大阪地方裁判所 平成6年(ワ)4677号 判決 1998年7月07日
東京都北区上中里一丁目二五番一三号
原告
有限会社ライティングサイエンス
右代表者代表取締役
中村崇
右訴訟代理人弁護士
下奥和孝
大阪市城東区中央一丁目七番一四号
被告
株式会社コーワ
右代表者代表取締役
新田安司
右訴訟代理人弁護士
山崎忠志
主文
一 原告の請求をいずれも棄却する。
二 訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
第一 原告の請求
一 別紙目録(一)記載の反射板及びコーンの設計光学データ並びにその技術にかかるノウハウは原告に帰属することを確認する。
二 被告は、原告に対し、金六五〇万円及びこれに対する平成六年五月二五日から支払済みまで年六分の割合による金員を支払え。
三 仮執行の宣言
第二 事案の概要(特に摘示するもの以外は、当事者間に争いがない)
一 事実関係
1 当事者
原告は、照明設備の設計、施工及び照明器具の設計、製造並びに販売等を主たる目的として昭和六一年七月一八日に設立された株式会社であり(弁論の全趣旨)、被告は、各種照明器具の製造、販売を主たる目的として昭和五三年八月二五日に設立された株式会社である。
2 実施契約の締結と被告による反射板及びコーンの製造
原告と被告は、平成四年四月一日、原告が有する電気照明器具を製造するための反射板及びコーンに関するノウハウ(以下「本件ノウハウ」という)の使用を被告に許諾し、被告は対価として反射板及びコーンの売上高の四%を支払う旨の実施契約(以下「本件実施契約」という)を締結した。
原告が本件実施契約に基づき被告に対して提供した本件ノウハウの内容・範囲については争いがあり、原告は、別紙目録(一)記載の三菱電機照明株式会社(以下「三菱電機照明」という)の型番の照明器具における反射板及びコーンの設計光学データ並びにその技術にかかるノウハウであると主張するのに対して、被告は、別紙目録(二)記載の反射板及びコーンの設計光学データのみであると主張し(したがって、この範囲では争いがない)、「その技術にかかるノウハウ」及びその余の設計光学データの提供を受けたことを否認する。
なお、本件実施契約は、原告と昭和六三年九月二九日設立の訴外テクノライト工業株式会社(以下「テクノライト工業」という)との間で締結されていた本件ノウハウについての実施契約を、被告がテクノライト工業から営業の一部譲渡を受けたことに伴って引き継ぐ形で、改めて原告と被告との間において締結されたものである。
そして、被告は、本件ノウハウを使用して電気照明器具の反射板及びコーンを製造し、三菱電機照明に納入した。
3 被告による契約不更新の通知と反射板及びコーンの製造販売の継続
本件実施契約の八条において、「この契約の存続期間は、平成四年四月一日から平成五年三月三一日までの一か年更新とする。」旨定められていたところ、被告は、原告に対して、平成五年三月一日付書面をもって、本件実施契約を同年三月三一日限りで終了させる旨の契約不更新の通知をしたが、同年四月一日以降も、本件ノウハウを使用して反射板及びコーンを製造し、三菱電機照明に納入した。
二 原告の請求
原告は、
1 被告が原告に対してした契約不更新の通知によっては、本件実施契約は終了していない、
2 仮に、本件実施契約は終了したとしても、これによって本件ノウハウが被告に帰属する理由はない、と主張して、本件ノウハウが原告に帰属することの確認を求めるとともに、被告が平成五年四月一日以降本件ノウハウを使用して反射板及びコーンを製造し、販売したことによる実施料(本件実施契約が終了していない場合)又は実施料相当の損害金(本件実施契約が終了している場合)及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成六年五月二五日から支払済みまで商事法定利率年六分の割合による遅延損害金の支払いを求めるものである。
第三 争点
一 原告が本件実施契約に基づき被告に対して提供した本件ノウハウの内容・範囲。
二1 被告が原告に対してした契約不更新の通知により、本件実施契約は終了したか。
2 右1の契約不更新の通知により本件実施契約が終了した場合、これによつて本件ノウハウは被告に帰属したものであるか。
三 被告が原告に対して実施料又は実施料相当の損害金を支払うべき義務を負う場合に支払うべき金銭の額。
第四 争点に関する当事者の主張
一 争点一(原告が本件実施契約に基づき被告に提供した本件ノウハウの内容・範囲)について
【原告の主張】
1(一) 原告が本件実施契約に基づき被告に対して提供した本件ノウハウの内容・範囲は、別紙目録(一)記載の反射板及びコーンの設計光学データ並びにその技術にかかるノウハウであり、甲第四号証の1~57(本件ノウハウに基づいて作成された概要設計図)の赤線表示部分に化体されている。
なお、別紙目録(一)記載の型番のうち、一項の10のQX〇三六WK、一〇項の38のBD五四五一WK、一一項の4のBD三五三一WK、5のBD二四二一WK、6のBD二五〇一W、7のBD三五九一WKの各バッフル、二項の1ないし8すべての各コーンは、テクノライト工業の芦田一良(以下「芦田」という)が原告の前代表取締役中村順一郎(以下「中村」という)から同人の配光計算に基づいたバッフル又はコーンの設計による指示を受け、その設計・指示どおりにテクノライト工業がバッフル又はコーンの図面作成の作業を行い、中村が作成された図面をチェック・確認して承認したものである。バッフル及びコーンは、反射板の配光を調整する機能を有するので、反射板の配光と離れて設計することは不可能であり、そもそもテクノライト工業にはそのような設計能力はなかったためである。また、一項の1のQX〇三四WK、2のQX〇四〇WK、3のQX〇三五WK、5のQX〇三八WKの各反射板は、三菱電機照明がその販売政策の都合から設計変更をしたものであり、中村は、その設計の配光計算に基づいてコーンの設計をしたのである。
(二) 被告は、「その技術にかかるノウハウ」の提供は受けていないし、別紙目録(一)のうち、別紙目録(二)記載以外の型番の反射板及びコーンの設計光学データについては、被告又は三菱電機照明が設計したものであるか(別紙目録(一)の一項の4・6・10、二項の1・5の各反射板)、その設計光学データがノウハウとはいえないものである旨主張するが、甲第一三号証の1~8(テクノライト工業作成の売上高等報告兼支払金内訳書。欄外に旧型番に対応する新型番を書き込んだもの)によれば、別紙目録(一)記載の型番のうち、一項の1のQX〇三四WK、3のQX〇三五WK、4のQX〇三七WK、5のQX〇三八WK、6のQX〇三九WKの各コーンの売上げに対するロイヤリティーが支払われていることが、甲第一四号証の1~9(被告作成の売上高等報告兼支払金内訳書)によれば、三項の1ないし3の各反射板及びコーンの売上げに対するロイヤリティーが、一一項の1のBD三四一一WK、2のBD三四二一、5のBD二四二一WKの各反射板の売上げに対するロイヤリティーがそれぞれ支払われていることが認められることからしても、被告は、これらの設計光学データが原告の保有するノウハウであることを認めていたものである。
(三) 被告は、旧型番QX〇〇四WKの設計図面(乙九の1)と新型番QX〇三五WKの設計図面(乙九の2)に基づき、三菱電機照明から配光が悪いという苦情が出たため、被告が広配光にするべくコーンの設計をやり直した旨主張する。しかし、乙第九号証の2は、図面製作者及び検図者の押印がないから、設計図面として正式の図面ではない。また、設計が変更された場合、設計の仕方が異なるためコーンのカーブ(R)が一致することはありえないにもかかわらず、乙第九号証の1・2におけるコーンのカーブは完全に一致しているから、被告が主張するように設計をやり直したというようなものではなく、中村が設計したデータの数値の一部を、照明器具の高さが変更されたことに伴って開口寸法に単純に合わせたものにすぎない。
2 本件ノウハウは、別紙目録(一)の記載で客観的に十分に特定されている。
のみならず、原告は、テクノライト工業との間で締結した実施契約に基づいてテクノライト工業に本件ノウハウを開示し、テクノライト工業は、原告の技術的指導及び協力のもとに本件ノウハウに基づく反射板及びコーンの型を設計し(本件ノウハウの具体化)、右型設計を使用して(必然的に本件ノウハウを使用)反射板及びコーンを製造するとともに、原告に対して本件ノウハウの使用に伴う実施料の支払いを約したのであり、被告は、右のようなテクノライト工業の地位を承継して、本件ノウハウにかかる反射板及びコーンの型設計を使用し、反射板及びコーンの製造をしているのであるから、被告は本件実施契約の当事者として本件ノウハウの被開示者の立場にあり、本件ノウハウの同一性を承知しているのである。被告の主張するところは、すべて本件ノウハウの特定とは無関係のことであり、殊に、本件ノウハウにより製造された反射板に類似した製品及び設計図面についての主張は、その真偽は別としても、本件ノウハウの同一性に対する認識を前提とするものである。被告は、実施料を支払って本件ノウハウを使用する立場にあるにすぎず、本件ノウハウを評価する立場にはなく、かつ、原告及び三菱電機照明に対して本件ノウハウにつき守秘義務を負うのであるから、被告がデータの開示を求めること自体信義則に反する。
更に、被告は、本件ノウハウの非公然性が失われた旨主張するようであるが、そのような事実はない。
3(一) 本件ノウハウは、原告の前代表取締役中村が研究・開発した反射板のグレアをなくす(グレアカット)設計(甲五の2・3)を主眼とする反射板及び光の制御に関する独自の理論とコンピューターによる計算数値に基づく極めて精緻な反射板及びコーンに関する設計光学データであり、反射板及びコーンの型設計の基準をなすものであって、当該データの数値をXY座標上に打ち込み、各ドットを順次結んでいくことによって自動的に反射板及びコーンの型設計ができるものである。したがって、本件ノウハウ自体が価値を有するものであることは多言を要しないが、本件ノウハウに基づいて設計された反射板及びコーンが所期の効果を発揮する具体的な型を形成するためには、更に、当該型形成の段階における中村の具体的な指導・助言が不可欠であって、中村が本件ノウハウの実施に伴って行った指導・助言の内容は、(1)反射板及びコーンの内部の光を制御するため、反射板及びコーンの内側表面を曇らせたり、内側表面に光沢を出したりする、(2)ランプの特性に応じて反射板及びコーンとランプの位置関係を調整する、(3)反射板及びコーンの内側表面に槌目(エンボス)を作ったり、その槌目(エンボス)の大きさ、深さを適宜指示することなどである。本件ノウハウにかかる反射板及びコーンの型設計及び型形成はすべてテクノライト工業が行ったのであり、中村の右指導・助言も、テクノライト工業の芦田に対してなされたものである。
(二) 被告は、原告は反射板の形状を決めるための管理ポイントについて、テクノライト工業又は被告が再三要求しても、実施契約に違反して明確な教示をしなかった旨主張する。
しかし、そもそも本件ノウハウの実施契約は、本件実施契約に先立ち原告とテクノライト工業との間で締結され、かつ、テクノライト工業が本件ノウハウに基づく反射板及びコーンの型設計及び型形成等をすべて行っていて、被告は全く関与していないし、契約当事者ではないので関与する立場にもなかった。確かに、被告の従業員二名(山住正朗、森本利之)が、芦田の指示に基づいて型設計及び型形成の一部を行ったことはあるが、これはあくまで芦田の手伝いであって、中村ないし原告は、テクノライト工業との間の契約に基づき供与義務を負う相手方であるテクノライト工業の芦田に対して必要な技術的指導・助言を行っており、これで十分である。被告は、テクノライト工業の芦田が中村の指導・助言に基づき自己の経験と勘を加味して綿密な調整作業を経て設計し、具体的に形成した型を、テクノライト工業を継承する形で使用して反射板及びコーンを製造しているものであり、このように当該型を使用して反射板及びコーンを製造していることにより、必然的に本件ノウハウを使用していることになるのである。
【被告の主張】
1(一) 被告が本件実施契約に基づき原告から提供を受けた本件ノウハウの内容・範囲は、原告主張の別紙目録(一)のうち、別紙目録(二)記載の型番の反射板及びコーンの設計光学データのみであり、およそ「その技術にかかるノウハウ」の提供は受けていないし、右目録(二)記載以外の型番の反射板及びコーンの設計光学データは、被告又は三菱電機照明が設計したものであるか(別紙目録(一)の一項の4・6・10、二項の1・5の各反射板)、その設計光学データがノウハウとはいえないものであるから、否認する。
(二) 別紙目録(一)の三項の1ないし3の各反射板については、被告は、いずれも原告のノウハウであることを認めているので(コーンについては否認する)、反射板のロイヤリティーを支払っていたのである。
甲第一四号証の1~9に記載された型番のうちバッフルのある別紙目録(一)の一一項の1のBD三四一一W、2のBD三四二一、5のBD二四二一WKについては、当初芦田から中村の設計によるものであるとの説明があったので、被告は、ロイヤリティーを支払ってきたが、その後、バッフルは中村の設計によるものではないとの結論に達し、平成四年一一月分以降、この分のロイヤリティーは支払っていない。
(三) 甲第一三号証の1~8の欄外に書き込まれた「新型番」のうち、別紙目録(一)の一項の1のQX〇三四WK、3のQX〇三五WK、5のQX〇三八WKの各コーン及び4のQX〇三七WK、6のQX〇三九WKの反射板及びコーンは、これらに対応する中村が設計した旧型番について三菱電機照明から配光が悪いという苦情が出たため、被告又は三菱電機照明が広配光にするべく設計をやり直し、三菱電機照明が新たに型番をつけたものであるから、これらが中村の設計によるものであるとする理由はない。被告がコーンの設計をやり直したことは、例えば、旧型番QX〇〇四WKの設計図面(乙九の1)と、これに対応する新型番である別紙目録(一)記載の一項の3のQX〇三五WKの設計図面(乙九の2)とを比較すると、照明器具全体の大きさを小さくし、コーンの寸法も短くしていることから一目瞭然である。
2 原告は、別紙目録(一)の記載をもって、原告が保有していると主張する本件ノウハウを特定しているが、かかる三菱電機照明の照明器具の型番の記載のみでは特定として十分でない。
なぜなら、第一に、既に本件ノウハウにより製造された反射板と極めて酷似したものが同業他社によって製造されており、被告自身、そのような反射板の設計図面を渡された上で、製造依頼を受けたことがある(後記二【被告の主張】1(二)末尾)。したがって、本件ノウハウが、いまなお秘密性を維持し、公然性のない情報といえるかは甚だ疑わしい状態になっており、今後その傾向は時の経過とともに一層顕著に進んでいく状況にある。その結果、弁論終結時において、本件ノウハウがノウハウとはいえないものになっている可能性が大きいところ、仮に公然と知られたものとなって権利性がないものになっていれば、そのような無価値なものについて原告に帰属することの確認を求める訴えは確認の利益を欠くことになる。そうすると、本件ノウハウがなお秘密性(非公然性)を有しているか否かを判断する必要があり、そのためには、別紙目録(一)に記載された各型番の反射板及びコーンの設計光学データを開示して特定することが必要不可欠である。
第二に、原告主張の本件ノウハウの内容・範囲について、被告はかなりの数のものを否認しているところ、これらが本件ノウハウに含まれるか否かを判断するには、原告が有している各データと被告が実際に製造している製品とを比較することが必要である。
3(一) 本件ノウハウによる反射板の形状は、原告主張のようにXY座標上に打ち込んだ各ドットを順次結んでいった線で表現されることになっているが、原告は、反射板の形状を決めるための管理ポイントについて、テクノライト工業又は被告が再三要求しても、実施契約に違反して明確な教示をしなかった。
被告は、やむをえず、見当をつけて作った金型によってヘラ押し加工を施して反射板の見本を作り、その反射板による画質(照射面は中心がもっとも明るく、周囲に向かって徐々に薄暗くなっていくように設計されるべきであるが、明暗にムラが生じると不合格である)及び照度(中心照度)をテストするという方法を繰り返したが、満足のいくものができなかった。そのため、被告は、画質にムラがある場合には反射板の鏡面度を下げて明暗の差を小さくすることによって画質のムラが目立たないようにし、中心照度が不足する場合には鏡面度を上げて明るくするなどの工夫をした(鏡面度の上げ下げをどの程度行うのが適切かについて、試行錯誤の繰り返しであった)。しかし、これらの工夫は所詮一種のごまかしであり、それだけ反射板の品質を低下させるものであった。このような工夫によってもなお画質のムラや不適切な照度を補正することができない場合には、やむをえず、発光体(ランプのフィラメント)の位置を調節して画質、照度の欠点が目立たないようにした。
被告が原告に対して指示を要請しても、原告は「もっと曇らせよ」とか「ランプ位置を下げよ」というような常識的な説明はしたものの、それ以上の指示はしなかった。原告は、中村の指導・助言は芦田に対してなされたものであると主張するが、中村が芦田を通してテクノライト工業又は被告に対して、技術供与というに値する指導・助言をしたことはない。
本来、製品化するための技術指導は、細部の微妙な点にわたって具体的に行う必要があるが、そのような技術指導といえるものは一切なかったのである。例えば、反射板のエンボス(当たった光を乱反射させて、出てくる光のムラをなくすもの)について、中村は金型業者にヤマギワ照明株式会社の商品を見せてこのとおり槌目をつけるように言っていたというのであるが(芦田の証言)、エンボスも光制御に関するものであり、たとえコンピューター設計に基づき精緻な反射板ができあがったとしても、他の銘柄のエンボス付反射板を金型業者に見せて(しかも、中村がヤマギワ照明株式会社在職中に製作したエンボス付反射板を見せたというのであれば、五年も六年も前のものを見せたことになる)エンボス加工をさせたのでは、光制御において好ましい結果を引き出しえたか甚だ疑問である(山住の証言)。反射板に微細な差が生じても配光に相当大きな差ができる(芦田の証言)というほど、光制御には正確性が要求されるはずであるから、中村の右のような指示は曖昧で不正確といわざるをえない。原告がテクノライト工業又は被告に指示した技術というのは、あったとしても右の程度のものであって、何ら書類化されていないことと相まって、技術指導というに値しない。
(二) 原告は、被告の従業員二名(山住正朗、森本利之)がテクノライト工業の芦田の指示に基づいて型設計及び型形成の一部を手伝った旨主張するが、芦田は被告の従業員(係長)であって、テクノライト工業の従業員であったことはなく、また、技術部長であった山住正朗が芦田の指示に基づいて手伝うということはありえない。
本件実施契約前に、テクノライト工業が三菱電機照明と取引をしていた当時も、実際に金型を設計し、製品を製造していたのは被告であって、被告は、製品をテクノライト工業に納入して同社から代金の支払いを受けていた。テクノライト工業は、そもそも被告の子会社として関東方面における販路開拓を主たる目的として設立された会社であって、テクノライト工業が原告主張のように自ら型設計をしたことはなく、電気照明器具を製造したことも全くない。芦田が型設計に関与したとしても、それは被告の従業員としてである。
二 争点二1(被告が原告に対してした契約不更新の通知により、本件実施契約は終了したか)について
【被告の主張】
本件実施契約は、被告の平成五年三月一日付書面による契約不更新の通知により、同月三一日限り終了したから、被告が原告に対して、平成五年四月一日以降の本件ノウハウの実施料を支払うべき理由はない。
1 契約期間を原則として一年とした本件実施契約は、何ら不自然なものではなく、むしろ、合理的なものである。
(一) 本件実施契約に先行していた原告とテクノライト工業との間の本件ノウハウについて実施契約は、平成元年九月三〇日に成立し、平成四年三月三一日まで継続していたものであるが、右契約の締結に当たっては、契約期間、契約終了後の本件ノウハウの帰属及び実施料について重点的に協議が行われた。テクノライト工業は、電気照明器具業界において本件ノウハウの秘密性が長期間持続することに疑問を抱き、短期間のうちに秘密性が喪失するかもしれないと心配して、場合によっては一年間で契約を終了させることができ、しかもその時点で本件ノウハウをテクノライト工業に帰属させることを要求し、一方、実施料については、原告の要望を入れて完成品の価格の一%相当額としてもよい旨申し入れた。
原告の当時の代表取締役であった中村は、右申入れの受諾を逡巡し、平成元年九月には、原告が本件ノウハウの関連資料を提供し、テクノライト工業がこれを使用するようになったにもかかわらず、右契約期間、契約終了後の本件ノウハウの帰属及び実施料についての協議が長引き、容易に合意に達しなかったので、支払うべき実施料が決まらないためその支払がされていないという状態が続いた。中村は、合意に達しない以上実施料の支払を受けることができないので、早期解決が得策と考え、結局、約八か月の熟慮の末、平成二年五月、契約期間を原則として一年、契約終了と同時に本件ノウハウはテクノライト工業に帰属すること、実施料は完成品の売上高の一%とすることでテクノライト工業と合意した。
そして、テクノライト工業は、同年五月三一日、右実施料率に従い、平成元年一〇月一日から平成二年四月三〇日までの分四六万〇三八〇円を一括して原告に支払った。こうしてテクノライト工業が原告に支払った実施料の額は、平成元年一〇月一日から平成二年九月三〇日までの分が右四六万〇三八〇円を含んで六二万五一七六円、同年一〇月一日から平成三年九月三〇日までの分が五九万〇九六一円、同年一〇月三一目から平成四年三月三一日まで(半年)の分が四三万四一六一円である(なお、被告が原告に支払った平成四年四月一日から平成五年三月三一日までの分は一二五万三五八五円である)。
(二) ところが、テクノライト工業が三菱電機照明から電気照明器具製造の発注を受けたのを、被告がテクノライト工業から外注を受ける形で、本件ノウハウを使用して電気照明器具を製造していたので、三菱電機照明が製造技術や仕様の変更について協議する必要があるときは、テクノライト工業と協議し、テクノライト工業から被告に協議結果を伝えたり問合せをしたりしていたことから、三菱電機照明は、非能率であるとして、製造を担当している被告と直接協議できるようにすることを要請した。テクノライト工業と被告は、この要請を受け入れたが、そのためには被告が本件ノウハウの使用者になることが必要であるとして、平成四年三月三一日をもって原告・テクノライト工業間の実施契約を終了させ、翌四月一日、原告・被告間において同じ本件ノウハウについて本件実施契約を締結した。
本件実施契約はこのようにして締結されたものであるから、原告・テクノライト工業間の契約における契約期間、契約終了後の本件ノウハウの帰属についての約定は、そのまま引き継がれた(ただ、実施料については、レートを若干下げて、反射板及びコーン(部品)の単価の四%と定められた)。
技術は日進月歩で改良されており、技術の陳腐化のペースは速い。特に、ノウハウのままでの技術はほとんど法的保護がなく、いったん秘密が漏れれば急速に価値がなくなることが避けられない性質の権利であること、本件においては同じノウハウが既に過去二年半にわたって使用されていたこと、その間の年間実施料がわずか六〇万円程度のノウハウであったこと、本件実施契約の締結に当たっては従前の実施料のレートを若干下げ、本件ノウハウの価値が減少したことが承認されていたこと等からすると、本件実施契約締結当時、本件ノウハウの寿命はあと一年程度と想定されていたことが明らかであり、テクノライト工業との契約の時から通算して三年半も使用すれば、その後は被告に帰属することもありうるというものであった。一般に、技術はすぐ陳腐化するからノウハウの契約期間はあまり長く定めないのが望ましいといわれているし、日進月歩の技術改良が間断なく続く電気照明器具業界で、一〇年も一五年も前に売り出された同じ銘柄の製品が販売競争に伍して売れ続けているということはなく、したがって、反射板の価値が一〇年も一五年も続くということはありえない。電気照明器具製造の専門家として長年、業界に身をおく原告及び被告が、本件実施契約締結時に本件ノウハウの寿命をあと一年程度と考えていたのはむしろ当然のことであった。
なお、被告は、平成五年末頃から同六年初め頃にかけて、松下電工株式会社、東芝ライテック株式会社、岩崎電気株式会社、小泉産業株式会社から相次いで電気照明器具(ダウンライト)の反射板の製造依頼を受け、その際、右各社から設計資料の開示を受けたが、それらはいずれも本件ノウハウと酷似していて、本件ノウハウの独自性を失わせるのに十分なものであった。
(三) 中村の反射板設計における真骨頂は、コンピューター理論に基づく設計とグレアレス原理(光が直接目に入らないようにする設計原理)に基づく設計である(芦田の証言)ということのようである。しかし、コンピューター設計は、既に昭和五八、九年頃、業界で行われていたし、現に被告は大手電気照明器具メーカーが昭和五九年二月二八日に作成したコンピューター設計にかかる反射板設計図面を有している。したがって、コンピューター設計自体が中村のオリジナルということはありえないし、競争の激しい電気照明器具業界において、コンピューターによる設計図面作成は他の大手電気照明器具メーカーも採用していたと思われ、むしろ、中村のコンピューター(パソコン)による設計も、大手電気照明メーカーの手法を参考にして考えたものと思われる。
また、グレアレス理論は、昭和六二年当時、既に一般に実用化されていた(乙七の1・2)。しかも、平成三年末頃から原告がテクノライト工業に対して提供したBBダウンライトの反射板設計は、例外なく光源からの光が直接目に入るような設計になっていて、グレアレス理論とは縁のないものであった(乙四、五の1~15、六)。当時、市場における光源の流行は一般球、ハロゲン球からBBランプに移行していただけに、BBランプ用の反射板がこのように光がまともに目に入るような設計になっていたことは、中村が売物にしていたグレアレス理論から大きく外れ、中村が強調していた反射板のコンセプトからかけ離れたもので、斬新な商品としてのセールスポイントに欠ける要因となっていたことは否定できない。このことは、一回目の設計にかかる反射板(一般球、ハロゲン球等用)についてはあまり売上げが期待できなかったが、二回目の設計にかかる反射板(BBランプ用)を組み込んだ製品は売れる見込みがあった(芦田の証言)にもかかわらず、売上げがほとんど横ばいであったことに端的に現れている。更に、中村による設計は、XY座標に一〇〇分の一mm単位にドットを取っていくという方法であったが、業界では数年前から一〇〇〇分の一mm単位が一般的になっていて、それだけ反射効率を上げるものになっており、この面においても本件ノウハウは時代遅れの運命にあったものである。
右のとおり、本件ノウハウはさして独創的なものではなく、しかも、BBランプ用の反射板は、中村が売物としていたグレアレス理論に全く適っていない設計であったため、そのような反射板を取り付けたダウンライトは、当然のことながらいつまでも競争力を持ち続けることを期待できるものではなかった。現に、三菱電機照明は、平成七年秋、ダウンライトの自力での全面的なモデルチェンジの方針を打ち出し、本件ノウハウにかかる反射板及びコーンを使用した製品はほとんど姿を消したのであり、BBランプ用の反射板についていえば、本件ノウハウは四年足らずで寿命を終えたことになる。三菱電機照明が右のように自力でモデルチェンジをした製品は、被告との製造委託契約が終了しており、被告の全く関与しないものであって、現在、わずかな製品についてだけ被告・三菱電機照明間の取引が残っているが、それは、BBランプ関連のものではなく、また、三菱電機照明としては販売しても採算が合わないので廃番にしたいところであるが、ときたまの顧客のために在庫としておいておく必要から被告に製造させているものである。
2 被告が本件実施契約を一年の期間満了で終了させたのは、以下のように原告側の不信行為に原因がある。
すなわち、原告の代表取締役であった中村が、電気照明器具メーカーの大光電機株式会社との間でノウハウの実施料の話合いが進まず、同社から実施料の収入が得られないため、閉塞状態にあったとき、被告は、中村を子会社のテクノライト工業の取締役社長に就任させ、昭和六三年一〇月から毎月二五万円の役員報酬を支払うことにして経済的に援助するようになった。平成四年三月に中村がテクノライト工業の取締役を退任した後も、被告は、同人が収入の途を確保できるように、同人に東京方面における電気照明器具及び反射板の販売活動並びに反射板の設計ないし情報の提供をしてもらうことを約束し、その報酬として同年四月一日から一年間毎月二五万円を支払うことを約束した(マーケティング契約)。ところが、中村は、右約束に反して、照明器具及び反射板の販売活動等を一切しないばかりか、同年七月ころには、被告の従業員であった芦田を同道して被告の重要な得意先である三菱電機照明に赴き、中村自身も別会社を作るのでその会社の電気照明器具(ダウンライト)を三菱電機照明に納入させてほしい旨申し入れたことが明らかとなった。被告は、芦田を解雇処分にするとともに、被告との間で約束した右販売活動等をせず、もっぱら自らの利益のために動くだけで、しかも被告・三菱電機照明間の製造委託契約の継続を妨害するようなことまでした中村及び中村が経営する原告との契約関係は信頼関係の喪失によりもはや維持できないとして、同年九月以降中村に対する報酬の支払いを停止し、原告との間の本件実施契約も、期間が満了した平成五年三月三一日をもって終了させたのである。芦田は、右解雇処分について異論を唱えることなく、処分に従ったが、これは、被告の指摘する解雇事由に反論しえなかったからである。
3 原告は、原告とテクノライト工業又は被告との間の本件ノウハウの実施契約は、テクノライト工業又は被告と三菱電機照明との間の製造委託契約と不可分一体の関係にあり、これに付随するものであるから、反射板及びコーンの製造を継続しながら、本件ノウハウの実施契約のみが終了するということはありえない旨主張するが、本件ノウハウの帰属者が原告であろうとテクノライト工業又は被告であろうと、三菱電機照明との間の製造委託契約には何ら影響しない。三菱電機照明としては、本件ノウハウが何人に帰属しているかについては関心がなく、要するに一部の製品に本件ノウハウを使用した反射板を組み込んだ約定の製品を納入してもらえばよかったからである。このため、テクノライト工業と三菱電機照明との間の取引基本契約書においても、本件ノウハウあるいは本件ノウハウを使用した製品であることについては全く触れるところがないのである。
三菱電機照明は、一部品にすぎない反射板に関する本件ノウハウではなく、照明器具全体の仕上がりの良質さ、すなわち技術レベルの高い職人によるヘラ押し(アルミ板から反射板に成形すること)技術やバフ研磨をせずに反射板の反射効率を高める特殊技術等の被告の製造技術を高く評価して、テクノライト工業又は被告と製造委託契約を締結し取引を開始したのである。
したがって、本件実施契約は、被告と三菱電機照明との製造委託契約とは別に終了しうるのである。
【原告の主張】
本件実施契約の八条「この契約の存続期間は、平成四年四月一日から平成五年三月三一日までの一か年更新とする。」は、将来における販売実績に応じて契約条項を改定する必要上、契約期間を一か年更新としたものにすぎず、本件ノウハウの性質上、本件実施契約は本件ノウハウの技術的価値が存続する限り長期間にわたって継続されることが当事者間における合意であったから、被告が原告に対してした契約不更新の通知により、本件実施契約が終了するということはない。
1(一) 中村は、ヤマギワ照明株式会社に勤務していた当時の同僚である昆布谷明彦から、三菱電機照明が大阪方面で同社の電気照明器具の設計、製造、組立をする会社を探しているとの情報を得た。そこで、中村は、その会社として、芦田、被告代表者新田安司らとともに、テクノライト工業を設立した上(したがって、テクノライト工業は被告主張のように被告の子会社ではない)、芦田とともに三菱電機照明と交渉した結果、三菱電機照明とテクノライト工業の間で、中村が考案・設計し、原告が有する本件ノウハウに基づいてテクノライト工業の芦田が反射板の型設計をして鋳型を製作し、その鋳型による反射板及びコーンの製造並びにこれを用いた電気照明器具の組立をテクノライト工業から被告に下請け発注し、被告が製品を三菱電機照明に納品するという製造委託契約が成立した。このように、まず三菱電機照明からテクノライト工業に対する製造委託が決定され、同製造委託において本件ノウハウを使用することを当然の前提としていたため、次いで原告とテクノライト工業の間で本件ノウハウの実施契約が締結され、テクノライト工業が原告に対して本件ノウハウの使用の対価として実施料(ロイヤリティー)を支払うこととなったのであり、本件ノウハウの実施契約は、右製造委託契約と不可分一体の関係にある。
その後、被告代表者から、テクノライト工業の現状では効率が悪く、三菱電機照明は被告と直接取引をしたいと言っているので被告が吸収合併したい旨の申入れがあり(但し、この合併話は、テクノライト工業から被告代表者以外の全出資者に手を引かせるための口実にすぎなかった)、右の製造委託契約がテクノライト工業から被告に継承されることとなり、これに伴い、製造委託契約と不可分一体の関係にある原告・テクノライト工業間の本件ノウハウの実施契約におけるテクノライト工業の地位を被告が継承することとなって、本件実施契約が原告と被告の間で締結された。
本件ノウハウの実施契約は、右のとおり反射板及びコーンの製造委託契約と不可分一体の関係にあり、これに付随するものであるから、テクノライト工業も被告も、反射板及びコーンの製造を引き受ける以上、本件ノウハウの実施契約を締結するか否かの自由はないし、また、反射板及びコーンの製造を継続しながら、本件ノウハウの実施契約のみが終了するということもありえないのである。テクノライト工業又は被告にとっては、本件ノウハウの実施料についてどのような取決めをするかについて原告と交渉する余地があったにすぎない。
(二) 原告・テクノライト工業間の本件ノウハウの実施契約書(甲二)における「この契約の存続期間は、平成元年一〇月一日から平成二年九月三〇日までの一か年間とする。ただし、期間満了一か月前までに甲(原告)又は乙(テクノライト工業)からの申し出がなければ、この契約はその後一か年間自動的に延長され、その後もまた同様とする。」との八条及び原告・被告間の本件実施契約の契約書(甲一)における「この契約の存続期間は、平成四年四月一日から平成五年三月三一日までの一か年更新とする。」との八条は、当事者間の協議に基づいて記載されたものではなく、原告・テクノライト工業間の実施契約書(甲二)の草案を作成した松山喜一郎(以下「松山」という)が被告代表者に言われて記載したものである。すなわち、右原告・テクノライト工業間の実施契約書(甲二)は、三菱電機照明との間の取引が軌道に乗り、一段落した平成二年四月頃に、作成日付を三菱電機照明に対する納品の日に合わせるために平成元年九月三〇日として作成したものであるが、中村は、テクノライト工業との信頼関係に基づき、テクノライト工業側から郵送されてきた契約書に押印して返送したもので、契約書の内容について具体的に話し合ったり、検討したりしたことはない。ただ、その際、テクノライト工業から、本件ノウハウの技術的優秀性及び斬新性により本件ノウハウにかかる照明器具の売上げが将来大きく増大することが見込まれるので、売上高の増大に伴う実施料額の増大を抑制する必要性があるとの申入れがあったため、中村としても、自ら三菱電機照明との取引を実現させたという経緯から、実施料額の抑制及びそのために必要な調整をすることに異存はなく、契約書に記載されている一年の期間は契約の存続期間ではなく契約条件の見直し期間であって、契約自体は本件ノウハウにかかる反射板及びコーンの製造が継続している限り更新されるとの認識で契約書に押印したのである。
(三) 被告は、本件ノウハウは既に陳腐化した旨主張するようであるが、本件ノウハウにかかる製品のうち、別紙目録(一)の一ないし六項、八、九項記載の全型番の反射板又はコーン、一〇項の37のBD五四四一Wの反射板は、現在も生産が継続され、これを使用した製品が三菱電機照明によって販売されているし(三菱電機照明のカタログ甲一一の2~10・13~22)、一〇ないし一二項記載の型番のうち右カタログに赤丸を付した反射板(甲一一の23~31)は、生産中止のマークが付されていないだけでなく、配光関係が本件ノウハウにかかる反射板と同一であるから、照明器具の型は変更されても反射板自体は本件ノウハウにかかるものが使用されている可能性が高い。在庫僅少品(甲一一の11・12)とされている反射板も、今後の市場の需要動向によっては販売が継続される可能性もあるのである。
被告主張のように被告と三菱電機照明との間の製造委託契約が終了したとすれば、その原因は本件ノウハウに関して被告が原告に対する背信的行為により紛議を惹起したことにある。被告の主張するモデルチェンジも、反射板の変更をいうのか否か不明である。
2 被告は、原告の代表取締役であった中村が、被告の従業員であった芦田を同道して被告の重要な得意先である三菱電機照明に赴き、中村自身も別会社を作るのでその会社の電気照明器具(ダウンライト)を三菱電機照明に納入させてほしい旨申し入れたので、芦田を解雇処分にするとともに、本件実施契約も終了させた旨主張するが、中村が被告との競合を画策したという事実はない。平成四年七月頃に中村が芦田と一緒に三菱電機照明に行ったことはあるが、それは芦田がテクノライト工業を辞めたことの報告と挨拶をしにゆくのに、芦田に頼まれて同行したにすぎない。中村は、その頃には既に原告(昭和六一年七月一八日設立)があって、別会社を作る必要など全くなく、被告主張のようなことを三菱電機照明に申し入れるはずがない。
芦田は、中村とともに三菱電機照明と交渉して電気照明器具の製造委託契約を取り付ける等苦労してテクノライト工業の基礎づくりに尽力したが、テクノライト工業の基礎ができるや、被告代表者は、テクノライト工業を解散するとして各株主に出資金を返還しながら、解散することなく、テクノライト工業を被告代表者の一族で固めて被告のトンネル会社として被告代表者個人の利益を図るために利用するようになった。芦田は、このような被告代表者のやり方に納得できなかったので、被告の社員に被告代表者の非を明らかにした上で、被告を辞職した。ところが、被告代表者は、芦田の辞職を認めず、芦田は松下電工株式会社が特許権を有する取付金具の使用承諾を得るための交渉をせず、被告に多大な損害を与えたという言いがかりをつけて、芦田を不当に解雇処分にしたのである。しかしながら、芦田は、当時既に被告及び被告代表者に愛想が尽きていたことから、右不当な解雇処分にあえて異を唱える気にもならなかったにすぎない。
三 争点二2(契約不更新の通知により本件実施契約が終了した場合、これによって本件ノウハウは被告に帰属したものであるか)について
【被告の主張】
本件実施契約においては、七条で「原告が被告に提供した本件ノウハウは、契約完結後はすべて被告に帰属する。」旨定められているところ、被告の原告に対する不更新の通知により本件実施契約は平成五年三月三一日限り終了したから、本件ノウハウは被告に帰属したものであり、したがって、被告が同年四月一日以降本件ノウハウを使用しても、原告に対して損害金を支払うべき義務を負わない。
1(一) 本件実施契約七条にいう「契約完結」の意味は定かではないが、契約終了と同義と解すると、被告に帰責事由があって解除されたことにより契約が終了した場合にも、被告に本件ノウハウが帰属するという不合理な結果となってしまうから、被告に帰責事由があって契約が終了する場合以外の契約終了の各場合を指すものと解すべきである。本件において、もちろん被告にはそのような帰責事由はないのであるから、一年の期間満了により本件実施契約は終了し、七条により本件ノウハウは被告に帰属したのである。契約終了後のノウハウ使用の禁止を明文で規定していない場合は、実施者によるノウハウの使用は許されると解する学説が多い(小野昌延「ノウ・ハウー企業の技術秘密」一〇八頁、抜山勇外一名「営業秘密」一八一~一八二頁)ところ、契約終了後の本件ノウハウの使用の禁止を規定していない本件実施契約が七条の規定をおいたのは、契約終了後のノウハウの権利関係についての右多数学説に従うことを明確にしたものである。
(二) 原告は、「契約完結」の意味について、本件ノウハウの利用価値すなわち権利性がなくなり、契約が目的を達してその存在価値を喪失するに至ったことと解すべきである旨主張するが、利用価値がなくなったものを譲り受ける必要は全くないのであるから、わざわざ無価値なものの譲渡条項を設けるようなことをするはずがなく、右条項は価値が残っている状態のものを譲渡する趣旨である。
また、原告は、本件実施契約は本件ノウハウの実施契約であって譲渡契約ではない旨主張するが、契約書の表題が「実施契約書」となっていても、その中に譲渡条項を置くのは自由であり、本件実施契約の七条は、まさにそのような譲渡条項なのである。
2 原告は、中村は、本件実施契約に先行する原告・テクノライト工業間の契約書の七条について深く検討しないまま押印したので、七条は法的拘束力を有しない旨主張する。
しかしながら、中村が契約書に押印するに至った、以下のような経過からすると、中村は、長期間考慮を重ねて慎重に判断した上で契約書に押印したことが明らかである。
テクノライト工業の松山は、被告代表者の指示により、ノウハウ実施契約書(甲二)及びその付属契約書である協定書(甲三)を作成した上、平成元年一一月末頃、これらの当事者欄の一方にテクノライト工業の記名押印をしたもの各二通を原告宛に郵送した。その際、松山は、中村がその当時テクノライト工業の取締役でもあったため、自己取引を承認する旨のテクノライト工業の取締役会議事録を作成し、これも同封した。松山が本件ノウハウは契約終了後テクノライト工業に帰属する旨の七条を入れたのは、ノウハウは法人税法上でも耐用年数が五年とされていることから、その程度使用した後にはテクノライト工業に帰属するものとしても不合理でないと考えたからである。松山は、右郵便が原告に到達した頃を見計らって中村に電話し、契約書の内容につき質問があれば説明する旨申し入れたが、中村は、大体分かると返事した。ところが、中村がすぐに契約書に押印して返送してこなかったので、松山は、何度か電話で押印して返送するよう促したが、中村は、契約書を専門家に見てもらっているのでしばらく待ってほしい旨返事した。松山が契約内容のどの部分が支障になっているのか尋ねたところ、中村は、ノウハウ実施契約書の七条は文面としては分かるが後はどうなるのか、と同条に難色を示す様子であったので、松山は、契約が終了した後はノウハウはテクノライト工業のものになると答えた。松山は、平成元年一二月一二、一三日に芦田、中村とともに三菱電機照明の本社を訪ねた際、中村に対して、契約内容について説明を要する箇所があるのであれば、更に詳しい説明をする旨告げたところ、中村は、専門家に見てもらっている旨以前と同様の返事を繰り返した。そこで、松山は、一二月末までに契約書に押印してくれれば年内分の実施料額を確定して計算できるのですぐに送金する旨中村に告げた。それでも中村が契約書を返送してこないので、結局、平成二年四月一二日、芦田が東京へ出張した際、松山の依頼を受けて、中村から記名押印した契約書及び取締役会議事録を受領してきたのである。
右のように、中村は、テクノライト工業から郵送された契約書を、約五か月間手元において熟慮していたのであり、十分な検討時間があったはずである。中村の妻通乃ですら契約書に目を通し、七条の存在を知っていたのであるから、中村が七条の存在に気がつかなかったはずはない。また、通乃は、七条をちょっといやな条項だと思ったが、芦田から契約は一年ごとの見直しであるから押印してはどうかと言われたものの、見直しがされなければ七条もそのままになることを認識しており、中村自身も同様の認識であったというのである。中村は、当時、テクノライト工業の取締役社長でもあったのであるから、七条を含めた契約内容を強引に押し付けられるような弱い立場にあったわけではなく、その修正ないし削除の要求もできたはずであるのに、中村が七条の削除を要求したことは一切ない。そして、原告・テクノライト工業間の契約を承継した原告・被告間の本件実施契約の締結の際は、中村は、七条も含めほぼ同じ内容の契約書に何ら異議を唱えることなく、手元に置くことなくすぐに記名押印して被告に返送した。
なお、原告とテクノライト工業の間の本件ノウハウの実施契約が終了した際は、本件ノウハウをテクノライト工業に帰属させていないが、それは原告、テクノライト工業及び被告の三者間の話合いにより、右実施契約を原告と被告とで円満に承継したものであり、その当時は、本件ノウハウはまだ二年半ほど使用しただけであったので、七条を発動してテクノライト工業に帰属させることを考えなかったにすぎない。
【原告の主張】
本件ノウハウの実施契約は、本件ノウハウの使用許諾契約であって譲渡契約ではなく、いかなる意味においても本件ノウハウがテクノライト工業又は被告に帰属することはないから、仮に契約が終了したとすれば、テクノライト工業及び被告は、契約終了と同時に本件ノウハウの使用を中止し、契約に基づいて原告から供与された本件ノウハウを原告に返還しなければならない。
1(一) 原告がテクノライト工業又は被告と締結した契約の契約書二条の「ノウハウの対価」とは、ノウハウを実施した支払対象期間(三条)の対価すなわちロイヤリティーであって譲渡代金ではなく、当該ロイヤリティーの取決めに際しても譲渡代金について話し合った事実はない。仮に、本件ノウハウの譲渡を約したものであれば、契約書の表題はノウハウ譲渡契約となっていたはずである。
ノウハウの実施契約と譲渡契約とは明確に区別されるべきであり(野口良光「国内実施契約の実務」二六八頁及び三二四頁)、ノウハウの実施契約であることが明確な契約が譲渡契約となる理由はなく、信義則上からも当然のことである。特に、本件においては、当事者間で本件ノウハウの譲渡に関する事項を話し合った事実さえ全くないし、譲渡契約と解すべき特段の事情もないのである。
(二) 契約書七条の「契約完結」がいかなる意味、内容のものであるかは明らかでなく、字義的に解釈すると、本件ノウハウの利用価値すなわち権利性がなくなり、契約が目的を達してその存在価値を喪失するに至ったことをいうことになろうが、そうだとすると、七条は価値が残っている状態のものを譲渡する趣旨であるとする被告の主張は、「契約完結」という文言の字義に符合せず矛盾することになるし、七条自体がそもそも自己矛盾の趣旨不明の文言といわざるをえない。本件ノウハウはそもそも三菱電機照明の電気照明器具の反射板の製造のためのものであって、テクノライト工業又は被告は、右反射板を製造して三菱電機照明に供給する便宜のために本件ノウハウの実施契約を原告と締結したにすぎないのであるから、本件ノウハウの利用価値(権利性)喪失の有無の判断は三菱電機照明が行うものであって、本件ノウハウの使用について実質的な利害関係を有しないテクノライト工業又は被告は、これを判断する立場になく、本件ノウハウの価値を云々すること自体不合理かつ失当である。
2 七条は、原告・テクノライト工業間の本件ノウハウの実施契約の契約書を作成する際に松山がその一存で勝手に書いたものであって、この条項について当事者間で合意した事実がないのはもちろんのこと、協議・話合いをした事実もなく、原告に対して説明もなかった。そして、このことは、原告・被告間の本件実施契約締結時においても同様であり、改めて協議したこともない。
中村は、仕事に忙殺されていたこともあって、原告・テクノライト工業間の契約書の当該条項について深く検討しないまま押印したのである。
右のように、七条は、これについて当事者間に合意も話合いもないうえ、そもそも文言の趣旨自体が不明確である以上、契約としての法的拘束力のない単なる例文にすぎない。
四 争点三(被告が原告に対して実施料又は実施料相当の損害金を支払うべき義務を負う場合に支払うべき金銭の額)について
【原告の主張】
被告が平成五年四月一日から平成六年四月三〇日までの間に本件ノウハウを使用して反射板を製造し、三菱電機照明に納入したことによる売上額は、合計一億六二五〇万円と推定される。
したがって、これに対する本件ノウハウの実施料は、その四%に当たる六五〇万円になる。
【被告の主張】
争う。
第五 争点一(原告が本件実施契約に基づき被告に対して提供した本件ノウハウの内容・範囲)及び争点二1(被告が原告に対してした契約不更新の通知により、本件実施契約は終了したか)、同2(右1の契約不更新の通知により本件実施契約が終了した場合、これによって本件ノウハウは被告に帰属したものであるか)に対する当裁判所の判断
一 まず、原告は、本件ノウハウが原告に帰属することの確認を求めるところ、原告が本件実施契約に基づき被告に対して提供したその本件ノウハウの内容・範囲は、別紙目録(一)記載の反射板及びコーンの設計光学データ並びにその技術にかかるノウハウであり、甲第四号証の1~57(本件ノウハウに基づいて作成された概要設計図)の赤線表示部分に化体されており、別紙目録(一)の記載で客観的に十分に特定されているとし、本件ノウハウは、原告の前代表取締役の中村が研究・開発した反射板のグレアをなくす(グレアカット)設計を主眼とする反射板及び光の制御に関する独自の理論とコンピューターによる計算数値に基づく極めて精緻な反射板及びコーンに関する設計光学データであり、反射板及びコーンの型設計の基準をなすものであって、当該データの数値をXY座標上に打ち込み、各ドットを順次結んでいくことによって自動的に反射板及びコーンの型設計ができるものであると主張し、本件ノウハウに基づいて設計された反射板及びコーンが所期の効果を発揮する具体的な型を形成するためには、更に、当該型形成の段階における中村の具体的な指導・助言が不可欠であって、中村が本件ノウハウの実施契約に伴って行った指導・助言の内容は、(1)反射板及びコーンの内部の光を制御するため、反射板及びコーンの内側表面を曇らせたり、内側表面に光沢を出したりする、(2)ランプの特性に応じて反射板及びコーンとランプの位置関係を調整する、(3)反射板及びコーンの内側表面に槌目(エンボス)を作ったり、その槌目(エンボス)の大きさ、深さを適宜指示することなどであると主張する。
これに対し、被告は、被告が本件実施契約に基づき原告から提供を受けた本件ノウハウの内容・範囲は、原告主張の別紙目録(一)のうち、別紙目録(二)記載の型番の反射板及びコーンの設計光学データのみであり、およそ「その技術にかかるノウハウ」の提供は受けていないし、右目録(二)記載以外の型番の反射板及びコーンの設計光学データについては、被告又は三菱電機照明が設計したものであるか(別紙目録(一)の一項の4・6・10、二項の1・5の各反射板)、その設計光学データがノウハウとはいえないものであると主張したうえ、弁論終結時において本件ノウハウがなお秘密性(非公然性)を有しているか否か、右のとおり原告主張の本件ノウハウの内容・範囲について被告の否認するものが本件ノウハウに含まれるか否かを判断するには、別紙目録(一)に記載された各型番の反射板及びコーンの設計光学データを開示して特定することが必要不可欠であるから、別紙目録(一)のような三菱電機照明の照明器具の型番の記載のみでは特定として十分でない旨主張する。
しかして、原告の主張するノウハウとは、秘密として管理されていて、公然と知られていない有用な技術上の情報であると解されるところ(不正競争防止法二条四項参照)、原告は、前記のとおり、本件ノウハウの内容・範囲は、別紙目録(一)記載の反射板及びコーンの設計光学データ並びにその技術にかかるノウハウであり、甲第四号証の1~57(本件ノウハウに基づいて作成された概要設計図)の赤線表示部分に化体されており、別紙目録(一)の記載で客観的に十分に特定されているとし、本件ノウハウは、原告の前代表取締役の中村が研究・開発した反射板のグレアをなくす(グレアカット)設計を主眼とする反射板及び光の制御に関する独自の理論とコンピューターによる計算数値に基づく極めて精緻な反射板及びコーンに関する設計光学データであり、反射板及びコーンの型設計の基準をなすものであって、当該データの数値をXY座標上に打ち込み、各ドットを順次結んでいくことによって自動的に反射板及びコーンの型設計ができるものであると主張するのであるが、別紙目録(一)(この記載内容自体、二度、三度と訂正されている)には、単に三菱電機照明の照明器具の型番とその反射板及びコーンの双方又は一方に関するものである旨が記載されているだけで、その具体的な設計光学データの数値や本件ノウハウが化体されているという甲第四号証の1~57も、更には、当該型形成の段階において不可欠という中村の具体的な指導・助言の内容(1)ないし(3)も記載されていないし、原告主張の「その技術にかかるノウハウ」なるものの内容も全く不明であるから、右のような三菱電機照明の照明器具の型番とその反射板及びコーンの双方又は一方に関するものである旨が記載されているだけでは、原告のいう本件ノウハウが、仮に原告とテクノライト工業との間の実施契約の時点ではノウハウであるための要件、すなわち、秘密として管理されていて、公然と知られていないという要件を備えていたとしても、果たして本件口頭弁論終結の時点においてもなお、右要件を備えているか否かを判断することはできないのであって、本件実施契約が終了していないことを前提として本件実施契約に基づく実施料の支払を求める請求の関係ではともかく、現に本件ノウハウが原告に帰属することの確認を求める請求の関係では、ノウハウの特定として不十分であり、したがって、右確認請求は理由がないといわざるをえない。また、実施料相当の損害金の支払いを求める原告の請求は、本件実施契約が平成五年三月三一日をもって終了したとした場合に、同年四月一日以降、被告が原告の許諾を得ることなく、本件ノウハウを使用して反射板及びコーンを製造しているとして損害賠償を求めるものであるところ、前記のような別紙目録(一)の記載だけでは、原告のいう本件ノウハウが右同年四月一日以降もなお、前記ノウハウであるための要件を備えているか否かを判断することはできないから、同様に理由がないといわざるをえない。
原告は、テクノライト工業との間で締結した実施契約に基づいてテクノライト工業に本件ノウハウを開示し、テクノライト工業は、原告の技術的指導及び協力のもとに本件ノウハウに基づく反射板及びコーンの型を設計し(本件ノウハウの具体化)、右型設計を使用して(必然的に本件ノウハウを使用)反射板及びコーンを製造するとともに、原告に対して本件ノウハウの使用に伴う実施料の支払いを約したのであり、被告は、右のようなテクノライト工業の地位を承継して、本件ノウハウにかかる反射板及びコーンの型設計を使用し、反射板及びコーンの製造をしているのであるから、被告は本件実施契約の当事者として本件ノウハウの被開示者の立場にあり、本件ノウハウの同一性を承知しているのであると主張するが、右主張のとおりであるとしても、前示のとおり、本件実施契約に基づく実施料の支払いを求める請求の関係ではともかく、前記確認請求及び実施料相当の損害金の請求の関係ではやはり特定として不十分といわざるをえない。
以上の説示に反する原告の主張は、いずれも採用することができない。
二 のみならず、仮に原告主張の「別紙目録(一)記載の反射板及びコーンの設計光学データ並びにその技術にかかるノウハウ」という記載でもって本件ノウハウの内容・範囲の特定として十分であるとしても、以下のとおり、本件ノウハウはもはやノウハウであるための要件を欠くに至ったものであるから、前記確認請求及び実施料相当の損害金の請求は、やはり理由がないといわざるをえない。
1 証拠(甲六の1~4、九、証人芦田一良、同出口明彦)及び弁論の全趣旨によれば、本件ノウハウは、原告の前代表取締役の中村が研究・開発したグレア(まぶしさ)をなくすこと(グレアカット)を主眼とする理論とコンピューターによる計算数値に基づく反射板及びコーンの型設計の基準をなす設計光学データであって、当該データの一〇〇分の一mm単位の数値をXY座標上に打ち込み、各ドットを順次結んでいくことによって自動的に反射板及びコーンの型設計ができるものであり、本件ノウハウに基づいて照明器具の反射板及びコーンを製造するには、まず、照明器具の形状、天井の埋込み深さ、開口径、ランプの種類・位置を前提に、本件ノウハウにかかる設計光学データに基づき製作図を作成するとともに、同設計光学データの数値をNC旋盤に入力して金型を製作し、この金型によりアルミ板に絞り加工を施して整形し、電解研磨による表面処理を施して試作品を製作し、この試作品について、グレア、器具効率(光源から放射される光の量を一〇〇%としたとき、器具から放射される光の量の比率)、配光ムラ等について試験を行い、設計時に予定した効果を実現できていない場合は、金型のエンボス(槌目)の形状・深さ、製品の表面処理の方法、あるいはランプ(光源)の上下位置を調整し、ときには金型の設計そのものを変更することにより、設計時に予定した効果を実現できることを確認したうえで、最終的な金型を製作し、反射板及びコーンの量産を行うこと、したがって、本件ノウハウにかかる設計光学データは、最終的に設計された金型及びこの金型から製造される製品たる反射板及びコーンに反映されることが認められる。
そして、右各証拠によれば、このように本件ノウハウに基づいて製造された製品たる反射板及びコーン自体に基づいて、その設計時に予定した効果とほぼ同じ効果を実現できる同一性があるといってよい反射板及びコーンを製造することが可能であること、もっとも、本件ノウハウにかかる設計光学データの一〇〇分の一mm単位の数値を一〇〇分の一mm単位までそのまま正確に再現することは困難であるとしても、これに近い数字を再現することは可能であることが認められ、右設計光学データ自体は一〇〇分の一mm単位の数値で表されているものの、前記のとおり、実際の製品たる反射板及びコーンを製造するについては、エンボス(槌目)の形状・深さ、表面処理の方法、光源の上下位置の調整が必要であるのであって、本件全証拠によるも、右一〇〇分の一mm単位までの精度の違いが反射板及びコーンの設計ないし製品にどのような差異をもたらすものであるか、不明といわざるをえないから、本件ノウハウにかかる設計光学データに基づいて製造された反射板及びコーンがテクノライト工業又は被告から三菱電機照明に納入され、同社によってこれが用いられた電気照明器具が市販され、不特定の者が自由にこれを購入することができるようになった以上、本件ノウハウにかかる設計光学データも、もはや秘密として管理されているとはいえず、公然と知られていないともいえないというべきであり、したがって、本件ノウハウはもはやノウハウであるための要件を欠くに至ったというべきである。
2 なお、原告主張の「その技術にかかるノウハウ」なるものの内容は、前記のとおり、全く不明といわざるをえないが、原告は、本件ノウハウに基づいて設計された反射板及びコーンが所期の効果を発揮する具体的な型を形成するためには、更に、当該型形成の段階における中村の具体的な指導・助言が不可欠であって、中村が本件ノウハウの実施契約に伴って行った指導・助言の内容は、(1)反射板及びコーンの内部の光を制御するため、反射板及びコーンの内側表面を曇らせたり、内側表面に光沢を出したりする、(2)ランプの特性に応じて反射板及びコーンとランプの位置関係を調整する、(3)反射板及びコーンの内側表面に槌目(エンボス)を作ったり、その槌目(エンボス)の大きさ、深さを適宜指示することなどであると主張するので、仮に、右指導・助言の内容が原告主張の「その技術にかかるノウハウ」なるものの内容であると主張する趣旨であるとしても、抽象的に右(1)ないし(3)のことを指導・助言するだけではなく、具体的に右(1)ないし(3)の点について指導・助言しなければ意味がないところ、中村がテクノライト工業又は被告にそのような具体的な指導・助言をしたと認めるに足りる証拠はなく、ただ、証拠(証人芦田一良、同山住正朗)によれば、中村は、被告が依頼した金型製作業者にヤマギワ照明株式会社の商品を示してこのとおりにエンボス(槌目)を施すように指示したことがあることが認められるが、本件ノウハゥに基づいて製造されたものではない商品に施されたエンボスを示す程度では、具体的な指導・助言をしたということはできないから、ノウハウというに値しないものといわなければならない。
三 そこで、本件実施契約に基づく実施料の支払いを求める原告の請求の関係において、被告が原告に対してした契約不更新の通知により、本件実施契約は終了したか否かという点(争点二1)について、判断する。
1 証拠(甲一ないし三、一三の1~9、一四の1~9、乙一、二、八、証人芦田一良、同岡田通乃、同山住正朗、同松山喜一郎)及び弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる。
(一) テクノライト工業は、昭和六三年九月二九日、大阪在住の被告代表者新田安司、被告の技術関係の係長芦田、その上司の山住正朗、経理部長松山、及び東京在住の原告の当時の代表取締役中村、外二名が共同出資して設立した株式会社であり、代表権は、取締役会長の森下芳信が有し、中村は、社長の肩書は与えられていたものの代表権を有しない取締役に就任し、芦田が被告から給与を得て技術部長として出向した。テクノライト工業の全株式のうち六〇数%は、被告代表者を初めとする被告側の関係者が保有しており、事実上、被告の子会社ともいうべき立場にあった。
テクノライト工業は、三菱電機照明から発注を受けた電気照明器具用の本件ノウハウを使用した反射板及びコーンの製造を被告に依頼し、被告から納入を受けた反射板及びコーンを三菱電機照明に納入していた。こうした三菱電機照明に対する反射板及びコーンの納入は、平成元年九月から始まっていたが、同社との取引が始まって間がなく、忙しいこともあって、本件ノウハウの使用許諾について、原告とテクノライト工業との間で正式に契約書は交わされていなかったところ、被告代表者は、被告の経理部長であってテクノライト工業の取締役経理部長を兼ねていた松山に対し、実施料は、反射板及びコーンを使用した電気照明器具の売上高の一%とし、毎月の売上高の平均が三〇〇〇万円に達したときは、一%の数字を見直すものとすること、契約の期間は一年更新とすることを前提条件として、実施契約書の作成を指示した。
(二) 松山は、右の前提条件に従って平成元年九月三〇日付のノウハウ実施契約書(甲二)を作成したうえ、同年一一月二四日、書留郵便にて、右ノウハウ実施契約書を中村に送付し、押印して返送するよう求めた。
しかし、中村がなかなか右契約書を返送しなかったので、松山は、再三電話等で催促し、平成二年四月一二日になってようやく、芦田を通じて、中村が原告代表取締役として押印した契約書を受け取った。
そこで、テクノライト工業は、同年五月二九日、右契約書の条項に従い、実施料の額は平成元年九月分九万一二四二円、一〇月分一三万二五八七円、一一月分二万四三〇〇円、一二月分一万四四五〇円、平成二年一月分一万三五七二円、二月分六万九〇二七円、三月分九九九七円、四月分五万九一七一円である旨原告に通知し、その頃原告に支払った。また、テクノライト工業は、平成二年五月から平成四年三月まで、各月の実施料として合計一九四万九四二九円を原告に支払った。
なお、平成四年三月三一日、被告は、中村個人との間で、同年四月一日から平成五年三月三一日までの一年間、中村の東京方面における製品及び反射板の販売活動並びに反射板設計と情報の提供による報酬として毎月二五万円を支払う旨の契約を締結した。
(三) 平成四年四月一日、被告がテクノライト工業から営業の一部譲渡を受けたことに伴って、原告とテクノライト工業との間で締結されていた本件ノウハウについての右実施契約を引き継ぐ形で、原告と被告との間において、同日付のノウハウ実施契約書(甲一)に基づき本件実施契約が締結された(前記第二事案の概要一2)。
原告との被告との間の本件実施契約の内容は、実施料の額が反射板及びコーン自体の売上高の四%と改められたほかは、原告とのテクノライト工業との間の前記実施契約の内容とほとんど同一である。
被告は、本件実施契約に従い、平成四年四月から平成五年三月まで、各月の実施料として合計一二八万六六六〇円を支払った。
(四) 被告は、原告に対して、平成五年三月三一日付書面をもって、本件実施契約を同月三一日限りで終了させる旨の契約不更新の通知をしたが、同年四月一日以降も、本件ノウハウを使用して反射板及びコーンを製造し、三菱電機照明に納入した(前記第二事案の概要一3)。
平成七年九月、三菱電機照明は、照明器具のモデルチェンジを決定するとともに、被告に対し、被告に製造委託をしていた反射板及びコーンのうち、一四品目のみを残して四九品目について製造委託を止める旨を通知した。
2 しかして、原告(代表取締役中村)とテクノライト工業(代表取締役森下芳信)との間で取り交わされた前記平成元年九月三〇日付のノウハウ実施契約書(甲二)には、八条において「この契約の存続期間は、平成元年一〇月一日から平成二年九月三〇日までの一か年間とする。ただし、期間満了一か月前までに甲(原告)又は乙(テクノライト工業)からの申し出がなければ、この契約はその後一か年間自動的に延長され、その後もまた同様とする。」と記載され、この契約を継承する形で原告と被告との間で取り交わされた本件実施契約にかかるノウハウ実施契約書(甲一)にも、八条において「この契約の存続期間は、平成四年四月一日から平成五年三月三一日までの一か年更新とする。」と記載されているところ、原告・被告間の本件実施契約にかかる契約書の八条及びこれに先立つ原告・テクノライト工業間のノウハウ実施契約書の八条をその字義に従って解釈する限り、契約期間は一年であり、契約当事者である原告及び被告又はテクノライト工業のいずれも、契約を一年で終了させる自由を有することになり、本件実施契約においても、明記はされていないものの、原告・テクノライト工業間の契約書八条の記載の意味するところに従い、期間満了の一か月前までに相手方に更新しない旨を申し出ることにより契約を終了させることができる旨約したものと解釈するほかはない。
原告は、まず三菱電機照明からテクノライト工業に対する製造委託が決定され、同製造委託において本件ノウハウを使用することを当然の前提としていたため、次いで原告とテクノライト工業の間で本件ノウハウの実施契約が締結され、テクノライト工業が原告に対して本件ノウハウの使用の対価として実施料(ロイヤリティー)を支払うことになったのであり、本件ノウハウの実施契約は、右製造委託契約と不可分一体の関係にあり、右の製造委託契約がテクノライト工業から被告に継承されることとなったのに伴い、製造委託契約と不可分一体の関係にある原告・テクノライト工業間の本件ノウハウの実施契約におけるテクノライト工業の地位を被告が継承することとなって本件実施契約が原告と被告の間で締結されたから、テクノライト工業も被告も、反射板及びコーンの製造を引き受ける以上、本件ノウハウの実施契約を締結するか否かの自由はないし、また、反射板及びコーンの製造を継続しながら、本件ノウハウの実施契約のみが終了するということもありえない旨主張するが、本件ノウハウの実施契約が三菱電機照明とテクノライト工業又は被告との間の製造委託契約と不可分一体の関係にあると認めるに足りる証拠はない。
また、原告は、原告・テクノライト工業間の実施契約書(甲二)は、中村が、テクノライト工業との信頼関係に基づき、テクノライト工業側から郵送されてきた契約書に押印して返送したもので、契約書の内容について具体的に話し合ったり、検討したりしたことはなく、ただ、その際、テクノライト工業から、本件ノウハウの技術的優秀性及び斬新性により本件ノウハウにかかる照明器具の売上げが将来大きく増大することが見込まれるので、売上高の増大に伴う実施料額の増大を抑制する必要があるとの申入れがあったため、中村としても、自ら三菱電機照明との取引を実現させたという経緯から、実施料額の抑制及びそのために必要な調整をすることに異存はなく、契約書に記載されている一年の期間は契約の存続期間ではなく契約条件の見直し期間であって、契約自体は本件ノウハウにかかる反射板及びコーンの製造が継続している限り更新されるとの認識で契約書に押印した旨主張し、証人芦田一良、同岡田通乃はこれに沿う証言をする。しかしながら、前認定のとおり、松山に契約書の作成を指示した、テクノライト工業の事実上の親会社ともいうべき被告の代表取締者は、実施料は、反射板及びコーンを使用した電気照明器具の売上高の一%とし、毎月の売上高の平均が三〇〇〇万円に達したときは、一%の数字を見直すものとし、契約の期間は一年更新とすることを前提条件として指示したものであって、契約の期間は文字どおり一年更新とする趣旨で契約書を起案させたものであること、実施料の見直しについては、右指示に従い、契約書二条において、本件ノウハウの対価となる電気照明器具の売上額が平均月商高三〇〇〇万円に達したときは比率一%を見直す旨が明記されていること、松山が作成した契約書(甲二)を平成元年一一月二四日に書留郵便にて中村に送付し、押印して返送するよう求めたのに対し、中村が契約書に原告代表取締役として押印して芦田に交付したのは平成二年四月一二日のことであって、その間四か月以上の期間があり、いかに中村が忙しかったとしても、B4の用紙一枚にわずか八条の条項が記載された契約書の内容を十分に検討できなかったとは考えられないことに照らし、右証言は採用することができない。もっとも、起案した松山自身は、その当時、被告がこの八条に基づいて契約を一年間で終了させるというような事態が生じることは考えなかった旨証言するが、担当者の内心の認識にすぎず、平成五年三月三一日の時点ではテクノライト工業が被告に依頼して本件ノウハウを使用した反射板及びコーンの製造を始めてから既に三年六か月を経過しているのであるから、被告の一方的な通知により本件実施契約を終了させても、不当であるとまで断ずることはできない。
3 そうすると、原告と被告との間の本件実施契約は、被告が平成五年三月一日にした不更新の通知により、同月三一日限り終了したものといわなければならない。
したがって、本件実施契約の存続を前提に被告に対し同年四月一日以降の実施料の支払いを求める原告の請求は、本件実施契約の終了により本件ノウハウが被告に帰属したものであるか否かという点(争点二2)について判断するまでもなく、理由がないというべきである。
第六 結論
よって、原告の請求をいずれも棄却することとし、主文のとおり判決する(平成九年九月二二日口頭弁論終結)。
(裁判長裁判官 水野武 裁判官 小出啓子 裁判官田中俊次は転補につき署名押印することができない。 裁判長裁判官 水野武)
目録(一)
三菱電機照明株式会社の左記型番照明器具の左記部品(反射板・コーン)に関する製作技術データ。
一、HQIランプベースダウンライトタイプ
1.QX〇三四W・K コーン
2.QX〇四〇W・K コーン
3.QX〇三五W・K コーン
4.QX〇三七W・K 反射板・コーン
5.QX〇三八W・K コーン
6.QX〇三九W・K 反射板・コーン
7.QX〇四九W・K 反射板・コーン
8.QX〇五〇W・K 反射板・コーン
9.QX〇五一W・K 反射板・コーン
10.QX〇三六W・K 反射板
二、HQIランプユニバーサル(・)タイプ
1.QX〇四一W・K 反射板
2.QX〇四三W・K 反射板
3.QX〇四五W・K 反射板
4.QX〇四七W・K 反射板
5.QX〇四二W・K 反射板
6.QX〇四四W・K 反射板
7.QX〇四六W・K 反射板
8.QX〇四八W・K 反射板
三、HQIランプ直付タイプ
1.QC〇〇一W・K 反射板・コーン
2.QC〇〇二W・K 反射板・コーン
3.QC〇〇三W・K 反射板・コーン
四、ハロゲンランプベースダウンライトタイプ
1.JX〇三四W・K 反射板・コーン
2.JX〇三六W・K 反射板
3.JX〇三一W・K 反射板・コーン
4.JX〇三二W・K 反射板
5.JX〇三七W・K 反射板
6.JX〇三三W・K 反射板
五、ハロゲンランプユニバーサル(30°・15°・5°)シリーズ
1.JX〇六七W・K 反射板・コーン
2.JX〇六八W・K 反射板・コーン
3.JX〇七一W・K 反射板・コーン
4.JX〇七二W・K 反射板・コーン
5.JX〇七五W・K 反射板・コーン
6.JX〇七六W・K 反射板・コーン
六、ローボルトハロゲンランプユニバーサル(30°・15°・5°)シリーズ
1.JX〇六九W・K 反射板・コーン
2.JX〇七〇W・K 反射板・コーン
3.JX〇七三W・K 反射板・コーン
4.JX〇七四W・K 反射板・コーン
5.JX〇七七W・K 反射板・コーン
6.JX〇七八W・K 反射板・コーン
七、ガラスダイクロックミラーランプユニバーサルタイプ
1.JX〇四六W・K コーン
八、一般球ベースダウンライトタイプ
1.LD一七七〇W・K 反射板
2.LD一七七三W・K 反射板
3.LD一七七五W・K 反射板
4.LD一七七六W・K 反射板
九、一般球ウォールウォッシャタイプ
1.LD一七七一W・K 反射板・補助反射板
2.LD一七七四W・K 反射板・補助反射板
一〇、BBランプダウンコーンタイプ
1.BD三三七一W 反射板
2.BD三三八一W 反射板
3.BD三三九一W 反射板
4.BD三四〇一W 反射板
5.BD三三一一W 反射板
6.BD三三二一W 反射板
7.BD三三三一W 反射板
8.BD三三四一W 反射板
9.BD三三五一W 反射板
10.BD三三六一W 反射板
11.BD三四九一W 反射板
12.BD三五〇一W 反射板
13.BD三五一一W 反射板
14.BD三五二一W 反射板
15.BD三四六一W 反射板
16.BD三四七一W 反射板
17.BD三四八一W 反射板
18.BD三五五一W 反射板
19.BD三五六一W 反射板
20.BD二三七一W 反射板
21.BD二三八一W 反射板
22.BD二三九一W 反射板
23.BD二四〇一W 反射板
24.BD二四一一W 反射板
25.BD二四五一W 反射板
26.BD二四六一W 反射板
27.BD二四七一W 反射板
28.BD二四八一W 反射板
29.BD二四九一W 反射板
30.BD五三六一W 反射板
31.BD五三七一W 反射板
32.BD五三八一W 反射板
33.BD五四〇一W 反射板
34.BD五四一一W 反射板
35.BD五四二一W 反射板
36.BD五四三一W 反射板
37.BD五四四一W 反射板
38.BD五四五一W 反射板
一一、BBランプダウンバッフルタイプ
1.BD三四一一W・K 反射板
2.BD三四二一 反射板
3.BD三四三一 反射板
4.BD三五三一W・K 反射板
5.BD二四二一W・K 反射板
6.BD二五〇一W 反射板
7.BD三五九一W・K 反射板
一二、BBランプダウンウォールウォッシャタイプ
1.BD三五四一W 反射板・補助反射板
目録(二)
一、HQIランプベースダウンライトタイプ
2.QX〇四〇W・K コーン
二、HQIランプユニバーサル(・)タイプ
2.QX〇四三W・K 反射板
3.QX〇四五W・K 反射板
4.QX〇四七W・K 反射板
6.QX〇四四W・K 反射板
7.QX〇四六W・K 反射板
8.QX〇四八W・K 反射板
三、HQIランプ直付タイプ
1.QC〇〇一W・K 反射板
2.QC〇〇二W・K 反射板
3.QC〇〇三W・K 反射板
四、ハロゲンランプベースダウンライトタイプ
1.JX〇三四W・K 反射板・コーン
2.JX〇三六W・K 反射板
3.JX〇三一W・K 反射板・コーン
4.JX〇三二W・K 反射板
5.JX〇三七W・K 反射板
6.JX〇三三W・K 反射板
五、ハロゲンランプユニバーサル(30°・15°・5°)シリーズ
1.JX〇六七W・K 反射板・コーン
2.JX〇六八W・K 反射板・コーン
3.JX〇七一W・K 反射板・コーン
4.JX〇七二W・K 反射板・コーン
5.JX〇七五W・K 反射板・コーン
6.JX〇七六W・K 反射板・コーン
六、ローボルトハロゲンランプユニバーサル(30°・15°・5°)シリーズ
1.JX〇六九W・K 反射板・コトン
2.JX〇七〇W・K 反射板・コーン
3.JX〇七三W・K 反射板・コーン
4.JX〇七四W・K 反射板・コーン
5.JX〇七七W・K 反射板・コーン
6.JX〇七八W・K 反射板・コーン
八、一般球ベースダウンライトタイプ
1.LD一七七〇W・K 反射板
2.LD一七七三W・K 反射板
3.LD一七七五W・K 反射板
4.LD一七七六W・K 反射板
九、一般球ウォールウォッシャタイプ
1.LD一七七一W・K 反射板・補助反射板
2.LD一七七四W・K 反射板・補助反射板
一〇、BBランプダウンコーンタイプ
1.BD三三七一W 反射板
2.BD三三八一W 反射板
3.BD三三九一W 反射板
4.BD三四〇一W 反射板
5.BD三三一一W 反射板
6.BD三三二一W 反射板
7.BD三三三一W 反射板
8.BD三三四一W 反射板
9.BD三三五一W 反射板
10.BD三三六一W 反射板
11.BD三四九一W 反射板
12.BD三五〇一W 反射板
13.BD三五一一W 反射板
14.BD三五二一W 反射板
15.BD三四六一W 反射板
16.BD三四七一W 反射板
17.BD三四八一W 反射板
18.BD三五五一W 反射板
19.BD三五六一W 反射板
20.BD二三七一W 反射板
21.BD二三八一W 反射板
22.BD二三九二W 反射板
23.BD二四〇一W 反射板
24.BD二四一一W 反射板
25.BD二四五一W 反射板
26.BD二四六一W 反射板
27.BD二四七一W 反射板
28.BD二四八一W 反射板
29.BD二四九一W 反射板
30.BD五三六一W 反射板
31.BD五三七一W 反射板
32.BD五三八一W 反射板
33.BD五四〇一W 反射板
34.BD五四一一W 反射板
35.BD五四二一W 反射板
36.BD五四三一W 反射板
37.BD五四四一W 反射板
一二、BBランプダウンウォールウォッシャタイプ
1.BD三五四一W 反射板・補助反射板