大阪地方裁判所 平成3年(ワ)492号 判決
原告
甲野花子(仮名)(X)
右訴訟代理人弁護士
野崎研二
被告
国(Y1)
右代表者法務大臣
田原隆
右指定代理人
田中素子
同右
藤浪真三
被告
大阪府(Y2)
右訴訟代理人弁護士
井上隆晴
同右
青本悦男
同右
細見孝二
事実及び理由
第三 争点に対する当裁判所の判断
一 本件逮捕の違法性について
1 本件逮捕時における本件売場の状況と関係者の位置関係の概要
〔証拠略〕によると、次の事実を認めることができる。
(一) 本件逮捕当日は、高島屋堺店の改装オープンの大売出しの日であり、本件売場には、特売用の婦人用セーター、ブラウス等が特設の陳列台に展示され、本件逮捕当時、買物客の婦人が陳列台前に二重、三重になり、争うように商品を選んでいた。
(二) 西野も、その婦人客の一人であり、本件逮捕の直前には、最前列又は二列目に立ち、陳列台(高さ七三センチメートル)に出される商品を右手で選んでいた。
(三) その際、西野は、本件手提げかごの手提げ部分に左腕を通し、これを左肩に掛けていた。
(四) そして、原告は、そのような西野のすぐ後ろに立っていた。
(五) 他方、西川巡査は、原告が西野の後ろに立つ前から、原告の挙動に不信を抱き、原告が西野の後ろに立ったとき、原告のすぐ後ろに立って原告の手元を注視していた。
(六) そして、西川巡査は、原告が西野の手提げかご(本件手提げかご)から赤い財布(本件財布)をスリ取ったとして、その場で原告を逮捕した。
2 本件逮捕の状況に関する原告の説明
(一) まず〔証拠略〕によると、原告は、本件刑事事件の被告人質問(第一二回公判期日)において、弁護人の質問に対し、次のとおり供述したことが認められる。
(1) 西野は、左肩に本件手提げかごを掛け、自分は、西野から見て左斜め後ろ(自分から見て西野は右斜め前)にいた。
(2) 本件手提げかごの中で、何かと一緒に赤っぽい財布が上の方に上がったり下がったりしているのが見えた。それは、人に押される度に上がったり下がったりしていた。
(3) 西野は、その状態に気付いていないようだったので、私は、その背中を「すいませんけど。」と言って、何回もつついた。
(4) しかし、西野が気付かなかったので、もう落ちると思って、手で押した。その際、本件財布に触ったが引き抜こうとしたことはなく、本件手提げかごの中に手を差し込んだことはない。
(5) 本件財布を押し込めようとしていたら、その時、私服の婦人警官にぱっと手をつかまれた。
(6) その押し込めようとした手は、左手であり、その記憶は、自分の利き腕とかショルダーを掛けていた状態を考えれば間違いない。
(7) ぱっとつかまれたのは、その左手です。
(8) 私は、驚いて、すぐ、「何するん。」と言った。
(9) そうしたら、その人は、何も言わずに、にやっと笑っていた。
(10) 私がぽけっとして何でやろうと思っていたとき、男の人二人が向こうから「見たか。見たな。」とか言いながら来た。そのうちの一人が古川巡査部長です。古川巡査部長は、私の側にいたわけではない。
(11) その時、私は、女の人に腕をつかまれていた。
(12) それから、四人で後ろにある木のところまで行った。その後、西川巡査は、また、元の所に戻って行ったが、そこで、西川巡査が「奥さん。奥さん。」と声を掛けていたかどうかは知らない。
(13) 西川巡査に腕をつかまれた時、自分は、本件財布を手に持っていなかった。西川巡査が持っていたような気もする。
(14) 腕をつかまれた時、西野が自分に飛びつくようにして財布を取り戻したということは絶対にない。
(15) 手錠は、移動した場所で、西川巡査に「何でこんなことになるのか。」と言ったら、古川巡査部長が「ガタガタうるさいから手錠かけ。」と言い、西川巡査がかけた。
(二) そして、原告は、本件の本人尋問においては、次のとおり供述する。
(1) 本件財布は、本件手提げかごの中で平らに置かれたような状態で上がったり下がったりしていた。
(2) 私は、声をかけながら、右手で西野の背中をノックするようにして何回もたたいた。
(3) それでも西野が気付かなかったので、私は、右手で本件財布自体を押した。その時、私は、左手にブラウスを持っていたように思う。
(4) 本件財布は、私が右手でぽんと押したら、本件手提げかごの下の方に行った。
(5) 自分の両手が胸の前辺りにある時に西川巡査に手をつかまれた。手のどの辺りをつかまれたかは覚えていない。肩か腕かも分からない。
(6) 西川巡査は、その後、つかんだ手を一旦放して、私の右手首を持った。
(7) 私は、その時、大きな声で「何で手をつかむ。何で。」と何回も言った。
(8) その時、西川巡査は、手首をつかんでいた手を放し、左手を挙げて本件財布をかざしたように思う。
3 本件逮捕の状況
(一) そこで原告の両供述に基づき、本件逮捕の状況について検討する。
(1) まず、原告の両供述から、本件逮捕の直前、原告が、西野が左肩に掛けている本件手提げかごの中の本件財布に手で触れたことは明らかである。
(2) 次に、原告に左右いずれの手で本件財布に触れたかについては、原告は、本件刑事事件においては、左手で触れたことに間違いない旨供述したのに対し、本件の本人尋問においては、右手で触れた旨供述している。
そこで、この点について検討するに〔証拠略〕によると、原告は、本件逮捕当日、司法巡査に対し、右手で本件財布を抜き取った旨供述したことが認められ、〔証拠略〕によると、原告は、本件起訴前である昭和五九年六月二〇日、検察官に対しても右手で本件財布を抜き取った旨供述したことが認められ、さらに丙第一ないし第四号証によると、本件刑事事件において、西川巡査も古川巡査部長も原告が右手で本件財布を本件手提げかごから抜き取った旨証言したことが認められる。
他方、原告は、本件刑事事件において、西野は原告の右斜め前にいたと供述しており、それを前提とすると、原告が左手で本件財布に触れるというのは、その時点における位置関係からして不自然というべきである。
そうすると、右の諸点からして、原告は、本件の本人尋問における供述どおり、右手で本件財布に触れたと認めるのが相当である。
(3) 次に、西川巡査が最初につかんだ原告の身体の部位とつかんだ時点について検討する。
まず、原告は、本件刑事事件においては、本件手提げかごから本件財布が落ちそうになっていたので、かごの中に押し込もうとした時に左手をつかまえた旨供述した。これに対し、本件においては、両手が胸の前辺りにある時に、腕か肩か分からないがつかまれた旨を供述する。
そこで、両供述を比較検討するに、いずれの供述によっても、原告が本件手提げかごの中にある本件財布に手で触れた時点からその手を胸の前辺りに持ってきたころまでの極めて短時間内に西川巡査が本件逮捕に着手したことは明らかである。そして、〔証拠略〕によると、原告は、本件逮捕当日、司法巡査に対し、右手に持った本件財布を胸元まで寄せた時にその手を西野巡査につかまれた旨を供述したことが認められ、〔証拠略〕によると、西川巡査は、現行犯逮捕手続書(本件逮捕当日作成)において、本件手提げかごから抜いてきた原告の手に本件財布が握られていたので、原告を逮捕した旨記載したこと、そして、昭和五九年六月五日、検察官に対して、原告が握っている財布を右手と一緒に握った旨供述したこと、さらに本件刑事事件において、原告が右手を原告の胸付近まで持ってきた時、両手で原告の右手をつかんだ旨証言したことが認められる。
ところで、本件のような態様のスリ行為は、被害者にも、また周囲の者にも分からないようにして行われるものであるから、警戒に当たっている警察官が犯行を注視しながら現行犯逮捕をする場合には、逮捕された場合に言い逃れができない状態、すなわち、犯人が目的物の占有を取得し既遂の状態になった時点で逮捕行為に着手するのが逮捕の常道というべきである。
そうすると、原告が本件財布を本件手提げかごから抜き取ったかどうかは別として、西川巡査が逮捕行為に着手したのは、原告が本件において供述するように、一旦、右手で本件手提げかごの中にある本件財布に触れた後、右手を胸辺りに戻した時と認められる。
また、原告は、本件刑事事件において、左手で本件財布を押し込もうとした時その左手をつかまれた旨供述しており、その供述は、つかまれたのが本件財布に触れた手であるという点では十分信用に値する。そして、原告が右手で本件財布に触れたことは前示のとおりであるから、原告は、西川巡査にまず右手をつかまれたものと認められる。
(4) そこで、進んで、西川巡査が原告の右手をつかんだ時、原告の右手に本件財布が握られていたかどうかについて判断する。
まず、〔証拠略〕によると、西野は本件刑事事件の第四回公判期日において、次のとおり証言したことが認められる。
<1> 男か女か分からないが、声がしたので振り替えると、女の人が手(左手か右手か分からない。)を挙げた状態で財布を持っていた。
<2> 奥さんの財布ですかと言われ、振り向いて「私の財布」と言って、その女の人からその財布を奪い取った。
<3> その女の人は、刑事と被告人のどちらかはっきりしない。
<4> 誰かが、挙げている手をつかんだので、財布をその手からすぐ奪い返した。
<5> つかんでいたのが手首かどこかは分からない。
<6> 財布を握っていた人は、ポッと見た瞬間であったので分からない。
<7> 手をつかんでいたとは思うが、財布を持っていた人が誰かはっきりしない。
そして、右証言は、西野は後ろから声をかけられて振り返ったこと、すると、二人の女性がいたこと、その一方が片手が挙げるようにしており、その手に自分の財布を持っていたこと、その手を他方がつかんでいたこと、そこで、西野は財布を持っている手からあわてて財布を取り戻したこと、以上の点では十分信憑性があるというべきである。
また、〔証拠略〕によると、西野は、本件逮捕当日、司法警察員に対し、「私がバーゲン商品を見ていたところ、急に女の声で〔奥さん、財布、財布〕と大声で叫ぶ声がし、私の右肩を叩かれたので、〔何事かなあ〕と思い、声のした方を振り返って見たところ、年齢四〇歳位、赤色スラックス、ピンクセーター着用の女の人が右手に私の赤色合皮製がま口を持っており、その側にいた年齢二五、六歳位の女性が私の財布持っていた女の手を捕らえて私に声をかけてくれていたのです。見たこともない女が私の財布を手にしていたので、私は、びっくりして〔それ私のや〕と言って、その女に飛びつき女の手より私の財布を取り返してやったのです。その時、その女の傍らにいた年齢五〇歳位の男の人が私に黒色の警察手帳を示し、〔奥さん警察の者やけど、この女が奥さんの手提げかごから財布をスリ盗ったんや〕と言われ、はじめて私がスリの被害にかかったのに気付いたのです。」と供述したことが認められる。
そして、西野の司法警察員に対する右供述は、本件逮捕当日にされたものであるから、記憶が鮮明であったものと認められ、また、右供述内容が真実に反してされたとすべき事情を認めるに足りる証拠はない。
そうすると、原告が右手で本件手提げかごの中の本件財布に触れた後、その手を胸付近に持ってきた時に西川巡査がその右手をつかんだことは前示のとおりであるから、西野の右証言において、挙げている手をつかんでいたのは、西川巡査であり、財布を持った状態でつかまれていた女性の手というのは原告の手であったものと認めるのが相当である。
したがって、西野の右証言及び供述と原告の前示供述により、西川巡査が原告の右手を胸辺りでつかんだ時、原告は、その右手に本件財布を持っていたものと認めることができる。
(5) 以上において検討したところによると、原告は、本件手提げかごの中にあった本件財布に右手で触れたこと、そして、その右手を胸付近まで持ってきた時、西川巡査がその右手をつかんだこと、その時、原告は右手に本件財布を持っていたこと、以上の事実が認められることになる。
そして、右の事実によると、西川巡査が本件逮捕に着手する直前、原告は、商品を選択中の西野が左肩に掛けていた本件手提げかごの中から、西野の知らないうちに、右手で本件財布を取り出し、胸付近まで持ってきたことが認められる。
(二) 次に〔証拠略〕によると、西川巡査は、本件逮捕直前、少なくとも(一)(5)において判示した原告の行為を現認した上で本件逮捕を行い、また、古川巡査部長は、(原告が本件手提げかごから本件財布を取り出すのを現認したかどうかは別として、)西川巡査が本件逮捕を行った現場にいて、西川巡査の逮捕行為を見、これに協力して共に本件逮捕を行ったものと認めることができる。
4 本件逮捕の違法性
右に認定したところによると、原告は、その主観的意図は別として、西川巡査が本件逮捕行為に着手する直前、外形的、客観的には窃盗罪に該当する行為(スリ行為)を行ったことになるから、これを現認して行った西川巡査の逮捕行為及び少なくとも西川巡査が逮捕行為を行っているのを現認し、これに協力して行った古川巡査部長の逮捕行為は、これをもって違法ということはできない。
二 逮捕正当化行為の違法性について
〔証拠略〕にょると、西川巡査及び古川巡査部長は、本件逮捕当日、現行犯逮捕手続書に原告がスリ行為にベージュ色手提げ袋を用いた旨記載したことが認められ、また、〔証拠略〕によると、西川巡査は、昭和五九年六月五日、検察官に対して右記載と同趣旨の供述をしたことが認められ、さらに、〔証拠略〕によると、西川巡査及び古川巡査部長は、本件公判期日において同趣旨の証言をしたことが認められる。
しかしながら、右記載、供述及び証言は、被告大阪府の主張(二)(4)に副う内容のものであって、それ自体、スリ行為の犯行態様との関係で特に不自然な点はない。
また、本件においてベージュ色手提げ袋は押収されていないが、〔証拠略〕によると、西川巡査及び古川巡査部長は、本件刑事事件において、原告が本件手提げ袋から本件財布を抜き取るのを現認した旨証言したことが認められるのであって、それを前提とすると、二人が、本件逮捕当時、ベージュ色手提げ袋を重要な証拠品であると認識せず、その押収手続を取らなかったということも十分考えられる。もっとも、〔証拠略〕によると、原告は、昭和五九年六月一〇日に行われた検察官の取調べ以降、一貫して、ベージュ色手提げ袋を所持していたことを否認していたことが認められるが、前示のように、本件手提げかごから本件財布を取り出したことを否定する原告の供述にもかかわらず、原告が本件手提げかごから本件財布を取り出したと認定すべきことからすると、原告が一貫して存在を否定していたことから、ベージュ色手提げ袋が元々存在しなかったとまで認めることはできない。したがって、西川巡査及び古川巡査部長の右記載、供述及び証言が虚偽のものであったことについては、これを認めるに足りる証拠はないことになる。
また、現行犯逮捕手続書(〔証拠略〕)、西川巡査の検察官に対する供述(〔証拠略〕)及び西川巡査の本件公判期日における証言(〔証拠略〕)のうち、原告が本件逮捕に先立ち二件の物色行為を行ったとの部分(被告大阪府の主張(二)(2)(3)に副ったもの)が虚偽のものであったと認定するに足りる証拠はない(ちなみに、本件無罪判決〔証拠略〕も、ベージュ色の手提げ袋が押収されていないこと等から、犯行態様に関する西川巡査の証言を信用性を否定したものであって、西川巡査が虚偽の証言をしたと認定しているわけではない。)。
三 本件公訴提起の違法性について
(一) 検察官による公訴提起は、無罪判決が確定したというだけで直ちに違法となることはなく、公訴提起時において、当時存在していた各種の証拠資料及び通常要求される捜査を遂行すれば収集しえた証拠資料を総合勘案した結果、有罪判決を期待しうる合理的根拠が存在していたと認められる限りは適法なものというべきである。
(二) そこで、本件起訴時において検察官が有していた証拠について検討するに〔証拠略〕によると、検察官は、本件提訴当時、主な証拠として、現行犯逮捕手続書、西野の被害届、被害品の差押調書、西野の司法警察員に対する供述調書、検察官の西野に対する電話聴取書、西川巡査の検察官に対する供述調書、原告の司法警察員に対する弁解録取書、原告の司法巡査に対する供述調書並びに原告の検察官に対する弁解録取書及び供述調書を有していたことが認められる。
そして、西川巡査の検察官に対する供述調書(〔証拠略〕)の内容は、「西川巡査は、高島屋堺店九階催物会場においてスリ現行犯逮捕のため特別警戒に当たっていたところ、原告が買物客の手提げ袋等に目を付け物色しているのを発見、尾行を開始した。原告は、西野の左肩に掛けられていた手提げかごに目を付け、べージュ色手提げ袋を巻き付けた右手を右手提げかごに差し入れた。原告がその右手を抜いてくるとその手に赤色がま口が握られていた。そこで、西川巡査は、原告の右手と赤色がま口を一緒に握り、〔奥さん、財布、財布。〕と言って西野に被害を知らせた。」というものであり、西野の司法警察員に対する供述調書の内容は、前示のとおりである。
また、〔証拠略〕によると、原告は、検察官に対しては、身柄が検察官に送致された時から本件起訴時まで、一貫して、本件手提げかごの中から本件財布を右手で抜き取ったことを認めていたことが認められる(なお、前示のように、原告が本件手提げかごの中から本件財布を取り出したと認められるので、原告の自白は、その範囲では事実に合致している。)。
そうすると、検察官が、右各証拠と西野及び西川巡査の証言により原告について窃盗の有罪判決が得られると考えることについては、客観的合理的根拠があったといえるから、本件公訴の提起をもって違法ということはできない。
なお、原告は、検察官の証拠収集が不十分であった旨主張するが、原告が、西野の所持する本件手提げかごの中から、西野の知らないうちに本件財布を右手で取り出したものと認定すべきことは前示のとおりであり、本件においては、検察官の証拠収集が不十分であったことにより原告に不利益な結果が生じたことを認めるに足りる証拠はない。
四 本件公訴維持・追行の違法性について
1 本件無罪判決は原告を有罪と認定するに足りる証拠がないとして無罪判決をしたものであって(〔証拠略〕)、本件においては、本件刑事事件の公判中に原告が有罪であることの合理的根拠が喪失し、合理的に判断して無実であることが明らかになったにもかかわらず検察官が原告を有罪とするため公訴を追行・維持したことを示す事情は見当たらない。
2 また、甲第一号証と弁論の全趣旨によると、本件無罪判決においては、原告の司法警察員に対する弁解録取書(〔証拠略〕)及び捜査報告書(〔証拠略〕)の記載、古川巡査部長の証言の信用性が否定されたことが認められるが、結果として証拠の信用性が否定されたことのみから検察官の当該証拠申請が違法となるとすることはできず、本件全証拠によるも、検察官の各証拠申請が違法であったとすべき事情を認めるに足りる証拠はない。
3 さらに、前示のように、本件無罪判決は証拠不十分であるとして原告を無罪としたものであって、本件において、検察官の行った論告(その内容は、〔証拠略〕により認められる。)に違法とすべき事情は認められない。
4 したがって、検察官による本件公訴の追行をもって違法とすることはできない。
五 結論
以上において判示したところによると、原告の被告らに対する請求はいずれも理由がないから、これを棄却することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八九条を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 岡久幸治 裁判官 田中寿生 橋本佳多子)