく原告X2の被告に対する貸金債務に関し、平成20年2月20日現在において1億0669万1798円の遅延損害金債務が存在しないことを確認する。
契約日 昭和63年7月23日
貸付金額 7500万円
利率 年5%
貸付方法 手形貸付
第2事案の概要
1 第1事件は、①原告X1が、株式会社三和銀行(以下「三和銀行」という。)との間で、1億2000万円の消費貸借契約が成立していない、あるいは仮に上記消費貸借契約が成立したとしても、その後原告らと三和銀行との間で和解契約が成立したなどとして、三和銀行(新商号株式会社ユーエフジェイ銀行)と合併した被告に対し、上記消費貸借契約に基づく貸金債務が存在しないことの確認を求めるとともに、②原告X2が、三和銀行との間のカードローン契約に基づく原告X2の債務につき保証した三和信用保証株式会社(以下「三和信用保証」という。)に対する求償債務を担保するため、三和信用保証に対して別紙1株券目録記載の株券(以下「本件株券」という。)を差し入れたところ、上記求償債務を完済したにもかかわらず、本件株券が返還されず、被告は、上記カードローン契約の付随義務として原告X2に対して株券の返還義務を負うとして、被告に対し、本件株券の返還を求めた事案である。
第2事件は、原告X2が、三和銀行に対する7500万円の手形債務につき、前記原告らと三和銀行との間の和解契約の成立により遅延損害金債務が免除されたとして、被告に対し、平成20年2月20日時点における1億0669万1798円の遅延損害金債務が存在しないことの確認を求めた事案である。
2 前提となる事実(証拠により認定した事実は各項末尾に証拠を記載する。)
(1)ア 原告X1は、経営コンサルティングを主たる業務とする株式会社a(以下「a社」という。)の代表取締役である。原告X2は、原告X1の妻である(原告X1本人)
イ 三和銀行は、平成14年1月15日、株式会社ユーエフジェイ銀行に商号変更し、平成18年1月4日、被告に合併した。(弁論の全趣旨)
(2)ア 三和銀行は、昭和63年7月30日、原告X2に対し、7500万円を、弁済期を昭和63年8月30日、遅延損害金を年14%の約定で貸し付け(以下、同契約に基づく債務を「本件手形債務」という。)、原告X2は、その担保として、以下の株券に担保を設定した。(甲12の1、乙13、乙36の1ないし35)
(ア) 日本電信電話株式会社 35株
(イ) 株式会社ニフコ 10,000株
(ウ) 株式会社伊藤喜工作所 10,000株
イ 原告X2は、本件手形債務の弁済期猶予のために手形を書き換え、三和銀行は、平成7年6月13日まで、その弁済期を猶予した。(争いがない)
ウ 原告X2は、平成9年10月31日以降、三和銀行淡路支店の別段預金に振り込む方法により、本件手形債務につき1か月30万円を弁済しており、平成20年2月27日時点における本件手形債務の元本額は、3750万円である。(争いがない)
エ 被告は、原告X2に対し、平成19年7月3日付けで、本件手形債務の遅延損害金として1億0313万3999円の請求をした。(争いがない)
(3)ア 原告X1は、平成元年6月30日、三和銀行から、1億2000万円を以下の約定で借り受ける旨が記載された契約書に署名押印した(以下、同契約を「本件消費貸借契約」といい、同契約に基づく債務を「本件貸金債務」という。)。(乙1、乙2の1・2、原告X1本人、原告X2本人、弁論の全趣旨(平成19年10月22日付け原告準備書面(1)4頁))
(ア) 利率 年5.50%
(イ) 最終返済日 平成31年6月26日
(ウ) 貸付方法 証書貸付
イ 三和銀行は、平成元年6月30日、1億2000万円を原告X1名義の普通預金口座(三和銀行淡路支店、口座番号<省略>)に入金した。(争いがない)
ウ 平成元年6月29日、原告X1は、三和信用保証に対し、本件貸金債務の保証を委託し、原告X1及び原告X2は、同月30日、三和信用保証に対して将来負担することのある求償債務を被担保債権として、原告らの所有に係る大阪府吹田市<以下省略>所在の自宅土地建物(土地及び建物それぞれにつき、原告X1共有持分3分の2、原告X2共有持分3分の1。以下「本件土地建物」という。)に抵当権(以下「三和信用保証の抵当権」という。)を設定した。(甲5の1・2、乙3、4、21の1・2)
エ 三和信用保証は、平成元年6月29日付け保証委託契約に基づき、三和銀行に対し、原告X1の本件貸金債務につき連帯保証した。(乙3、4)
(4)ア 原告X2は、平成元年1月13日、三和銀行との間で、極度額を4500万円として借入れを行う旨のサンワカードローン5000型契約(以下「本件カードローン契約」という。)を締結した。
原告X2は、同日、三和信用保証に対し、本件カードローン契約に基づく原告X2の債務の保証を委託し、三和信用保証に対して将来負担することのある求償債務を担保するため、本件株券に担保を設定した。三和銀行は、取次銀行として三和信用保証の事務手続を代行する立場にあり、原告X2から本件株券を預かり、これを三和信用保証に交付した。(甲1、乙6、7、17)
イ 原告X2は、三和銀行との間の本件カードローン契約に基づく債務を完済し、平成3年5月17日、三和銀行との間の本件カードローン契約を解約した。そして、三和信用保証の求償債務を被担保債権として本件株券に設定されていた担保権も解除された。(乙8ないし10、14ないし16)
(5) 平成8年11月4日付けで、原告X1に宛てた、「三和銀行淡路支店」の記載の後に「A」の押印がある、以下の内容が記載された文書(以下「本件和解提案書」という。)が存在する。(甲14の1)
ア 平成8年7月15日付け御融資明細に基づく和解について、貴殿の要求6000万円では本部の了承が得られないので断ること。
イ かねてより当方が提案している和解金1億円に同意してもらえるなら、全ての抵当権を抹消して和解の用意があること。
ウ 和解金は、平成8年11月20日までに貴口座に支払願いたいこと。
エ 原告X2の借入れについては、株式との相殺ではなく、金利ゼロで元本に充当する分割返済に同意すること。
オ この和解案の許諾の回答は、10日以内にお願いしたいこと。
(6) 原告X1は、平成8年11月20日、三和銀行に対し、1億円を支払った。(甲4の1・2)
3 争点
(1) 本件消費貸借契約が成立したか(三和銀行の原告X1に対する1億2000万円の交付の有無)
(原告X1の主張)
三和銀行は、平成元年6月30日、1億2000万円を原告X1名義の普通預金口座に入金したが、同日、原告X1の承諾のないまま、7800万円がa社の定期預金口座に振り替えられ、さらに残額のうち550万円及び3247万円は振替として出金されているので、上記1億2000万円は実質的には三和銀行淡路支店の管理下にあったというべきであり、三和銀行から原告X1に対する同額の交付があったとはいえない。したがって、本件消費貸借契約は成立していない。
(被告の主張)
原告X1は、平成元年6月30日、本件消費貸借契約の契約書に署名押印し、三和銀行は、同日、原告X1名義の普通預金口座に1億2000万円を入金し、原告X1に対して同額を交付した。これにより、本件消費貸借契約が成立した。
なお、上記普通預金口座の1億2000万円のうち7800万円は、原告X1の定期預金に振替送金され、さらに原告X1が代表取締役を務めるa社の普通預金口座に振替送金されており、上記振替送金の処理は、いずれも原告X1の指示によるものである。
(2) 原告らと三和銀行との間で平成8年11月11日に本件和解契約が成立したか
(原告らの主張)
ア(ア) 原告X1は、平成8年7月15日ころ、自宅に対する競売申立てを受け、被告との間で、同原告の債務につき話合いをした。被告は、同日時点の貸金債務として御融資明細(乙51の3)を示したのに対し、原告X1は、本件貸金債務の不存在を主張するとともに、6000万円の支払と原告X2の債務につき株式の処分代金との相殺を申し入れた。
(イ) 上記原告X1の提案に対し、三和銀行淡路支店の支店長代理A(以下「A」という。)は、平成8年11月4日、原告X1に対し、本件和解提案書をもって、和解を申し入れた。本件和解提案書は、Aの押印があり、真正に成立した文書である。
イ 原告X1は、平成8年11月11日、Aに電話をし、原告X1本人及び原告X2の代理人として、本件和解提案書に基づく和解の提案を受諾する旨の意思表示をし、平成8年7月15日付け御融資明細書(乙51の3)記載の債務を対象として、三和銀行との間で、以下の内容の和解契約を締結した(以下「本件和解契約」という。)。
① 原告X1は、三和銀行に対し、平成8年7月15日付け御融資明細書(乙51の3)記載の全債務の免除及び全抵当権の抹消と引換えに、平成8年11月20日限り、和解金1億円を支払う。
② 三和銀行は、原告X1に対し、和解金1億円の受領と引換えに、御融資明細書(乙51の3)記載の全債務の支払を免除し、かつ原告X1の所有不動産に設定済みの全ての抵当権の抹消登記手続を行う。
③ 原告X2は、三和銀行に対し、本件手形債務の借入残高を分割弁済する。但し、分割金は全て元本に充当するとともに分割返済に際し、金利は付けない。分割支払額は後日双方協議して決定する。
④ 三和銀行は、原告X2が担保として差し入れていた株式と借入残高を相殺しない。
ウ 原告X2は、本件和解契約の締結に先立ち、原告X1に対し、本件和解契約の締結につき、代理権を授与した。
エ 本件和解契約に基づき、原告X1は、平成8年11月20日、三和銀行に対し、1億円を支払い、原告X2は、本件手形債務の弁済につき、被告が指定した別段口座に分割金の振込をしている。したがって、原告X1の本件貸金債務の残額は免除されるとともに、原告X2の本件手形債務の遅延損害金は免除された。
(被告の主張)
ア Aは、本件和解提案書による和解の提案をしておらず、本件和解提案書は、Aが作成したものではなく、同人の印影を偽造して作成されたものである。
イ 本件和解契約の内容に反し、現在も、三和信用保証の抵当権の抹消登記手続は行われていないにもかかわらず、原告X1は、平成9年6月までこれに気付かず、気付いた後も、三和銀行の担当者に対し、本件和解提案書を見せて抗議したことがない。また、原告X1は、三和銀行に対し、平成8年11月以降も平成19年2月までの間、本件貸金債務につき利息を含めた約定弁済(合計5345万円)を行った。
したがって、原告X1とAとの間で、平成8年11月11日に和解契約が締結された事実はない。
ウ 原告らは、昭和54年2月17日に本件土地建物につき三和銀行に対して極度額1億円の根抵当権(以下「三和銀行の根抵当権」という。)を設定したが、平成7年11月27日の経過をもって、三和銀行の根抵当権の被担保債権につき期限の利益を喪失したため、三和銀行は、平成8年1月11日、大阪地方裁判所に対し、三和銀行の根抵当権の実行として、本件土地建物に対する競売を申し立て、同月19日、競売開始決定がされた(大阪地方裁判所平成8年(ケ)第39号事件。以下「本件競売」という。)。
原告X1は、平成8年11月20日、三和銀行に対し、1億円を支払い、三和銀行は、うち9120万6950円を本件競売の請求債権全額(元本8629万4000円及び遅延損害金合計491万2950円)に充当し、61万円を本件競売申立費用に充当し、残りの818万3050円を保証協会に対し送金し、原告X1に対してその旨を報告した。
(3) 三和銀行が原告X2に対して本件株券を返還したか
(原告X2の主張)
ア 原告X2と三和銀行との間の本件カードローン契約の解除により、本件株券に設定されていた三和信用保証の担保権が解除されたから、三和銀行は、原告X2に対し、三和信用保証の取次銀行として、本件カードローン契約に基づく付随義務に基づき本件株券を返還すべき義務を負うにもかかわらず、これを返還しない。
イ 三和銀行のような大手の都市銀行では、担保有価証券を返還した際には、書類を作成し、預り証の返還を求めるのが通常であるところ、本件株券の預り証(甲1)は、未だ原告X2が所持している。
また、平成3年当時、原告X2は、三和銀行に対し、本件カードローン契約に基づく債務とは別に約3億円の残債務があったのであるから、三和銀行が、原告X2に対し、本件株券を返還したというのは不自然である。
(被告の主張)
ア 三和信用保証は、平成3年4月24日、本件カードローン契約に基づく債務の完済に伴い担保異動承認申請を承認し、三和銀行に対して本件株券を送付した。三和銀行は、同年5月17日、原告X2に対し、三和信用保証の事務の代行として三和信用保証から預かった本件株券を返還した。
イ 本件株式のうち、日本新薬株式会社(以下「日本新薬」という。)の株式は、三和信用保証が預かった時点では7000株であったが、無償増資等によって9240株になり、その後、9000株が売却され、現在は、単位未満株である240株が原告X2の名義になっている。これのような株式の売却、特に無償増資等によって増加した2000株の売却は、原告X2でなければできない行為であるから、上記株券は、原告X2に対して返還されたことが明らかである。そして、本件株券のうち、上記株券だけが返還されたというのは不自然であるから、本件株券は、すべて返還されている。
三和銀行が、原告X2に対して本件株券を返還した際の受取証等の書類が残っていないのは、保存期間が経過し、書類が廃棄されたためである。
第3当裁判所の判断
1 前記前提となる事実等並びに証拠(各項の末尾に記載する。)及び弁論の全趣旨によれば、以下の各事実が認められる。
(1) 三和銀行は、原告X1に対し、以下のとおり金員を貸し付けた。(乙18、乙20の1)
① 昭和62年6月27日、5000万円(手形貸付)
② 平成2年5月24日、1600万円(手形貸付)
③ 平成5年8月23日、2億円(手形貸付、大阪市信用保証協会の保証付)
④ 昭和53年9月29日、2000万円(証書貸付)
⑤ 昭和62年3月30日、6000万円(証書貸付)
⑥ 昭和62年5月30日、2000万円(証書貸付)
⑦ 平成元年6月30日、1億2000万円(本件貸金債務、三和信用保証の保証付)
(2) 原告らは、昭和54年2月8日、原告らの所有に係る本件土地建物に、三和銀行のために極度額2000万円の根抵当権を設定し、昭和62年3月27日、極度額を1億円に増額した(三和銀行の根抵当権)。三和銀行の根抵当権の被担保債務は、前記(1)①ないし⑥の債務であった。(甲5の1・2、乙21の1・2、乙22)
(3)ア(ア) 三和銀行は、平成元年6月30日、1億2000万円を原告X1名義の三和銀行淡路支店の普通預金口座(口座番号<省略>)に入金した。(争いがない)
(イ) 上記普通預金口座は、ガス代、電気代、保険料等の引き落としに使用されるなど、原告X1が管理する口座であった。(乙5、弁論の全趣旨)
イ(ア) 上記1億2000万円のうち、7800万円は、平成元年6月30日、原告X1名義の三和銀行淡路支店の定期預金口座(口座番号<省略>)に振替送金され、同年9月1日、同定期預金口座が解約され、残金7848万6010円の全額が、原告X1が代表取締役を務めるa社名義の三和銀行淡路支店の普通預金口座(口座番号<省略>)に振替入金された。(乙24、25、29)
(イ) a社名義の普通預金口座は、昭和56年5月23日、原告X1が開設したものであり、以降、a社名義のアメリカンエキスプレスのクレジットカードの振替が行われるなど多数回の入出金が行われている。(乙30ないし32)
(4)ア 三和銀行は、平成7年11月14日、原告X1に対し、同日発送の内容証明郵便により、三和銀行の根抵当権により担保されている前記(1)①ないし⑥の各債務につき、支払を催告するとともに、平成7年11月27日までに支払がない場合には期限の利益を喪失する旨の通知をしたが、同月25日、保管期間満了により返送された。(乙18、乙20の1・2)
イ 原告X1は、平成7年11月27日の経過をもって、前記①ないし⑥の各債務につき期限の利益を喪失したため、三和銀行は、平成8年1月11日、大阪地方裁判所に対し、三和銀行の根抵当権の実行として、本件土地建物の競売を申し立て、同月19日、競売開始決定がされた(大阪地方裁判所平成8年(ケ)第39号事件。以下「本件競売」という。)。(甲20、乙20の1・2、乙21の1・2、乙22)
ウ 大阪市信用保証協会は、平成8年2月9日、前記(1)③の債務(2億0466万8493円)を代位弁済し、三和銀行の根抵当権の一部移転を受けた。(乙21の1・2)
(5) 平成8年7月15日、三和銀行淡路支店のAは、前記(1)①、②、④ないし⑦の債務の残額等が記載された御融資明細を原告X1に交付した。(乙51の3、証人A)
(6) 原告X1は、平成8年11月20日、三和銀行に対し、1億円を支払った。三和銀行は、これを前記(1)①、②、④ないし⑥の残債務及び本件競売申立費用(元本合計8629万4000円、利息及び遅延損害金合計491万2950円、本件競売申立費用61万円)に充当し、残額の818万3050円は、大阪市信用保証協会に対して支払われた。(甲4の1・2、乙23の1ないし5、乙56、57)
(7)ア 三和銀行は、平成8年11月20日、三和銀行の根抵当権を解除し、同月22日、本件競売の申立てを取り下げた。(乙21の1・2)
イ 現時点においても、三和信用保証の抵当権は抹消されていない。(乙21の1・2)
ウ 原告X1は、三和銀行に対し、平成8年11月以降も平成19年2月までの間、本件貸金債務につき約定元利金の弁済を行った。上記期間中の弁済額は元本だけでも合計約5345万円になる。(乙18、19、42、43、55)
(8)ア 三和銀行は、昭和63年7月30日、原告X2に対し、7500万円を、弁済期を昭和63年8月30日、遅延損害金を年14%の約定で貸し付け、原告X2は、その担保として、以下の株券に担保を設定した。(甲12の1、乙13、乙36の1ないし35)
(ア) 日本電信電話株式会社 35株
(イ) 株式会社ニフコ 10,000株
(ウ) 株式会社伊藤喜工作所 10,000株
イ(ア) 前記日本電信電話株式会社の株式35株は、別紙2NTT株券一覧表(以下「別紙2」という。)記載のとおり、原告X1名義のものが15株、その余の20株が原告X1以外の名義(無記名を含む)であった。(乙13、乙36の1ないし35、乙38)
(イ) 原告X1は、昭和62年3月31日当時、三和銀行に担保として差し入れた上記原告X1名義の15株の他に、原告X1名義の日本電信電話株式会社の株式7株を保有していた(いずれも記号<省略>、株券番号<省略>、<省略>、<省略>、<省略>、<省略>、<省略>、<省略>)。上記株式7株については、平成3年2月28日、名義書換が行われた。(甲10、乙36の1ないし35、弁論の全趣旨(平成20年6月16日付請求の趣旨変更申立書3頁))
(ウ) 原告X1は、平成19年2月ころ、被告に対し、三和銀行に担保として差し入れた原告X1以外の名義の20株につき、原告X1名義に名義書換をすることを求めたため、被告は、名義書換代理人である中央三井信託銀行株式会社に対して名義書換の取次手続を依頼し、同月13日、上記20株につき原告X1名義へ名義書換が行われた。(乙36の1ないし35、乙37の1ないし20)
ウ 原告X2は、平成9年10月31日以降、三和銀行淡路支店の別段預金に振り込む方法により、本件手形債務につき1か月30万円を弁済しており、平成20年2月27日時点における本件手形債務の元本額は、3750万円である。(争いがない)
(9)ア 原告X2は、平成元年1月13日、本件カードローン契約に基づき、三和銀行から4500万円を借り入れ、同日、4500万円が原告X2名義の三和銀行淡路支店の普通預金口座(口座番号<省略>)に入金された。原告X2は、同普通預金口座から入出金を繰り返し、同普通預金口座を使用していた。
その後、原告X2は、本件カードローン契約の指定預金口座である上記普通預金口座からの引き落としにより、本件カードローン契約の専用口座である原告X2名義の三和銀行淡路支店の当座預金口座(口座番号<省略>)において、上記借入れの約定弁済を行なった。(乙26、27)
イ 原告X2は、平成3年4月22日、三和銀行を取次銀行として、三和信用保証に対し、本件カードローン契約の解約及び担保として差し入れていた本件株券を返還するよう申請し、三和信用保証は、本件カードローン契約の残高が0になっていることを確認した上でこれを承認し、平成3年4月24日、取次銀行である三和銀行に対し、本件株券を返還した。(乙14ないし16)
ウ 原告X2は、平成3年5月17日、三和銀行との間の本件カードローン契約を解約し、三和銀行から前記当座預金口座の残金1万1542円を受領した。(乙8ないし10)
エ(ア) 本件株式は、平成3年9月30日から平成9年3月31日までの間に、別紙本件株券名義書換一覧表(以下「別紙3」という。)記載の銘柄欄の株式が、名義書換日欄記載の日付に、原告X2あるいは原告X1から第三者に対して名義書換がされた。
上記株式は、いずれも別紙3の名義書換前直近配当金欄、名義書換前々期配当金欄、名義書換前々前期配当金欄記載のとおり、それぞれ名義書換直前まで株主に対する配当が行われていた。(乙45の1ないし5、乙46の1ないし7)
(イ) 本件株式のうち日本新薬の株式は、三和信用保証が預かった平成元年1月13日当時、7000株であったが、平成2年5月18日、無償増資が行われて7700株となり、平成7年5月19日、株式分割により9240株となり、原告X2名義のまま合計2450株が増資及び分割により増加した。
上記株式は、それぞれ原告X2名義で、平成9年2月19日に株式会社証券保管振替機構に対して4000株が譲渡され、同年3月19日にBに対して1000株が譲渡され、同月31日に日本生命保険相互会社に対して4000株が譲渡され、その結果、単位未満株である240株のみが原告X2の名義となった。(乙45の5、乙58)
2 争点(1)(本件消費貸借契約が成立したか(三和銀行の原告X1に対する1億2000万円の交付の有無))について
(1) 前記前提となる事実及び前記1(3)の認定事実によれば、原告X1は、平成元年6月30日、本件消費貸借契約の契約書に署名押印し、三和銀行は、同日、1億2000万円を、原告X1名義の三和銀行淡路支店の普通預金口座(口座番号<省略>)に入金しており、上記普通預金口座は、原告X1が管理する口座であったというのであるから、同日、三和銀行は、原告X1に対し、本件消費貸借契約に基づき1億2000万円を交付し、三和銀行と原告X1との間で本件消費貸借契約が成立したものと認められる。
(2)ア 原告X1は、平成元年6月30日に1億2000万円が原告X1名義の前記普通預金口座に入金されたのは、原告X1の承諾なく行われたものであり、うち7800万円が原告X1名義の定期預金口座へ振替入金され、a社名義の普通預金口座に振替されたことにつき、了知しておらず、すべては三和銀行が勝手に行った処理である旨主張し、原告X1の供述内容は、おおむねこれに沿う(原告X1本人)。
しかしながら、前記定期預金口座は原告X1名義の口座であり、a社名義の普通預金口座は、原告X1が、a社の代表取締役として開設し、a社名義のクレジットカードの決済に使用されるなど、a社の代表取締役である原告X1が管理していた口座であるというべきであって、原告X1の指示に基づかずに7800万円もの金員につき一連の振替がされたものと認めるに足りない。原告X1の上記供述は、このような客観的な事実と異なる記憶に基づくものというほかなく、採用できない。
イ なお、原告X1は、本件消費貸借契約の契約書は、原告X1の実印が押印されているものの、原告X1の署名は原告X2の代筆であるし、資金使途につき、マンション購入と虚偽の事実が記載されるなどその内容に疑義があり、当時、三和銀行淡路支店の次長であったCが、b会理事長Dと緊密な関係にあり、同支店における不正処理を行う一環として、本件貸金契約も締結された旨主張する。
しかしながら、原告X1は、本件消費貸借契約の契約書の借主欄の署名押印を認めていたにもかかわらず(平成19年10月22日付け原告準備書面(1)4頁)、本人尋問では、原告X2が代筆したものを事後的に追認した旨供述し、原告X2は、原告X1から依頼されて代筆したと供述するが、原告らの上記供述を前提にしても、原告X2が原告X1の氏名等を代筆することにつき、原告X1の事前又は事後の承諾があるものというべきであるから、上記契約書が真正に成立したとの前記認定は左右されない。また、Cは、昭和63年10月まで三和銀行淡路支店の次長であったが、同年11月に同支店を転出したことが認められ(乙28)、原告X1の前記主張は、その前提を欠く。
3 争点(2)(原告らと三和銀行との間で平成8年11月11日に本件和解契約が成立したか)について
(1) 原告らは、原告らと三和銀行との間で、平成8年11月11日、前記第2の3(2)(原告らの主張)イ記載の内容で本件和解契約が成立した旨主張する。
そして、原告らは、①Aが作成した本件和解提案書が存在すること、②本件和解契約の締結に至る経緯をメモした原告X1の作成に係る手帳の記載(甲15)が存在すること、③本件和解契約の内容と、平成8年11月20日に原告X1が三和銀行に対して1億円を振り込み、三和銀行が、本件競売の申立てを取り下げ、三和銀行の根抵当権を抹消した経過や、原告X2が本件手形債務につき元本のみ月額30万円の弁済を継続している経過とが整合することからも、原告ら主張の内容の本件和解契約が成立したことが推認される旨主張する。
(2)ア しかしながら、前記(1)③については、前記1(4)ないし(7)の認定事実によれば、原告X1は、平成8年11月以降も平成19年2月までの間、本件貸金債務につき約定元利金の弁済として、合計約5345万円を弁済したというのであり、これは、原告らが主張する本件和解契約の内容、すなわち本件和解契約の成立により本件貸金債務が免除されたことと矛盾する。
また、原告らが主張する本件和解契約の内容は、原告X1が1億円を支払うことと引換えに、三和銀行の根抵当権のみならず、三和信用保証の抵当権をも抹消するというものであるにもかかわらず、三和信用保証が本件和解契約の締結に当事者として関与したり、三和銀行に対して本件和解契約締結に関する代理権を付与したものと認めるに足りる証拠はないことに加え、三和信用保証の抵当権は本件和解契約の成立後14年以上が経過した現在も抹消されていないにもかかわらず、原告X1は、三和信用保証に対し、上記抵当権の抹消登記手続を求めて訴訟提起するなどの措置を講じていない。
また、原告X1が、平成8年11月20日に三和銀行に対して1億円を支払い、三和銀行の根抵当権の被担保債務の全額が支払われたことから、三和銀行は、上記根抵当権を解除するとともに、本件競売の申立てを取り下げたというのであるから、このような経過は、本件和解契約が存在しないとしても合理的に説明し得るものである。
さらに、前記1(8)の認定事実によれば、原告X2が、本件手形債務の元本の分割弁済を開始したのは、平成9年10月31日であって、本件和解契約が成立したとされる平成8年11月11日から約1年が経過しており、上記分割弁済の開始が本件和解契約を前提とするものとは解し難く、むしろ、上記分割弁済が開始されたのは、本件手形債務の弁済について、原告X1の債務の件が片付いた後に、別途交渉をした結果である旨のAの供述(証人A)には信用性がある。
イ 前記(1)②については、和解交渉の経過をメモした原告X1の手帳(甲15、19)には、平成8年3月15日から同年11月11日までの間に、原告X1方を訪問した三和銀行の担当者として、E、F、Gという行員の記載があるが、上記行員と同姓の行員が三和銀行淡路支店に在籍した期間は、Eにつき昭和62年5月1日から平成4年1月6日まで、Fにつき平成元年4月1日から平成5年4月1日まで、Gにつき平成5年7月1日から平成7年10月1日までであることが認められるから(乙47、48)、原告X1の上記手帳のメモの内容は、平成8年当時、三和銀行淡路支店に在籍しない行員と面談したことが記載されているものであって、本件和解契約締結に至る経緯が記載されたという上記手帳の記載内容には信用性がない。
ウ 前記(1)①については、前記アの認定判断のとおり、本件和解提案書の記載内容は、本件和解成立後に原告X1の本件貸金債務の弁済が継続されたこと、三和信用保証が本件和解契約に関与していないこと、三和信用保証の根抵当権が現在に至るまで抹消されていないことと矛盾する内容である。
また、本件和解提案書は、原告らにとって本件和解契約の成立を証する最も重要な書証であるにもかかわらず、本件訴訟が提起された平成19年5月11日から1年以上が経過した平成20年9月ころ、突然貸金庫から発見されたとして提出されたものであることに加え、原告X1の供述(原告X1本人)によれば、本件和解提案書は、封筒(甲14の2)に入った状態で貸金庫内に保管されていた状態のまま、平成10年ころから所在不明になっていたものを、本件訴訟係属中に発見し、発見してから1週間以内に原告代理人に渡したとしているにもかかわらず、このように重要な証拠である上記封筒には、平成19年3月ころから原告X1を担当するようになった被告の行員であるHの電話番号がペンでメモされていることが認められ(甲14の2、乙59)、上記原告X1の供述内容には合理性がなく、本件和解提案書の提出の経緯自体も不自然である(なお、原告X1の本人尋問後に作成された、上記Hの電話番号のメモの存在が必ずしも不自然ではない旨説明した陳述書が存在するが(甲39)、同原告の本人尋問の内容に照らして採用することはできない。)。
さらに、本件和解提案書は、1億2000万円もの債務の免除を含む和解の提案という重要な法律行為に関わる文書であるにもかかわらず、三和銀行の印鑑ではなくA個人の印鑑が押印されているにとどまることに加え、上記Aの印影と実際にAが使用していた印鑑との同一性を否定する旨のAの供述内容(乙44、証人A)や鑑定書(乙53)が存在し、さらに、Aは平成5年4月1日に三和銀行淡路支店に着任したことが認められる(乙44、47、証人A)にもかかわらず、Aの着任日より前に同支店において振り出された、振出日平成3年4月12日の約束手形(甲30の1)及び振出日平成4年6月30日の約束手形(甲30の2)に、いずれも本件和解提案書と同一のAの印影があるものを、原告X1は所持している。これらの事情を考慮すると、Aの印影のある文書の成立の真正には疑義が残るといわざるを得ず、本件和解提案書のAの印影が実際にAが使用していたものと同一であるものと認めるに足りない。
エ 加えて、原告らが主張する本件和解契約とは、本件貸金債務1億2000万円を免除し、三和銀行とは別法人である三和信用保証の抵当権をも抹消し、原告X2の本件手形債務の遅延損害金を免除するという、重要な法律行為を含むものであるにもかかわらず、原告らと三和銀行及び三和信用保証との間で、正式な和解契約書が作成されていないというのは不合理である。
(3)ア 以上によれば、本件和解契約が成立したものと認めるに足りない。
イ したがって、本件和解契約の成立により、原告X1の被告に対する本件貸金債務1億2000万円が免除されたものと認めるに足りないから、原告X1の請求は理由がない。
ウ また、第2事件の原告X2の請求は、本件手形債務に関し、平成20年2月20日現在において1億0669万1798円の遅延損害金債務が存在しないことの確認を求めるものであるが、同請求は、原告X2が被告に対し、本件手形債務に関する遅延損害金債務の不存在の確認を求めるものであると解される。前記前提となる事実によれば、原告X2は、本件手形債務は、平成7年6月13日以降遅滞に陥り、同日以降遅延損害金債務が発生したものと認められ、本件和解契約の成立により上記遅延損害金債務が免除されたものと認めるに足りないから、原告X2の上記請求には理由がない。
なお、原告X2は、平成22年12月22日付け準備書面において、本件手形債務の遅延損害金の請求につき、被告は原告X2に対して期限の利益の付与しており、本件手形債務の遅延損害金の請求は信義則に反する旨主張するが、上記準備書面は、従前の主張に新たな主張を追加するものではないことから、上記主張は事情であると解されるところ(平成22年12月22日付け第3回口頭弁論調書参照)、上記事情を考慮しても、前記認定判断は左右されない。
4 争点(3)(三和銀行が原告X2に対して本件株券を返還したか)について
(1) 原告X2は、三和銀行が、三和信用保証の取次銀行として、本件カードローン契約に基づく付随義務により、原告X2に対し、本件株券を返還すべき義務を負うにもかかわらず、これを返還しない旨主張する。
(2)ア しかしながら、前記前提となる事実及び前記1(9)の認定事実によれば、本件株式のうち日本新薬の株式7000株については、増資又は分割がされ、2450株が増加して9450株になり、平成9年3月、上記増加した2450株のうち2000株を含む9000株が譲渡されて名義書換がされたというのであるから、上記増加した2000株を取得した原告X2の関与なしにこれらの取引がされたと考えるのは困難である。そうすると、本件株券のうち他の株券についても、原告X2に返還されたものと推認される。
また、三和信用保証は、平成3年4月24日、取次銀行である三和銀行に対して本件株券を返還しており、原告X2は、同年5月17日、本件カードローン契約の解約に伴い三和銀行から当座預金口座の残金を受領しているのであるから、同日、本件株券についても受領しているものと推認される。
原告らは、平成17年以降、本件株式が名義書き換えされたことに気付いたとして、平成18年ころから被告に対して本件株券の返還請求をしているが、被告が、原告X2に本件株券を返還したとする平成3年5月17日以降、同年9月30日から平成9年3月31日までの間に、別紙3記載のとおり原告X2あるいは原告X1から第三者に対して本件株券の名義書換がされており、上記名義書換の直前まで本件株券につきそれぞれ株主に対する配当が行われていたというのである。原告らは、遅くとも平成9年ころには、本件株券の株主に対する配当がされなくなり、名義書き換えがされたことを認識し得たというべきであるから、平成17年ないし平成18年になるまで被告に対して本件株式の返還請求をしなかったという経過にも合理性がない。
イ 原告X2は本件株券の預り証(甲1)を未だ所持していること、本来、三和銀行が、債務者に対して有価証券を返還した上、債務者から担保品受取証を受領することになっているが、現在、担保品受領証は存在しないことが明らかである。
しかしながら、債務者から受領した担保品受領証は、三和銀行から三和信用保証に返還されることとなっているものの、10年間の保存期間経過後に廃棄されたため、現在、三和信用保証がこれを保管していないことが認められ(証拠<省略>)、また、三和銀行が原告X2から本件株券の預り証(甲1)を回収しなかったことにつき、何らかの事情があったとしても、これをもって、直ちに前記認定事実は左右されない。
ウ 原告らは、いずれも本件株券は返還されていない旨供述する(甲35、36、原告X2本人、原告X1本人)
しかしながら、原告X2は、本件訴訟において、本件株券は7500万円の本件手形債務の追加担保として差し入れたものであって、本件カードローン契約に関する担保として差し入れたものではなく、本件カードローン契約を解約した意識もない旨主張し(平成19年6月21日付け訴状訂正申立書)、原告X2の記憶に基づくものであるとして上記主張を堅持していたにもかかわらず、訴訟提起から約1年後の平成20年6月16日付け請求の趣旨変更申立書において、本件株券が本件カードローン契約の債務についての三和信用保証に対する求償債務の担保のために差し入れた旨主張を変遷させており、このような合理的な理由のない主張の変遷の経過に鑑みれば、原告X2の本件株券に関する供述内容は、客観的な事実と異なる記憶に基づくものというほかなく、採用できない。
また、原告X1は、本件手形債務の担保であるNTT株について、原告X1名義の22株のうち7株が三和銀行により勝手に名義書換がされたとし、その交渉の経過で原告X2の本件株券についても勝手に名義書換がされたことが判明した旨供述するが、前記前提となる事実及び前記1(8)の認定事実によれば、昭和62年3月31日当時、原告X1は、NTT株を22株保有しており、うち15株が本件手形債務の担保として三和銀行に差し入れられ、原告X1の手元に残った7株には担保権が設定されておらず、名義書換がされたという上記7株の株券の株券番号は、別紙2記載の原告X1名義の15株の株券番号とは異なるのであるから、平成3年2月28日に名義書換がされたのは、担保権が設定された15株ではなく、原告X1の手元に残った上記7株であったことが認められるところ、上記原告X1の供述内容は、以上の客観的な事実と異なる記憶に基づくものというほかなく、採用できない。
5 原告らのその余の主張も、上記認定、判断を左右するものではない。
6 以上によれば、原告らの請求はいずれも理由がないから棄却し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法61条、65条1項本文を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判官 横田典子)
(別紙)<省略>