大阪地方裁判所 平成4年(わ)4058号 判決 1993年6月29日
本店所在地
大阪府豊中市立花町三丁目一五番一七号
有限会社松村電気
右代表者代表取締役
松村定重
本籍
愛媛県松山市高岡町五六七番地
住居
大阪府豊中市立花町三丁目一五番一七号
会社役員
松村定重
昭和二四年七月一三日生
主文
被告人有限会社松村電気を罰金一四〇〇万円に、被告人松村定重を懲役一年に各処する。
被告人松村定重に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。
理由
(犯罪事実)
被告人有限会社松村電気(以下被告会社という。)は、大阪府豊中市立花町三丁目一五番一七号に本店を置き、電気工事業を営むもの、被告人松村定重(以下被告人という。)は被告会社の代表取締役として業務全般を総括しているものであるが、被告人は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、
第一 昭和六三年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における実際の所得金額が、別紙1の修正損益計算書記載のとおり、一四一六万三二三〇円で、これに対する法人税額が、別紙4の税額計算書記載のとおり、四九八万七二〇〇円であるのに、架空の外注費を計上したり、外注費を水増しして計上するなど不正の行為により、その所得を秘匿した上、平成元年二月二八日、大阪府池田市城南二丁目一番八号所在の所轄豊能税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が、別紙1の修正損益計算書記載のとおり、〇円で、これに対する法人税額が、別紙4記載のとおり、〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定の納期限を徒過させ、もって不正の行為により、別紙4の税額計算書記載のとおり、右事業年度の法人税四九八万七二〇〇円を免れた、
第二 昭和六四年一月一日から平成元年一二月三一日までの事業年度における実際の所得金額が、別紙2の修正損益計算書記載のとおり、七六一五万六一九〇円で、これに対する法人税額が別紙4の税額計算書記載のとおり、三一〇一万三四〇〇円であるのに、前同様の不正の行為により、その所得の一部を秘匿した上、平成二年二月二七日、前記豊能税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が、別紙2の修正損益計算書記載のとおり、一五三万八二四二円で、これに対する法人税額が別紙4記載のとおり四四万九三〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定の納期限を徒過させ、もって不正の行為により、別紙4の税額計算書記載のとおり、右事業年度の法人税三〇五六万四一〇〇円を免れた、
第三 平成二年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における実際の所得金額が、別紙3の修正損益計算書記載のとおり、六八四九万一〇八九円で、これに対する法人税額が、別紙4の税額計算書記載のとおり、二六五〇万五〇〇〇円であるのに、前同様の不正の行為により、その所得の一部を秘匿した上、平成三年二月一九日、前記豊能税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が、別紙3の修正損益計算書記載のとおり、三七二万六〇〇九円で、これに対する法人税額が別紙4記載のとおり一〇六万九一〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定の納期限を徒過させ、もって不正の行為により、別紙4の税額計算書記載のとおり、右事業年度の法人税二五四三万五九〇〇円を免れた。
(証拠) ( )内の算用数字は、検察官請求番号である。
判示全事実につき
一 被告人の当公判廷における供述
一 被告人の検察官に対する各供述調書及び大蔵事務官に対する平成三年九月一〇日付、同月一七日付、同年一〇月一一日付、同月二四日付、同年一一月七日付、同月二五日付、同年一二月二五日付、平成四年一月一三日付、同年二月五日付、同月七日付、同月二一日付各質問てん末書
一 被告人作成の各確認書
一 大蔵事務官作成の平成四年一月二〇日付(検察官請求番号一一)、同日付(同一二)、同月二一日付(同一三)、同日付け(同一四)、同月二二日付(同一七)、同年一一月六日付(同一九)各査察官調査書
一 石井正昭の大蔵事務官に対する各質問てん末書
一 宇野一夫、大内庄二の検察官に対する各供述調書
一 検察事務官作成の捜査報告書
一 登記官作成の法人登記簿謄本
判示第一及び第二の各事実につき
一 辻田輝広の大蔵事務官に対銑質問てん末書
判示第一の事実につき
一 大蔵事務官作成の証明書(同四)
判示第二及び第三の各事実につき
一 大蔵事務官作成の同年一月一三日付、同年二月一〇日付各査察官調査書
判示第二の事実につき
一 大蔵事務官作成の証明書(同六)
一 岩本邦雄の大蔵事務官に対する質問てん末書
一 柳原道広の検察官に対する供述調書
判示第三の事実につき
一 大蔵事務官作成の証明書(同七)
一 大蔵事務官作成の同年一月九日付査察官調査書
(法令の適用)
被告人の判示各所為は、法人税法一五九条一項に該当するので、いずれも所定刑中懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪なので、同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人を懲役一年に処し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。
更に、被告人の判示各所為は被告会社の業務に関してなされたものであるから、被告会社については、各所為につき法人税法一六四条一項により同法一五九条一項所定の罰金刑に処すべきところ、以上は刑法四五条前段の併合罪なので、同法四八条二項により各罪の罰金額を合算し、その金額の範囲内で被告会社を罰金一四〇〇万円に処することとする。
よって主文のとおり判決する。
(主席検察官) 宮下準二
(出席弁護人) 渡部一郎
(裁判官 田中正人)
別紙1
修正損益計算書
<省略>
別紙2
修正損益計算書
<省略>
別紙3
修正損益計算書
<省略>
別紙4
税額計算書
<省略>