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大阪地方裁判所 平成2年(わ)45号 判決 1990年8月09日

本店所在地

大阪府八尾市太田八丁目五番地

ダグラス物産株式会社

(右代表者代表取締役 大西寛)

本籍

大阪府柏原市上市四丁目三七二番地

住居

同市法善寺三丁目七八五番地の一

会社役員

大西寛

昭和一五年八月三〇日生

右の者らに対する各法人税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官梶山雅信出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人ダグラス物産株式会社を罰金一三〇〇万円に、被告人大西寛を懲役一〇月に処する。

被告人大西寛に対し、この裁判確定の日から三年間その刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人ダグラス物産株式会社(以下「被告人会社」という。)は、大阪府八尾市太田八丁目五番地(昭和六二年七月ころまでは同市太田新町八丁目三二番地)に本店を置き、生コンクリート混和剤等の各種コンクリート資材の販売等を目的とする資本金三〇〇万円の株式会社であり、被告人大西寛(以下、被告人という。)は、被告会社の代表取締役としてその業務全般を統括していたものであるが、被告人は、被告会社の業務に関し、その法人税を免れようと企て、

第一  架空仕入を計上するほか、雑収入の一部を除外するなどの方法により所得の一部を秘匿した上、被告会社の昭和六〇年七月一日から昭和六一年六月三〇日までの事業年度における実際所得金額が三五四二万七五五四円あつた(別紙(一)修正損益計算書参照)のにかかわらず、同年八月二七日、同市本町二丁目二番三号所在の所轄八尾税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が九一万一八二八円で、これに対する法人税額が二八万二四〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もつて不正の行為により被告会社の右事業年度における正規の法人税額一四三五万五八〇〇円と右申告税額との差額一四〇七万三四〇〇円(別紙(四)税額計算書参照)を免れた

第二  前同様の方法により所得の一部を秘匿した上、被告会社の昭和六一年七月一日から昭和六二年六月三〇日までの事業年度における実際所得金額が四〇八六万九一六八円あつた(別紙(二)修正損益計算書参照)のにかかわらず、同年八月二八日、前記八尾税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一七五万八五六五円で、これに対する法人税額が三二万九四〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もつて不正の行為により被告会社の右事業年度における正規の法人税額一六〇〇万六九〇〇円と右申告税額との差額一五六七万七五〇〇円(別紙(四)税額計算書参照)を免れた

第三  前同様の方法により所得の一部を秘匿した上、被告会社の昭和六二年七月一日から昭和六三年六月三〇日までの事業年度における実際所得金額が五九一五万六八九円あつた(別紙(三)修正損益計算書参照)のにかかわらず、同年八月三一日、同市高美町三丁目二番一九号(同年四月二三日移転)所在の八尾税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が七〇万七六三九円で、これ対する法人税額が二一万二一〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もつて不正の行為により被告会社の右事業年度における正規の法人税額二三八八万三〇〇〇円と右申告税額との差額二三六七万九〇〇円(別紙(四)税額計算書参照)を免れた

ものである。

(証拠の標目)

(注)括弧内の算用数字は証拠等関係カード検察官請求分の請求番号を示す。

判示全事実につき

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書

一  被告人に対する収税官吏の平成元年二月二二日付、同月二七日付、同年三月六日付、同月一五日付、同月二七日付(二通)、同年四月一四日付、同年五月一〇日付(二通)、同月一七日付(83)、同月二二日付(二通)、同月二六日付(87)、同月三一日付(89)、同年六月六日付(三通)、同月一四日付、同月二三日付、同年七月一三日付及び同年八月二一日付各質問てん末書

一  田邊瑞夫の検察官に対する供述調書

一  金田善昭、笠野多永子、永瀬隆英、大塚昭八、福元雄平、菅生好孝、菅生行男、田邊瑞夫、佐藤俊二郎、藤森喬、加藤清則、安森邦子(三通)、大西脩(三通)及び大西和子(平成元年二月二二日付、同年三月一七日付、同年四月三日付、同月一〇日付、同月二一日付)に対する収税官吏の各質問てん末書

一  収税官吏作成の平成元年四月一九日付(15)、同月二〇日付、同月二七日付、同年五月一一日付(二通)、同月一七日付、同月二三日付、同年六月六日付、同月九日付、同月二三日付、同年七月四日付及び同月一七日付(40)各査察官調査書

一  検察事務官作成の平成二年三月七日付捜査報告書

一  大阪法務局八尾出張所登記官作成の登記簿謄本二通

判示第一、第二の事実につき

一  被告人に対する収税官吏の平成元年五月二六日付質問てん末書(88)

一  的場英則に対する収税官吏の質問てん末書

一  収税官吏作成の平成元年四月一九日付(14)、同年五月二九日付(27)及び同月三一日付各査察官調査書

判示第一、第三の事実につき

一  被告人に対する収税官吏の平成元年五月三一日付質問てん末書(90)

一  収税官吏作成の平成元年六月一四日付査察官調査書

判示第一の事実につき

一  収税官吏作成の平成元年六月七日付、同年七月一五日付及び同月一七日付(42)各査察官調査書

一  八尾税務署長作成の証明書(4)

判示第二、第三の事実につき

一  村上智寛及び大西和子(平成元年三月二日付)に対する収税官吏の各質問てん末書

一  収税官吏作成の平成元年五月一日付、同月九日付(23)、同月二九日付(20)及び同年七月一三日付各査察官調査書

判示第二の事実につき

一  被告人に対する収税官吏の平成元年五月一七日付質問てん末書(84)

一  収税官吏作成の平成元年五月九日付(37)、同月二五日付及び同月二六日付(二通)各査察官調査書

一  八尾税務署長作成の証明書(6)

判示第三の事実につき

一  収税官吏作成の平成元年五月一〇日付、同月一五日付、同月二四日付及び同年六月二九日付各査察官調査書

一  八尾税務署長作成の証明書(8)

(法令の適用)

被告人の判示各所為はいずれも法人税法一五九条一項に該当するので、いずれも所定刑中懲役刑を選択し、以上の各罪は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第三の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人を懲役一〇月に処し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予することとする。

さらに、被告人の判示各所為は被告会社の業務に関してなされたものであるから、被告会社については、いずれも法人税法一六四条一項により判示各罪につき同法一五九条一項の罰金刑に処せられるべきところ、情状により同条二項を適用し、以上の各罪は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四八条二項により合算した金額の範囲内で被告会社を罰金一三〇〇万円に処することとする。

よつて、主文のとおり判決する。

(裁判官 三好幹夫)

別紙(一)

修正損益計算書

自 昭和60年7月1日

至 昭和61年6月30日

(ダグラス物産株式会社)

<省略>

別紙(二)

修正損益計算書

自 昭和61年7月1日

至 昭和62年6月30日

(ダグラス物産株式会社)

<省略>

別紙(三)

修正損益計算書

自 昭和62年7月1日

至 昭和63年6月30日

(ダグラス物産株式会社)

<省略>

別紙(四)

税額計算書

ダグラス物産株式会社

<省略>

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