大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

大阪地方裁判所 平成3年(わ)1935号 判決 1992年3月06日

本籍

岡山県津山市茅町一九番地

住居

大阪府茨木市北春日丘一丁目二一番二号

古陶磁器販売業

藤原至

昭和二四年九月一五日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官本多重夫出席のうえ審理をし、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一年二月及び罰金三〇〇〇万円に処する。

右の罰金を完納することができないときは、金二〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、大阪市北区西天満四丁目一〇番一八号石之ビル内において、古陶磁器販売業を営んでいるものであるが、自己の所得税を免れようと企て、

第一  昭和六二年分の総所得金額が六三〇四万三四三二円であった(別紙(一)総所得金額計算書及び修正貸借対照表参照)にもかかわらず、収支に関する記帳を行わず、架空名義の定期預金を設定し、ことさら過少な所得金額を記載した内容虚偽の所得税確定申告書を作成するなどしてその所得の一部を秘匿したうえ、昭和六三年三月八日、大阪府茨木市上中条一丁目九番二一号所在の所轄茨木税務署において、同税務署長に対し、総所得金額が四四七万二五〇四円で、これに対する所得税額が四三万九五〇〇円(ただし、申告書には誤って四三万七五〇〇円と記載)である旨の内容虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同年分の正規の所得税額三〇一〇万一九〇〇円と右申告税額との差額二九六六万二四〇〇円(別紙(四)税額計算書参照)を免れた

第二  昭和六三年分の総所得金額が一億七二九万三三六一円であった(別紙(二)総所得金額計算書及び修正貸借対照表参照)にもかかわらず、前同様の手段によりその所得の一部を秘匿したうえ、平成元年三月一三日、前記茨木税務署において、同税務署長に対し、総所得金額が一〇七七万八八〇円で、これに対する所得税額が一九七万一三〇〇円(ただし、申告書には誤って一九六万八三〇〇円と記載)である旨の内容虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同年分の正規の所得税額五四七四万九八〇〇円と右申告税額との差額五二七七万八五〇〇円(別紙(四)税額計算書参照)を免れた

第三  平成元年分の総所得金額が一億一三六万九七九六円であった(別紙(三)総所得金額計算書及び修正貸借対照表参照)にもかかわらず、前同様の手段によりその所得の一部を秘匿したうえ、平成二年三月五日、前記茨木税務署において、同税務署長に対し、総所得金額が一三九一万九七二四円(ただし、申告書には誤って一三九一万九七二〇円と記載)で、これに対する所得税額が三一六万円である旨の内容虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同年分の正規の所得税額四六一四万三五〇〇円と右申告税額との差額四二九八万三五〇〇円(別紙(四)税額計算書参照)を免れた

ものである。

(証拠の標目)

注 括弧内の算用数字は記録中の証拠等関係カード(検察官請求分)記載の当該番号の証拠を示す。

判示事実全部について

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書四通

一  被告人に対する収税官吏の質問てん末書一七通

一  藤原樹の検察官に対する供述調書

一  藤原樹(三通)、永井恵子、藤原たつ子に対する収税官吏の質問てん末書

一  収税官吏作成の査察官調査書三八通(8ないし17、19ないし22、26、27、29ないし31、35ないし37、40、42ないし46、49、50、52、53、55ないし58、61、62)

一  検察事務官の報告書

判示第一、第二の事実について

一  収税官吏作成の査察官調査書(28)

判示第二、第三の事実について

一  収税官吏作成の査察官調査書(23、25、38、48)

判示第一の事実について

一  収税官吏作成の査察官調査書(59)

一  茨木税務署長作成の証明書(4)

判示第二の事実について

一  収税官吏作成の査察官調査書(39、60)

一  茨木税務署長作成の証明書(5)

判示第三の事実について

一  収税官吏作成の査察官調査書(18、24、32ないし34、41、47、51、54)

一  茨木税務署長作成の証明書(6)

(法令の適用)

被告人の判示各所為はいずれも所得税法二三八条一項に該当するところ、いずれも所定の懲役刑と罰金刑とを併科し、かつ、各罪につき情状による同条二項を適用し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、懲役刑については同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第二の罪の刑に法定の加重をし、罰金刑については同法四八条二項により各罪所定の罰金額を合算し、その刑期及び金額の範囲内で被告人を懲役一年二月及び罰金三〇〇〇万円に処し、右罰金を完納することができないときは、同法一八条により金二〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 福井一郎)

別表(一)

総所得金額計算書

<省略>

修正貸借対照表

<省略>

別表(二)

総所得金額計算書

<省略>

修正貸借対照表

<省略>

別表(三)

総所得金額計算書

<省略>

修正貸借対照表

<省略>

別表(四)

税額計算書

<省略>

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例