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大阪地方裁判所 平成3年(ワ)1231号 判決 1993年9月17日

原告

過部ひろ子

被告

第一交通株式会社

ほか一名

主文

一  被告らは、原告に対し、各自金四〇八万四六二九円及びこれに対する平成元年七月一九日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

二  原告のその余の請求を棄却する。

三  訴訟費用は、これを六分し、その一を被告らの負担とし、その余を原告の負担とする。

四  この判決は、原告勝訴部分に限り、仮に執行することができる。

事実及び理由

第一請求

被告らは、原告に対し、各自金二六一一万九五六一円及びこれに対する平成元年七月一九日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

第二事案の概要

本件は、タクシーに乗車中、交通事故に遇い傷害を負つた原告から、タクシー会社、相手方車両運転者、所有者に対しいずれも損害賠償を請求した事案である。

一  争いのない事実など

1  事故の発生

(1) 発生日時 平成元年七月一九日午後四時一〇分ころ

(2) 発生場所 大阪市住之江区北島一―二―二九先路上(以下「本件交差点」という。)

(3) 事故車両

<1> 訴外清水孝志運転、被告第一交通株式会社(以下「被告第一交通」という。)所有の普通乗用自動車(なにわ五五い二〇三三、以下「清水車」という。)

<2> 被告鴨下高司(以下「被告鴨下」という。)運転、被告阿久根義則(以下「被告阿久根」という。)所有の普通貨物自動車(和泉四〇ま三五六八、以下「鴨下車」という。)

(4) 被害者 清水車に客として同乗していた原告

(5) 事故態様 本件交差点を直進中の清水車と対向右折中の鴨下車が衝突したもの

2  原告の受傷

原告は、本件事故により、左肋骨骨折、両肩・頭部挫傷、頸椎捻挫等の傷害を負つた。

3  被告らの責任

(1) 被告第一交通は、清水車を所有し、自己のために運行の用に供し、また、本件事故が従業員である清水が被告第一交通の業務に従事している際に同人の過失により発生したものであるから、自賠法三条、民法七一五条により賠償責任がある。

(2) 被告阿久根は、鴨下車を所有し、自己のために運行の用に供していたものであるから自賠法三条により賠償責任がある。

(3) 被告鴨下は、本件事故が同人の過失により発生したものであるから、民法七〇九条による賠償責任がある。

4  損害の填補

原告は、被告第一交通から休業損害として一六〇万円の支払を受けた(甲三四、弁論の全趣旨)。

二  争点

1  原告の受傷の相当治療期間

原告は、本件受傷により、平成元年七月一九日から同年八月一二日まで入院、その後平成二年八月末日まで通院治療を要したと主張するのに対し、被告らは、原告の症状は平成元年一〇月末日で固定している、仮に原告主張のとおり平成二年八月末日に症状が固定したとすれば、長期治療は原告の心因性に基づくものであるから、その寄与率を控除すべきであると争う。

2  原告の後遺障害の有無・程度

原告は本件事故による受傷で、左頸部・左下肢・股関節痛、左胸部・両肩・両手及び両足の痺れと痛みのほかに、坐骨神経痛などの後遺障害が残存し、文字を書いたり、台所仕事をするなどの日常生活に重大な支障が生じており、右後遺障害は自賠法施行令二条一項別表後遺障害別等級表第一二級に該当すると主張するのに対し、被告らは、自賠責調査事務所の判断によると非該当であり、原告の症状は心因性に基づくものに過ぎず、後遺障害は存在しないと争う。

3  損害額(とくに、休業損害算定における基礎収入・休業期間・後遺障害に基づく逸失利益)

第三争点に対する判断

一  原告の受傷の相当治療期間

1  争いのない事実、証拠(甲一の1ないし5、二、一二、二八の1ないし3、二九、三二、乙二の1ないし14、証人川満政之、原告本人)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。

(1) 原告は受傷後、矢木外科病院(以下「矢木病院」という。)で受診し、左肋骨骨折、両肩・頭部挫傷の傷病名で、四週間の通院加療(四週間の休務加療)を要する見込みであると診断された。

(2) 原告は、矢木病院に、平成元年七月一九日から同年八月一二日まで入院し、その後、平成二年八月三一日まで通院(実通院日数二七〇日)した。

(3) その間の治療、症状の経過を診断書(乙二の1ないし14)の記載によつてみると、

<1> 平成元年七月一九日から同月三一日までの間は、傷病名として「左肋骨骨折、両肩部・頭部挫傷、外傷性胸膜炎、呼吸困難、頸椎捻挫」、症状の経過等については「タクシー乗車中、上記受傷。一時帰宅するも同日二三時二五分に呼吸困難で救急受診。胸部CT。胸膜炎併発。入院。肋骨固定し安静入院中。」、検査所見として「レントゲン検査で左第五、第六肋骨骨折あり。頭部・両肩・胸部・頸椎のレントゲン検査異常なし。」

<2> 同年八月分は、前記外傷性胸膜炎、呼吸困難については八月一二日に治療し、八月一二日には症状軽快退院、午前中に胸部・項頸部痛がみられ、リハビリ通院中

<3> 同年九月分は、一四日に外傷性微熱症候群が診断名に付加され、胸背痛、項部痛が続き、外来通院中、微熱は徐々に三六度代に低下中

<4> 同年一〇月分は、頭痛、両肩・頸項筋肉痛みられ、内服・注射・外用治療中

<5> 同年一一月分は、頭痛・両肩・頸筋痛、右手シビレ、Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ指特に症状強い、右大後頭神経・右肩甲上神経痛みられ、両肩部電気刺激療法を二九日開始し、二一日の頸椎CTでは異常認めず

<6> 同年一二月分は、下部頸椎痛、右手シビレ、頭痛、寒冷時左下肢痛・右肩甲部痛みられ、電気刺激療法、リハビリ治療、注射治療中、とくに頸部前屈時に疼痛増大

<7> 平成二年一月分は、二三日に外傷性坐骨神経痛の傷病名が付加され、左大腿・腰痛・両手シビレ感、項部痛が常時みられ、仕事は現在不可能の状態、リハビリ、注射、服薬中

<8> 同年二月分は、頭痛・頸部痛・両肩痛みられ、リハビリ、注射通院中、頸椎MRIでは異常認めず

<9> 同年三月分は、頭痛・四肢関節痛など多様な症状みられ、リハビリ通院中

<10> 同年四月分は、両肘から手部のシビレ、右背腰痛みられ、両大腿倦怠感、頸部から腰部にかけての痛み、うつむくと視力低下などの症状がみられ、リハビリ、注射処方中、徐々に症状軽快中

<11> 同年五月分は、頸部・背部・腰痛、左下肢シビレ感みられ、リハビリ通院中

<12> 同年六月分は、腰痛軽快、一〇分間起立で両下肢だるい、両上肢シビレみられ、通院中

<13> 同年七月分は、左腰痛・頸部痛・左胸部痛つづき、外来通院中、八月末には症状固定の見込み

<14> 同年八月分は、徐々に症状固定し、中止

以上のとおりとなつている。

(4) 入院中のカルテによると、七月三一日には痛みは著明軽減、八月四日にはリハビリ後、項部痛増強、胸部痛著明増強、その後異常が認められないので退院した。なお、七月二九日、三〇日、八月一日から五日までは乳糖も処方されている。

退院後は、胸痛、項部痛、大後頭神経圧痛、小後頭神経圧痛を訴え、八月二一日には「二、三日前より両手シビレ」、九月九日には「全身倦怠」、同月一三日には「背部痛、強度あり」、一〇月二八月には「項部痛、ブロツク注射」、一一月一四日には「書字できず、仕事ができない」、同月二一日には「頸椎部のCTスキヤン、特に異常ない」と記載されている。

一二月六日には「寒いと左足痛」、同月七日には「肩・背部・腰痛、手しびれ感」、一三日には「左大腿部につつぱり感、腰痛、一時痛みで歩けない」同月二七日には「臀部痛、腰痛」、同月二八日には「腰痛、著明軽減、事務仕事すると圧迫感」、同月二九日には「左大腿部痛」、同月三〇日には「左股から大腿後面の引っ張られるような痛み、歩行不可能」、平成二年一月八日には「左大腿部痛、歩行良好、左腰痛強い」、同月二〇日には「事務仕事三〇分間で疲れる。」、同月二三日には「大腿部痛」、二月一〇日には「起床時頭痛、一時間しか仕事できない」、同月一四日には「うつむいて字を書いていると三〇分から一時間で頭痛と目のかすみ」などと記載がされ、左大腿部の症状が訴えられている。

五月一一日には「やはり、心因性痛か」、同月二九日には「心因性坐骨、MRI、CT、レントゲンすべて異常なし」、六月二五日には「症状不変」と左足大腿部の症状を訴えている。

(5) 矢木病院の医師矢木崇善作成の後遺障害診断書には、傷病名として「左肋骨骨折、両肩・頭部挫傷」、自覚症状として「常時左頸部、左下肢にかけて疼痛、時に右股関節痛がみられる。日中、左胸部・両肩・右上肢痛がみられ、書字、台所仕事、洗面、排便等の日常生活に重大支障を認める。トイレ、排便に不自由」、他覚症状として「元年七月一九日、頭部・両肩・胸部レントゲンで左五・六・七肋骨に骨折がみられ、同日夜呼吸困難で入院。肺CT(異常認めず)、八月一二日退院。一一月二一日頸椎CT(異常認めず)。左肋骨骨折は九月六日レントゲンで骨癒合完了。両手指先感覚鈍麻、頸椎可動域良好、両肩可動域良好、平成二年二月二三日のMRI(頸椎)では頸椎に異常認めず」と記載され、上記の症状の改善の見込みなしとして平成二年八月三一日に症状が固定したとの所見が示されている。

(6) 矢木病院の川満政之医師は、平成三年七月四日付の診断書において、傷病名を左肋骨骨折、頸椎捻挫、外傷後坐骨神経痛として、通院中(平成元年一一月ころ)左股痛が出現し、レントゲン検査をしたところ両股関節の臼蓋形成不全を認めた。臼蓋形成不全自体は事故以前より存在したものであるが、事故による腰痛、胸部痛等により股関節への負担が大きくなり、症状を呈してきたという可能性は否定できないとの所見を示している。

(7) 川満医師の指示による平成四年八月一九日における藤田病院での腰椎部のMRIでは、第四・第五腰椎間、第五腰椎・仙椎間に軽度の椎間板突起があり、第四・第五腰椎間では右側の、第五腰椎・仙椎間では左側の椎間孔が軽度狭窄している、同部を通過する神経根を圧排する可能性を否定できないとの所見を示された。

(8) 原告は、平成四年七月現在、腰部・右股関節部の痛み、左右の膝下が痺れるといつた症状が残存している。

(9) 川満医師は、証人尋問において、原告の症状について、原告の股関節の臼蓋形成不全はボーダーラインであるが、腰痛のため、これをかばうため、股関節に悪影響がで、さらに、股関節をかばうため、腰に負担がかかることによるものであり、腰痛の原因は椎間板が突出して神経根を圧迫したためであり、突出の原因については外力によるものが多いと証言するが、本件事故との因果関係については明らかでないとする。

以上の事実が認められる。

2  右事実によると、カルテによる限り、本件事故後、原告は、九月九日に至つてはじめて背部痛を訴え、その後一二月七日まで腰部痛を訴えた形跡もなく、股関節、下肢についても、一二月一三日に初めて左大腿部つつぱり感との症状が記載されたに過ぎず、矢木医師も腰部についてはレントゲン検査など一切せず、本件事故によつて腰部の傷害を負つたとは考慮していなかつたこと、外傷性坐骨神経痛との傷病名が付加されたのが平成二年一月であることなどに照らすと、平成四年八月一九日の腰椎部のMRIで認められた第四・第五腰椎間、第五腰椎・仙椎間に軽度の椎間板突起が本件事故によつて生じたものか疑問であるが、前記川満証言によれば、本件事故により胸部痛、腰痛(椎間板突起によるか否か不明ではあるが)が生じ、事故以前からの原告の股関節臼蓋形成不全とあいまつて、原告の治療を遷延化させたことも否定できず、これに、前記入通院経過を考慮すると、平成二年八月末日までの治療は相当というべきことになる。なお、矢木医師は、入院時、乳糖(偽薬)を投与するなど、原告の症状が心因的なものによることも考慮したことが認められ、偽薬の投与で平成元年八月二日頭痛が消失したとの看護日誌の記載もあるが、その後、偽薬の投与では頭痛は軽減するものの消失してはいないから、右の点を捉えて、原告の症状が心因的であるということはできない。また、平成二年五月のカルテでの心因性痛かなどの記載も他覚所見を得るための腰部への検査はしていないので、直ちに採用することはできない。

二  原告の後遺障害の有無・程度

前記事実によれば、自倍責調査事務所の非該当の判断は腰部、股関節のレントゲン写真等のないままなされたものであり、矢木医師の心因性の余地も疑うなどの所見も各種検査を尽くしたうえでのものではなく、ともに採用できないことは前記のとおりであり、原告が、現に腰部痛・股関節痛を訴え、台所仕事、車の運転に支障を来していること、右症状は、前記のとおり他覚的裏付けも存することによれば、原告には一二級程度の後遺障害が残存していると認めるのが相当である。

三  損害額

1  休業損害(七八〇万円) 二〇四万一一七六円

前掲証拠に加え、その余の証拠(甲一一の1、2、一三、一五、一六ないし一八、一九の1ないし3、二〇の1ないし3、二三、二四の各1、2、二五、二六の1ないし8、二七の1ないし5)によれば、原告は、本件事故当時四五歳の女性であり、金融業大豊商事の店長、初田建設の代表取締役として稼働していたこと、本件事故により休業を余儀無くされたことが認められるが、前記診断書等による原告の症状、入通院状況、後遺障害の程度などによれば、平成二年一月末までは一〇〇パーセント、その後症状固定までの七か月間は平均して三〇パーセント程度労働能力に制限を受けたものと認めるのが相当である。

ところで、休業損害の前提となる原告の所得については原告は大豊商事から三五万円、初田建設から二五万円支給されていたとするが、その裏付けとなる源泉徴収簿は、いずれも全く源泉徴収がなされていないもので、信用性に乏しく、また、初田建設における具体的取引内容も充分な説明がなく右給与の支給を受けているか疑問が残る。また、家賃、親への仕送り、電話料金、クレジツト等の支払状況から右所得の裏付けをするが、これをもつて前記所得を認めることもできない。

しかしながら、前記事実によれば、原告は少なくとも、賃金センサス平成元年第一巻第一表産業計・企業規模計・学歴計の四五ないし四九歳女子労働者の平均賃金である年間二八五万八九〇〇円程度の所得を上げていたと推認できるから、これを基礎に原告の休業損害を算定すると、二〇四万一一七六円となる。

(計算式)2,858,900÷365×(197+212×0.3)=2,041,176(小数点以下切捨て、以下同様)

2  通院交通費(三七万二六〇〇円) 三七万三六〇〇円

証拠(甲三、四の各1ないし44、甲五の1ないし50、乙三の1ないし14、原告本人)によれば、原告の矢木病院への通院は原告の症状、交通の便宜、その料金等などからタクシーによることも止むを得なかつたと認められ、これによると一往復当たり少なくとも一三八〇円を要したと認められるから、通院交通費は三七万二六〇〇円となる。

3  アエバ病院検査料・交通費(一万三六七〇円) 一万三六七〇円

証拠(甲六の1ないし3、甲二九)によれば、原告は平成二年二月二三日、矢木病院の指示でアエバ外科病院でMRIの検査を受け、通院交通費を含め一万三六七〇円を要したことが認められる。

4  大阪府立病院検査料・交通費(一万三七七一円) 一万三七七一円

証拠(甲七の1ないし3、甲二九)によれば、原告は平成二年三月一九日、矢木病院の指示で大阪府立病院で眼科の検査を受け、通院交通費を含め一万三七七一円を要したことが認められる。

5  矢木病院の診療費・診断書代(一万六七七〇円) 〇円

証拠(甲八の1ないし6、九の1)によれば、一万六七七〇円の出費をなしたことが認められるが、これが矢木病院の診断書代等であることを関連づける証拠はなく認めることはできない。

6  サポーター代(二四〇〇円) 二四〇〇円

証拠(甲九の2、原告本人)によれば、サポーター代として二四〇〇円を支出したことが認められる。

7  調停出頭費用(四万三七一〇円) 〇円

証拠(甲一〇の1ないし16、原告本人)によれば、原告が調停出頭のためタクシーを利用したことが認められるが、かかる費用は相手方の対応が不誠実でそのために過大な負担をしたと認められる事情がない限りは各自の負担とするのが相当であるから、被告らが負担すべき損害とはいえないことになる。

8  入通院慰謝料(一五九万円) 一一〇万円

本件事故による原告の傷害の部位、程度、入通院期間、実通院日数等を総合勘案すると慰謝料として一一〇万円が相当である。

9  後遺障害による逸失利益(一四六九万六六四〇円) 三二六万四〇九九円

前記認定による原告の後遺障害の程度、症状に照らすと、症状固定後(原告四六歳)、一〇年程度、その労働能力を一四パーセント程度喪失したと認められ、また、原告は、本件事故にあわなければ、賃金センサス平成二年第一巻第一表産業計・企業規模計・学歴計の四五ないし四九歳女子労働者の平均賃金である年間三〇五万二五〇〇円程度の所得を上げていたと推認できるから、これを基礎としてその逸失利益の現価を算定すると、三二六万四〇九九円となる。

(計算式)3,052,500×0.14×(8.590-0.952)=3,264,099(小数点以下切捨て、以下同様)

10  後遺障害慰謝料(二一七万円) 二〇〇万円

前記後遺障害の程度、日常生活への影響等諸般の事情を考慮するとその慰謝料としては二〇〇万円が相当である。

11  小計など

以上によると、弁護士費用を除く原告らの損害は八八〇万七七一六円となるが、原告の治療の遷延化及び後遺障害が残存したについては、前記のとおり心因的要因は認められないが、本件事故前からの原告の股関節臼蓋形成不全が寄与したことも否定できず、この場合に原告の損害をすべて加害者に負担させることは不法行為責任における損害の公平な負担という観点からみて相当でなく、本件受傷程度、後遺障害の程度に照らすと本件損害への右寄与が四割とするのが相当であるから、これを控除すると、原告の損害は五二八万四六二九円となり、既払金一六〇万円を控除すると三六八万四六二九円となる。

12  弁護士費用

本件事故と相当因果関係のある弁護士費用相当の損害額は四〇万円と認めるのが相当である。

四  まとめ

以上によると、原告の本訴請求は、被告らに対し、各自金四〇八万四六二九円及びこれに対する不法行為の日である平成元年七月一九日から支払済みまで民法所定年五分の割合による遅延損害金を求める限度で理由がある。

(裁判官 高野裕)

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